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表題作主治医の采配

 上條晴隆,主治医,礼一郎の同級生
夏目礼一郎,33歳,王に性奴隷にされていた

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

新婚旅行中に、突然砂漠の王に拉致され性奴隷にされた3年間。生還はしたけれど、将来を嘱望されていた有能な弁護士・夏目礼一郎(なつめれいいちろう) は、下半身の自由を奪われ生きる気力さえ失っていた。その主治医についたのは、高校時代の同級生・上條晴隆(かみじょうはるたか)だ。心は性欲を認めないのに、診察されるだけで反応する体と折り合いがつかない礼一郎。そんな自ら治療を拒む患者を、内心持て余す晴隆だったが…。
出版社より

作品情報

作品名
主治医の采配
著者
水無月さらら 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199005305
3.5

(21)

(4)

萌々

(6)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
72
評価数
21
平均
3.5 / 5
神率
19%

レビュー投稿数6

不幸のどん底に落ちたエリート弁護士の再生物語

イラストの美しさに手にした1冊です。
カバー絵が白衣のドクターと裸体に足かせの美青年。
肌色いっぱいでちょっとドキドキしました。
どんな鬼畜なお医者様かと思いきや…。

プライドが高いエリート弁護士の青年がその美貌に目をつけられ、新婚旅行中に拉致されオークションで砂漠の王に買い取られる。
政変の混乱に乗じて逃げ出すまでの3年間性奴隷として弄ばれた青年の再生物語。

美形で傲慢な砂漠の王に寵愛されいつしか愛が芽生えて…という方向に行ってしまうとアラブの王道ものになっていくのでしょうが、執着していたのは顔と躰と諸々の都合が良かったというだけで、愛が芽生えるのは救出後治療をしてくれた医者、それも気が合わないと思っていた高校時代の同級生でした。

順風満帆で幸せの絶頂から地獄の苦しみへ堕ち、せっかく生きて戻れても生きる意欲をなくした礼一郎が、同級生だった主治医の上條に見守られながら少しずつ癒されてきます。
凌辱の日々の後遺症で愛撫を求めてしまう体を受け入れられない気持ちと、家族からも疎まれ仕事も家庭もうばわれた苦しみが痛いほど伝わってきました。

上條が、同情はしても医者としての義務から機械的で当たり障りのない態度で治療していたのに、徐々に礼一郎に気持ちが乱されたり思わず手を出してしまうようになる自分への戸惑いから開き直る心境になるまでの描写が自然でよかったです。

中国四千年の奇跡。怪しげな鍼師もいそうな気がします。

礼一郎が悲惨な目にあって多くの物を失ったけれど、それでも上條と出会えてよかったと思えたことと、足が片方使えくても足りないものがあった方がいいと考えられるようになったのは偉大なことだと思います。そして礼一郎が人の心を思いやれる本当の意味で人を救う弁護士になろうとして、上條も必要なときに補佐しようとする二人の姿がいいと思いました。

5

アラブ監禁のその後

この作品は、まず設定がなかなか面白いです。
新婚旅行中に拉致されオークションでアラブの王に売られ監禁され女装した性奴隷として3年間なぶられまくったエリート弁護士礼一郎[受]。
内乱に紛れて脱出し下半身が不自由な上にスキャンダルで家族からも疎まれ、監禁虐待の影響で精神的にボロボロになり生きる気力も失った彼が、高校の同級生であり外科医でもある晴隆[攻]と病院で再会する事になり。
精神的ショックから白髪となり、淫乱になった己の身体に絶望し自殺しようとする礼一郎
ですが、次第に少しずつ癒され立ち直って行く。
晴隆は最初は礼一郎をどこか冷ややかに見ています、熱血医師でもなければ必要以上に優しくもない。
そんな2人の微妙な関係が変化して行く課程が淡々と描かれてます。
アラブ王の元での性奴隷としての過去シーンは説明や追憶で書かれているに止まってますが、王の執着もあってされていた事は結構ハード。
もしこれでアラブ王と礼一郎の間に愛が芽生えてたら普通にアラブ物だったかもとか、そんな部分もアラブBLをベースに一捻りしてあるなあって感じでした。
割と面白かったです、ただまあ最後に鼻が折れるまで殴る事はないのになーとは思いました。

1

中国4千年とか砂漠の国とか英国貴族とか ファンタジーの匂いをふんだんに漂わせているけど 地に足のついたお話

おもしろかったです!

新婚旅行で訪れた香港
初夜の翌朝ジョギングにでかけたら拉致られ
人身オークションにかけられ
砂漠の国の性的奴隷にされてしまった・・・

と、いうお話。

そのまま砂漠の国で、お話が展開するのかと思いきや
運良く日本に生還し病院で療養するというところからスタートするのです。
砂漠の国での奴隷生活を物語に組み込むことはなく
あくまでも主人公の供述的な感じで間接的に描かれているので
よりリアル感があったんですよねぇ・・・

砂漠の国の王は美丈夫でサディステック
礼一郎を3日と空けずに抱いて貞操帯をつけさせていた
なんてきくと、そこでラブが芽生えてもいいようなもののw
そこにラブなんか芽生えず・・・あくまで加害者と被害者のまま。

礼一郎は、主治医である晴隆と恋をするというお話なんですよね。
恋なんてかわいい類のものではなく
わりと精神的には男と男の友情的な感覚がありましたよ?

なんというかすごく男らしい感情のぶつかりで
私は、これは友情だと思いました。
あまり恋情な感じがしなかったので、萌えとは思わなかったんですよねぇ。
そこが惜しいかな?

中国4千年とか砂漠の国とか英国貴族とか
ファンタジーの匂いをふんだんに漂わせているけど
地に足のついたお話で終わる。
派手なんだか地味なんだかわからないシナリオ展開でした
先が読めないという点では、非常におもしろく最後までワクワクして読めました。

砂漠の国の特注、貞操帯!
見たかったなぁ~。活字の説明だけだったからか、妄想が膨らんで膨らんでwww

3

シリアスすぎて淡々とした印象

順風満帆に人生を送ってきた男が
その新婚旅行先で人身売買組織に拉致されアラブの王族に売られ
一転、すべてを失ってしまった。。。

という所から物語が始まるのですが。。。前半は重苦しいです。

生きている理由が見いだせない元弁護士の礼一郎と
礼一郎の高校時代の同級生で彼の主治医の晴隆。
意味は違えども、いろんな事を諦めてしまった二人は
どこか醒めていて、体温が感じられません。

そんな二人の関係が変化し始めたのが
3年もの間、男妾として三日と空けずに男に抱かれ
それ以外の時間は貞操帯をつけられた礼一郎が
ちょっとした刺激にさえ反応してしまう身体をもてあましているのを
晴隆が慰めた(肉体的に)のがキッカケだったと思うのですが
そこに芽生えた気持ちは、決して愛とか恋じゃなかった。

それが、ある出来事がキッカケで
礼一郎は晴隆の事を必要とし
晴隆も礼一郎のことを愛しく思うようになるんですが
その変化があまりに突然で急激で
ちょっと付いて行けず
あまりにもあっさりいろんな問題がクリアになったこともあって
なんか物足りなさの残る後半となってしまいました。

前半の重苦しさが嘘のようなハッピーエンドは
話に乗り切れていたら歓迎すべきラストだったのかな
と思ったりしました。
厳密にはハッピーじゃない部分も残ってましたが
それならいっそ、その部分も解決しちゃった方がすっきりしたかも。

個人的に残念だったのは
脇キャラが全く魅力的じゃなかったところ。
脇もある程度いい男だったりいい味出したりして
メイン二人に絡んで欲しかったかな~。

ラストの、弁護士として再出発したあたりのヒトコマと
小山田あみさんのイラストがいちいち素敵だったので
ギリギリで萌評価ですね~^^;

1

あと一歩なのに

な~んか、すごく残念な気がする。
なんだろうなぁ。

アラブものの多い中、砂漠に連れ去られたらそこで幸せに~~が大半の作品が多いのに、礼一郎は必死に逃げ帰ります。
彼の王子様は他に居たって事なんですけど(そのときは本人も知らなかったけど)

連れ去られて、その間のことがトラウマにって言うのはなかなかいい設定だと思ったんですよ。
最初に書いたとおり逆にあまりない設定だし、それが逃げてトラウマならそりゃすごいトラウマだし。
傷ついても立ち直れなくても当然。
そこから救うお医者様とのラブは萌えるはずだったんですが……

なんかちょっと違う。
半分くらいは過去のモノローグでもいいので、礼一郎の心の傷をもっと具体的に覗きたかった。
大変なことを経験したので傷つきました……ではなくて、あのときこれをされてそのときにこんな傷つき方をしましたと言うのかな、ひょっとしたらページ数足り無くなっちゃうんだろうか?
でもそこが大事な気がするんです。
だからなかなか立ち直れなくて、彼を救う人が必要なんです、みたいな。

足の方も心理的なものではないと言うことで、心の動きと足の回復は別問題。
そうなると心の回復のバロメーターがなんかインパクト不足。
自殺願望もなんだかあやふやで、夢の中に居るみたいな受けからは悲壮感が半減しちゃっていて残念。

加えて攻めなのだから晴隆にはもうちょっと礼一郎に対して必死になる姿が欲しかった。
もっと傷ついている受けとそれを見て苦しむ攻めの構図がちょっと甘かった気がするんです。
なんかすべてがさらっとしてしまっている感じ。
せっかくのいい題材?がずらーっと揃っているのに、生かし切れていない。
この設定なら間違いなく泣ける素材だったのに、乾いたままでした。
すごく残念。

2

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