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表題作やさしい傷跡

中古車ディーラー勤務 宇多田志朗・19歳
童話作家 槙原宙彦・27歳

その他の収録作品

  • やさしいユビサキ
  • あとがき

あらすじ

血で倒れかけた宙彦は志朗に助けられる。互いに、重い過去を背負った二人は、次第に惹かれ始め…。初期作品、待望の文庫化。

作品情報

作品名
やさしい傷跡
著者
崎谷はるひ 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344819856
2.7

(18)

(0)

萌々

(2)

(10)

中立

(6)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
44
評価数
18
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数8

宙彦が好きになれなかった

おそらく最初に読んだ崎谷はるひ作品はこれだと思います。その後に読んだ作品と比べると独特のクドさみたいなものがなく、最後までしっとりしたお話でした。改めて読むと二人とも妙に達観したところがあり、年齢以上に大人っぽいドラマ作品になっています。

恋愛よりもお互いの傷跡を癒し合う交流に重点が置かれています。「陰」と「陽」ほどにタイプの違う二人が時間をかけて絆を育んでいくお話で、しとしと降ってじんわり沁みこむようにお互いの距離が縮まっていく様子が描かれていました。ガサツに見えて実は他人の寂しさに敏感な志朗は将来イイ男になりそうだなと思いました笑

純文学風…というと語弊があるのですが、内省的な描写が多く、このしっとり感にハマれるかどうかで評価が別れそうです。私は単純に宙彦という男性が好きになれず…まあ、崎谷はるひ作品に出てくる社会不適合ちっくなキャラクターは好きになれた試しがないのでもういいのですが、なんというか、志朗の我慢強さに脱帽するわい…と思ってしまったので「中立」評価です。

0

しっとりやさしい恋模様!

崎谷先生の初期の頃の作品!
最近の作品と比べたら雰囲気は違うんですけど、初期作品らしいお話です。
いつもの重みあるストーリー展開ではないものの、しっとりとした独特さと、透明感あるお話に心地良い気分で読みました。

文中に「雨宿りのようなそれは、静かな恋の始まりだった」という言葉が登場するんですけど、言葉からも恋の始まりを表すピッタリの作品でした。
石原先生の絵柄も素敵で、お話の硬質な雰囲気をさらに高めていて良かったです。

あとがきにありましたけど、『きみとてをつないで』と同じテーマで書かれているこの作品。
言われてみると、印象は違うものの、なるほどと思いました。
さすがですね!

中古車ディーラー•志郎 × 童話作家•宙彦の年の差&年下攻もの。

お互いに辛い過去をもっている2人。

人との関わりをたって孤独を望み生きてきた、少し人離れした感のある宙彦。
そして、普段の快活さとは想像もつかない、暗い過去を持つ、少し大人びた19歳の志郎。
出会いは偶然でしたけど、2人が出逢い、触れ合って行く中で、それぞれが抱えていた心の傷が、少しずつ少しずつやさしい傷跡変わっていくところを、とても静かに、心地良い余韻を残しながら、じんわり描かれていく、人間味あふれる作品でした。

19歳ながらも何でもこなすしっかり者の志郎は、年下攻タイプとして、久しぶりのツボキャラです。
志朗の楽しい関西弁も楽しかったです。
料理に日常大工と、なんでもこなせる出来る志郎。
関西人らしく、心の中にズケズケ入ってきているようで、宙彦が踏み込まれたくない部分をきちんと理解して、一歩引いているところや、
逆に、宙彦が気にしていることを見抜いて、フォローしていたり、親戚連中にも何気に諭す言葉を投げかけていたり…
スーパー19歳でした。

宙彦も人との関わりを避けて生きてきた分、とても不思議さんな雰囲気と、頼りない感じは受けていたものの、大人で強い部分もしっかり持っていたところが好印象でした。

何か大きな事件が起こるわけでなく、最後、志郎が過去の確執と同じ境遇にあいかけるアクシデントくらいでしょうか!
このおかげで、しっかりラブラブな恋人になるわけですけど(笑)
本当に全体的に、2人が恋人になるまでの葛藤や想いだけで進んでいく物語でした。
いつもの崎谷作品とは雰囲気が違うものの、Hシーンのセリフなんか読むと、やっぱり先生だなあ…と共通点に何故かホッとしました(笑)

最近の作風とは、少しタッチが違うので、あっさりしている分物足らなさを感じてしまうと、評価は分かれてしまうかなあ…とは思います。

でも、私的には、このしっとりとした、やさしい雰囲気も結構楽しませて頂きました。

人の痛みや優しさが伝わってくる恋模様。
じんわりなお話が読みたい方にはオススメです。

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わかんないとこが……

体調を崩した宙彦の行動を志朗は嫌がっていたけど,正直いってどうして他人への態度と
個人的な身体の管理が結びつくのか分からなかった
これって,コインの裏表みたいに結び付けられるものなのか……?
単に,自分が関わった相手からネガティヴな反応をされるのが許せないだけなんじゃ,と勘繰りたくなる

そして宙彦は警戒心が無さ過ぎるな,みっともない姿を見られるのが恥ずかしいという気持ちは分からなくは無いけど

志朗みたいなタイプは宙彦とみたいなタイプとの愛称も悪くないのかな,そのまま宙彦の家に通うようになってるから
宙彦も志朗のおせっかいが嫌じゃないみたいで,なんだかんだいって彼の行動を黙認している
でも,自分が志朗に何を望んでいるのかを自覚することは難しいみたい
じゃあ志朗は自分の行動の理由が分かっているかというとそうでもなくて,自分の行動に疑問を持っんたりしてる
きっと,志朗の行動力が無かったら,この二人が一緒になることなんて無かっただろうな

それにしても,219ページのイラストが大変おかしなことになってるんだが……ま,どこがおかしいのか気になる人は志朗が来る前に焚き火がどうなったのか注意しながら読むといいかも

0

しんみりするけどハッピーエンド!

 久しぶりに乗った車がエンストしてしまい、立ち往生し、途方にくれていた童話作家・槇原宙彦。
 そんな彼が悪戦苦闘しているところを助けてくれたのは、中古車のディーラーだという宇多田志朗。
 エンストの上に、貧血を起こして倒れかけた宙彦を助けてくれた挙句、自宅へと送り届けてくれた上に、食事を作ってくれ、介抱してくれた志朗。
 それ以来、何かと宙彦の面倒を見てくれる。
 植木の手入れや、電球の取り替え、棚の修理……
 持ち前の器用さで、次々と仕事をこなしてくれる志朗に対して、宙彦は申し訳なく思いつつも、嬉しく思っていた。
 過去の事故により、人との関わりを避けてきた宙彦だったが、年下の志朗に徐々に惹かれ始め……

 というような話でした。
 志朗は、宙彦よりも年下の19歳だけれど、長男体質で、困っている人を放っておけないタイプ。
 なので、ついつい宙彦の世話も焼いてしまう。
 けれど、志朗にもそれなりに若くて危うい部分と、志朗の過去から変に老衰しているように見える部分と、両方がきちんと描かれていて好感度がめちゃくちゃ高かったです。

 余り年下に見えないしっかりものだけれど、どこか憎めない攻めと。
 ずっと人と距離を保っていたため、うまく人と関われない美貌の受け。
 というカップルでした。

 しっとり系王道BLなので、ちょっとしんみりしたいでも最後はハッピーエンドがいい! という人にはオススメです。

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さみしい人同士が幸せになるお話

車のエンストで途方に暮れていた童話作家の宙彦は貧血を起して倒れそうになった所を中古車ディーラーで働く年下の青年、志朗に助けられる。
それがきっかけで宙彦の元を訪れ世話を焼くようになる志朗。
ずっと人との関わりから遠ざかってきた宙彦はまっすぐな年下の青年に惹かれ始めるが……

初期の崎谷さん。
今よりもややモノローグっぽい感じが強いかもしれません。

中古車ディーラーの若造×絵本作家。
お互い少しずつ惹かれあっていく過程と、二人が一緒にいるときの空気感が素敵だった。

主人公が28歳にしてちょっとご隠居みたいです。十分若いのに。

「きみと手をつないで」とプロットは似ているかもと作者も言っているけれど、私はこっちの方が好きです。
傷をもったさみしい人同士が幸せになる話。
やさしいお話でした。


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