炎が肌に刻んだ、一生ただ一度の恋

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表題作半化粧の恋

堂島充洋,30歳,服役していた堂島家の一人息子
日垣景,27歳,元堂島家の使用人で貸元佐賀屋の傘下 

同時収録作品半化粧の恋

堂島義毅,財閥に繋がる実業家で充洋の父
日垣景,治療費のため義毅の慰め者になる使用人

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大正十二年、初夏。待ち続けた男が戻ってくる。
侠客・佐賀屋の博徒、日垣 景の思いは複雑だった。美貌ながら、半身を紅い火傷の痕に覆われた彼の通り名は「半化粧の景」。景の、美しく白かった肌と運命とを変えたのは、奉公していた堂島邸の火事だった。その堂島家の長男であり放火犯として服役していた充洋の出所。秘かに慕い続けたかつての主は、景の弟分として任侠の道に入ることを望んだ。主従の反転が、景の想いを蝕む。紅く爛れた半身が、今また恋に灼かれていく――。
出版社より

作品情報

作品名
半化粧の恋
著者
鳩村衣杏 
イラスト
高座朗 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
半化粧の恋
発売日
ISBN
9784877249014
3.9

(26)

(8)

萌々

(9)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
101
評価数
26
平均
3.9 / 5
神率
30.8%

レビュー投稿数9

初めて読んだけど、すごい作家さんですね

すごく面白いです!

雰囲気は宮本輝さんの「避暑地の猫」に少し似ています。(設定もね)
って、「避暑地の猫」は微妙な例でかえって分りづらいかもしれませんが……。

でもとにかく、
宮本輝を思わせるほどに巧みな文章だなぁと感じたわけです。

また、この作品は設定自体が自分の好みにピッタリなので、
それだけでも萌えちゃった部分がなくはないのだけど……、
やはり、それを差し引いて考えても、
上手い作家さんだなぁと思いました。

難しい言葉やクドイ説明なしで、
場面場面の雰囲気を伝えてくれるところが好きだな~

ところで、この作品、
大正時代で、雇い主×奉公人で、お家のドロドロありって……、
BL的に設定がすごく自分好みなため、
具体的にストーリーを説明しだしたらキリがなくなりそう……。

というわけで、
なんだかよく分らない例えでレビューをしてみましたが、良い小説でした。

6

よう

コメント嬉しいですo( ^▽^ )o

乱菊さんもハマった時期があったのですか、
私も一時期大好きで集めてました。でもなぜか最近はめっきり(^_^;)
純文と大衆の間ぐらいのポジション そうそう!そんな感じですよね!

乱菊

こんばんは!
「避暑地の猫」解りますよ~。
私も一時、宮本輝にハマりまくってかなり読みました。
純文と大衆の間ぐらいのポジションでしたかね。
後期は新聞連載も多くて、かなり大衆化してましたけどw
確かに読みやすい文章で、無駄がなかったと思います。
そういう文章を書く方がBL界にいるとは!
ぜひ読んでみたいと思います♪

切ない

まさに帯に書かれている通りの物語だなあと思いました。
時代も設定も私の好みで、主従逆転がこんなにも萌えるものだとは…(笑)
受け様の葛藤や過去への執着、また、攻め様の男らしさや潔さ、受け様を想う気持ちがよく書かれていました。
過去の回想が物語の合間にちょくちょく入ってきて、過去と現実のギャップがまた良かったです。

私がこうしてほしい、ああしてほしいという想いそのままに彼らが動いてくれたので大満足です。けど、受け様が他の男に抱かれるのに抵抗のある方にはあまりオススメできません。

4

文章が上手 

当たり前というか、さすがというか、
創作講座を開催しているだけあって、構成も文章も上手で模範的。
上手な表現と構成の効果で、読みながら登場人物たちの事情や情景が迫ってくる。

大正時代。
財閥と関連する貿易商の堂島家。

景は、15才、堂島家の使用人に就く。
館の火災で負った火傷の跡の為、景はやくざしか就けなかった。
体の半分を覆う赤い火傷跡を隠そうとしない景は、「半化粧の景」と呼ばれている

堂島邸の放火で10年服役した坊ちゃん、充洋。

坊ちゃんの服役開けを待つ、景と弟分の様子から始まる冒頭。
そして、主従逆転の展開。
景は、ちょっと複雑な生き方をしている。

0

雰囲気満点の時代物

鳩村さんならではの読み応えある1冊でした。
タイトルの”半化粧”、梅雨時にぴったりな半夏生を彷彿とさせます。過去の事件で半身に大やけどを負った美貌の主人公を象徴するタイトルです。

時代物、高倉健さんのイメージがびったりな硬派な黒髪一途攻め。道ならぬ恋と極道と、自分が好きな設定が多くて楽しめました。
不幸受けだけどなよなよしてないところが好感持てます。これは攻めもそうで、元は恵まれた家庭に生まれながら、不幸な事故で刑期を務めなければならなかったにもかかわらず、心は折れず一途に受けを思い続けるのです。
ただ、お互いを想う心は一途なんですが、レゾンデートルとしての二人のお仕事というか生き方の描写はなかったので、そこがちょっと物足りなく感じました。




0

主従関係萌え

堂島充洋(堂島家の一人息子 放火を自白し服役していた)×日垣景(十五歳から堂島家で住み込みとして働く 火事で火傷を負ってしまう)

家族を養うため堂島家に住み込みで働くことになった景は、堂島家の一人息子・充洋の聡明で優しいところに惹かれ慕う様になりますが、当主である充洋の父に美貌を見染められ身体を蹂躙され続けます。そんな関係が2年続いたある日、屋敷が火事になり当主を始め3人が亡くなり景も左半身に大火傷を負います。景が入院している間に充洋は自分が火を放ったと罪を自白し刑務所に収監されてしまいます。そして10年後「半化粧の景」と呼ばれる博徒になった景は、親分の命令である男を迎えに刑務所へやってきて……

物語冒頭が10年後に当たる現在のシーンから始まり、その後間々に過去のエピソードが挿入されているんですが、すでに現在の二人を知ってから過去(二人の出会いから心を徐々に通わせるまで)を読むかたちになるので、ちょっとした微笑ましいエピソードがあっただけでウルウルっと来てしまうほど切なくて参りました。でもそんな幸せなシーンはあっという間に終わってしまい、充洋の父親から経済的援助を餌に景をいい様に扱う様になる展開が続いていきます。家族のために望まない行為をされてもひたすら我慢し続け、したたかに日々を過ごしながら、いつか充洋を「旦那様」と呼んで仕えることを夢見てそれを日々の支えにしている景の姿が、健気であり痛々しくもありホントに切なかったです。

その後例の放火事件が起こり、充洋が服役中に景は(火傷痕のせいでまともな仕事に就けず)博徒(やくざ)になっているのですが、10年後(現在)ひょんな事から親分の客人として充洋を迎え、今度は景が充洋の面倒を見るという立場になり…という展開になっていきます。住み込みで働いていた時はもちろんですが、博徒となっても景の中で充洋に対する主従の気持ちは変わっておらず、口ではそっけない態度を取りつつ実は…というところが良かったです。特に最後のHシーンで昔のように思わず「充洋様」と呼んでしまうところなんてすごく萌えました。

現在以降の展開も切なくて確かに引き込まれるのですが、私の中では前半(事件以前)の方がより印象的でした。大正時代という設定のせいもあって現代モノとはちょっと違う独特な雰囲気も良かったと思います。


6

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