仕事に厳しく人にも冷徹な上司・柏邑と、殺伐とした職場に慣れない貴逵。だが、柏邑の抱える深い傷を偶然知ってしまい!?

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表題作臆病なサボテン

貴逵遼平/銀行員監査部/25才
柏邑紘人/銀行員監査部課長代理/29才

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

仕事に厳しく人にも冷徹な上司・柏邑と、殺伐とした職場に慣れない貴逵。だが、柏邑の抱える深い傷を偶然知ってしまい!?
(出版社より)

作品情報

作品名
臆病なサボテン
著者
安曇ひかる 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344823495
3.3

(26)

(4)

萌々

(8)

(10)

中立

(0)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
10
得点
82
評価数
26
平均
3.3 / 5
神率
15.4%

レビュー投稿数10

安曇ひかるブーム中

マイブーム中です。
安曇ひかるさんの作品を、ちょいちょい読んでます。

まず文章が全く気にならない。読みづらい文章は言うまでもないですが、上手さと言うか表現過多な部分が目につくのは、気になってお話に入り込めないので、その点全く気にならない。理想の文体です。

程よい切なさと、変化に富んだストーリー展開とで楽しめました。

ただ、ちょっとお仕事部分が多かったような。というか、なじみのない部署だからか頭を使いました。あと、名字も読みづらいのですぐ読み方を忘れてしまうという……漢字苦手なもんで。

でも全体として、心地よく読める作家さんです。

1

疑問の余地がない完成作品

丸ごと1冊表題作です。貴逵の目線でストーリーは進んでいきます。

銀行の審査部に勤める貴逵(攻め)にとって、柏邑(受け)は苦手で頭にくる上司。ところが、休日に犬と戯れる柏邑を見かけ、興味を抱きます。犬が死んで弱って甘えてくる姿に惹かれていき…。

冷酷な上司の意外な面を発見して、惹かれていくのはよくあるパターンなのですが、そこに、柏邑の同期・堺と、融資先の関係者・水島が強引な追加融資を柏邑にさせようとする仕事の話が加わります。

柏邑らしからぬ水島への態度に、やきもきする貴逵。柏邑の過去に何があったのか、という謎もあり、水島の言いなりに融資をしてしまうんじゃないのか、というドキドキもあり。飽きさせない展開でした。もやもやしたまま終わるのかな、と思ったらちゃんと勧善懲悪なのもホッとしました。

恋愛オンリーでなく、色々盛り込まれていて、読み応えがありました。

キャラ使いもすごく良かったです!
貴逵のまっすぐな行動は読んでいて気持ちよかったですし、柏邑の冷たいようで実は優しいというのもツボでした。そんな柏邑にちゃんと気づける賢い貴逵は、良い男だと好感がもてます。
悪事に加担していた堺。彼の処遇も一筋縄ではいかず、単に水島に脅されて従っていたというわけじゃないのも見事でした。
柏邑の兄・優一や、ポチの扱いも素晴らしく、突然出てきた感はなかったですし、貴逵が柏邑を抱く時に謝るとか、ちゃんと最後まで登場させてくれたのが動物好きには嬉しかったです。

題名と内容が合致しているうえ、覚えやすい題名も良かったです。表紙イラスト、題名が「サボテン」なのに桜吹雪?と思ったら、ちゃんと内容に即したもので、申し分なかったです!

融資とか資金流用とか金融関係の話が出てきますが、丁寧に書いてくれているので分かりやすいです。また、読み飛ばしても問題ありません。

切ない場面もあるのですが、底辺にコミカル要素があるので、重く辛い印象ではありません。「大変失礼な発言をかます」とか面白かったです。

仕事もの、まっすぐ熱血漢年下攻め、ツンデレ上司受け、ハッピーエンドがお好きな方に、お勧めします!

3

お仕事BLの完成形!

お仕事BLは数多くあるものの、ここまでしっかりと描かれていて、でもBLとしても良い出来というのはなかなかないです!
仕事が銀行の監査ということで堅いです。
でも難し過ぎることなく、ちゃんと理解もできるしくどくないから読みやすいです!
ちゃんと働く男性という感じがします。
そこにはもちろん近づきたくない上司や噂好きな女性、不満ばかりの同僚だっています。そんな中、近づきたくないトゲトゲした上司の柔らかい姿を見たら…気になりますよね?異性同士ではそこからすぐ恋愛感情が芽生えてもおかしくないけど、そこは同性同士。ちょっとずつ気持ちが傾いて行く描写をお仕事の中に盛り込み、かつミステリーも少し加えて、最後は…ってかんじで一連の流れがスムーズで、文章がうまい!
萌えやエロさは少ないものの、一つの作品として良作です!

3

私のダメな『お仕事BL』の典型のような作品だった。

懲りずにイラスト買いです。いい加減懲りた方がいいと思います・・・

それでも、『安曇さんか・・・』(個人的にまったく合わないので。過去作もほとんど既読ですが、いいと思ったことがない)とかなり迷ったものの、他に買うものがなかったので買ってしまいましたが、やっぱり大失敗でした。
もうホントにイラスト買い止めよう!と何度目かわからない決心をしましたが、たぶん無駄に終わることでしょう。

ひとこと『仕事ばっかり!』です。ラブがない。あまりにも少ない。
もともと『お仕事BL』とでもいう作品が好みじゃないんですが(作品によって大好きなものもあります)、これはダメな方の典型のようでした。

仕事とラブが噛み合っていません。ここまで仕事描写なくてもラブに支障ないし、というよりラブが仕事に追いやられてるだけで、BLとしてはどうなんだと思いました。

で、最後に慌ててラブも入れなきゃ、って感じでしたね。この展開ならいっそHない方がいいんじゃないの?
とにかく仕事・仕事・仕事。私はいま何読んでんだ!?と辟易しました。

もうひとつ、キャラクターがまったく好みじゃなかったです。まあ、安曇さんではいつものことなんですが。

私は、攻はともかく受に対するストライクゾーンは、自分でもどうなんだと思うくらい広いんですが、それでも『ツンツンしすぎ』『口の悪い』受は例外的に苦手なんです。この柏邑(受)は両方ですから、もう何をどうしても無理。ここまで読むのがツライ作品もそうはないですね。

いやもう、貴逵(攻)はこの柏邑のどこがいいのか、理解できません。ただの悪食か?と感じたくらい。いや、Mなのか?

柏邑の過去のアレコレ(サボテンの原因?)も、兄とか犬とか、お涙頂戴かと完全に醒めてました。まあこれも、キャラクターが少しでも好きになれてたら、たぶん違った印象だったと思いますけどね。

『とにかく仕事描写』という方にはいいかもしれませんが、私は『ラブ』面が、量だけではなく物足りないことこの上なかったです。ラブストーリーとしては最低でした。

トータルでは、まるでいいところがなかったです(イラスト以外)。やっぱり安曇さんは合わないと再認識しただけでした。『イラスト買い』がやめられないなら、せめて『苦手作家』だけは避けよう!と誓いを新たにしました。

いくらイラストがよくても、これはもう『しゅみじゃない』しかありえないです。←イラストがいいから『中立』で、と思う作品も多いんですが、これは絶対無理。

8

ゆけ!リッチー・ブラックモア!・・・いえ、ポチです。

笑っている人が、本当に幸せとは限らない。優しい人が本当に良い人とは限らない。泣かない人は、本当に強い人とは限らない。今回、登場人物が主役二人を引き立てる役というよりも、それぞれ悩みながら人生を生きていて、その中で関わりあって話が出来ているというイメージを受けました。
一緒に仕事をして来た人でも、学生時代からの友人でも、家族でも、みんなそれぞれ知らない部分や抱えてるものがあるのだと思いました。

柏邑(受け)と貴逵(攻め)は、銀行の監査部という非常に厳しい仕事をしているのですが、柏邑は社内でいつも怒ってばかりで言い方もかなり厳しいしと、周囲から嫌われている。
会話のキャッチボールならぬ、ドッチボール。いや、バッティングセンターか!と思わせる勢いで、数々の部下を一刀両断していきます(笑)
もし、私の上司だったら、かなり苦手・・いや、嫌な人だなぁと思ってしまいました・・(笑)

そして貴逵(攻め)も、「正論を言ってるのはわかるけど、もう少し言い方ってもんがあるんじゃ・・・」と常々モヤモヤと思っているのです。
体育会系の貴逵は、休日をジョギングすることで、ストレス発散してるのですが道中、柏邑(受け)が飼い犬に微笑み掛けているところを目撃します。普段のイメージからかけ離れた姿にかなり驚きます。あの人も笑うことがあるんだ・・・。
と興味を持ち始め、ある日、本屋で買おうとしていた本を「俺が持ってるから貸してやる」という柏邑(受け)をもっと知りたいと、話をしてみたい・・と惹かれていきます。

その後、二人の距離が近づいたかと思ったら、柏邑(受け)に拒絶されて離れそうになりつつも、必死に追う貴逵(攻め)。攻め視点で話が進むので、一生懸命さが(というか必死さ)が伝わってきます。
二人以外に堺(受けの学生時代の友人であり、銀行員)と受けの亡くなったお兄さんに似てる医者の水島が出てきて、二人の関係にどう絡んでくるのかドキドキしながら読みました。

<以下ネタバレと感想になります>
そして不正融資疑惑。これは一体どうなって?貴逵(攻め)と一緒に推理していく中、柏邑(受け)から「俺の兄さんは事故で死んだんじゃない・・・・」と告白をされます。そして彼の過去を知ることになります。

もうお兄さんも切ないですが、柏邑(受け)は、本当に本当にいっぱい抱えすぎていて、理由は色々と有りますが、亡くなった兄の様に医者を目指して頑張って必死に頑張って・・・。でも頑張るほど、理想と現実は離れていく。

後半の攻めの台詞で「泣かないと駄目ですよ。あなたの心はお兄さんを亡くした日のままだ」というシーンに、タイムカプセルの話から今までの様々な柏邑の気持ちがあふれるように、ぶわっとした暖かいけど、切なくて、泣きたくなるような気持ちにさせられました。
桜が春の暖かい風に吹かれて、花びらが飛んでいくような。お兄さんが笑いかけてくれてるみたいな。

好きなシーンは、タイムカプセルを持って二人で手を繋いで走って逃げるシーンがあるんですが、高揚感が伝わってきて、どこまでもいけるような、ずっと一緒に手を握って走っていく。二人の気持ちがシンクロしていくのがわかるシーンが好きです。
抽象的な感想になりましたが、推理あり、ときめきあり、切なさありでとても素敵なお話でした。

1

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