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実に静かに淡々と進み、色々我慢している少年が自我を出せるようになるまでのお話です。
とても地味で、さらっとしたお話なんですが、表紙の雰囲気そのままです。
キレイなイメージの主人公なので、全体的に進行もきれいで、色に例えると薄くて柔らかいグレーとか、モスグリーンのイメージ。
そんな色が見えてくるようなお話でした。
萌える部分はどこかと言われると、キャラ的ツボみたいのはないんですが、主人公が抱える事情で、色々我慢をしてしまう、イイ人を装ってしまう、そんな部分が人間的に親近感を抱かせる部分だったと思います。
弟が病弱で母も父も弟をかまってばかりで、自分の居場所が家にないな、と少し感じている主人公・怜一。
弟が入院して母が家にいなくなると世話になる叔母の家で、一回り年の違う家具職人をしている従兄弟・恭介にキスをされて、告白をされます。
最初の出会いでも、その時も思ったけど恭介に対する印象は「変な人」
イケメンでモテるのにどうして自分なんかがいいのか?と思う怜一ですが、彼の為にと、唯一優しく特別扱いしてくれるのが嬉しくて、だんだんと惹かれていくのです。
しかし、ある日入院中の弟と恭介が寄り添って会話しているのを聞いてしまい、自分は弟の身代わりだったのだ、やはり愛されてはいなかったのだと、ショックを受けるのです。
この怜一、精一杯強がって、でもそれを見せようとしない。
素直に自分の気持ちを外へ出したいけれど、長年そうやって生きてきてしまったから、相手が不快にならないように、ついつい気を使って本音を出すことができない。
どんだけネガティブなんだよー、、と情けなくもなるのですが、自分的にもそういう経験と考え方をした時期があったので、彼の境遇と自分の境遇が重なって、怜一に入れ込むことになったのが、この話にのめり込む要因でした。
恭介も、怜一を大事にしているのはわかるのですが、彼を変えたいとおもっているのか、優しくはあるのだけど甘やかしているわけではない。
恭介が怜一の気持ちを知っていて、それをくみ取った行動や言動をしてしまえば、怜一は変わることができなかったんですもんね。
恭介を盗られたくない怜一は精一杯の勇気を振り絞って、最後までして欲しいとお願いするのに、恭介はつっぱねちゃう!
ここは、哀しかった・・・
怜一の弟、彼はちょっと意地悪だww
そんなお兄ちゃんを試すような事をして!
体が弱くて、それでも彼なりに処世術を身につけたからだとは思うけど、やっぱり残酷だよね、、血が繋がっているだけに、、と思ったのです。
恭介の友人のシェフという男が怜一にちょっかいを出してくるんですが、気になるぞ!
すっかり内容を忘れたので再読したけど、しんどかった……。
受けの怜一の属性が「意地っ張り」と「クーデレ」となってて、確かにその通りなんだけど、それは病弱で入院しがちな弟にかかりっきりの母親に心配させるまい、自分は長男なんだから……と色々我慢して育ってきたからなんですね。
物分かりの良いお兄ちゃんを演じるうちに、素直な気持ちの出し方すらわからなくなっているような感じで可哀想なんです。
でも可愛げはないのも事実で読んでてしんどい。
そして年の離れた従兄弟が攻めでいい男&溺愛属性。
何かと甘やかし面倒をみてくれる恭介だけど、怜一はなんでこんな自分を好きになったのか?と疑問に思って素直に甘えられないし、信じることもできない。
おまけに恭介は、本当は自分ではなく弟のほうを好きなのでは?と思い込んでしまいすれ違うところが読んでてしんどい。
そして可南さらささんの描く家族って、わりと酷い〜かなり酷いのしか登場しないような印象で、それらに比べるとこの母親はまだマシだし悪い人ではないのかもしれないけど、でもモヤモヤ感が終始つきまとってしんどい。
そして攻めに物申したいのは、受験生なのに手を出すな!&煩わせるなってことです。