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拒絶しながらも、富樫にひかれていく進藤。
さめさんの入院、かつて10代の頃の知り合い奥田の登場など
物語が動いて行く中、大きな事件が起こる。
進藤が信頼する富樫の相棒・槙原のまだ若い部下が射殺され、
一人報復に向かう槙原、それを止めることを躊躇する富樫……。
この時の進藤のセリフが痺れる。
富樫も槙原もその世界で一目も二目もおかれるすごい男達だが、
そんな彼らより一回りもそれ以上も年下の
若干20歳そこそこの進藤の潔さと強さに、彼らはかなわない。
シンプルでストイックで、強く聡明で優しい。
そんな進藤の10年後20年後を見てみたい!
どれほど汚い世界に身をおこうが、どれほど富樫が甘やかそうが、
彼のそんな美しさは、ダイヤモンドのように傷つかないんだろうなぁ。
そして、皆が生き方を変えていく。
見ないようにして逃げて来たことに向かい合い、
自らを苦しめてきた枷を外して、新しく生き直していく……
物語としては回収しきれていない細部やつめの甘い部分もあり、
正直1巻の興奮は徐々にトーンダウンだった気がするが、
この巻では進藤の魅力に改めてノックダウンされ、
富樫と槙原の大人二人の絆にウルッとし、
世界が開けるような心地で気持ちよく読み終わる事ができた。
デザートのように添えられた、
クスッと笑える、富樫の部下・染谷視点のSSもいい。
3巻一冊のみの評価だと「萌×2」くらいかと思うけれど、
シリーズ通しての評価で『神』を!
※追記 ようやく名無しの富樫さんの名前が判明しました。
啓明さん。
なんだか穏やかで優しげな名前ですね?(笑)
真音は長い小説です、一巻から三巻まで二段組で書かれていますので相当なボリュームがあります。これほどの長さで描かれているカップルは冨樫と進藤の一組だけです。
真音の中では彼ら以外にセックスしていません。良き相談役の槇原は決して性的な目で進藤を見てはいません。
三巻の長きに至り、二人の関係をブレることなく書き切った作品なのですね。
真音とはつまり、不遇な育ちで孤独な青年、進藤心音が自らの手で自分の居場所とかけがえのない愛を手に入れる物語です。
テーブルマナーどころか箸使いさえなっていなかった進藤ですが、偏屈なさめさんと知り合い、商売が成り立つ料理を作れるまでになります。
友人の身代わりになって少年院に入りましたが、それは間違っていたと悟る心の成長。
冨樫の心を意図せずにがっちり捕まえた魅力はもう、魔性です。
サスペンスものでは絶対になく、ヤクザものというには少々甘い、進藤心音が主人公の人間ドラマ的ボーイズラブ。ちるちるで皆様が良い!と言ってるのを見て読んだ作品は宝物になりました。
拒みきれず、それどころか富樫を許容し踏み込ませてしまう進藤。
行かないで欲しい。
かつて誰にも思ったことのないそんな気持ちを富樫に覚え、戸惑う進藤にすべてを分かっている富樫はとことん甘い。
きな臭い諏訪組内部、組長が襲撃され槙原の運転手を勤めていた青木が槙原を庇い銃に撃たれ死んでしまう。
仇を取る、と気色ばんで飛び出す槙原。
槙原を捜させながらも本気で止めようとはしない富樫。
そんな富樫に止めてくれると詰め寄る進藤。
富樫が諦めてしまったら。槙原を止められる人間はいなくなってしまう。
「俺のものになればお前の望みを何でも叶えてやるって言ったじゃないですか!」
揚げ足を取るようなことを言う進藤。けれどその真剣さに、富樫は覚悟を決めなきゃならない時が来ていると感じる。
諏訪組を抜け、自分の組を作ること。
そして、執拗に迫りながらもどこか距離を置いていた進藤に対しても。
進藤の言葉は、富樫にとって甘いものではなく脅迫だった。
俺は捨てられる、そう言った富樫に、力強く頷いてしまったよ。
富樫の覚悟が決まったら、次は進藤の番。
誰にも一生言うつもりはない。そう誓っていたのに、富樫から告げられた言葉で意識を変えられる。
真犯人であった、かつての同級生、奥田。
本当のことを話して、過去と向き合おう。
そう決めて前に進んでいきます。
この巻は進藤の気持ちが大きく変わり、富樫に『会いたい』と言うようにまでなりました。
だけどそこは進藤、自分の我が儘を通すつもりはなかったのに…富樫は飛んで帰ってきちゃいました。
そりゃあねぇ。会いたいなんて言われたら会食だろうがゴルフコンペだろうがどーでもいいわな。
「こういう時はな、風呂入って、裸でベッドで待ってるもんだ」
理由もなく会いたいと思う心を許してくれる、そんな富樫の言葉に進藤は素直に次はそうします、と答えます。
富樫の方が余裕があり、進藤の方が振り回されているようにも見えますが、実は翻弄されてるのは富樫じゃないかなぁ。
今まで散々遊んできてそして見つけたハマる男、進藤を見つけた富樫。
誰の温もりも知らず、初めてを富樫に捧げ、富樫の優しさにハマった進藤。
一体どっちがより執着するんだろう…。
今の状態だと富樫?手のひらでコロコロされちゃうのかしらw
ま、それも悪くないよね、啓明さん♪
シリーズ3冊、最高面白かった(*´◒`*)!!
ここ数日、夢中になって読みました。それこそ寝る間を惜しんで。
BL小説って、シリーズものでもナンバリングされていない物が多く、普段はそれぞれのタイトルを楽しんだりもするのですが、こちらは真音①②③とシンプルなタイトル。…ありがたい。
二段構成で読みごたえタップリ。…嬉しい。
シリーズ3冊通した感想(富樫×進藤)
おや?なんだか普通の受けさまじゃないぞ、とのっけからグッと掴まれました。
不幸受けというのは総じて、健気だったり、可愛かったり、庇護欲をそそられるキャラが多いと思うのですが、今作の進藤は、幸せとは言えない生い立ちながら、しっかり者の超クールキャラ。甘える事を知らないまま、大人にならざるを得なかった子。
作品が違えば攻めとして萌えられる要素を多分に持っている進藤ですが、そんな進藤が受けだったからこそ、ここまでの萌えがあったのだと思います。
攻めの富樫は、まさに傍若無人そのもの。
我が儘で気まぐれなんだけど、決めるところではしっかり決めてくれる安心感。たまりません( ´ ▽ ` )♡萌えたー。
この作品の特筆すべきところの1つに、多くを語らないという事が挙げられると思います。
主要キャラは受け攻めの2人と、富樫の部下の「槙原」、進藤が働く居酒屋の女主人である「さめ」の4人。(さめさんはおばあさんなので女性キャラが苦手な人でも大丈夫だと思いますよー(^o^))
4人が4人共、暗い過去や事情を持って生きているのですが、それぞれ深くは聞かないし、語らない。
無駄口を叩かないと言ったらなんだか偉そうになりますが、そんな感じ。それぞれの会話はとてもシンプルで、ここも心を掴まれた1つ。
お話自体には特に派手なところは無く、心情に重きを置いた丁寧な作品。
自他共に認めるモテ男の富樫が進藤にハマっていくさまは、なんとも痛快。
初心で人に甘える事を知らない進藤が富樫に見せた甘えは、ほんのささやかなものでしたが、最高に萌えたし、可愛かった。
派手なところの無い話と先述しましたが、それでもストーリーは面白く、本当夢中になって読んだんですよね。
谷崎先生、ベテラン作家様ですが、初読みでした。読ませる文章を書かれる素敵な作家さん。本当良い出会いでした。
最後になりましたが、こんな素敵な作品をご紹介くださった姐さまに感謝を込めて。
3冊全部読んで神評価とさせていただきました。
最初は同人誌で「ファーストエッグ」とコラボしたお話が載ってるようだから、ちょっと読んでみようかなって、軽い気持ちで電子書籍を購入しました。
電子書籍で読んでいるうちに、なんだか自分でもわからない程のハマりようで。
寝ても醒めても真音状態。
これはもう紙書籍買うしかないと購入。
紙書籍で改めて再読。
好きだー、「真音」!
進藤と一緒になって、一見傍若無人でいて、ぐっと優しさを見せてくる富樫に惹かれていってました。
たぶん、富樫がこういう富樫でなかったら、ここまでハマってなかったかもしれません。
傍若無人で俺様なのに、進藤にベタ惚れで、自分の思い通りにならないからって、ムキになって、子供のようなところを見せたり。
進藤にだけ、ちらりと弱ってるところ見せたり。
実は進藤に振り回されてる感じがたまらなくニヤけてしまいました。
ですが、なんだかんだと包み込んでくれるあれは格好良いですよね。
進藤もフラフラしてしまったに違いないです、たぶん。
3冊全部読んでいちばん好きなところは進藤が富樫に会いたいと電話するところです。
何度も読み返してしまいました。
ようやくふたりの心が通じ合ったような…
出てくる登場人物みんなそれぞれに人には言えない何かを持っているんだけれども、重い過去にもかかわらず、今を生きている、生きようとしているのが印象的でした。
読み応えのある本でした。
同人誌の番外編など集められそうなのはポチポチしてます。
イベントでペーパーなども配布されてたようで…
ハマるの遅いとこれだから…( ;∀;)
kumachi7さま、こんばんは。
本当に真音がいいですよね!
独特の個性や美しく立った男たちにしびれます。
谷崎作品で一番好き。
ハマるのが遅いと……ほんとうに残念ですよねぇ……とほほ。
kumachi7
Snowblackさま
コメントありがとうございました!
ホントに真音めちゃくちゃ良かったです!
富樫がいなければ、ここまでハマってなかったかも…
ハマるの遅いとトホホ感が切なくなりますよね。
入手出来る同人誌もまだあるので、我慢です!