夏に 酔っていた あの日々 …誰よりも好きだ…あなたが…

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表題作太陽の下の17歳

その他の収録作品

  • 天使にならなきゃ
  • 遂に最後のREQEST
  • 出口
  • 薔薇姫
  • 薔薇のスープ
  • あとがき

あらすじ

「娚の一生」の人気少女漫画家・西炯子。原点の煌き――。
デビュー作「太陽の下の17歳」をはじめとした初期作品から、現在につらなる「薔薇姫」までの、BLテイスト作品をセレクトした短編集。
収録作品「天使にならなきゃ」「出口」「遂に最後のREQUEST」「太陽の下の17歳」「薔薇姫」「薔薇のスープ」。
カバーイラストは描き下ろし、当時の貴重なカラーイラストも多数収録。
少年たち、青年たちの青くて苦い想いのかけらを集めた、デビュー作含む珠玉の作品集!
(出版社より)

作品情報

作品名
太陽の下の17歳
著者
西炯子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ジャイブ
発売日
ISBN
9784861768323
3

(5)

(2)

萌々

(0)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
3
得点
13
評価数
5
平均
3 / 5
神率
40%

レビュー投稿数3

TPOにより鬼門

後書で描く事への愛を言外に匂わせている
この方の原点プラスアルファを収めた作品集
です。
表題作以下冒頭4作はほぼ埋もれていた
存在なだけに復刊されたのは良い事かと。
同時収録作の『薔薇姫』『薔薇のスープ』に
至っては…初出がBL誌ではなかった事が
恐らく看過される要因だったのではないか、と。

こうして新旧の作品を並べて視るとこの方の
作品から評者が感じていたJUNEらしさと
JUNEらしくなさが浮き彫りになって興味深い
ですね。
どちらも恐らく根っこは同じものなのでしょう。
その比重が段々変化してきたというだけの
話である感が致します。

ひと恋しくなった時にはお奨めしたい一冊です。
但し、寂しさの穴埋めには向かない一冊です。

4

初期作品集

作家さまのデビュー作を含めたBLテイストばかりの作品集。絵も古く、文芸臭が強くて時代を感じます。現在のBLとは全く異なり、(わたしが子供だった)当時、同性愛って、まだまだ現実味が薄くて、フィクションの中の方がよりリアルな現象に感じられました。(先生のデビューは1986年。)

そのせいもあってか、作家さまの作風なのか、あんまり作品に不粋なリアリティを感じないんですよね。物語感が強いというか、お伽話みたいっていうか。

「太陽の下の17歳」
高校テニス部の先輩と後輩。同性の先輩に思いを寄せる後輩の切ない恋心を描いた一コマ。

「天使にならなきゃ」
高級ホテルのレストランのボーイと、記憶喪失に陥った謎の青年の、束の間の同居生活。記憶喪失だと思っていたら、実は偽装だった?というお話。

「遂に最後のREQUEST」
両親と死に別れ、男ばかり五人兄弟で暮らす椋本家の三男・高校生の靭正は、クラブでピアノを弾くバイトをしている。そこで総合商社の御曹司に気に入られ、たまに会って話をするだけの関係を続けていたが…。ほろ苦い初恋のお話。

「出口」
公判中の弁護士・池田佳蓉は多忙な日々を送っている。妻とは別居中で、子供の頃に池田の家に引きとられ、佳蓉と一緒に育った恵が彼の身の回りの世話をしていた。そんな折、妻の出産が迫っていることを知る。密かに佳蓉に思いを寄せていた恵、妻、佳蓉の関係に「出口」は見えるのか。

「薔薇姫」
高校生の白井英司には不意に眠りに落ちてしまう難病を患っていた。クラスメイトの金石誠は、ふとしたきっかけから白井の家が花農家だと知る。その後、お気に入りのAVを貸し合う仲にまで二人は親しくなったけれど、白井の持病が悪化して…。少年の日に訪れた、忘れ難い大切な人との別れ。

「薔薇のスープ」
「薔薇姫」の番外編。白井が幼い頃、祖父から聞いたウソのような不思議な体験談。白井農園に薔薇の花もたらした縁は、誰かの命と引き換えだった。

大人でも読んでいて泣けるようなお話ばかり。レビューに残したかったのは「薔薇姫」なんです。もともと読んでいたのは『薔薇姫』のタイトルで小学館から出ているPFコミックスの電子版。とても静かで何気ないお話なのに、激しく揺さぶられて思わず涙が溢れました。その後何度読み返してもジワリとしちゃう。同作品が収録されているこの作品集も大変素晴らしいので、こちらにレビューさせていただきました。

淡い色使いが美しいカバーイラストは描き下ろし、装丁は名和田耕平デザイン事務所です。少し前のものだけれど、やっぱりステキ。

2

ほろ苦い青春たち

今、一般コミックで人気の作家さんは少なからずJUNEの世界を通っていた、とは必ずしも言えないけれど、でも、現在BLで人気の作家さんが一般青年向けでも活躍、躍進をされているのを見ると、やはりBL表現というのは繊細で人の心の機微の表現がすぐれているんだろうな~と思うのです。
90年代はまるっとマンガから遠ざかっていた身には、その頃の作品がこうして新装版として拝めるのは大変に嬉しい。
この西さんの作品も実に今自分が求めているものの原点の香りを漂わせて、新鮮なのです。

表題、後輩の先輩に対する気持ちは一体何だったのか?
ラストの主人公の気持ちが実にセンシティブな思春期感情を切なく言い表わしてる。

『天使にならなきゃ』身分&歳の差
レストランで無銭飲食をした少年の面倒を見ることになったウェイター。
放っておけない存在がいつの間にか、どうしても欲しい存在になる。

『遂に最後のREQEST』歳の差
自分を贔屓にしてくれるバーの客に嘘をついていたことがバレた時、彼は日本を旅立たなくてはいけなくて。。
切なく甘酸っぱい思い出にすり替わる、年上の男性から受けた無償の愛

『出口』主従で幼馴染の片想い
弁護士の助手として働く男の長年の想いはむくわれず
また弁護士も助手がいなくては、と最後の際でやっと自覚するのだが、弁護士に妻子がいると言う設定、むくわれない深く長い片想いという設定に、実にやりきれなさと切なさと、理不尽さを感じながらも、女性が登場したことでリアルを感じさせた作品。

『薔薇姫』同級生モノ
何でこの作品知らなかったんだろう!
思わず涙が・・・ラスト、主人公が坂の上からハウスを見下ろしたショットに主人公と一緒に泣いていました!
彼は幸せだったよね。

どれもほろ苦い味のするものばかり。
決してハッピーエンドではないけれど、この余韻が心に響くのです。
香りのよいお茶を味わった後のように、その雰囲気に読後感に浸れます。

5

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