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表題作12の月と、塔の上の約束

アーガイル=エル・ファロ 近衛聖騎士 23歳
エリオン 貴人の塔に幽閉されている 25歳

その他の収録作品

  • 翠の瞳と、光る海
  • あとがき

あらすじ

塔に住むエリオンは月に一度、聖騎士のアーガイルと会うことになった。だが、エリオンは彼に突然、身体を奪われてしまい…。
(出版社より)

作品情報

作品名
12の月と、塔の上の約束
著者
六青みつみ 
イラスト
白砂順 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
騎士と誓いの花
発売日
ISBN
9784344821620
3.9

(27)

(7)

萌々

(11)

(9)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
106
評価数
27
平均
3.9 / 5
神率
25.9%

レビュー投稿数7

切なくて甘いお伽話

『光の螺旋』シリーズ6巻目ですが、他作品とまったく話は繋がってないので単独でも楽しめます。
他作品も読んで世界観を理解した上で読んでみたら、また一段と物語の深みが増す素晴らしい作品です。

光の螺旋シリーズは他もすべて読んでいますが、この作品は他のものに比べてドラマティックな展開があまりなく、攻と受のラブラブっぷりを楽しむことができます。
受がひどい暴力沙汰に巻き込まれることもなく、安心して読みすすめることができました。
ただそのぶんハラハラドキドキ感はいまいちですので、そういうのを求めて読むとものたりなく感じるかもしれません。

ストーリーはかっこいい騎士と儚げな王子様のお伽話という王道もの。
幼い頃から塔に幽閉され、狭い世界しか知らないエリオンは、飼い鳥を助けてくれた聖騎士アーガイルに一途な恋心を抱きます。
念願叶ってアーガイルと塔の中で対面できたエリオンですが、アーガイルは男娼扱いで呼ばれたと勘違いしています。
約束のひと月に一度、計十二回の逢瀬を重ねるたび、だんだんとアーガイルの誤解が解けていき、二人の想いが通じていく様がとても丁寧に描かれていて、すごく萌えます。
アーガイルは、最初はエリオンのことをおまえ呼ばわりして蔑んでいたのに、誤解が解けて恋心を自覚するにつけ、呼び方もあなたにかわり、掌中の珠のようにエリオンを大切に慈しむところが個人的にぐっときました。
エリオンの飼い鳥のオウムの活躍も見ていてとても微笑ましいです。

ただひとつ残念だったのは、騎士と王子様という設定なので、塔の中のエリオンをアーガイルが直接救い出すよう活躍して欲しかった気がします。
でも続編では、まさしく騎士らしく貴人エリオンを大切に守るアーガイルが描かれていたので、おおむね満足です。
続編では、アーガイルに危険が及ばないように、自分は不自由なままでいいと言うエリオンの健気さに胸を打たれます。

最後の最後で、運命はエリオンのことを逃しはしない、という展開になり、続きがあるようで気になります。続きが出たら絶対読みたいです。

1

続きがありそうな・・・?

近衛聖騎士のアーガイルは《貴人の塔》に住む男性に、一月に1回、計12回、閨の相手をするように、という不可解な命令を受けます。
侮辱されたと憤慨するアーガイルは、その男性・エリオンを手酷く抱くことで命令が撤回されるだろうと考えますが、その後も塔に呼ばれ続けます。
2回目、3回目と話もせずにアーガイルはエリオンを強引に抱き続けるのですが、エリオンの様子に命令との違和感を覚えます。
少しずつエリオンに惹かれていくアーガイルは、何故彼が塔に幽閉されているのかが気になり出して・・・

正直、最初はエリオンのことを好きになれそうに無いな、と思っていました。
でも、読み進むうちに、アーガイルと同様にエリオンの純真さに惹かれていきました。
途中からは、エリオンの健気さに心打たれて、アーガイルと幸せになって欲しいと願って止まず・・・・・・と話に入り込んでいたのですが、ふと我に返って、アーガイルが結構酷い奴だなと。(笑)
初対面であんな酷い抱き方をされて、エリオンはアーガイルを嫌いになっても良かったのに・・・そう出来なかったエリオンの一途さというか、人恋しさを思うと切ないです。
そういうエリオンの性格とか環境とかがなかったら、結ばれなかった二人だったかもしれないな、と思ってしまいました。

引っかかったのは、処刑された瞬間には入れ替わってエリオンでは無いことに、アーガイルがまったく気付かなかったことです。
思い込んで・・・というのも分からなくはないのですが納得出来ない、説得力が薄いような気がします。
二人が幸せになるために必要だし、アーガイルが処刑を止めようと叫んだり、エリオンを想って憔悴するのは、とても萌えるのですが、だからこそ!もう少し気付かなかったことに納得したかったです。

後半、ラブラブに暮らす二人はとても温かくて、幸せな気持ちになれました。
本当、この後半があって良かったです。
アーガイルはエリオンに影響を受けて優しくなっているし、エリオンも諦めていたさらなる幸せを求め始めて、二人が互いに成長してるのがよく分かりました。
これからも二人が幸せに暮らすことは疑う余地がないけれど、環境が変化する予兆が匂わされていたので・・・どうなのでしょうか?
続きがあるのなら、この後も読んでみたいと思いました。

3

12の月と塔の上の約束

光の螺旋シリーズ6作目。
こちらは単独で読まれても、問題ありません。
受虐めレベルでは業界で右に出るものはいない、ってくらい、毎回受が悲惨な目に遭いまくる六青ワールドですが、今回はめずらしく強烈な輪○ンが一切ナシ!

はじめこそ強○ンがありますが、お相手が攻でくっつくのが前提となっているので、そこまで痛々しさは感じないです。
いやぁ……いつ来るのか、いつ来るのか、と嫌な意味でドキドキしながら読んでたので、なんだかあっけなかったというか。
激しすぎる陵辱はあまり得意とは言えないのですが、肩すかしくらうとそれはそれで寂しいものがあります。そう思っちゃう時点で、六青ワールドに飲み込まれてるわけですが。
それでも愛のない暴力がないだけで、何だかもう心が温かくなりますね。

当初は色々と行き違いがあって、攻のアーガイルは受のエリオンにもの凄く辛くあたっていたんですが、徐々にエリオンの心の清廉さに惹かれていくアーガイルの心の動きが丁寧に書かれていて、ため息が出ます。
エリオン視点になると、今度はもう胸が苦しくて苦しくて、エリオンと一緒になってアーガイルに恋する気持ちになってしまう。

後半の書き下ろしは、めでたく暴力もなくしあわせになりました、と安心してたらリーサルウェポン発動。
そうよね、六青さんがそんなに簡単に受を幸せにするはずなんてないわよね、と痛感しましたよ。
エリオン……可哀想すぎる(滂沱)
確かに今回は暴力はない。ないけど、これは辛い。エリオンも辛いけど、それ以上にアーガイルが辛い。
いやもうなんか最後までドキドキしながら読みました。
二段組みでガッツリ愛に溢れたお話が読めて大満足です。
受の不幸は蜜の味。

5

切なさは前半に集中、後半は糖度増量

読み終わってから、これってシリーズ物だったのか!と
ビックリしたくらい、他を読んでいなくても大丈夫です。
なかなか面白い世界観は確かにこれだけでは勿体ないと思っていたので
シリーズと聞いてなるほどという感じ。

人も寄らぬ古びた塔に幽閉された儚い容姿の貴人、
それを救い出す凛々しい騎士……。


ストーリーは王道なので、大筋では読める。
が、月に一度季節が一巡りするまでの12回の逢瀬、
美しい月の名前も相まって、その設定が切なくていい。

貴人の方はこの騎士を知っていて片思いをしていたのだが、
突然月に一度性交込みの訪問をと命令された騎士の方は
自分が男娼のように感じて憤る。
そして話等聞こうともせずに、まるで強姦のように身体を繋ぐ。

我ながら鬼畜か?と思うのだけれど、この作品のどこに萌えたかというと
お互い心が通いあって、一生懸命騎士が尽くして……よりも
前半のこのすれ違いながら身体を繋ぐ日々の中
騎士が少しずつ変わって行く自分の心に苛立ち、
貴人が健気にそれでも騎士といられることを喜ぶさま……
これが何とも切なくて、胸がキュンとする。


ドラマチックな設定でバッドエンドか?とハラハラさせられるが、
続編はアマアマ。
後半もちゃんと受けに試練は用意されてはいるんですけどね?
そういう優しく穏やかな話は悪くないのだけれど、
背景の事件ももうちょっと書き込んで、
一冊全部で痛切なくハラハラさせて欲しかった私はやはり鬼畜かな?

貴人エリオンが騎士アーガイルに心を寄せるきっかけになった
彼の愛鳥アルザレトが、彩りを添えています。

10

不幸の積み重ねの果てにある出会い

『光の螺旋』シリーズ第六弾とのことですが、他作品とリンクしているような描写はあまりないので世界観のみ共通ということで単独で読んでも問題ありません。

六青さんデフォルトの、理不尽にも不幸な目に合うかわいそうな受けとそこから救ってくれる攻め。
最後の甘々に至るまでの痛みや苦労を見守ることに萌えが感じられる私にはとても楽しめる作品でした。

幼いエリオンは王位継承者であるにも関わらず、父王の死後、ある人物の悪巧みによって何もかも奪われ塔での隠遁生活を強いられます。
父の死に哀しむ間もなく王位を簒奪されるが幼い王子がそのことを知ることはありません。

やがて成人して、たった一つ願を叶えてもらえることになったとき、大切に飼っていた鳥の命の恩人との面会を願い出るのです。
間に入った者からの指示で出向くことになったのは王の親衛隊も務める超エリートである聖騎士アーガイル。

何も知らない無垢なエリオンが求めたのは、助けてくれたお礼とささやかなお茶を飲みながらの会話だったのだが、男娼のような相手を求められたと誤解したアーガイルは聖騎士としてのプライドを踏みにじられたと思い酷い言葉とともに体を凌辱したのでした。

早合点で傲慢な男だと怒りたくなるアーガイルもただのエリートというだけじゃなく、生い立ちや親の問題で複雑な育ち方をしていたせいもあると情状酌量の余地はあるのですが…。

月に一度の面会の日に、今度こそはとお茶を用意し楽しく話ができることを期待しているエリオンが健気で泣けてきます。
そして、毎月の二人の様子がまるで命のカウントダウンをしていくような描写で何とかしてあげたくなります。

成長したエリオンが人の悪意や裏切りを知り失意のあまり恨みを募らせ狂気の中に逃げ込みそうになったとき、その昏い思いや怨念に包み込まれては裏切り者と同じになってしまうと心を立て直しやがて相手を許し何もかも受容する境地にまっで達したことを語る場面は、真実を知ったアーガイルと同じように怒りと悲しみでいっぱいになりました。

後半の【翠の瞳と、光る海】では幸せな日々の中のちょっとした微笑ましいすれ違い。
二人の将来を思うと安心できます。

3

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