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アルファは飢えても主を摘まず 上

arufa wa uetemo aruji o tsumazu

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表題作アルファは飢えても主を摘まず 上

ヴァルトル・オーゼックス
元修道士→国王付き侍従官、国一番の剣士、劣性α、24歳
エイド
ブライス国国王、Ω、19歳

その他の収録作品

  • 邂逅前夜
  • あとがき

あらすじ

姦淫の冤罪で還俗させられた元修道騎士のヴァルトルは、内宮庁長官の叔父の口利きで国王付きの侍従官となる。ある夜、叔父に連れられ秘密の通路を通った先で目にしたのは、発情に悶える国王エイドの姿だった。亡き父と兄の悲願である宗教改革を推し進めるため、エイドはオメガであることを隠し王位についていたのだ。彼の発情を宥める役を任されたヴァルトルは、強烈なフェロモンの誘惑に晒されつつも、決してエイドを貶めないと誓うが……? 孤独な魂が惹かれ合う、運命のオメガバース・ロマンス!

作品情報

作品名
アルファは飢えても主を摘まず 上
著者
佐伊 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ピスタッシュ・ノヴェルス
発売日
電子発売日
ISBN
9784403221590
4

(5)

(3)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
19
評価数
5
平均
4 / 5
神率
60%

レビュー投稿数2

切なさに胸押し潰される…陰謀渦巻く主従オメガバースファンタジーの幕開け

途中、読みながら激しい衝撃を受け、涙しました。
こんなにやるせなく、切なく過酷な愛の物語が潜んでいたなんて。

孤独な魂が惹かれ合う主人公たち二人にももちろん心打たれますが、
自分は何より、攻めの叔父・メソルトとその愛人・ハリオの物語に心抉られ、涙を流さずにはいられませんでした。

佐伊先生×yoco先生。
この”神”的タッグの作品を、読まないという選択肢はなく!
表紙も本編中のイラストも、神がかった美麗さで言葉を失います…

本作と同じピスタッシュ・ノヴェルスでは、
『君を転生させないために(全3巻)』が大好きな作品です。
そしてこの度またまた、佐伊先生による素晴らしき長編ファンタジーが生み出されたのですね。

国や王族、権力者たちの意向や第二性に翻弄されながらも足掻き、生き抜こうとする二人。
そんな二人の姿が切なくも美しい、壮大な主従オメガバース物語です。
”劣性α”という特殊設定もあり。

「上」と書いてあるとおり、物語はこの一冊では終わらず、下巻へと続きます。
読み終えた直後から、来月の下巻発売が待ち遠しくてたまりません。

以下、重大なネタバレには触れないよう気をつけながらレビューを記したいと思いますが、、
下巻を読む際の備忘録として、登場人物たちや出来事の整理を、コメント欄に残します。


こちらほぼ全編、攻め視点で語られる物語。
表紙で跪く、隻眼の(左目は敵に突かれて見えなくなった)元修道騎士×Ωであることを隠して王座に就く若き国王とのお話です。

表紙をめくると、キャラクター紹介に攻め受け二人+2人のキャラが掲載されていますが、正直この4人の把握だけでは、お話の理解が難しい;
下巻には(多分ないとは思うのですが)人物相関図が欲しいところ…!

自分は一度読み終えた後、出てくる人物と相関図、
起こった出来事をノートにまとめながら拝読しました。
気付いたら7、8ページにまで及んでいてビックリ;

それぐらい、王族、貴族、僧院(修道院)、不仲な隣国…と
様々な立場の人物や組織の思惑が複雑に絡み合ったストーリーとなっています。

以下、簡単なあらすじと、感想・レビューを。

===
物語の主人公は、元修道騎士のヴァルトル(攻)。
国家の重要な海運拠点を隣国オデアに
奪われそうになった際、わずか30人で
数千の市民を守り抜いたという武勲を立て、
”イワンゴの英雄”と呼ばれるようになった国一番の剣士です。
(その戦いで敵に目を一突きされ、隻眼となっています。
表紙では見えない左目に、そんな事情があったのですね)

そんな彼は海戦前の任務で酒場の女をひっかけ、
修道士としてあるまじき「姦淫の罪」を犯したとして
宗教裁判にかけられ、還俗することに。

無実だと何度も訴えるも、認められず…
修道士の身分を失った彼は幼少期を過ごした
叔父・メソルトの家へ出戻り、彼の口利きにより
国王付き侍従官になります。

しかしある時、若き国王・エイド(受)の
とんでもない秘密を知ると共に、
その身を慰める役を任されてしまい…

と続く、主従×特殊設定ありのオメガバース物語。

単なる主従の恋愛譚ではなく、そこに修道院や隣国、
王位継承権を巡る王族・貴族の思惑・陰謀が絡んでくる、
重厚な物語となっています。

恋愛面以外の大きな見どころは、一つは「大僧院と貴族の癒着」と隣国の思惑。
加えて「第二性が関わる王家の秘密・王位継承問題」とが、物語の二本柱に。
(ここが絡んでくる人物も多く、完全な理解に時間を要したところ)

下巻へと続く気になる謎、展開をざっと下記に記してみると…


-”番にしか発情しない”「”劣性アルファ」であるヴァルトルが、番ではないエイドに欲情するのはなぜなのか?
(→恐らくこれは、二人が「運命の番」だから?この概念が存在するのかどうか、上巻では判明せず)

-αしか王位を継げない掟の中、Ωであることを隠して王位に就いているエイドの今後は?(下巻でバレてしまうのか?)
また「主従」という壁に阻まれるヴァルトル×エイドの恋の行方は?

-大僧院の金(実は隣国オデアからの預金)を横領したマルコス家。
証拠を隠滅し、邪魔者を密かに殺害してきた彼らの罪は暴かれるのか?
ヴァルトルや叔父メソルトはどのように彼らに立ち向かい、罪を暴くのか?

-王家が進めようとする宗教改革の行方は?
それを何よりも避けたがっている大僧院との対立は、どうなってゆくのか?

こんなところが、”気になって眠れないポイント”です。

肝心の主人公たち二人の恋愛は、思わぬ「お慰めしろ」命令、体の関係から始まるものの(tnの挿入はなしです!!)、(二度目になりますが)孤独な魂が惹かれ合う美しいもの。

Ωだと判明してから王位に就いた現在までの
エイドの処遇が、もう、あまりにも過酷で哀れで痛くてたまらないのです、、

Ωであるゆえ母后にも前国王にも望まれず疎まれ、期待もされてこなかった。
兄と前王(父王)亡き後Ωながら王座に就き、発情期のたびに望まぬ形で体を汚されることを自ら選んだエイド。

それは前王太子・クリオ(エイドの兄)の私生児を守り、いずれその甥っ子を王位に就けるためだった。
また困難な状況の中、亡き前国王の成し遂げられなかった「宗教改革」を進めていこうとする中には、母に認められたい、期待されたいという思いも多分にあったはず。

一方、冤罪により修道院を追放され、ある理由により誰にも言えない”αである”という事実を、隠し通してきたヴァルトル。

共に公にはできぬ第二性の秘密、辛い思いを抱えてきたこと二人が、主従の絆を超えて惹かれ合うのは必然ですよね。

渦巻く陰謀が重々しすぎて、まだ上巻では恋仲になることは出来ていない二人。
”両片思い”状態であることは伝わってくるだけに、焦ったい。。
でも、そこがいい…

二人が心穏やかに、またメソルト×ハリオも笑顔で寄り添い合うエンディングが見られることを願って、下巻の発売を待ちます…!

0

umeair

<下巻を読む際に思い出したいポイント備忘録>vol.2

◆王位継承権
1位:ガルディオ公(前国王の叔父で寝たきり)→本編中で死去
※これにより彼のΩの娘の夫であるリンゼル・マルコスが新公爵となり、王位継承権2位になった。
しかし下記サロバ公アゼルの息子・ゼルスがαだった場合、王位継承権はゼルスの方が上になる?

2位:サロバ公アゼル(前国王の甥)
→前国王の妹の息子(エイドの従兄弟)。
伴侶は隣国オデア出身のΩ・ラウル。4歳の息子・ゼルスがいる。
アゼルは何かとヴァルトルに協力し力になってくれる。いい奴。

umeair

<下巻を読む際に思い出したいポイント備忘録>

◆ブライス国内の「王家」と「大僧院(修道院)」との対立
・王家(前国王):
自らの聖騎士団(王国騎士団をしのぐ実力)を持つ僧院の力の増大を危惧し、
その力を削ぐため「宗教改革」に乗り出す。
やりたいことは主に2つ。

1.租税の徴収(僧院には税金がかからず監査も入らないため、使途が不明)
→ここをうまく突いて、寄進が聖騎士団の軍費に回ったり、隣国からの預金の流入、さらにはその横流し(マルコス家へ)が行われてきた

2.聖騎士団の解体

僧院側はこの改革によって金も軍も失うことになってはならぬ!と、
前王太子の愛人の子・私生児のウォルトを人質にとり、改革を阻止しようとする
(が、メソルトとヴァルトルが手を回しこれを回避)

===
◆隣国オデアからの金の流れ
1.オデア国→2.ブライス大僧院→3.マルコス家

2→3へ横流ししたのはオッドリー師僧長
1→2へ流れる手助けをしたのはオデア国商人のロッティ家
(悪用目的・悪意はなく、あくまで”寄進”だった)

---
隣国オデアが海運の要・イワンゴを襲った際、前国王は応援のため聖騎士団を送るよう、僧院に要請。
しかし僧院はたった30人しか応援を送らず、イワンゴは敵の手に堕ちる。
これにより僧院は前国王の大きな恨みを買うことに。(「宗教改革」に繋がる)

これは隣国オデアの命によるもので、預金の横流しによりオデアに返済できなくなっていた僧院は弱みを握られ、逆らうことができなかった。

---
◆ヴァルトルの冤罪について
宗教裁判で無実のヴァルトルが罪に問われたのは、
大僧院の思惑によるもの。
王室への伝手がなくなり情報が一切入って来なくなった大僧院は、
ヴァルトルを無実の罪で還俗させれば、叔父・メソルトが彼を王宮侍従官にするだろうと読んでいた。

→その後ヴァルトルに「修道士復帰」というエサを与え、
王宮でスパイをさせるつもりだった。
(が、ヴァルトルが既に神ではなく国王エイドに仕えることを誓っていたため、失敗)

貴族社会の闇とオメガバースの非情さが絡み合う重厚なストーリー

おそろしく作り込まれたストーリーの重みに、複雑極まりない登場人物たちの相関関係。ページ数以上の読み応えを感じた物語でした。

佐伊先生の作品は、以前読んだものは壮大な中華風ファンタジーでしたが、今作はガラリと変わって中近世あたりのヨーロッパがモチーフ。そこに加えてオメガバースのエッセンスも入り、オメガが蔑まれる前時代的な思想が作品全体の仄暗さを演出しています。
最近のオメガバースは割とオメガ差別描写が薄い作品が多く、久しぶりにあー胸クソ悪い感じのきたわぁ…って感じでした。

バース性を偽るオメガの国王・エイドへの仕打ちが酷すぎない?
いくらなんでも囚人を慰みの相手に当てがうなんて有り得ないし、しかも堕胎により妊娠できない身体にさせてしまうなんて鬼畜すぎる。
実親にムカムカ。僧院にイライラ。強欲な権力者にF○ck you!
色んな事情が絡み合いながら、高貴な階層社会の裏ボスどもが牽制し合っている構図が真っ黒(漆黒レベルです)で、読みながらモヤモヤでした。

ストーリー的には、権力闘争やお家騒動の背景に渦巻く陰謀を解明していくのがメインでしょうか。以後どうなるのかはまだ未定な部分が多く、上巻部分ではとりあえずそんな感じです。
元修道騎士のヴァルトルがエイドの発情時の慰み役(NO挿入)になるところから、BL展開がどんどん進むかと思いきや、思いのほかスローペースでした。信頼と服従、孤独と寄り添い……2人の関係性がじっくりと温まっていくのをひたすら見守るしかないですが、少しずつではあっても着実にBLの芽は育っています。

エイドの身の回りがとにかく不穏すぎて、権力組織…ひいては関係が思わしくない隣国の存在も無視できない状況にあるため、恋愛に寄せる余裕がちょっとだけなのが上巻までの進みです。
ヴァルトルの出自もワケアリ感ハンパないし、貴族社会とオメガバースの組み合わせの相性が良すぎてストーリーの深みがエグい。貴族社会のぬるっとした汚さや、陰湿なやり口にウヘェ…となりつつも、そうした膿の温床を暴こうとするヴァルトルの奮闘ぶりは頼もしい限りです。
ヴァルトルの強靭な体力とリサーチ力、エイドへの忠誠心によって裏社会の闇が暴かれようとしている面白さにワクワクが止まりません…!!
これからストーリーがどうなっていくのか、下ごしらえは十分に整えられましたので、あとは下巻で全ての答えがでるのを待つのみです。

上巻とあったので、続きものだということを認識した上で読むのはちょっとした冒険でした。佐伊先生の作品の作り込まれた設定は、ちょっとした大河ドラマレベルで厚みがすんごいんです。きっと上巻を読んだらすぐに下巻が読みたくなるに決まってるだろうし、下巻が発売されたタイミングで一緒にまとめて購入しようかと迷う気持ちもありました。……が!!
結果的には購入して良かったです。これからの展開を妄想するのも楽しみの1つですし、やはり読みたいものは早く読みたい(笑)。

ちょっとした駆け引きや腹の探り合いなどなど貴族社会特有の重だるさに浸るシーンが多く、BLを読もうと思って読まない方がいいかもです。それくらいストーリーがガッツリなので。
上巻では密やかなBLモードも下巻ではBLの香りが濃厚になっていくのかなぁと楽しみにしつつ、下巻を待ち侘びたいと思います^ ^

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