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表題作きみにあげる。

飯沼諒一,28歳,借金取りに追われる青年
白河蓮,お茶屋の主人

同時収録作品きみにあげる。

透綺,腹違いの兄
蓮,元組長

その他の収録作品

  • あらすじ
  • カバー下「新居にて」

あらすじ

ある嵐の日、恋人の裏切りで借金を背負った諒一があてもなくさまよっていると、一軒の茶屋に辿り着いた。独特の雰囲気を持つその茶屋で、店主の若い男・蓮にお茶を差し出され、お茶の温かさと蓮の言葉に忘れかけていた感情が溢れ出す。タダ飯代わりに雑用を手伝いながらの居候生活を送ることになった諒一は、蓮に惹かれる一方で、蓮の抱える過去と境遇を知り、力になりたいと思うが……?
(出版社より)

作品情報

作品名
きみにあげる。
著者
槇えびし 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
ミリオンコミックス CRAFT Series
発売日
ISBN
9784813052340
3.6

(90)

(31)

萌々

(17)

(29)

中立

(8)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
30
得点
318
評価数
90
平均
3.6 / 5
神率
34.4%

レビュー投稿数30

じつは隠れた良作

初めて読んだ槇えびし先生の作品です。

借金取りに追われる飯沼 諒一とお茶屋やとりの主人 白河 蓮のお話。

恋人の借金の連帯保証人にされた諒一は、借金取りから逃げていました。
辿り着いた見知らぬ土地は台風の真最中。
この世には自分の居場所なんかないと途方に暮れていた諒一は一軒の茶屋に入ります。
茶屋は独特な空気を纏っており、茶屋の主人も不思議な雰囲気でした。
「あそこの座席を君にあげる。」

最初に感じた印象が良い意味でどんどん塗り替えられていく作品でした。
槙えびし先生は個性的なタッチなので好みはわかれるかも知れませんが、絵柄は綺麗で丁寧です。
また、予想できないストーリー展開で物語に惹き込まれました。

恋人の借金を背負っただけでなく、自分のセクシャルティにより諦めたり逃げたりする諒一。
茶屋の手伝いをする代わりに居候として住むことになります。
一方、現在は茶屋の主人ですが元ヤクザであるが故に近所からは忌み嫌われる生活を送っている蓮。
他人には言えない過去があり、その境遇から動けずにいます。
その2人が出会ったことで、人生の歯車が大きく動き出すのです。
ゆっくりと新しい人生に。

この作品はメインの諒一と蓮はもちろん、他の脇キャラもみんな魅力的でした。
それぞれの立場と性格を最大限に活かしており、物語をさらに盛り立てています。
そして、当て馬と言うべきか迷いますが、義兄の透綺も蓮と対をなしている重要な存在として登場しています。
この透綺の存在が蓮の枷となっていました。
今の自分は透綺の犠牲のもとに成り立っている。
だから、どんなに悪意を向けられてもここにいることが「贖罪」になるかも知れない。

Hシーンはほとんどありませんが、どれも美しく儚いエロさがあります。
それも槙えびし先生の画力なのでしょう。
諒一と蓮が初めて結ばれたシーンは、モノローグのみで言葉も擬音もありませんがとても素敵でした。

人生は辛かったら逃げてもいい。
でも、向き合える時が来たら胸を張れ。
全てを処分して歩き出した蓮には諒一がいる。
一生かけて返してもらう13,000,000円。
先のことなんてわからないけれど、この2人なら大丈夫だと思えます。
ニャンコも一緒で良かった。

個人的には、もっと評価されて欲しい良作です。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

1

告白シーンが素敵

槇えびし先生、一般漫画のイメージが、というか天地明察のイメージがとっても強い。
商業BLを読み出したはなに読んだ作品で、久々に読み返しました。絵が安定してます。BLではあまり見ない絵柄。

◾︎表題
諒一を「単なるアホ」(蓮の言葉を借りる)と思ってしまったのが私の敗因。どうも騙されやすいキャラに本気でヒヤヒヤとかガッカリとかしてしまうので、向いていないのです。このアホさ加減に癒される心のゆとりが欲しい。そう思うと蓮はしっかり懐が広い。
フィクション世界は反社と関わりを持つことの危険さを軽視しがちだ。

1話でお茶に一家言あるような雰囲気を出したにも関わらず、蓮がずっと店でタバコ吸ってるのも苦手でした。匂いがさ。

でも蓮から諒一へのこの告白シーンは非常に良い!!!財産も過去も未来も心もカラダも全部…なんて情熱的なセリフ!!それが蓮の口からでたという事実もエモーショナルの極み。

0

壊れ物のような空気感

 メイン2人の出会い方、距離感、正反対な性格なんかがとても素敵な作品だなぁと思いました。恋人に裏切られた挙句借金を肩代わりさせられ、人生に疲れ果てた諒一が1人彷徨い歩いていたところに、1枚のチラシが飛んでくる。書いてあった言葉は「君に座席をあげる おいしいお茶を淹れてあげる」。切羽詰まっていた彼に、唐突に与えられた居場所。この序盤で心を掴まれてしまいました。

 天然で人の悪意に疎くて何でも信じ込んでしまう諒一と、ヤクザの家に生まれ人を疑ったり人から避けられたりするのが当たり前な環境で生きてきた蓮。相容れない2人ですが、諒一の世間知らずさに時折苛つきながらもそれを激しく責めたりはせずに、なんだかんだ時間を共に過ごすことを許している蓮が可愛いんですよね。距離が急激に縮まるわけでもなく、優しく穏やかな時間がゆっくり流れていくような雰囲気でした。

 過去や2人の元恋人・情人も絡んではくるけれど、あくまで2人の関係に集中させてくれます。終盤にかけて起こる波乱ですら、全体の雰囲気を壊すことはできなかったように思います。ボケているようで人の本質を見抜くのに長けている諒一の性格も魅力的です。淡白なトーンではありますが、この繊細な雰囲気を是非実際に読んで味わってみて欲しいですね。槇先生の独特のタッチも細かいところまで見るといろいろ面白くてセンスを感じました。

0

不思議な受け

なかなか独特な絵柄ですね。最初に黒い!と思いました。

諒一が元恋人の借金の連帯保証人になり取立て屋から逃げて逃げてたどり着いたのが蓮のお茶屋さん。

美味しいお茶を頂くもお代を払えず居候兼従業員に。

色々蓮にも深い事情があるのですが、なんというか二人の(律も)展開がいつも唐突で。それが味なんでしょうが???ハテナで。

諒一の借金や元恋人のことは割りと早めにどうでもよくなっていったような。いや蓮の予想通りの連絡はありそれで見捨てるきっかけになったけど。

蓮は町の皆から避けられてそれでも逃げずにお茶屋さんを続けてます。それは罰を受け続けることで。

腹違いの兄に実家のヤクザの組を潰させ親を殺させた贖罪だそうで。
だから夜眠るのが怖いのかな?

いつのまに蓮は諒一を好きに?たまに反応してはいましたがそこまでするほど?と不思議でした。
ど天然だけど真っ直ぐな諒一を必要としてるのかな?諒一といると幸せな時があるって。
兄とは依存はしても幸せではなかったようで、兄は捕まります。

諒一が言ったように二人で町を出ます。店を売って諒一の借金を返して元恋人を殴るよう手配しててくれて。急展開でした。
しかも諒一の実家の近くに新居も決めていたようで。

うーん。くっついて良かったのだけど蓮が諒一にそこまで惚れた要素というか反応がわかりずらくてすっきりしません。

0

モノクロの印象が強い絵柄

寡作の漫画家さんのようで、2010年のこのコミックから現在までにちるちるに登録されている著者は3作品しかありません。うち1冊はNOTBLです。BLで2015年発行の「みずのいろ。」よりこちらの作品の方がストーリーが難解でなく理解しやすいです。「みずのいろ。」で戸惑った方にお勧めです。

過去に関係した男に(ある意味で)振り回される二人が、互いの足りない部分を補い、心を通わせていくという話です。蓮(攻め)の関係でシリアスで重くなりそうな場面に、諒一(受け)が明るくしてくれるので読みやすいです。蓮の義兄・透崎がもっと執着を見せるかと思ったのですが、そうでもなくてちょっと残念でした。

雑誌で5話を読み、気になってコミックを購入しました。その時も、モノクロの印象が強い絵柄だと感じたのですが、コミックで読んでもその印象は変わらず。よく見たらスクリーントーンを余り使用せず、首の陰影などは斜線で表現していました。そのためか、白黒をとても強く感じます。「みずのいろ。」と比較しますと、あちらはもう少しスクリーントーンが使われているので、少し柔らかく見やすい絵柄になっています。あと、表情がとても素敵です。律という長髪男も、オヤジ(元警部)も格好良かったです!

なお、余談ですが5話のラストの白抜きの文字は、雑誌では手書きでした。だからどうだということではないのですが、こういう違いが雑誌購入者にとっては楽しいなと思いました。

1

君の幸せが僕の幸せ

書店で見かけたとある一般小説の表紙イラストが気になって調べたらこの方だった、という。いつぞやから絵柄にこだわりがなくなって、なんでも来いやぁ!状態だったのですが、もう、単純に絵柄が好みだ、と感じた方でした。昔は綺麗な画しか受け付けなかった。…といって格別美麗?といったわけではないと思うんですけどね。古めなんだけど、この初コミックスも贔屓目が働いているのかわかりませんが、好感度高かった。

恋人(男)の借金の保証人になり踏み倒され、台風の中、取立屋から一人逃亡中の飯沼諒一が偶然入ったのが、なんだかワケあり気の白河蓮が営む中国茶の茶店。天然で(チョイあほ)人好きのする諒一が、過去に縛られている蓮と心を通わせ、蓮が解放されていくまでのお話。

本能的に欲情をそそられる対象として相手を見てるというよりは、その人自身から匂いたつ何かを敏感にキャッチして、なんとなく惹かれていく。その人が困っていたら助けてあげたい、力になってあげたいという気持ちが結果ラブに至ったという描かれ方が萌えました。(キャラクター的に諒一は最初からフィジカルに反応してたのかもしれないけども。)

その過程で諒一の目に映る、蓮の素の部分や魅力の見せ場がなかなか腐描写してましたし、逆に諒一のあほな言動に対する蓮と律(後述)のリアクションによって諒一の魅力が上手に語られています。とどめに蓮の異母兄弟、透綺の登場で腐要素炸裂。セリフ回しやモノローグがまた好みで、硬派な蓮が諒一のことを「君」と呼ぶのがかわゆい。

諒一は二十八歳で、蓮はおそらく彼より年下っぽいのですが、二人の会話にはまるで十代前半の少年同士のような真っ直ぐさがあって、その純な感じが男の子同士っぽいなぁと思ってしまった。なんかあれだ、松本大洋さんの個人的に大好きな某作品の世界観をチラリと想起させました。

地味に連の世話役、律にも萌えた。主人に仕える忠誠キャラは王道です。全体的にわちゃわちゃした感じもありますが控えめで嫌味がなく、ちっこくまとまってても好みの絵柄且つ萌え満載。しかしなにより作家さんの作風に清潔感を感じていて、とてもお気に入りの作品です。

9

真面目な天然くん

茶屋の店主の蓮と神出鬼没な律の関係を聞く主人公の諒一。
蓮から返ってきた言葉は「おとうさん」
諒一が真剣に「お若いですね、おいくつのときの……」って聞くもんだから、律は「少しは疑ったらどうだ、貴様」とビール缶を握りしめます。

律は強面でいつもサングラス。サングラス越しに律の目が見えるシーンがあり、これが手描きなんで素晴らしい!かっこいい!と思いました。

諒一の携帯にくるメールの宛名が恐い人その1 恐い人その3とかで笑いました。さすが、真面目くんです。

何もかも全部、「きみにあげる」という意味のタイトルでした。

カバー裏に新居に移ったあとの漫画があります。
手作りパンダの座布団を作ったのは蓮だと思っていた諒一。
蓮から律だと知らされ複雑な気分になります。
律さんも見た目は恐いけど良い人です。
その顔で糠床弄りますからね。

槇えびし先生はもうBLは描いていらっしゃらないんでしょうか?
ぜひ、他の作品も読みたいです。


1

自分を縛る贖罪。

諒一は恋人の裏切りで連帯保証人として借金を背負う。
取り立て屋から逃げまどい、誰にも助けてもらえない。
世界が、諒一を拒絶しているかのよう…
そんな時、たまたま入った茶屋の店主、蓮に「居場所をあげる」と言われ…

自分で手を下さず、操って組を壊させた…大事な兄に。
何処に行っても壁を作り、世間と拒絶する蓮を見て諒一は…


居心地の悪い場所に自分を縛ることで、
今までの行いを償っている、という贖罪。

うぅん、一筋縄ではいかない1冊でした。
夜は怖いので本を読んで過ごしている、
過去の自分を引きずって生きる…
この苦しさを解放してくれたのは…誰?

誰かが、そばにいることって大切なんですね。
全てをやり直すことも、ひとつの勇気です。

2

ただのアート系ではない、肉感のある作品

絵といい設定や雰囲気といい、吉野朔美さんをほうふつとさせるお話。吉野さんほどエキセントリックではなくて、もう少し優しい感じがしました。(ああ、年がばれる・・・)

背景はモノクロの写真のようによそよそしい中で、人物たちは生き物としての曲線を持っていて画面の中で浮き立って見えました。そういえば漫画って基本白と黒しか使っていなかったっけ?と当たり前なことをふと思い出させてくれるほど、「白」と「黒」の主張がはっきりしていて、鮮やかでした。

そんな端正な画面で淡々とはじまったと思ったら、いつの間にか主人公たちの存在が重力を持ってすぐそこに来ていました。

軽い気持ちで読んでみましたが、読み応えのある作品でした。

1

絵がとにかく美しい!

槙えびしさん、BL描かれていたんですね。知らなかったので、驚いて購入。

この方の絵のベタの使い方が本当に大好きで、この話も美しい画面でした。
話も個人的には苦手なヤクザ絡みではありますが、忌み嫌われている存在だったので、気にならずに読めました。絵に比べたら、話は浅いかなあ。でもヤクザ絡みでどっぷりな話は読みたくないので、私はこの程度で充分です。

恋人(男)に裏切られて保証人になった主人公×元ヤクザの謎の店主ですが、ずっと逆だと思って読んでました(笑)
百合カプっぽいし、露骨なエロもないので、どちらでも問題はないのですが。
ゲイである事で疎外されていた主人公とヤクザの家に生まれた事で忌み嫌われた店主、淋しい二人が出会って、纏まるまでのお話。
最後に絡んできた透綺さんは、もう少し前から絡んでいた方が良かったかも。少し唐突でした。そして、可哀想。

色々あっても、ハッピーエンドなので安心して読めたお話でした。
メイン二人もいいですが、律さんとにゃんこが可愛いです。

0

絵力のある、作家さん。

恋人の裏切りで借金背負った諒一と
お茶屋の主人で元ヤクザの蓮。
心に触れてお互いが向き合って
分かり合って選んで進んでくまで。
一冊まるまる同作で味のある雰囲気です。

表紙のイメージからして、
BL色が強くはないんだろうな、と思ってました。
実際そのイメージ通り、
そんなシーンも描かれるものの、
エロスの度合いは弱く、テンポも独特。
各キャラは萌え要素があると思ったけれど、
もう少しストーリーに
深みを期待していたので「中立」で。
空気感はあるのだけれど、
設定が活かされていないように感じ、
印象がさらりとし過ぎてたんだなぁ。

ただ、絵はとても美しい!
モノクロが特に印象的で、
黒の使い方が独特の空気を創ってると思う。
少し調べたのですが、作者様、
挿画や原作つきの一般モノも手掛けているのですね。
その挿画、すごく素敵だったんだよー。
ただ、BLにおいてはこの絵柄が
好き嫌いを分けるような印象は受けました。
そして、この絵柄が創る空気感が
お話を支えているという点も賛否を分ける気がする。
空気感だけで流すのではなく、
やっぱり語ってほしいところは語って欲しい。

というかとで、お話自体は「中立」です。
ただ、作者様ご自身のお仕事はとても興味深く、
追っていきたい気分にさせられました。

1

BLと一言で纏めるには勿体ない作品。

ヤクザだから、”フツウじゃない”と言われ続けてきた蓮と、ゲイだから、”フツウじゃない”と思い込み続けてきた諒一。
蓮は諒一と出会うことによって、初めて”他人”と触れ合い、変化していきます。
天然で能天気な諒一ですが、ちゃんと蓮に踏み込みすぎてはいけないことを分かっていたり、蓮がほしがっている言葉を与えたり、きちんと蓮のことを見ているんだなぁと思いました。

個人的に透綺がすごく可哀想だなー……
すっごくムカつくキャラだったら、蓮と諒一の邪魔すんな!ってなるんだけど、蓮のことが好きすぎて、方向性間違えちゃっただけだもんな……(-_-;)

7話という短い間で、蓮と諒一の距離がどんどん縮まっていくのが綺麗に表現されていました。
メイン2人の絡みは少ないのでBL的には萌え要素は少ないのですが、物語がすごく深い。そしてキャラ萌えが激しすぎた。蓮かっこよい(^O^)/
ということで萌×2評価にしました。

余談ですが、蓮が諒一のことを「お宅」って呼ぶのが大好きです!

2

味ある作品

丸ごと一冊がひとつのストーリー。

通常丸ごと一冊だと読み応えあったな~と
読後の満足感はたっぷりなハズなのですが・・・
なんだろう?あっさり読み終わっちゃいました。

絵も独特な感じで、キャラも独特で。
セリフなんかも在り来たりではなくイイ!
・・・なのに何かが足りない感じ。。。

えっち度は低いけど、そんなの全く問題なし。
逆に時々「そっ」と出てくるキスシーンがたまらない!
なので決してそれではなく、何かが足りない。。。

面白くないわけでもないです。
むしろ、リョウイチくんのひとつひとつの言葉に
笑ったり感心させられたり。

う~~~~ん。。。

深み・・・みたいなトコロが私の期待していたのとは
ちょっと違ったのかも??しれない・・・かな。
でも普通に面白かったです。

0

どストライク。こんな作品初めて。かも


ケータイで一度試し読みをして、そのときはエロ多めが読みたい気分だったからスルー。
でもこの本のタイトル、槇えびしさんの絵、特に蓮のデザインや設定がとても気に入っていたので記憶には残ってました。

そして1年後本屋でたまたま遭遇したので購入。
自分はツンデレがあまり好きじゃないからシリアスな場面が心配でしたが、素晴らしくどストライクな展開。

シリアスで切ない感じと萌の割合がちょうどよかったです。

でもひとつだけ。あまり気にならないことだけど。
最後、すんなりすぎたかもしれない。
でも蓮の言うことには弱いのだ。と思っておく、うん。

でも何度読んでもいい作品。

2

あげる、もらう。

表紙に惹かれて購入。すごく癒される、何度見てもお気に入りの表紙です!

味のある作品とは、こういうもののことを指すのだろうと思いました。なんとも言えぬ雰囲気、そして後読感。人間味溢れる物語。この独特な世界観は他ではなかなか味わえなさそうです。

言い回しというんですかね、
相手のことを「お宅」と呼んでいたり、「言う」を「云う」と表現していたり、ちょっと変わった古風な感じがいい。作中で登場するお茶やパンダの座布団もいい味出してる。

過去に色々なものを抱えた個性豊かなキャラ達も、また魅力的。みんな、優しくてあたたかいんです。蓮にも、諒一にも、律にも透綺にも、幸せになってほしい。そう思わずにはいられないラストでした。

良作ですが、読む人それぞれでだいぶ感じ方が異なってくると思います。私は好きでした。ありきたりなBLに飽きた、そんな人にピッタリの1冊かと。

3

いい味出てます

思わず表紙買いしましたww
タイトルもさることながら、絵が美しくて美しくて…
開いてみると、期待を裏切らない絵と内容でした!!

ヤクザ的な内容はほとんどありませんが、まぁ過去のことなので私は気になりませんでした。ただ、ボリュームが多めな割には過去のことについての内容は少ないかもしれません…

私的には、諒一が蓮に自分がゲイであることを告白するシーンは思わずウルっときました。
BL漫画だけど、「フツウ」の壁にぶつかったりと恋愛感情だけじゃない感情が描かれていてよかったなと思います

そして、蓮の淹れたお茶を私も飲みたい…!!

1

きっと賛否分かれるんだろうな

タイトルと冒頭の文章で、某グループの君にジュースを~♪が浮かんだのは私だけじゃない、はず!

どうでもいいことはさておき。
とても綺麗な絵です。トーンも要所要所でしか使われておらず(それが非常に効果的)ラインも美しい。美麗なイラストだけでも一見の価値はあります。
また長編作品なため、一冊丸々この世界観を味わうことができます。最後はかけ足気味かな?と感じましたが、序盤で如何に受けである蓮が孤独であるかが描かれていて、中盤辺りでは淋しくも感じられます。
説明にヤクザのワードが入っていますが、その要素はほぼございません。
またエロ要素もほぼございません。実にさらりと、お話の構成上必要最低限だけなので、純愛小説を読んでいるような気分になります。

孤独、一人、他の人とは違う、そういう物悲しさがテーマになっているのですが、それでも淋しい辛い悲しい!が先行しなかったのは、攻めである諒一のコミカルな仕草や言動でしょうか。
天然おボケさん。しかも何にもできない。ただ、社交性が抜群で、その美点が蓮の心を少しづつ変えてゆくのです。
真反対でどこか似ている二人が次第に寄り添う姿が、いじらしくとても可愛く映りました。

賛否両論かな、と感じたのはこのテーマでしょうか。
BLをさらりと読みたい方にはとことん不向きな気が致しました。色々設定殺しなところがある気もします。また表紙の雰囲気と中身のモノクロ感にギャップを感じてしまいました。
そして何より、少年顔の二人が案外年をとっていて、それこそ究極のギャップなのかな、諒一とっても童顔です。でも中身はしっかり大人でした。だからこそ、蓮の暗闇を垣間見て、どうにかしたい、どうにかしてあげたい、という思いが走っていったのでしょうね。

萌えるポイントを思いつけず、かといって嫌いでもなく、むしろこのイラストこの作風は好き、だからいつかまたカチッと自分にはまることがあるかな、と思いました。槇先生の今後に一層注目したいです。

2

功夫茶飲みたいー

帯より『新しい日常、新しい恋、新しい居場所、すべてがここにある』
裏表紙より『僕がふつうだと思っていた気持ちはふつうではなかったから。』
『俺はふつうじゃないからふつうに暮らしてはいけないと思ったから』

槇えびしさんは挿絵は見ていて好き絵師だったんですが、コミックが出ていたとはずっと気付きませんでした、ええい、このうっかり者めが!!
10年2月発行ですが、4月にはもう二刷が出てます。初版部数にもよりますが2ヶ月で重版なんで好調みたいですね~、お気に入り作家さんだけに嬉しいーー。

挿絵も素敵だったんですが、マンガも良い出来。
黒が効果的に使われているほぼ白黒の画面は槇さん独自だなーー。
特に店内風景とかは版画や切り絵的な美しさがあって上手いなーと感心しますですよ。
お人よしで恋人の借金負わされて、それでも率直で優しい気質でそれが表面に出ているような容貌の諒一が自分的にはモロ好み。
諒一が受かな、受だろうな、わーいわーいとかしてたら攻でした。でもヘタレ攻だったのでそれはそれで良しだ!!
蓮の義兄、透崎が登場してからの展開は正直ちとこの作品の空気感を最後で壊し気味になってしまったという感は否めません。
そこで空気感を保ったままだったら評価は神でした、惜しいッ。
これはまさに神一重ですな、とか何くだらないことを言ってるんだ、この口は!!!
「お茶を淹れてあげる」の蓮の一言はさり気ないけど実に良いです。

槇えびしさんは挿絵ももちろん、マンガ面でも次回作が楽しみな作家さんの1人になりました。こうしてどんどんお気に入り作家さんが増えてくのはお財布にはアレですが楽し嬉いですなー。
あ、あとパンダ座布団が可愛ゆくてうちにも1枚欲しいです、作ってくれんかのう。

0

絵の作り出す世界観が素敵

表紙買いだったのです。
表紙買いの場合よくあるのが、「イラストだけかよ上手いのっ!!!」というがっかり感ですが、この本は大当たりでした!

すごくアナログちっくで、墨ベタの持つ独特の雰囲気とお話の世界観が見事に合っていて、絵自体がちょっと変わったお店や店主のバックボーンになっていたと思います。

ただ、お話自体は……、もうちょっと先まで描くか手前でやめとくか、どっちかにして欲しかったかな?
「実はヤクザらしいよ」くらいだったらそれで良し。
ガッツリ描くなら全部スッキリさせて欲しかった。
なんかもわっと「この後どうなるの?」とか「もっと何かあったんじゃないの?」とか、色々気になる余韻が残ったというか……。
いや、これは私が読解力がなさすぎるだけで、きっと全部描かれているんですがっ><
だって、まさか、「底なしに人の良い馬鹿と綺麗で陰のある元ヤクザ」のお話が、こんな重い展開に発展するなんて思わなかったんだもの!
頭がついていかなかったっ><

けども、やっぱり絵とタイトルが秀逸で、それだけでひとつの作品として確立していたと思います。

0

あげる。……(っ><)っもらう!!

やられたぁ~
表紙買い&初見の著者さまだったので、全然期待していなかったのですが「神」でした。

こちらで評価を見て驚きました(゜□゜)
結構評価のある作品だったのですね!?
皆様、流石b……というか、自分の情報が弱いのか(〃 〃)

感想……だいたい皆様と同じです(・∀・)ノ

Σ(゚□゚ノ)ノなげすぎ。

えーーっと、登場人物たちのこととか、絵のことは結構書かれているので、
私は、違う視点で。

「猫」☆
忘れちゃいけない「猫」……もぉ死ぬほどカワイイ〃
P.46必見です!!!
諒一の天然の明るさとか、連の影のある雰囲気とかも大好きですけど。
「猫」には負けます!!もう信じられないくらいかわいいんです〃

今から読もうと思ってる皆さん!
諒一、連の恋の行方と一緒に「猫」の動向にもぜひ注目してくださいよ☆

1

表紙がもったいない

いやぁ、、、実にきれいな絵だ。
この絵、好き、すごくきれい。
なんでもっと早く読まなかったかな(実は積み本の中でひと月以上放置)
カバーの表の絵は、上手だけど暗くて表情わからないし、
裏の絵はなんか、ほのぼのメルヘン系?みたいな感じ。
帯の文読んでも、あれ?ファンタジー?
そんなこんなで、後回しにしていたんだけど、
絵も、ストーリーも、文句なく好きだわ、これ。
特に、お顔の造作がすごく好きだわ。

この作者さん、他にコミックスないのかな?
挿絵のお仕事がほとんどみたいだけど、もっとマンガ作品で読みたいなぁ。
同人誌でも引っかかってこないみたいだし、あとは、2006年より前のクラフトって、、

3

ヤクザ家業と、いうよりは・・・

 この作品は、私の想像なのですが、この作者の内なる葛藤を題材として描いているのでは、ないでしょうか。蓮(内なる自分)は、ヤクザ稼業(漫画だけで、生活できないプロ)をやめて、早く1人立ちしたいと、思っていますが、近所の人(読者)や元警部(編集者)は、なかなか、認めてくれません。世間は、蓮を責めたり(批判したり)、白い目で見たり(愛想を尽かしたり)します。諒一(もう一人の自分)は、そんな、蓮の為に、近所の人に挨拶したりしますが、八百屋(本屋)では品物を売って(買って)くれなかったりします。元警部には、世間も裏切る(連載ストップ)と、蓮の気持ちを代弁しますが・・・蓮は何も言わず、元警部のために、お茶を淹れて(漫画を描いて)います。この作品、連の家業・白河組の事は、ほとんど、描いていません。蓮の父が殺され、それに兄が関わっていて、蓮も関係していたのに、説明だけで、終わっています。本来、葛藤するなら、こちらの方ではないでしょうか。それなのに、ヤクザ家業によって、世間から、孤立している事を繰り返し描かれています。多分、白河組関係の事は、話の作成上出てきた事なので、サラッと通してしまったのでしょう。よく、新人作家に見かけるのですが、自分の世界に心酔していたり、自分の云いたい事に目がいってしまい、作品の精度に欠けている事があります。もっと、冷静に作品を見つめなおす必要があるでしょう。
 ところで、漫画家一本で頑張るなら、逃げては、ダメでしょう。やっぱり、ここで踏ん張らなくてはいけないと、思います。

3

かっちょ良すぎて逆にひく。

スミベタの美しさよっ!
と、心惹かれて読んだものの・・・

恋人♂の作った借金のために借金取りに終われ
たどり着いた先は、お茶屋さんで
そこで孤独な主人公は、居場所をもらうのです。
お茶屋さんの主人も孤独なのですが

どうもね!絵がスタイリッシュすぎて
孤独だとか悲しさが伝わらなかった・・・
普通にいい暮らししてかっちょよく生きてる。

作中でも28歳の主人公の思考が中学生みたいといわれていたけど
私にとっては、この作品自体が子供っぽい感じがしました。

どこか絵空事。
いっそのこと設定自体がファンタジーのほうがよかったかも。

4

ほっこり(^v^)

某立ち読みの出来る本屋さん(大好きです)で見つけて、ちょっと読んだだけで心鷲掴みされました。

開いてすぐにトーンをあまり使わない白黒の絵が苦手かなと思い、
律の登場ぐらいでコメディーかと興味が湧き、
諒一が発熱した頃からもう鷲掴みでした(^o^)

それぞれのキャラがとても素敵で孤独、そんなところに惹かれました。
諒一の印象は”ほっこり”
恋人に裏切られ、取り立て屋に追われ、安心していれる場所を蓮にもらいます。天然で信じやすくて惚れやすい(笑)、でも傷ついてきた分、蓮の孤独が分かります。
いい奴です。
蓮の印象は”狭い世界”
元やくざということでご近所付き合いもなく、訳あって外にも出れない。一見マイペースに見えて実は深い悲しみを抱えています。
「悪くないよ、こんな気持ちは………」蓮のこの一言に引き込まれたんだと思います。

悲劇を連想させる透綺も、諒一とのやり取りはどこかほっこりしますよ。

猫が可愛くないんですが、トーンを使わない作家さんに多いたまに絵が雑になるということもなく、シンプルで綺麗でした。
最後も皆さんが納得できるものだと思います。
槇えびしさん、今年くる予感。おススメです!!

4

まさかこんな展開だったとは…

読み終えて思うのは、最初からは想像できない壮大なお話になっていた、ということですね。
最初は不思議系お茶屋さんとお人よしヘタレ男とのゆるラブなのかと思いきや、
二人はそれぞれ重い過去を抱える身であり、孤独で誰にも理解されないという苦しみを味わっていて
そんな二人が少しずつ歩み寄り、お互いを支え合って生きていくお話だったと思います。

恋人に騙されて借金を肩代わりさせられ、借金取りから逃げる諒一は
引き寄せられるようにふらりと入ったお茶屋の主人・蓮の家に居候させてもらうことに。
自分に居場所を与えてくれた蓮に思いを寄せ始めるものの、
蓮には何やら秘密があるようで…
一方ある過去を抱える蓮も、恋人に裏切られてもまっすぐな諒一に振り回されつつも惹かれていきます。
つらい過去を抱えながらも、過去に踏みとどまろうとする蓮と
どんどん前に進もうとする諒一。
蓮を守ってあげたい諒一と、諒一を傷つけまいとする蓮。
まったく正反対の二人だからこそ、お互いが救いなのかもしれません。
また、蓮の心の闇の張本人である透綺。
彼も蓮のことを愛しているのですが、いかんせん彼の愛情は歪んでいる。
透綺と蓮が一緒にいても、二人で奈落に落ちていくようなもんですもんね。
何より嬉しかったのは、諒一が最後の最後で成長していたことでしょうか。
成長というか、彼は何も変わらなかったのかもしれませんが、蓮が揺らぐ時、弱さを見せるとき、
諒一は変わらぬ強さで蓮を受け止めてくれます。
蓮自体が弱みをなかなか見せない男だったので、諒一はもともとこういう男だったのかもしれませんが
あのダメダメ諒一が妙に男らしくて惚れぼれしました。
辛い時に一緒に辛いという男じゃなく、それを受け止めてくれる男がやはりイイんですよね
それが諒一と透綺の違いかと。

2話目以降から、蓮の素性が明らかとなり、謎に満ちた彼の欠片がほろほろと見え出し、
その欠片が集まった瞬間、物語は動き出します。
まさかここまでの話とは思わなかった。
ここまで考えて、最初から練り込んでたんだとしたら、本当にすごい。
タイトルにもある「きみにあげる。」という言葉ですが、これが最後の最後で大変重要な言葉になりましたね。
これ以外のタイトルはナイ!というくらい、ビシっとハマったように思います。
ほっこりじんわり、心にしみるお話だったと思います。
全体的に、黒と白のコントランスの美しさも印象的な作品でした。

3

ハッピーエンド版 泣いた赤鬼

「僕がふつうだと
思っていた気持ちは
ふつうではなかったから。
俺はふつうじゃないから
ふつうに暮らしては
いけないと思ったから。」(裏表紙より)
居場所を求めるゲイの振られ男と、居場所はあるけれど外に出られないお茶屋さん(元ヤクザの息子)のお話です。

読めば読むほど「泣いた赤鬼」を思い出して仕方がありませんでした。
ただし、片方だけが認められる結末ではありませんからご安心ください。

不幸体質だけれど、結構プラス思考の諒一と、すべてまる抱えして辛いことすら溜め込むタイプの蓮の守り守られる、いや、お互いが支え合える関係が少しずつ築かれていくお話です。

絵柄も含めなんだか不思議な雰囲気を持つお茶屋さんが舞台なので、非現実的な異次元で起きている出来事のような錯覚を覚えるのですが、あくまでも普通の世界のお話なのが却って不思議な感じでした。
かと言って読みづらいわけでもなく、お話の内容はよくわかるのです。

あ、カバー裏もお忘れなく。

話は変わりますが、この作品が連載される前に描かれていたという作品が気になります。何故に途中でSTOPがかかっちゃったんでしょうか?読んでみたいものです。

3

お茶を啜りながらほっこりと・・・・。by諒一(笑)

まず、何と言ってもこの表紙の醸し出す色気に惹かれました♪

表紙とあらすじからシリアスでちょっと暗い(重い)感じ?とか
勝手に想像していましたが
何と言いましょう・・・確かに内容的には道理に外れた人間への冷たさ、
理不尽な部分、何が普通で何が普通じゃないのかということが話しの
根本にあるんですが・・・・・
とてもじゃないけれど、
28歳に見えない諒一のド天然キャラに
考えない唐突発言に助け?られていてこういう諒一のキャラだからこそ
蓮も徐々に絆されてちゃったんじゃないかと思います。

そして
ところどころ思わずプッ
と笑っちゃう面白さ加減と
表情の変化が絶妙でえびしさんの世界観にとても魅力を感じました。

表紙の諒一(向かって右)が座っているパンダ座布団は重要なアイテム♪
そして、
カバー裏にパンダ座布団のエピが・・・
本編読破後は、忘れずに要チェックd(ゝω・´)


もうひとつ最後に本編読破後、裏表紙の

僕がふつうだと
思っていた気持ちは
ふつうではなかったから。

俺はふつうじゃないから
ふつうに暮らしては
いけないと思ったから。

この言葉がね・・・・・
二人のそれぞれ生きてきた人生観を示すんだと
改めて思ったらウルッときた(´ДÅ)

二人が出会った事により
輝く未来へと進んでいって欲しいと
願わずにはいられない未来は∞

4

表紙にひとめぼれ

本屋で平積みされていた表紙にぱっと目がいき、ときめきました。
とにかく絵が艶っぽくて、素敵。
蓮が営む茶屋の雰囲気がとても良いです。
画面から蓮の淹れる中国茶の香りがほわわゎあああああんと、
漂ってきそうなのです!!
ただ絵を眺めているだけでも、うっとりします。

主人公の諒一は超お人好しで、救いようのない天然。
時々イラッとするほど「幸せな奴」です(笑)
この諒一のキャラクターが笑えるし、癒されるんですよね。
孤独で心に傷を負った蓮も、そんな諒一に救われて行きます。

実は読み始めた時は蓮×諒一だとばかり思っていたのですが。
逆だったので吃驚しつつ、更にツボりました……!

タイトルにもなった『君にあげる。』という言葉が、
終盤に使われます。うわ!ここでこの台詞か!!
胸がキュンキュンだ!!もうもうもうもうっ!
すっごい殺し文句でうきゃーーーっと、萌え悶えてしまいました。
あと個人的には律と透崎の今後が気になります。

そして気合いの入ったカバー裏。
私も気に入っていたパンダ座布団の制作秘話……
まさかあの人の手によるものだったとは!爆笑です。

槇えびしさんの作品を読むのは初めてだったのですが。
とても面白かったので。今後もチェックして行こう!と思いました。

5

お互いの居場所を見つけるお話です

槇えびしさんの絵が大好きで、待ちに待った単行本になりました。
この黒ベタに入った細い白い線、中間がないコントラスト、雰囲気が大好きなんです。
表紙はセピア調に仕上げて、題名はかわいらしく、それに合わせて内容もとても温かい。
一見シリアスなのか?と思わせる雰囲気を持っていますが、中身は天然青年・諒一のカラーで、ほっこり。

恋人の借金を背負わされ、逃げている諒一が飛び込んだ先はある町のお茶屋さん。
「きみに座席をあげる。おいしいお茶を淹れてあげる」のチラシに、自分の居場所をもらう。
お茶屋の主人・蓮はワケアリそうな青年。
いつもコワモテの律が側にいます。
町の人々が蓮を避ける、蓮も外へ出ずに家にこもっている理由。
諒一の天然の明るさが、蓮を確かに変えていく、その姿が健気で一途で、盛りたてています。
ゲイであることから、普通じゃないと言われて居場所がない諒一。
家がヤクザだったから、普通でないと言われて居場所がない蓮。
諒一は、その逆境も懐を広げて受け入れて打開しようとするけれど、蓮はそれらをまるで贖罪のように自分の内にみなためてしまって。
だから諒一と蓮は相容れない二つの性格のようでいて、諒一が蓮の突破口になりうるのですよね。

蓮に、この贖罪を背負わせてしまっている過去と義理の兄の透騎。
彼の登場で、どんな修羅場が展開されて・・・とハラハラしましたが、それは作品のトーンに合わせて、諒一のおかげで、和解になった結果が嬉しかった。
メインとなる登場人物が絞られて、場面も茶屋からほとんど動かないので、物語が複雑を呈さない。
そこに読みやすさがあるのだと思いました。
諒一に蓮が幸せを感じるように、読者の自分も幸せを感じさせてもらって満足。
ふっきれた蓮の明るさがまぶしい!
表紙カバーをめくった裏のおまけマンガも忘れずに見てね♪
お茶目さんな律!?

3

一コマ一コマが魅力的

 
 槇えびし先生の描かれる小説の表紙やイラストは以前から目に留めていたので、新刊コーナーでこの作品を見付けた時もほぼ表紙買いに近いものがありました(あらすじに惹かれたのもありますが)。

 そして購入から一時間経ち、今このレビューを書いています。久々に「レビューしたい……!」という衝動が抑えられなくなる作品に出会えて、脳内が興奮状態です(笑)

 このお話は最初から最後まで、主人公・諒一(28)の視点で進んでいきます。この諒一という青年、純粋天然ワンコと見事な三拍子。が、一応攻めです。ちなみに私は途中まで受けだと信じて疑いませんでした。だって28歳に見えないし……!

 恋人に裏切られ多額な借金を背負わされた揚句、誰にも助けて貰えずに借金取りに追われる事となった諒一は、嵐の中一軒の茶屋を見付けます。
 そこで出会ったのは店主の蓮と、見るからに危険そうなサングラスの男・律。そして諒一はそのまま住み込みで働く事となるのですが、何を隠そう諒一はゲイ。華奢でタレ目で(笑)どこか影のある蓮に、それはもう必然の如く惹かれていくのです。

 …………で。
 とにかく蓮が可愛い。諒一が悶えるのも無理はありません。だって色気が、色気がやばい……!
 タレ目って何で萌えるんでしょうねー……黒髪癖っ毛って何で萌えるんでしょうね! 私としてはこの二人はリバに近いと思うので、是非ひっくり返ってほしいです。あと脇役のキャラクター達がまた物凄く良い味を出しているので、番外編も読んでみたいです……山下警部の現役時代とか(笑)

 槇えびし先生はとても表情を描くのが上手い方で、ふとした瞬間の表情があまりにも切なくて美しくて、何度涙腺が緩んだ事か……かといって切ないだけでなく、ほっとするようなほのぼのシーンから思わず笑ってしまうようなギャグシーンまで、全てが魅力的で読者を飽きさせない実力を持つ作家さんであると感じました。

 子供の頃から自分が普通ではないと理解し、故にそれぞれの孤独を抱えてきた諒一と蓮。冷え切った心を蓮に救われた諒一が、暗闇に取り残された蓮の心を救った時、二人の恋は漸く動き出す。これはそこに至るまでの過程の物語であり、未来へ繋がる物語だと思います。
 

5

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