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表題作もう翼はいらない

アルフレッド・レスター伯爵,帝国軍少将
ナインb,17歳,連邦軍のパイロット

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  • あとがき

あらすじ

「き、嫌い…あなたなんか、大嫌い――」
「私の妻になるんだ。これは……命令だ」
親友を殺した、敵国の将校に与えられる、淫らな愉悦。嫌悪しながらも、囚人ナインbは男の鮮烈な魅力の虜となるが…!?

作品情報

作品名
もう翼はいらない
著者
水無月さらら 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592851097
3.1

(20)

(1)

萌々

(6)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
3
得点
60
評価数
20
平均
3.1 / 5
神率
5%

レビュー投稿数3

仮面の下の視線

パイロットとして活躍していたナインbは、墜落と共に生死の境を彷徨っていた。
墜落と同時に手も足ももげ、文字通りぼろぼろになってしまった体を治して、
命を救ったのが仮面をつけたアルフレッドだった。

表紙買いでした。まず笠井あゆみ先生のファンであること、また
おそらく攻め様であろう方が仮面(実際は仮面ではないのですが)を付けていることに
気付き、目にもとまらぬ速さで買っていました。

初めて両性具有モノを読みました。
色々衝撃的ではありましたが、徐々に見えてくるアルフレッドの優しさや、
欠けていたナインb(のちにシルヴィアという名をもらう)の心にも感情がやどり
人間らしくなるところなど見どころもたくさんありました。

感情が欠落している×俺様 強引 
という構図が私のツボだと教えてくれた一冊でした。

1

空で戦う為だけの存在が愛を知る

BL的にはどうなんだろうと思う所ではあるのですが、未来と言うか架空の世界の
戦争を背景にした作品で、主人公で受けになるナインb(シルヴィア)は
両性具有の性モザイクで昆虫的に見れば完璧な雌雄嵌合体と言う特異な体質。
そんなナインbは連邦軍の優秀なパイロットとして人工的に作られた人間。

そしてお相手になるのが敵国である帝国軍少将にして科学者で更に王室に近い貴族の。
戦闘中に撃ち落された瀕死のナインbを友人に送られたことから始まるのですが
ナインbの遺伝子上の父親はアルフレッドの異父兄で叔父と甥の関係でもあります。
アルフレッドは知っていたようですが、ナインbは後半に教えられる程度で
叔父と甥の禁忌的な流れはほとんど皆無でしょう。

アルフレッドは科学者でもあるし医者でもあるようなかなり優秀な御仁なのですが、
瀕死で片腕や両足、内臓の破損を著しくしていたナインbを自ら治して傍に置く。
ナインbは、人間らしい喜怒哀楽が未発達のような子供で、自らを戦闘のために
作られた人間だと人間らしい感情も考えも無く、漠然と認識している感じで、
アルフレッドに戦闘機には二度と乗れないと言われ、女として扱われ、皮肉にも
その事がキッカケで少しずつ人間らしくなってくるみたいでした。

でも、完璧な性モザイクでそれも女性よりだから、胸が膨らんできた描写や
イラストの可憐さが、BLからは遠ざかっているように感じられます。
内容的には普通に面白いのですが、BL的にはちょっとと感じることもあります。
それでも、エロで女の子の部分での行為は無いので、まぁ、BLでしょうねと
言ったところでしょうね。

6

性モザイクの主人公です

ここにあるあらすじを見ると、花丸BLACKだしエロエロの監禁調教?と予想してしまいそうですが、かすっている程度で違います。
そして受け属性にもあるように「両性具有」、中性的といえばそうでもありますが、胸のふくらみ・一個だけの卵巣と子宮と女性性器を持ち、未発達な男性象徴と一個だけの睾丸、何より女性であることを求められてそちらの要素が身体にも現れ、そういった扱いをされてドレスを着用していますので、地雷の方要注意作品でもあります。
また主人公は事故により右手足を失い、左足も途中から失い、義手義足を着用しておりますので、冒頭にそんなシーンもありますので欠損が苦手な方にも注意です。

舞台は2561年、核戦争により大気汚染と地殻変動で荒廃した地球から宇宙へ移民したことで成立したニューイングランド帝国と、地球に残された人類が立てた地球連邦との、帝国が地球の覇権を取ろうと始まった戦いの最中。
帝国はまるで華美な軍服、連邦軍は質素で画一的な、という具合にスペースオペラ風の
思わず「銀英伝」?頭脳がロボット化して載っているとか宇宙空間での戦闘機シーンに「STAR WARS」?あとがきで作者さんが述べられていますが、そんな色々な諸々にベルばら風味(?)も加えられた素地になっておるようですw

優秀なパイロットを生み出す為に人工子宮で生み出された連邦のパイロット、ナインbが撃墜され海賊に拾われ、その身を帝国軍の科学者であり伯爵である少将・アルフレッドに引き渡されたことから始まります。
女性として帝国の民として暮らしてほしいというナインbの育ての親である齢300年の能だけ生きながらえロボットになっているレオの希望により、アルフレッドはナインbの身体を再生し、彼にシルヴィアンという名を付け、女性として扱い19世紀風の自宅で保護します。
両親から生まれ、普通に育ったわけでなく基地で育ったナインbは、情緒や感情に乏しかったものが、人らしい生活をし、アルフレッドはじめ彼の執事(レオと同じく能だけ生身で身体はロボット)のヘンリーと生活していくことで、人間らしい感情を持つようになっていく話です。
そこには、アルフレッドの血の因縁とこだわり、実はナインbの父親はアルフレッドの父親違いの兄で元優秀なパイロットであったという、叔父と甥の関係でもあることも含まれます。

ナインbの同じパイロット仲間が目の前で殺されてしまった時でさえ、悲しみという感情は薄く、むしろアルフレッドが女性扱いすることに憤慨しているくらいかなり感情がマヒしている、まるでアンドロイドのようであり、逆に人の能を搭載したロボットの方が人情があるのです。
身体の関係はその仲間と一緒に逃げようとしたことでアルフレッドが嫉妬してナインbを凌辱するきっかけになるのです。
ここではまだ未成熟な身体ということで後ろの穴をつかった性交を行うのですが、終わった後の惨状に、アルフレッドがひるむ場面も。。。
度々、アルフレッドが嫉妬を見せる場面はありますが強姦めいた行為はこの1回だけです。
性別についてもナインbは男であることを選択していますが、身体はどちらも選択できる状態。意外にも凌辱されてもダメージはそんなに大きな感じはせず、やはりこだわりは男の性別。
一応、ナインbを尊重して女の格好はさせますが、呼び名は男名の「シルヴィアン」で読んでいたと、後になってアルフレッドが言っています。

物語は、反勢力のクーデターめいた事件やそれに加担するアルフレッドの姿などがありますが、夢の様な設定らしくその辺りもあまり重さを感じない展開と結末へと流れて行きます。
アルフレッドの目の色素が薄く光に弱いということでマスク状の眼鏡をしているい設定です。隻眼じゃないのがちょっと新鮮だったかな?
キャラ萌えというのはなかったです。
設定も展開も全体に甘い感じがしますので読みやすいです。

4

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