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この作品はBLなのかどうか・・・。
ひとっつもお色気はありませんね。直人君が5歳のときにパパがゲイに目覚めてママと離婚。その十年後にはパパから男性と結婚するという報せが・・・っていうのは、たしかに風変わりな設定かもですが、こういうのこそ青年誌で扱ってほしいものです。
パパの結婚相手の海老悟郎(この名前、忘れられない)が、クールビューティで能面のように表情がないところが、とても好きでした。どんなに心が千々に乱れようとも美しいお顔は常にツーン。
だからこそ、たまに見せる笑顔が(それが作り笑顔であっても)カワイイのです。
エビゴローの兄や姉たち、直人のママ、直人自身も、一生懸命もがきながら生きている様が、傍から見ると滑稽だな、人生って得てしてそんなもんと読み手に思わせる作品だと思います。
たった1冊なのに、何巻かの続き物を読んだような満足感。漫画ならではの楽しませ方を熟知されている作家さんだな~と脱帽です。
某ブログでオススメされてたので読んでみました。余談ですがここのブログ主は、私の趣味をハズしたことが2回しかない。めっちゃ面白かったです。オススメです。
ちょっと変わった作品なんですが、万人にオススメできます。
主人公はノンケです。最後までノンケ。
ゲイに目覚めた父親と母親は、主人公が五歳のときに離婚してます。でも両親は今でも仲良しで、母親は父親の恋の相談をしばしば受けている。
ある日父親が約20歳も年下のイケメンの恋人を紹介し、『結婚する』と宣言する(つまりは養子縁組です)。そこから双方の家族を巻き込んでの騒動に発展します。
最初は反発してた主人公も、父親の恋人に会ううちに、認めてしまう。
ファミリーコメディです。
登場人物の正直さに笑ってしまう。みんなそれぞれにわがままなんだけど、根底には愛があって、じんわり優しい気持ちになれました。
個人的には、父親の恋人のお兄さんが大好き。
元妻と息子のいる男性が、息子と6つしか年の違わない青年と養子縁組(実質ゲイ婚)をする・・・ところから話が始まる。
自分たちにとって自然な生き方をすることによって、周囲に波紋が(特に身内に)広がってゆく、という人物関係の濃密な書き込みが『風と樹の詩』にも劣らないと思う。
ここまでややこしく絡ませるのは曲芸並みだし、それをキチンと爽やかな読後感につなげられるのも、スーパーテクと思う。相変わらずお見事。
本作で特に気に入ったのは、辛辣な言動と怜悧な美貌で相手を若干引き気味にさせる悟郎。彼の神業的問題解決法。自分の幸せは自分の手で守る。馬鹿正直に世間にぶつかる必要などないんだから、と実に明朗。誰に真を捧げるべきか、彼は本当によくわかっているんだなあ。
登場人物全員が憎めない人物なのだが、かといって良い人でもない。でも傍迷惑度マックスで暴走しつつも大事な所は踏み外さない。そして女たちも魅力的でしっかりと自分の人生を持っているところが素敵!ある意味、名香智子に次ぐフェミニスト的スピリッツを持った作家さんかもしれない。
息子や娘が「俺の気持ちも聞いてよ!」って言わせてもらえる。婚姻関係込み入ってても、誰もが犠牲者に甘んじていない。ある意味理想的。こういうとこも名香智子的。
BL漫画という特殊なルールに則った漫画のジャンルでなく、一般誌(青年誌とか女性誌)に載せてもいけそうな作品でした。
ドラマの醸しかたが濃厚で「わた鬼」的な大衆演劇の風味もあるし、読ませます!BLファン以外にもオススメ!濃厚なラブシーンはないので安心!(BLファン的にはオイシくないのか)
今市子作品は BLを越えています。
人間観察が本当にドキッとするほど上手くて 巧みに読者の心のポイントを付いてきます。
ややこしい人間関係の狡さを さらさらと綺麗な絵で 作者自身の人間に対する強い想いが丁寧に描かれています。
感動しました。
『人間愛』です。ノンケもゲイもバイも愛の重さは同じだと訴えてくる物語でした。
主人公のパパが同姓の恋人を連れてきて「結婚宣言」をします。
そこから発生するドタバタ劇がたまらなく愛おしくて面白かったです。
とても優しい気持ちになりました。お勧めです。
久々に読み返して、やっぱり笑いました。
本作は「BL」というよりもゲイのいる家族の風景、というかファミリーヒストリーというか…
家族、をコメディタッチに描いた作品です。
主人公は20才の原嶋直人。
両親は5才の時に離婚。原因はパパがゲイに目覚めたから。
そして今、離れて生活していた父親が「再婚」するという。相手は勿論男性。養子縁組を決意したのである…
…という冒頭。
そしてそのお相手の悟郎と、気まずいながらも父の息子、同時に義理の兄弟として関わりを持っていく…という骨子のお話なのですが。
直人の母親(つまり父の元妻ね)の由美子さんや、由美子さんの彼氏、悟郎の兄・一(はじめ)、父の元カレ、悟郎の母親と姉たち、一の妻子、などなどが絡んで、誤解や思い込みや偏見、そんなゴチャゴチャでドタバタな日常が描かれて、もう笑っちゃうのです。
これ、元々のパパの存在感は薄めなのです。
パパのお相手の悟郎は、若くて美形でクールで、家事も完璧で、ちょっと意地悪。でもパパを愛していて、自分と入籍してくれた事を凄く感謝している。
その大きな幹があっての、周囲のアレコレが何とも騒がしいというか…
特に後半、何と由美子さんと一がくっついちゃうんだけど、2人のケンカップルぶりも面白い。
結局原嶋家と海老家が父も母も入り組んで親戚になる、というラストで、「家族」というものの不可思議で不条理で、でも妙な生暖かさが、ブラックユーモアを内包したほのぼのさで描かれています。
直人の彼女・神田さんの家族にもなんか凄いドラマがあるんですよー。
1997年発表の本作に、今2019年そして未来の多様性を読み取る…そんな読後感でした。