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表題作雨音の唄

昔好きだった人に似ている青年 成瀬・19歳
学校の教師 雨宮・29歳

同時収録作品はつこいもなか

地元に帰ってきた大学生の従兄弟 岳兄
高校生の従兄弟 慎

同時収録作品片靴下の男

ツイてない大学生 伊藤
越してきた隣人 蒼井

その他の収録作品

  • 或る日の出来事 伊藤君と蒼井さんの場合
  • 或る日の出来事 雨宮先生と成瀬君の場合
  • 或る日の出来事 慎と岳兄の場合

あらすじ

教師をしている雨宮はある日、家の軒下で雨宿りをしている男・成瀬と出会う。雨宮は成瀬を家に招き入れたものの、自分の行動に戸惑っていた。普段ならば見ず知らずの人間を家にあげたりしない。でも、好きだったあの人にどこか似ている──
雨宮は忘れようとしていた相手の面影を成瀬に重ねていた。ひと月後、成瀬が再び雨宮の前に現れる。そして、雨宮は成瀬に家に泊めてほしいと言われて…!?

作品情報

作品名
雨音の唄
著者
井上ナヲ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
ミリオンコミックス HertZ Series
発売日
ISBN
9784813052593
3.3

(28)

(6)

萌々

(4)

(13)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
89
評価数
28
平均
3.3 / 5
神率
21.4%

レビュー投稿数11

大切にしまっておきたい作品

井上ナヲさんのデビューコミックスも大変素晴らしいのですが、二冊目のこの作品集もとても素敵。この方の描く空気感というか、間が心地いい。元気いっぱい、ドタバタコメディーもいいし、ドラマティックでシリアスなのもいいけど、なかなかこういった地味ながら品の良い作品に出会えないので、お宝的存在ともいえます。

アパートのお隣に引っ越してきた運命の相手との出会い(「片靴下の男」)、主人公と義兄と、その息子を含めた倒錯的な関係(「雨音の唄」)、連れ子義兄弟同士に芽生えた恋心(「はつこいもなか」)。どの作品も人物の心情変化のプロセスを丁寧に見せてくれます。画も好きなんだなぁ。この方の描く人物には、良識のある人が持つ恥じらいやつつましさがあって、そこらへんに人間としての品を感じるのかもしれません。「片靴下」の蒼井くんも(かわゆいの)、「雨音」の雨宮先生も(メガネ男子)、「はつこい」の慎も(ただのブラコンかい)みんな、読んでいてグッときてしまう純粋さやひたむきさを感じさせます。そりゃ同じ男性から見ても可愛いと思うわ。

この作家さんの作品を読むと、時間の流れにとても意識的だなぁという印象を受けます。時間をかけること、時間が経って気づいたことを大事にしている。作中に表だって描写されてはいないのに、そういったことを色々感じさせてくれたりすると、作家さんの人となりまで興味を持ってしまいます。そんな魅力的な作品群なのです。(地味だけど。)

2

じわじわくる感じ

熱く!激しく!そんな作品ではないのですが
じわっとくる作品集だったかなと思います。
求めた”必要”なものに引き寄せられている。
そんな雰囲気を強く感じる作品が多かった印象。

◇靴下の~
靴下がすべて片方ない、あれがない、これがない
なんだかちょっと不幸体質な男の家の隣にお隣さんが引っ越してきた。
彼はなくしたものをいつでも見つけてくれる。
ちょっとしたラッキーに見舞われる。
距離が近くなると気持ちにも変化が芽生え。
自分の運命を変えてくれるような存在が
いつしか気になる存在に変わる瞬間。それが好き
結局その後の進展がどーなのかというところはありますが
ホノボノ感はイイ

◇雨音の~
雨の日に雨宿りしている青年がいた。
ずっと好きだったあの人の面影を持つ男。
叶うはずがないとあきらめた恋心が~なお話し。
年下くんが「かわいい」と思ってしまうほど生真面目な受が好き。
似てるとは思っていてもそれをアピールしないところもイイ。
雨宿りが実は偶然じゃなかったというネタ晴らしも好きです。
個人的にはこの話が一番好きかな。

短編もう一つ。

0

進化が見られた待望の2冊目

待ちに待った井上ナヲさんの2冊目の単行本。
CRAFTにて既読でしたが、今回の表紙装丁がどんな感じになるのかすごく楽しみでした♪
丁度今の季節にぴったりのブルーが印象的に使われた表紙。
この作家さんの特徴の優しさが何気に表紙から溢れてきますね。

前作の時は、読者がかなり想像力をこらして読み説かなくてはならなかったんですが、今回はセリフも増え、コマも少し細かくなって登場人物達が身近に、訴えてくるものがわかりやすくなったと思います。
ただ、やはり雰囲気系の作家さんなんで、この独特の空気感はドラマCDにには向かなさそうです。

雨の日に出会って家に招き入れた青年・成瀬との出会いは偶然ではなく、意図して作られた必然だったというお話。
雨宮はとっても地味で世界も狭そうな感じの人なんですが、それはきっと過去の恋がトラウマになっているのでしょうね。
そんな殻を破らせるのが成瀬なんですが、彼は(ここは予測)父親から雨宮の話を聞いて、好奇心と恋心をきっと同時に感じていたのだと思います。
雨宮が好きだった人に似ている成瀬に、自分は違う人間なんだよ、と思い知らせる行動に、雨宮が年甲斐もなくテレたり、ヘタレたり、何故かかわいらしいのです。
結局、雨宮の世界は過去から余りはみ出ることはできなかったけど、それでも新しい恋を手に入れて、それはそれで彼にとっての新しいリスタートだったのだな、と思うのです。
井上さんの、ハーフトーンを使わない、白と黒のはっきりした陰影の強いイラストが、雨の雰囲気を醸し出すのにぴったりでした。

『片靴下の男』
ちょっとイイ話デス♪
何事にもついてなかった男の隣室に人が越してきたとたん訪れるラッキー。
”アゲチン”!?
いえ、まだまだ清い関係なのですww
井上さんの新しい魅力が溢れる作品で、居心地がいいお話です。

『はつこいもなか』
この題名って、ひょっとして”はつこいかもな”をもじったのでは?
早くオレに追いつけよ~的な岳兄と、必死で追いつこうとするワンコな年下従兄が可愛らしいです。
これは、、年下攻めですよね♪

そしてラストにこの3本の後日談が入っていて、更に和ませてくれます。
表紙をめくった本体表紙のマンガも必見ですよ♪
歳の差をデフォルメしてるんですが、、、雨宮、じいさんか!?お前はww

6

あぁ、恋ってこういうことなんだね。

表題作を含め3シリーズ収録です。

『雨音の唄』
雨宮はある日、自分の家の軒下で雨宿りをしている男・成瀬と出会う。
成瀬は実は、雨宮のよく知る“ある人”に似ていて…
雨宿りをする成瀬を、誰かの面影と重ね、ついつい家に招き入れてしまう雨宮。
それがきっかけとなり、二人は接近するのですが…。
「真面目」という雨宮は、ただ真面目なだけではなく、何かに怯えているようにも見えます。
成瀬との再会を心待ちにしつつも、そんな自分のことをバカだと思う。
一方の成瀬はそんな雨宮の想いはお構いなしで、どんどん懐に飛び込んできます。
雨宮の思い人に自分の顔が似ていることを武器に、どんどん雨宮の中に踏み込んでいく成瀬はズルイと思うし、
それでも、成瀬が本気で雨宮を思う気持ちもわかるんですよね。
自分をいつまでも他人と重ねて見られているのは悔しいですし。
雨宮もいつまでも成瀬を他人と重ねて、成瀬自身を見ないのはズルいと思うし、
この二人はお互いにズルいんですよ。
でもそのズルさは保身のためでもあるけど、お互いをまだ信じられないからていうのもあるんでしょうね。
後半、衝撃の事実が明らかになるのですが、これを乗り越えたからこそ、二人は第一歩を踏み出せるんだと思います。
特に雨宮にとっては大きな第一歩ですよね。
書き下ろしは、そんな雨宮を愛でる成瀬です。
雨宮…真面目バカで可愛いw

『はつこいもなか』
個人的にはこの作品が一番好きですね。
イトコ同士で兄弟のように育った慎と岳兄。
慎は大好きな岳兄と久々に再会し、今度こそちゃんと告白すると意気込むのですが…?!
過去と現在が交錯しながら物語は進みます。
好きなものを好きだと素直に言えない慎と、飄々とした態度の岳兄。
慎はツンツンしてるけれど、岳兄には全てお見通しのようですね♪
岳兄との歳の差と、いつまでも追いつけない差のようなモノを感じながらも
岳兄より背が高くなったら、歩幅が合うようになったら、そうしたら想いを伝えようと誓う慎。
でも想いが伝えられる日はやってこず。
臆病な慎のせいなのか、それともただ単に追いつけないだけなのか。
伝えたいけど伝えられないという慎の想いがもどかしいです。
壁をぶち壊したのは岳兄のほうだったのですが、そこから崩れ落ちるように堕ちていったのは慎のほう。
今まで感情表現もロクにできなかった慎の、あふれ出た思いにもうドキドキしっぱなしでした。
普段のアンニュイ~な姿も可愛いんですがw
書き下ろしでは、ちょっとは岳兄に素直になれたのかな?という慎でした。
キスシーンがたいへん美しい作品です。

『片靴下の男』
あぁ、幸せって、満たされるってこういうコトなんだな、と感じた作品。
恋ってこんな単純なものなんですよね。
この人と一緒にいたらこんなにも自分は満たされるんだっていう。
すごく心が温かくなりました。
隣室に運命の男が越してくる話です(笑)

どの作品も優しくて、幸せになれる物語でした。
井上ナヲさんの、独特な澄んだ空気感が好きだな~

4

ミドリ

ゆたかさん、はじめまして。
井上ナヲさん、いいですよね~大好きです
今回のコミックスは3シリーズとも、どれも読んでいてい優しい気持ちになれる作品でしたよー
どの作品も甲乙つけがたいです。
レビュー書いててさらに読みたい気持ちが沸いてきて、何度も何度も読み返してしまいました。
ゆたかさんも是非手になさってくださいね!
コメントどうもありがとうございました!

しっとり

雨と共にあらわれた男は、、、

表題作と巻頭「片靴下の男」は、出会いがあって、それまでの後ろ向きの生き方から、一歩踏み出す話。
どちらも淡々としていているけど、しっとりといい雰囲気。

絵が上手って、やっぱり重要。
引き絵だと身体全体に対して頭が小さすぎない?ってバランスの絵なのに、ほとんど違和感がない。
多分、肘の位置とか、腕の長さに対する手の大きさとか、胴体と足の長さのバランスとか、足の大きさとか、そもそも身体の軸線とか、
まあ、全部をひっくるめてデッサンに狂いがないって事で、
マンガだからこそ、絵の雰囲気だけで納得できることって、あると思うの。

書き下ろしが、それぞれのお話の後日談って言うのも、コミックスならではって感じでいい。
そして、オマケの後日談でも、ほとんど進展無しのほのぼののままって言うところもいい。
せっかくのこの絵の雰囲気、ちょっと指先が触れるだけとか、のし掛かっても耳元で囁くだけとか、座って向き合ったままのキスとか、
こういう些細なエロの片鱗、みたいな方が萌える。

2

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