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表題作他人じゃないけれど

渡会忍,23歳,華やかで女の子にモテる会社員
一之瀬篤史,18歳,父の死後渡会家に引取られる高3

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

父を亡くし、父の後輩の渡会久代に引き取られた篤史は、下引き取ってくれた養い親に恋しながらも、その息子も気になった!?今注目の新人作家が贈るスイートホーム・ラブ!
(出版社より)

作品情報

作品名
他人じゃないけれど
著者
樋口美沙緒 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199006159
3.6

(102)

(33)

萌々

(30)

(23)

中立

(3)

趣味じゃない

(13)

レビュー数
18
得点
357
評価数
102
平均
3.6 / 5
神率
32.4%

レビュー投稿数18

うおーーーん誤解すれ違い義兄弟!良い!!!

樋口美沙緒先生,初です.
いや,めちゃめちゃよかったです。
すれ違いというか誤解というか,両片思いのもだもだ小説ってあんまり親しんでない部分だったんですけど,いいですね...すごく,いいですね。。。
樋口先生の、心情を丁寧になぞる感じの文体がこれまた頭にすっと入ってくるのですごく楽しかったです。

養父に片思い(してると思っている)高校生の受け様、篤史くんと、養父の血縁・戸籍上の息子で社会人の攻め様・忍さん(篤史くんの5歳上)の恋愛模様のお話です.
あらすじを斜め読みしただけだったので,当初は養父との年の差で三角関係の当て馬に忍さんかと思ったのですが,違いましたね!!私はモラル良の溺愛攻めが好きなので,久代さんが友人の息子に手を出す男じゃなくて安心しました!

幼いころにひとり親の父を亡くし、父といたときから自分の存在が邪魔になると考えていた篤史くん、愛された自覚が少なすぎて親への愛と恋愛を混同しちゃってるのですねーー。
忍さんの行動がだいぶわかりやすいのに、当事者で俯瞰して見れないことも相まって忍さんへの恋心も自覚してないし,忍さんからの気持ちにも気づくわけがなく……。
耐えられなくなった忍さんに手を出されたりしましたが,いいカンフル剤になった感じで(当人はそれどころじゃなさそうだけど)良かったです.

あと,いちいち篤史くんのためを思っていることがまるわかりな忍さん、届くことのない気づかいにこっちの胸も痛くなるよ!!めちゃくちゃ!!
引っ越しする時とか、ひどいこと言いながらつらい顔してる時とか……
序盤は忍さんが謎行動過ぎて,訳も分からず抱かれている篤史くんのように「??????」なわけなんだけど,忍さんが篤史くんにめちゃくちゃ長い片思いをしているとわかった瞬間「あーーーーーーっ!!(切なさの槍グサッ)」みたいな笑
隠し切れないくそデカ感情、ごちそうさまでした。。

ひと悶着(ひと悶着?ふた悶着??)ありますが,ハピエンで読後感もよかったです。
あー,義兄弟楽しませていただきました。久代さんも一緒に、3人で幸せに暮らしてね……

1

樋口先生作品は初見でしたが……!


めっっっちゃ好みな作品でした!
というか攻めの性質が自分のツボに入りまくりました。

・受けを溺愛してるけど悟られないようにしている(そして実際に受けも気づいておらずむしろ嫌われているとすら思っている)
・好きすぎて行動が一周回っておかしくなってる(無理に彼女つくろうとする、実家になるべく寄りつかない等)
・受けのピンチを陰ながら阻止している
・蓋を開けるとタガが外れて変態っぷりがモロに出てくる(受けも案外すんなり受け入れている)

溺愛、変態な攻めが好きな人には刺さる作品だと思います!

ちなみに一応兄×弟ではあるけど、血のつながりは全くないので近親ものが苦手な自分でも普通に読めました。
あと2人の父(弟とは血がつながっていない)が寛容なので変にドロドロした感じもありません。

1

最近の作品と比べてしまうと…

2011年の作品で樋口先生の5冊目の本らしいです。
とても面白いのですが、最近の作品と比べるとちょっとクドい印象がありました。
何度も何度も篤史の父が亡くなる直前のシーンがあって、そこがとても大切で後に肝になって来る部分ではあるものの、今なら樋口先生はもっとスッキリ書かれるだろうなと思いながら読みました。

魔法も擬人化でも隔絶された世界でも無く、ごくごく普通の人々のお話でした。
常に自分の居場所を心配している篤史と、篤史が大切過ぎて雁字搦めにになっている義兄の忍が恋人になるまでです。

余りのすれ違い振りに読んでて途中から、この2人はくっ付くのかと心配になりました。
そのジレジレ感が好きな人はハマると思いますが、最近の作品ばかり読んでいた私にはちょっと合いませんでした。

でも何度か泣かされました。www

1

酔っ払った勢いで…?

樋口美沙緒さんの作品を初めて読んだのはこの本だったかなぁ。義理の兄と弟のような関係の二人のお話です。

攻が幼い頃から長年密かに受のことを愛しく想っていて何かのキッカケで暴走してしまう展開が好きなので、篤史視点で進むにも関わらず忍のやるせない気持ちが伝わってきて、その切なさに萌えました。篤史自身は義理の父親ポジションである養父に恋していると思っていて、それがさらに忍を悩ませているのですが篤史にはその自覚がない。前半は「忍、お前…健気だな…」と思いながら読んでいたのです。

ところが二人の間に大事件が。びっくりしました。酔っ払った勢いで長年の苦労が水の泡って男前が聞いて呆れるぜ!ってなもんです。でも、この作品はそこから二人が関係を修復し、新しい絆を築いていく過程がちゃんと書かれていて、最終的には紆余曲折あったけどメデタシメデタシ…という清々しい気持ちになりました。

穂波ゆきねさんのイラストがとてもいいなと思うのですが、表紙の感じだと二人は5歳以上の年の差があるように見えますね…。忍の言動がちょっと若造に感じるのも、23歳だと思えば当然な気もします。

2

受がダメ

どうしよう、全然萌えない。
デビュー作からずっと購入してる作家さんですが、ここ最近の3冊とも全部苦手路線で、えいやっと思い切って手を出したらやはりのドボン。

どれをとっても、ネガループ。
そのくせ鈍感で変な勘違いとかして、ずれた方へ誤解する。
このすれ違い方が、白々しいというか鼻についてダメでした。
養い親の人格が飛んでて感情移入出来なかったり、なんでそこでそうなるかなぁ、といちいちつっかかってしまって、集中もできず。
健気受は大好物ですが、健気の方向性が自分には合わなかったです。
しかもこの受、死ぬほど卑屈なわりに妙なあざとさがあって、そういう行動したら攻が構ってくれるって分かっててやってるだろ、というのがチラついて余計にだめ。

攻にも受にも共感ができないので、読んでても目が上滑りをしてしまい何度も寝落ち。
読み終わるのに1週間近く掛かるという状態でした。
イラストが好きなので、辛うじて中立に引っかかってます。

7

執着攻が素敵

執着気質だけどヘタレ気味な攻とぐるぐる悩んでしまいがちな受のお話です。

私はとにかく執着攻がお気に入りになりました。
ヘタレだから手が出せないし、受の気の引き方は小学生みたいだし(笑)
一度酔いに任せて手を出してしまうけど誤魔化して、自分が執着してしまうと理解しているから出来るだけ離れようとする攻がとにかく素敵でした。

受はぐるぐる悩みがちだけど最後は男前でした。
でも攻に比べてそこまで記憶に残っていなかったりします……

2

予想外だった

コミックはある程度
長く読んでいるものの
小説はそんなに数を読んでいないため

作家さんの情報が私の中に
入っておらず
もっぱらタイトルと粗筋
で探している状態です

こちらの作品は
目的なく何かの読みたいと思っていたときに購入しました

表紙がスーツをきた大人と制服をきた若い子だったため
苦手な分野だなとしばし考えたものの

両親をなくし友人である男性に
引き取られるというあらすじをみて
大丈夫きっとと気を取り直しました

期待も想像もあまりしていなかったので
読み始めて終わるまで
忍が手を出すまではほのぼの読んでました

忍じゃまだなと思っていたので
私の中では完全にノーマークでした
あらすじをには、しっかり書いてあったのを
読み終えてからみました

全部知ってしまうのはつまらないので
半分くらいあらすじをみて購入し
読むまでに1ケ月以上おいてから
読んでいます

そのため良かったり悪かったりはありますが今回は非常に良かったです

冒頭のお父さんとの別れには
この重さどうするのだよと
不安になりましたが
引き取られた父の友人久代が
心底良い人です
忍なんかよりむしろ好きです

結局は忍とくっつくわけですが
久代のことが知りたいです

1

ちゃらんぽらんなへたれ攻

すごく面白かったです。

あらすじは大体こんな感じ↓

画家の父を亡くした篤史は父の同業者である久代の家に引き取られます。久代は優しいけれど、息子の忍は時々冷たい。種明かしすると、忍はずっと篤史に片想いしていて、篤史が忍より久代に懐いているから心中穏やかではないという微妙な三角関係。叶わない恋に苦しむ忍はやけっぱちになって色んな女性と付き合いますが、当然の如く長続きしません。篤史はそんな忍に呆れつつ、忍が家に寄り付かないことを淋しく思っています。とうとう忍の想いが溢れ出て篤史は強引に奪われてしまいます。

忍んで忍びまくった男がへたれてます。
攻の忍は、爽やか兄貴を演じている時は胡散臭いことこの上ない男なんですけど、ダメ男の正体を晒し始めた辺りからあり得ないくらい可愛く見えてきます。
篤史に苦労をかけたくなくて出来の良い兄を演じたかと思ったら注意を引きたくて意地悪になったりする忍にーさんの性格は妙に現実味があって親近感が湧きます。
しかも真の姿は子供っぽくだらしないダメ男という・・・正直、想いを忍ぶのには向いていない人だと思います。
それでも頑張る姿に好感度大です。
強引に奪うだけじゃ酷すぎるし優しく甘やかすだけじゃつまらん。
多面性があるから面白いんです。
ちゃらんぽらんなへたれ攻、大変美味でした。

ちなみに心変わりする受なんて御免だね!と思われるかもしれませんが、受のあっくんはただのファザコンなので、恋愛対象として好きになる相手は忍だけです。

さすが樋口先生。コストパフォーマンスが高いです。

6

どうにも攻がダメ・・・

『樋口さんのほのぼの家族もの』ってことで、これならいけるかもと期待して読みました。読んでる途中からなんかこれはダメかも、と思い始め、読後の脱力感はもう言葉になりません。

とにかく篤史の後ろ向き具合が、我慢できないくらい嫌だったんですよ。なんでだろう・・・『健気・せつない』はもともと大好きですし『うじうじ・後ろ向き』だけなら、別に苦手でもなんでもないんです。むしろ好きなくらいで、それでも大好きなキャラクターは(他の作家さんの作品だけど)結構います。
でも、今作はダメでした。キャラクター全般にまったくいいところが感じられませんでした。

意思の疎通がないための『ぐるぐる』がただ鬱陶しくて、単に言葉が足りないだけだろとしか思えませんでした。書き様によっては(と言うよりキャラクターに対する個人的な好みなんでしょうね)その『ぐるぐる』も含めてすごく楽しめるはずなのに、逆に神経逆撫でされただけで終わりました。何がダメだったのかもわかりません。

なんかすべてが『(自分のツボと)ポイントがずれてる』感じで、本来なら好みのはずなのに、悉く裏目に出たとでもいう感じでした。
『受が可哀想な目に合う・不遇な過去を持つ』というのは十分好きな展開になりうるのに、『さあ、泣け』って感じにしか思えなくて、なんとも押しつけがましくて醒めてしまったんですね。

『後ろ向き(根暗)・ぐるぐる受』と『俺様攻』は、今まで読んだ限りでは樋口さんの作品のかなりを占めるパターンだと思うんですが、私はこの『俺様攻』がとにかく大キライなんです。その上、これは篤史もまったく好きになれなかった時点でもうダメでした。

『・・・もしかして、私は樋口さんとは合わないんだろうか』と、今までもなんとなくは思いながらも、読み続けてはガッカリの繰り返しだったんですが、これを読んでなんかようやく諦めがつきました。『合わない』ことに納得が行ったと言った方がいいかな。

やっぱり私は『樋口さんが好き』なのではなく、根本的に合わない作家さんだけど『愛の巣』シリーズだけが例外だったってことなんでしょう。そういう意味では、私のターニングポイント的な作品ですね。
それでも(まだ!)往生際悪くスッパリやめることはできなかったんですが、それも次作『狗神の花嫁』(←これもしゅみじゃない)で、もう完全に吹っ切れました。

今はもう『愛の巣』シリーズ以外はまったく合わない・(もちろんきわめて個人的に)読んではいけない作家さんという位置づけに落ち着いて、やっとスッキリしました。

11

ほんとにホームラブでした。

義兄弟もの、というよりは、家族愛の話でした。
とはいえ、弟への気持ちをずっと押さえ続けていた兄がある日弟を無理やり(無理やり?)とか、弟に謝りながら、罪悪感にかられながら抱くところとか、濡れ場は兄弟モノの美味しいポイントがしっかりあったので、兄弟モノとしての濡れ場は楽しめました。

しかし、話の本筋は兄弟モノの恋愛話ではなく、家族愛の物語で、恋愛モノのときめきとかより、過去の経験や、家族に対しての無自覚に近い恐怖感から、どこか周りに対して遠慮して、一線ひいてる主人公が、自分を解き放てて、過去を癒せるまでのヒューマンドラマを楽しむ作品だと思いました。
前半は、展開が気になり、引き込まれて読めるとはいえ、そこまで特別楽しめてる感じはしなかったんです。というのも、兄の言動が少し納得いかないというか、さすがに酷いんじゃないかと。いじわるしないと振り向いてくれなかったからって、もらわれっ子とか、お前がいなかったら苦労していなかったとかはさすがに言ってはいけないだろうと。これらを言う兄の気持ちがわからなかった。主人公の言動の裏側に見える、切ない兄の感情とかは楽しめたんですが。
兄はわからないし、主人公は消極的で(話的にしょうがないですが)なんか掴めないし、なんか入り込めないというか、心に残るところが感じられないというか。
しかし後半、義父と話しているところは、目頭が熱くなりました。そのときに、「あ、これは二人の恋模様を楽しむんじゃなくて、家族愛を楽しむ作品なんだな……」と気づきました。
ストーリーはしっかりしていて、雰囲気も重苦しくないし、一気に読めて楽しめました。ただ、恋愛モノ、兄弟モノとしてのドキドキとか、もの悲しさとかを楽しむ作品ではないと思います。そういうのは楽しめないかな、と思いました。

2

樋口さんの本で一番好き!

受視点で物語が進むのですが、
受視点から見ても攻の忍耐っぷりがしのばれて最高でした!
恋愛だけじゃなく家族愛も堪能できる素敵な1冊でした。

4

こんなにきゅんとなったのは久しぶりです!

血の繋がらない家族ものはよく読むのですが、こんなにきゅんきゅんして、泣いたり笑ったりして、素直に萌えることのは久しぶりかもしれません。それぐらい素敵なお話でした。

一番初めに言いたいのは、この表紙に写っているのはお兄様の忍さんと主人公の篤史くんです。お父様ではありませんのでご注意を!

このお話は、母を幼い頃に亡くし、画家の父に育てられていたのですが父が脳出血により死んでしまい(主人公は当時7歳)、それが「自分のせいだ」と思い深く深く傷ついてしまった篤史くん(受)と、その篤史くんの意地悪だけど優しくて、自分は大人だからと我慢して大人ぶっている義兄さまの忍さん(攻)のお話です。

義家族ものなので、どっかしら血が繋がっているのかと思うと思いますが、まったくもって、他人です。ですが他人じゃありません。それが今回の見所だと思います。

物語は両親を亡くし、親戚も遠い親戚しかおらず困っていた篤史くんは実父の後輩の久代さんに引き取られたところから始まります。その頃から意地悪だった忍さんに篤史くんは「自分のことが嫌いなんだ」という印象を受けてしまいます。


このおはなしのいいところは、そういった「細かい過去が人格を作り上げているところ」だとおもいます。

簡単にいえば設定が細かい、ということなのですが、そうではなく、人格形成の形がしっかりとしていて、キャラクターそれぞれの考え方や行動パターンなどが「こういうことがあったから、こういう動きをして言葉を発するんだ」と、とても分かりやすいというか理にかなった動きをするので、まるで生きている人間を見ているかの様な印象を受けました。

途中で当て馬の様な福山という男の人も出てきますが、どのキャラもとても素敵に描かれていて、特にいいなと思った脇役さんは、篤史くんのお友達でした。みんな個々に感情を持っていて、読み進めていくうちにどんどん気持ちがもっていかれました。

挿絵の穂波さんの絵も素敵で、イメージにぴったりで、買ってよかったなあと思いました。

トラウマや、すれ違いなどが好きな方には、是非オススメしたい作品です!


それにしても忍って、忍さんにぴったりの名前だと思います。名前のまますぎて、思わず笑ってしまいました。素敵な作品をありがとうございました!

3

想いが深すぎて違いに気がつかない

血のつながらない義理の兄弟として育ってきた兄と弟。
多分、年下の弟が兄を好きだったらこのお話は自分的苦手作品にはいるところでした。
し か し !!
今回は兄が弟を好きで、
そして弟は義父が好きで、
一見オトナそうな兄が本当は随分なヘタレで、
家族愛が深すぎて、恋愛としての愛との区別がよくついてない弟。
全然よくある兄弟モノじゃありません。
好きって一体何だろう?特別って一体何が違うんだろう?
そんな事を主人公達と一緒に考えながら、弟の健気さにちょっとウルっとしてみたり、お父さんの優しさや天然さに癒されてみたり、兄の気持ちに胸が苦しくなっていみたり、
いろんな気持ちを感じることができて、とっても素敵なお話だったと思います。

父子家庭の父親の突然の死で身寄りがなくなってしまった篤士をひきとってくれたのは、父の友人で同じ画家、そして父子家庭の久代さん。
いつしか篤士は久代さんに「好き」という感情を持っていることに気が付き、それを隠して生活しています。
本当の父親が亡くなった事がトラウマ的に印象に強く残っている為に同じ画家の久代に、実父を重ねているのは明白です。
「死んで欲しくない」という気持ちが強い為に、特別な好きになってしまったと思いますが、やはりこれは過剰な父親への愛情であり、執着であり、どう見ても欲情を伴う恋愛の愛じゃないな、とは見えるのです。
でも、まだ篤士にはそれはわからないんですよね。
一方、義兄の忍は彼女をとっかえひっかえして、余り家に寄りつかないけど、でも篤士の作る食事だけはきちんと摂る。
しかし、篤士が寝ている久代に寄り添っているのを見た日から忍の様子がおかしくなって、ある日とうとう忍に篤士は押し倒されてしまうのです。
忍、とってもしっかりした頼れるお兄ちゃんを装っていながらそこに見える気持ちがだだ洩れww
でも、篤士にはわからないww
忍はツンデレなのか?ヘタレなのか?彼が余裕をかましてないのがすごくいいんです!
きっと篤士はこうした忍の暴走がなかったら、家族以外の感情というものに気がつかなかったと思うのですよね。
それがあったからこそ、そして家族として過ごしてきたからこそ、互いの気持ちを言い合える。
実際、忍も久代もちゃんと篤士の気持ちを図ってくれていた。
篤士が豊かでない家の状況を思って、実父が亡くなったのを自分のせいだと思い込んでいたから、知らない間に遠慮をもっていたこと。
その恐怖が久代への深い想いになっていたんだと、ちゃんとみんな見ている。
忍の気持ちが特別な愛に変わった時はいつだったのか、それははっきりしないけれど、のんびりおっとりした義父の久代さんがいい人だからよかったv

篤士の気持ちにちょっとウルっとさせられるけど、その健気さに胸打たれるけれど、でも全体はとてもほのぼのした楽しい家族のお話でした。
こんな兄弟モノならウエルカムです。

5

近すぎるから見えないもの

やっと樋口先生の作品読めましたw嬉しい限りです。

今回は家族ものって言うことで背徳な感じはなく全体的にほのぼのした感じでした。しかしながら、受の境遇とか攻の想いとかは切なかったです。互いに悩み傷つけ合い、足りないところは埋めあってる過程が素敵でした。
それと、2人の父親の久代さんのキャラがよかったです。普段はマイペースで気が抜けたところもあるけど、実はちゃんと2人の息子を見てるんですよ。良いお父さんだった^^

作中であったように絵でも近すぎたら気付けないこと、みえないものってたくさんありますよね。それは同様、愛情や恋愛でも同じだと改めて実感したし、家族って何だろうと読み手としても考えさせられました。

樋口先生の作品って読者に質問を投げかけてる感じのものが多い気がします。毎回読むたびに自分の答えを主人公と共に考えちゃうんですよ。そういうところも樋口先生の作品の魅力の1つです。

あとがきおもしろかったです!樋口先生が執筆中にあとがきのためメモをとっていらっしゃったらしいんですがその内容に吹き出してしまいました。この家族だったらしてそうですね♪

3

うあー、好きだァ

ああ、やっぱ樋口さんの書くお話は好きだなァ。
過去作品すべてが「お互いに好きなのにすれ違ってる」というパターンなんですが、今回の作品もそうでした。
すれ違いモノは大好きなんですが、なかなか説得力のある作品に巡りあえなかったりするのがBLというジャンルで。構ってちゃん受けがうじうじぐるぐるしてるだけのお話をすれ違いだと言われると鼻白むしさ。
でも樋口さんの書かれるスレ違いは、ことごとくツボに突き刺さってくれます。

主役の二人とも大好きでした。11年間一緒に暮らしてた義理の兄弟という間柄です。籍は入ってませんが。
両者とも、限りなく利他的なんですよ(裏返すと究極に利己的でもあるのですが)。
自分が構われたいためにする行動が、馬鹿馬鹿しいほど回りくどいんです。長い長い忍耐と努力で培われた関係を、どちらも守りたいと思ってて、そのために必死になっている。
必死さの方向性がずれまくってて、さらに誤解を深めていく原因になったりするんだけど、その馬鹿馬鹿しい努力がいちいち愛おしい。
とくに攻めですね。
もうもう気の毒なほど受けに誤解されてます。だからこそキューンとくるんだけどさ。欲望に負けて手を出してしまったあとの彼の味わった後悔と苦痛を考えるとタマランです。タマランほど萌えます。

家族もの、日常もの、私も大好きです。またこういうテイストの作品も書いていただきたいです。もちろん樋口さんの書かれる変わった設定のお話も好きなんですが。
あとがきを読みつつ、萌えツボが似てるー!ウヒャヒャと思いました。
結局は樋口さんが書くものなら何でも萌えるということなのかもしれません(笑)

3

バカだけどバカなりにかっこいい

お互いの思い込みで延々すれ違うお馬鹿さんたちが、とっても愛しいです。
篤史目線のお話なんで篤史に感情移入して、篤史を健気だ可愛いだと感じながら読むべきお話だったはずなんだと思うんですが、私は何故だか忍の内面にばかり目が行ってしまいました。

ともかく、忍が好きだったんです。
「女が切れない、モテる、カッコいい、良い兄貴」なんだけど、その裏で忍がどんだけ篤史のことを想っているかが伝わってくるから、きゅんとなります。

こいつがねえ、ホントにもう、あわあわしてるんですよっ!
作品が篤史目線な分カッコいい遊び人風に描かれているにも関わらず!それでも裏であわあわしてる姿が見えるよう。

篤史を忘れたくて女と付き合うんだけど、お泊りとか絶対しないし篤史優先なもんだからすぐ振られる。
篤史が父を好きだと気づけば、くっつけようと焚き付ける。
父に好きな人ができたかもと思えば、篤史のために父の好きな人を誘惑とかしてみたりする。ついでに篤史には手を出すなと釘を刺すことも忘れない。
もうだめだ好きすぎる、と思ったら、引っ越しちゃう。

全部が全部、篤史を想うが故なんですが、なんだか「頑張る方向が違う!」って言ってやりたくなるんですよね。「そっちじゃねえよっ!」って。
「がむしゃらに全力で猛アタック」をするお話はあれど、「がむしゃらに全力で忘れようと頑張る」ってお話に、こんなにキュンとなったの初めてです。

今まで読んできた「忘れる努力」をする人たちって、なんだかんだ言ってある程度の期待があるとしか思えない中途半端なことしたり、思わせぶりな態度をとりつつ引いて見せて駆け引きっぽく見えたり、逆に「誰もそこまで言ってねえし」ってくらい卑屈になったり、そんなのが多かった気がするんですよね。
けど、この作品の忍はどれとも違って、ホント、「バカだなぁ。けど、潔いっちゃ潔いんだよね~。バカだけど」って感じでした。

そんだけでも忍のこと大好きだったのに、実は一人暮らししてみたら、片付けできない身なりも気にしないぐうたらいい加減さんだなんて!なんて素敵なの!
キュン倍増です♪

なので、とっても楽しく切なくキュンキュンしながら読んだんですが…。最後がちょっと;
「家族愛と恋愛を取り違えて云々」ってのは、分かる。
忍に惚れたのも、ありがとうって感じでOK。
けど、「ずっと子供のころから忍だけが好きだった」はないだろう。
あんたついこの間まで、父親に好きな人ができたかもってめっさ落ち込んでたやん;

何せ忍がヘタレだし、頑なに「篤史の好きな人は自分じゃない」と思い込んでたんで、篤史が動くしかなかったわけなんですが、それにしてもちょっと、告白シーンでの篤史の都合のよさや押しの強さに、げんなりしてしまいました。
この間まであんなに健気でイイ子だった篤史が、こんなんなっちゃった…みたいな、ちょっと残念感が……。

樋口さんの作品はとても大好きなんですが、毎回どうしても100点ではないんですよね。
かといって大きな減点ってわけでもなくて、全体的にどうこうってわけでもなくて、ピンポイントで「ココさえこうなら…」ってのが1個か2個残る感じです。
けど好きです。

2

泣かされた!

樋口先生の作品を読んだのは、本作品で三冊目でしたが、三冊とも泣かされました。
『家族もの』とブログにも書かれていたので、今回は泣かないかと思っていたのですが、泣きましたね。

篤史は幼い頃、父親の死がかなりの傷になっています。それで父親と同じ画家の渡会家に引き取られますが、度々久代さん(義父)がばったり倒れたりするもんだから、その度に篤史は父親を亡くした時の記憶が蘇って怯えます。
そんな篤史を義兄である忍が優しく親身になって、少しずつ二人の間に恋心が芽生え、ほんわかと幸せに……なりません。

忍は優しいのは優しいんでしょうが、篤史の久代さんに対する想いにイラつき、冷たく…とまではいきませんが、あまりフレンドリーだはないですね。
色々想いが爆発して襲っちゃったり、かと思えば償いで応援したり。でもその応援が篤史にとって辛くなっていくという…、空回りな二人です。
忍が家を出た時は篤史は自分を責めて、何かもう読んでて可哀想でした。

最終的には丸く収まりますけど、忍の変わりようが個人的に「うわぁ…」でしたww なんか表紙からは遠くかけ離れたような…(笑)

樋口先生の今までの(読んだ中で)作品は、攻めがヘタレ気味になっても取り敢えずは「カッコイイなぁ…」で終わったのですが、今回は本当に「…え、うわぁ…」です!!(笑)

篤史の父親と久代さんの、影での努力もまた、涙を誘うものでした! っていうか、最初からの展開がもう可哀想で泣きはしませんけど軽い絶望というか空虚感を抱けると思います。

2

健気受と義兄と義父と

帯『十一年間、家族でいたのにどうして突然、俺を抱いたの…?』

前作の「愛はね。」が自分的にはピンと来なかったんで、今回はどうかなーと期待と不安半々だったんですが当りでした!今作はかなり萌えポインツ突きまくりでした~。

父子家庭の画家の息子篤史[受]は父の死により、幼い頃に同じ画家仲間の度会家に引き取られます。
度会家はやはり画家の父親と息子の忍との2人暮らしでそこに篤史が加わるのですね。
度会家の父である久代はあまり売れてはいない画家で、持ちアパートの家賃収入でかろうじて暮らしていたのですが、篤史が来た事によって絵を教える職業に週に数日着く事になります。
疲れた様子の久代への負い目もあって、高校生ながら連日家事にいそしむ篤史、愛情込めて作った夕食もキャンパスに向かう久代は絵に夢中で食事はちゃんと取ってくれないし、年上で会社員の忍は彼女や仕事の外食で家で食事を取る事が少ない、なので篤史は折角作った料理を一人で食べるのですがそれが何ともいたたまれないというか切ない。
もう折角作ったんだからみんな食べてよー!!せめて久代だけでも一緒に食事をとってあげろよー!!って気分になりました。
そんな篤史は久代に対して仄かな恋心と呼べるかどうかも微妙な愛情を抱いています。
ある日、眠った久代に触れている所を忍に見られてしまい感情がバレてしまう。
そして酒に酔った忍は、その酔いの勢いで篤史を犯してしまうのです。

忍がですね、言葉が足りないんですよ。
篤史の事が好きならもう少し優しくしてあげればいいのに従来の性格故なのかそれをしない。
でも読んでいる内に忍が篤史を好きなのは伝わって来ます。
渡会家に引き取られても姓が変わらなかった事もあって義兄と義弟という禁忌感はあまりありませんが不器用な忍の愛情が良かったですよー。

この作品のもう一つのテーマと言うべきなのは家族愛、それが疑似家族であってもそれは確かに家族愛、なのです。

6

この作品が収納されている本棚

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