表題作夜道を一人で歩くとき 再録

天性のタラシでヒモ体質・本田
ゲイの不動産屋・吉岡

その他の収録作品

  • そしてまた暮れる一日
  • 去年は風の強い十二月
  • もしこの広い空の下で

あらすじ

「夜道を一人で歩くとき」「そしてまた暮れる一日」「去年は風の強い十二月」「もしこの広い空の下で」

作品情報

作品名
夜道を一人で歩くとき 再録
著者
草間さかえ 
媒体
漫画(コミック)
サークル
soft_machine〈サークル〉
ジャンル
オリジナル
発売日
4.2

(10)

(5)

萌々

(2)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
42
評価数
10
平均
4.2 / 5
神率
50%

レビュー投稿数5

何だか胸のあたりがじんわりとして、泣きたくなるような

「夜道を一人で歩くとき」
タイトルであり、そしてこれにまつわるフレーズが作品の中のキーワードとして使われています。

私はお話の筋云々よりも何よりも、この「夜道を一人で歩くとき・・・」というこの詩的な発想が何よりも素晴らしいと思いました。
どうやったらこんなロマンチックな事を思いつく事が出来るんだろう・・・
どうやって啓示を得るんだろう・・・・
(ちなみに私は・・・一人で歩いている時、人間よりも生ビールの事を考える事が多かったです・・・。)

高校時代から昔から女が途切れる事がない本田(攻め)と同級生の吉岡(受け)のお話。
モテるけど相手を好きになった様子を見せない攻めに、好きっていうのは「夜一人で歩いている時に思い出すような相手の事。」と言う受け。

高校を卒業して天性の才能とも言えるタラシ技術でヒモ生活を続ける攻めすが、時々思い出すのは・・・。
そして受けも攻めの事を忘れようと思うのですが、ずっと忘れる事ができずにいます。
そして中年になって再会するのです。

「夜一人で歩いている時に思い出すような相手の事。」
このフレーズを唱えるだけで何だか胸のあたりがじんわりとして、泣きたくなるようなしみじみとしたものを感じますが、全体のお話を貫くリズムも同様です。
決して性急なものではなく高校時代から中年までの長い年月をゆっくりと描いていますが、それだけに再会した後の流れに変化が感じられて、ようやっと!ここで!ついに!と胸に迫りました。

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews

で教えていただいたのがこちらの一冊。
草間信者になってしまいそう・・・。いえ、なりつつあります。
教えていただき本当にありがとうございました。

※幸いな事にhontoで電子書籍として読む事ができました。(2017年4月19日現在の情報・対応OSはiOSとandroid 一ページ表示ではなく、コマ表示で、大きいコマは二つに移動(ズレて)されて表示される仕様。)

2

「魔法使いと弟子」とのコラボあり

4編の作品の再録です。表紙回り以外の描き下ろしはないそうです。

「夜道を一人で歩くとき」
本田(攻め)と吉岡(受け)の高校時代の話がメインです。モテるけれど「好き」というものがいまいち分からない本田に、吉岡が「夜一人で歩いている時に思い出すような相手の事(が好きだということ)」と教える。卒業して女のヒモとして暮らす本田ですが、そんな彼が夜道で思い出すのは、という話。

「そしてまた暮れる一日」
ソカベ(攻め・後輩)と吉岡(受け・先輩)の大学時代の話。吉岡をネムの木に表現するのが色っぽいです。

「去年は風の強い十二月」
「6.3.3」に収録されている「仔犬と本田」の番外編。「魔法使いと弟子」のキャラが登場します。

「もしこの広い空の下で」
この作品が一番長いです。本の半分弱を占めてます。
本田(攻め)と吉岡(受け)が大人になって再会する話です。不動産屋を営む吉岡と、付き添いで訪れた本田の、偶然の再会。
おたおたする吉岡と、端から落とす気満々の本田が面白かったです。

本田は常に動じず、表情もあまり変えないのですが、ちらりと嫉妬をみせたり、吉岡の自虐的なセリフに眉をしかめたりと、吉岡への好意を表してくれます。
最後の「いつまでも君と歩いていきたい」は、本田の心かなぁと思いました。女性にモテても好きだと思えなかったのは、ゲイだからかもしれませんね。

4

一途なんだけど一途なだけじゃない

2003~2006年まで1年一話描かれた話らしいです。…これは再録買って正解かも! これを毎年待つのは微妙に苦痛だったかもしれないですから。
お話の二人は高校の同級生。吉岡は同じクラスの女たらし本田に密かに片思いをしていたけど、打ち明けるには至らず、しかしあるきっかけで思いが漏れ出てしてしまい、敏感な本田に気付かれてしまいます。
吉岡はその場を逃げて、その後二人は全く別々に生きるのですが、どんな人と一緒でもいつもふと相手を思い出してしまうのです。

ストーリーは、本田視点、吉岡視点など、色々な視点から描かれているんですけど、吉岡は忘れようと思いつつ、誰と一緒に居ようと結局いつの時も本田を忘れられません。
本田の方もヒモ生活をしつつ、やはりふとした時には吉岡を思い出します。
二人のそんな淡い思いを描きだすのがとにかく上手い!
じんわりとでも確実に染み渡るように相手を思うキーワードが「夜道を一人で歩くとき」で、これが実に詩的でいいんですよね。
お互いいろんな相手と色んな事をしながら、かなり年を取って再会する二人。
戸惑いながらもあっという間に距離の縮まる感じは、お互い思ってた以上に相手を思ってたことに他ならない感じがして、じわっときましたね。

ラスト辺りの雰囲気や二人の距離感がすごくいいです。
この状態になるために今までがあったのかも?と思えるほど穏やかなラストは、何ともあったかい気持ちにさせてくれました。

5

しみじみと染み入る

何だかデジャブる登場人物の名前、あれ、どこかで見たよな・・・?
再録の本だったのですね。
しかし、これ一刷にまとめて正解です!
きちんと本田と吉岡の始まりから終わりまでが見られて得した気分になりました。

昔からタラシの本田。
それを好きだった吉岡。
吉岡が「本当に好きな人っていうのは、夜道を一人で歩いている時に考えた人じゃないかな?」って言うと、本田はそのことを夜道で考えてしまって、ならば吉岡が好きなのか?と・・・
そして中年になってからの再会。
吉岡の初恋は実るのですが、本田のヒモ気質、、本気にしていいのかな?と勘ぐりたくなるも、ハッピーな終わりにほっとする自分がいます。

ひょっとして吉岡の税理士って元彼は大学時代に付き合っていた男か?
どうしようもない本田に惹かれます。

3

私は誰を思い出すんだろう・・・って

やっと手に入れました。

どう考えてもロクデナシなのに女にモテる本田と、高校時代から彼に片想いをしている吉岡のお話。

表題作は高校時代、ほかはオジサンになってからの再会ラブです。
吉岡に関しては、学生時代の別のお付き合いのお話が1本入っています。
ソカベくんと付き合っていたらどうなっていたんだろうって思いますが、きっと今の状況の方がお互い幸せなんだろうなとも思います。

本田のエピソードはどうやら他の本に入っているらしいのです。(「6.3.3」という本らしいですが、私は未読です。)残念。

で、再会して、本田のほうが嫉妬深いじゃんって言うお話なのですが、高校生の吉岡が、好きな人とは「夜一人で歩いている時に思い出すような相手」のことだと言います。そうか、そうなのかと納得した次第です。

2

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