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表題作はつ恋

久我山功
高校生にタイムスリップした弁護士・31歳
曽根暁芳
高校英語教師,24歳

その他の収録作品

  • はつ恋のゆくえ
  • あとがき

あらすじ

事故が原因で2度目の高校生活を送る久我山。大人びて冷めた瞳の久我山に、担任の曽根は親身になってくれる。うっとうしい教師だったはずの曽根を知るにつれ、その甘い声をもっと聞きたくなってしまう久我山。胸が痛むほどのこの想いに名前があるとすれば――恋。しかし曽根には恋人がいるうえ、自分はただの生徒にすぎないと知り……。それでも彼を守りたい。未来を変えるために、今、恋をする。
(出版社より)

作品情報

作品名
はつ恋
著者
榎田尤利 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784862636737
4.2

(147)

(82)

萌々

(34)

(23)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
27
得点
618
評価数
147
平均
4.2 / 5
神率
55.8%

レビュー投稿数27

性格悪い主人公は好きだった

タイムスリップというある種派手な題材ながら、ぼんやりした話だと思った。一番の目標:自殺防止が、間接的な影響でただの結果論的に成し得ただけで、行動の成果と言い切れないのがスッキリしない。見どころは心理描写なのかな。

久我山はまあ性格の悪い弁護士。でも自分の性質をよく理解したうえで性格悪いまま生きてるのでとても好き。作中評価と印象が一致してるのも良い。久我山はまだどうにでもなるし、周りを不快にさせない配慮ができる分、害がない。

曽根はDV彼氏に「本当に反省しているかも」とテンプレのようなセリフを吐いて何でも許す。荻野を甘やかす最適な相手で、ある意味ベストカップル。曽根の魅力が分からず、曽根に惚れる久我山を見てもBLテンションが上がらない。

タイムスリップ後は、一人称「私」の31歳弁護士が高校生やってる描写に笑った。女子高生に手を出そうとして失敗するのは、リターンを描くためにしても、BLに都合良すぎて面白い。曽根にはキスできる不思議。

高校生の久我山は、せっかく動ける身体があるのに、基本は見てるだけでイジメもスルーで展開に物足りなさがある。心理描写重視なんだろうが、それにしても何もせず考えてばかり。これで人一人の生死が変わったと言われても……。

後半は曽根視点で恋の成就が描かれる。久我山の中で15年のつじつま合わせがどうなっているのか分からず、セリフに違和感がある。ずっと昔から好きだったとか、15年思い続けたかのような重さを醸し出してくるのがなんとも。

初めて恋を知った久我山はこれで幸せなのかな。いまいち萌えないお話だった。

1

うーん

榎田尤利さんの作品ですが、珍しく私にはミートしませんでしたね。
タイムスリップもの、だけどちと違う(事故ってる時の夢?)感じで、作品としては面白かったのですが、どうも攻めの心情に寄り添えず。
いじめの津田さんもスパイスやエッセンスに思えず、二人の心情が上滑りしてしまってる感がありました。

ご両親が病室に来て、和解しちゃうところもなんだか???リターンの記録はどうなった???
元々、17歳の時にはなんとも思ってなかった教師に成長した自分が惹かれたポイントは何だったのか?(深く関わったから?)
津田のイジメ事件を臨場感を持って見たから、両親の不仲の中で葬儀に行った曽根の自殺理由を聞いたあとだったから、債務で力になれるとおもったからか?

大人になった自分が当時の人間関係に別の感情を持つ、その背景が今ひとつしっくり来なかったのかな。

1

定番のありがたさ

読んでみると若干古さを感じさせる作品です。
それは、ここ数年のBL小説が変容したせいかもしれません。
ですが、いい作品であることには変わりはない。

定番で先の読めるBLでしたが、安定の面白さがありました。
十年後、また読み返してみると感想が変わるのかもしれません。
えださんの作品はそんな魅力があります。

0

一人称が受け入れ難し

設定を見て、なんて面白そうなんだろう!と期待していました。二度目の高校生。逆行小説が大好きなのでわくわくして読み始めたのですが、攻めの一人称が「わたし」でキャラクターとして好みではなくちょっと残念でした。
大人と子供の差別化としてもこの一人称は作品として正解ですし大人の初恋は最高です。
高校生の頃ならきっと好きにならなかったし、大人になった自分だからこそ見えることがたくさんあり、惹かれて恋をした。
はじまりがお葬式なので、どうなることかと思いましたがハッピーエンドで本当に本当によかったです。

1

生きなおして人として成長していく主人公の軌跡を読む

時間をおいてしばらくするとまた読みたくなる作品の一つです。
榎田作品は再読したくなることが多く何度読んでも面白く、時間を経て受け取る感想が変わったり登場人物への思いも変化したり新たな発見があるものです。

以前読んだときは久我山の自己中でオレ様なところが嫌いで、こんな男が過去に戻るという不思議体験くらいで急にいい人になるのか?
なんて思いもしましたが、17歳のガキの強がりや知ったかぶって人生舐めきってるようなところを、31歳の心で自覚してみたら、それがどれほど子供じみた意気がりだったか、そして井の中の蛙だったことを知り大いに反省するわけです。

自分以外の誰にも興味を持たない孤高の男。
それが、他人に冷たく人がどうなろうと知ったことではないと思いつつも簡単に切り捨てきれない思いが芽生えてくるのです。
やがて困っている人を助け正義の味方をしたいわけではないけれども、放ってはおけないやさしさとなっていきます。
思春期まで親から愛情を注がれた記憶がなく、親の不仲で壊れた家庭しか知らずに育ったけれど、やり直したい時間の中で生き直せたことで他者を思いやる感情が育ったのだと思う。
家庭に恵まれない幼少期を哀れんだ神様からの贈り物のような気がします。

17歳で出会った時は全く興味がなかったのに、2度目の17歳での再会で生まれた恋心。
14年後に自殺することがわかっていて止めたいのにうまくいかない焦燥感が上手く描かれていて主人公と一緒に焦れ焦れしました。

2

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