SS付き電子限定版
本心を嘘で隠し、束縛される悦びに酔う――セクシャル・ハードラブ。
帯の文句に騙され、表紙裏のあらすじに騙され、本文でいろいろ騙され、いやー気持ち良かったです。なぜか勝手に攻め視点だと思ってたし。これ絶対帯だけ見たら「ああ、また・・・」と思うんですが、夜光花さんなのでとりあえず購入はしたら、まいりました。大当たりでした。
でも評価が分かれそうな内容です。
純粋にハッピーエンドを求めてる人には合わないかも。
でもこのテーマはカップル(男女問わず)の永遠のテーマだと思います。BLのハッピーエンド最終地点が「同棲」であることが多い中、どれだけ長く関係を続けられるか、そのためにはどうしたらよいのか。
ここまで受けに信用されてない攻めってあんまり見ないです。
とても憐れ・・・。
浮気の実績(というのか)もないのに、ここまで傷つけられる攻め。
・・・いいと思います!
そんなお話だとは全く思いませんでした。
というか、最初のプロローグ部の高校生時代の小話が、実はかなり重要なのです。
そんなささいな事で!?とは思うのですが、それだけ受けには攻めに対する深い執着があって、どうしても捨てられたくない。
この方法は生粋の小悪魔だったら、無意識でサラッとできてるんだろうなあ。でもこの主人公はかなり無理をしているので面白いです。もうグルグルグルグル、エンドレスな感じです。思いこみの激しい主人公ですが、最後はなんとかハッピーエンド(?)なのかな。
いや、このモヤモヤ感がやっぱり好きです!
バッドエンドでも面白かったかも。
2010年刊。
一冊で『束縛の呪文』『解放の呪文』の二部構成となっている。
最初読んでいて、喬一(受け)は元同級生の義隆(攻め)を持て余しているような印象なのに、それでいて日本とフランス間の遠距離恋愛となっても付き合いが途切れないのが不思議だった。
蜜月とは程遠い、愛を探り合っているカップルだなーという感じ。
喬一は何故義隆の姉に手を出した(という事になっている)のか?という疑問も含めて、喬一の心境が第一部の終盤で一気に見えてくると俄然面白くなった。
そこにある根底、常に義隆に追っていてもらいたいから焦らし切る、執着を向けられて悦びを感じているって、なんて屈折した一途愛なのだろう。
愛に執着しているのは喬一の方だったのね…
夜光さん作品らしい人物描写の捻りがいい。
しかし義隆だけが喬一との関係に振り回されていて、どうも彼一人だけが置いてけぼりを喰らっている感じがするのはちょっぴり気の毒かも知れない。
他の登場人物、喬一の父親とかエジプトから連れてきた助手の薫くんとかサバサバしているし、義隆の姉ちゃんも吹っ切れている。
この話を気に入るかどうかは、そんな喬一のキャラクターを受け入れられるかどうか次第だと思う。
自分は結構面白いと思ったな。
攻め受けどちらにしても執着持っている系ってどこかしら仄暗さが醸し出されるところがあるが、喬一自身もサバサバしているせいか後味悪さはない。
何でもソツなくこなせて飽きっぽい義隆の性格を見抜いたうえで仕掛けるって大概な策略家ではあるのだが。
二人の関係の締めくくり方も結構希望が持てる方向に行っていると思う。
執着攻めに定評のある夜光先生ですが、タイトルからしていつもの感じなのかな?と思ったらなるほどそう来ましたか。
喬一の心理描写で何かあるんだろうなと匂わせつつ、危うい均衡を保ちながら話が進んでいく感じが好きでした。
これ、喬一の考え方が間違ってるなんて誰にも言えないんですよね。
最後の二人の選択が、これしか道は無いだろうなというもので納得。義隆は最後の最後に男を見せたな、という感じでした。
前半が書かれたのが2006年で後半が書き下ろしとのこと。先生はかなり悩んで続きを書かれたようですが、こうするしか無いだろうなぁというラストだと思います。個人的にも好み。
それかもう心中しかないだろこれ(笑)
かなり面白く読んで、読み終えた後も満足感はあるのですが、少し辛い話なので萌えにしておきます。元気な時に読まないとちょっと悲しい気分になりそうなので…。
前半の『束縛の呪文』は、すごく好きです。
でも後半の『解放の呪文』でガッカリ。
「執着攻めに見せかけた執着受け」ってまさにその通りで、前半部分のラスト、真相が明らかになっていく過程で鳥肌がたつぐらいゾクゾクしました。
受けのねじくれた性格、好きだなって思いました。賢いアホ。前向きで行動的でマイナス思考。
でも後半はなァ…。
しつこいマイナス思考っぷりにウンザリしました。
「いつか飽きる」ってことばかりひたすら考えてぐるぐるうじうじして逃げてしまう受けより、
前半のときのように「どうすれば飽きさせないか」って考えて先回りして石橋をガンガン叩きまわってる受けの姿が見たかったんだよね。
どっちも要らん心配しすぎのアホには違いないんだけど、後ろ向きのアホより前向きのアホの方が私は好きなもんで。
攻めは最後まで真相を知らないままのほうが良かったなとも思いました。ぜんぶさらけ出してる場面、やっぱりそうやって結末に繋げたか…ってガッカリしてしまいました。
夜光花さんって、なんとなく監禁陵辱系っていう先入観があって、あんまり読んでいなかったんだけど、積み本の山からたまたま引っこ抜いたこの本は、カバーのあらすじで想像したのと、ちょっと違っていましたね。
帯のアオリ文句で、監禁されて縛り付けられて、メチャクチャに犯されていることになっている喬一ですが、、、
なんでしょうね、この、喬一は、
これが恋の駆け引きっていうなら、こんな病んだ関係はあんまり好きじゃないなぁ。
っていうより、後半の「解放の呪文」で、うまいことラブい方向へ収束させちゃおうとしているけど、それもなぁ。
エチの分量はかなりたっぷりあるけど、喬一があんな風に考えながらセックスしてるんだと思いながら読んでいると、萌え難いものがあるな。