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レビューなどの事前情報を得ずに、
まっさらな状態で読んだ方が、より楽しめるかも、と思いました。
というのも、記憶喪失の受が目覚めてから得る情報が
とにかく少なくて、読み手が理解するのも一苦労。
でもそれが、受の心理状態と一体化できる要因になっていて。
つまり、【記憶がない=情報がない】という状況を
受と同様な気持ちで、模索していくワケです。
なぜ?
どうして?
なんで?
とまどいや不安、安堵したり、疑心暗鬼になったり。
そういった様々な感情を、受と共有し、謎を解明していく・・・。
まるでミステリーを読んでるような感じでした。
そして、記憶をすべて取り戻した時。
すっきり爽快!
というだけじゃなく、複雑で、切なくて・・・泣きました。
王道な拉致・監禁も、テンプレとは一味違うし、
政治や宗教のダークな部分も盛り込んだ深みのある作品でした。
他にも、萌え要素がギッシリてんこ盛り♪
受の職業がイメージに合わなくて違和感を感じたのと
受の家族がなんか微妙だったな~ということ以外は
すんごくヨかったです!
初読は受視点。
そして改めて、攻の立場になって再読すると、二度おいしいです。
不器用で健気な執着攻が、とても愛おしかった!!
私、こういうの大好きなんです♪
その後のラブラブな話とか攻視点での話とか、もっと読みたいな。
成瀬先生、一生ついていきます!
はぁ(*´Д`*)ポポンッ
良かったぁっていうのが読み終わった時の気持ち。
これは書き下ろしが無かったら、涙涙で終わってたよね。
ほかの方が書かれてるけど、記憶のないハル同様、何があったの?どうして?って読んでいくうちに惹き込まれてしまった。
記憶のないハルもそんなハルを見守り続けたイドリースも辛かったろうなと思いつつ、幸せになれそうで良かったε-(´∀`*)ホッ
さらにそれを見続けてたハサンはイライラしてたんだろうなw
書き下ろしはハルの兄妹に笑わせてもらった。
特典の小冊子読んでみたかったなぁ。
<追記>
電子書籍で買ったんだけれども、特典の「神様お願い」があとがきとか奥付の後にひっそり収録されてたw
嬉しいサプライズ(なのか?)
目次とか説明にも収録されてるって書いてなかったから、付いてるとは思わなかったよ!
作品が持つ雰囲気と世界観が、とてもとても好みな小説です。
主人公のハルは、ある日気付くと美しく緑豊かな鳥籠の中に居た。
傍らには、まるで海賊のように片眼に眼帯をした褐色の肌の美情夫がいたが、眠りから目覚めたハルは彼のことはおろか自分のことも忘れていたーー
記憶がないまま、友人だというその男ーイドリースと鳥籠という狭い空間の中で幸せに暮らしていくが、ふとした瞬間、イドリースの自分を見つめる瞳に狂おしく狂暴な色が宿ることに気付きーー、というお話です。
ハルが記憶喪失で何も分からないままも、一緒にいて何故か安心できるイドリースと閉ざされた空間で二人で過ごす前半部分はとても良かったです。
多少冗長的な部分はあるにせよ、成瀬先生の柔らかく繊細な文章と美しく緻密な三枝先生の絵が神がかり的に上手く溶け込んでいて、作品の魅力を倍にしてくれていました。
表紙も凄く色使いが鮮やかでお気に入りなんですが、挿し絵もどれも素晴らしく、中でもハルが猫脚のバスタブで入浴しながらイドリースに髪を洗ってもらっている場面は、思わずうっとりしてしまう程、美しく素敵な一枚です。
正直、ハルの記憶が戻らないまま二人の世界が続いていく、という商業作品としてはあり得ない展開でも良かったと思うくらい、この閉ざされた世界観は好みでした。
それだけに、後半にかけて、二人以外の登場人物が出てきて記憶が少しづつ戻っていくと共に夢のような世界が壊れて現実に戻っていく描写は、仕方がないとはいえ残念な気持ちになってしまいました。
特に終盤、若干急速にお話が畳まれていく感じがしたので、もう少し記憶が戻っていく過程を人伝ではなくハル自身で体感して欲しかったのと、二人の甘い後日談をもうちょっと味わいたかったという気持ちはありますが・・、これは好みの作品故の我が儘でしょうか。
--それにしても、読み返す度にイドリースのハルへの愛情の深さがとてつもなく強いということがよく分かります。
帯『何も思い出さずに俺の傍にいてくれ―。』
アラブテンプレではなく、一風変わったアラブモノです。
何故ならこの主人公、ハル〔受〕はアラブの宮殿に軟禁されてはいるけれど記憶喪失なのですな。
記憶喪失だから何だどうなっているのか分からない。
その導入部分から、徐々に記憶を取り戻して行く過程が書かれています。
イドリース〔攻〕もアラブにありがちな強引な俺様攻めではなく、傍らについていてくれるといった攻で、隻目な点も気になりますがそこも含めて過去が明かされます。
アラブテンプレは苦手な方もこれはいけるんじゃないかな。
成瀬さんのファンタジー…ではなく、アラブ〜物です。
成瀬さんがアラブ…不思議な感じです。
まさかの一人称。
ただ『僕』なので、個人的にはホッとしています。そして、記憶喪失物です。
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受けのハルは日本人ということだけで、あとの記憶はなくしている青年。
気づくと体の筋力は衰え、一人では着替えもままならない体となっていました。
攻めは浅黒い肌に隻眼のイドリース。
アラブのザハラム王の第四子で、ハルを誰にも触れさせず、自分で保護し世話をしています。
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意識を取り戻した時ハルは記憶を失っていて、どうやら籠の鳥(比喩でなく大きな美しい籠)として暮らしてきたよう。
そのハルの世話をし献身的に尽くすイドリースは優しくて、なぜかハルにとっては見知らぬ人間であるにも関わらず無条件に安心できる存在でした。
この状況に、自分はイドリースに飼われているのでは?という疑問を持ちつつも。
イドリースがハルへ求愛するシーンはその後の無体へ続くものの、個人的には惚れ惚れしました。
跪いて服の裾にキス。
ああ、なんて王子様ちっく。や、本当の王子様ですけどね。
二年前までは、王位継承の最有力と言われていたイドリース。
ザハラム王国は戒律が厳しく同性愛は死刑という環境であり、さらに国民の模範となるべき高貴な身分でありながらも、イドリースはハルを求めています。
もう、献身過ぎて切ない。
ハルのこれまでの状況やイドリースの失われた左眼については後半わかってくるのですが、それは書かない方が良いかなあ。
まあ、監禁とか攫うだとかはアラブBLのセオリーだとは思いますが、ちょっとその辺りがこの作品は違うのでご興味があれば読まれて確認してみてください。
ただ、ハルの過去の記憶と現在が時折入り混じり、これはどっち?となる場面も。
これは一人称なので仕方ないですし演出なのだとは思うのですが、ちょっと分かりづらいですね。
その辺りが気にならなければ、高貴な王子が献身的に尽くす様に萌えると思いますよ。
記憶喪失前も恋人だったのならともかく、出来上がってもいなかった相手へなので。
こちらの作品、挿絵はひじょうにホワホワした雰囲気で可愛い。
が!
この挿絵のハルはどう見ても10代後半、よくて20歳くらいにしか見えません。
作中の話し方なんかも子供っぽいんですよね。
ただ実際終盤にハルの過去が判明すると、ものすっごい違和感が。
どう考えても20代後半だろうという職業設定です。
これって大学生くらいにした方が、無理がなかったのではと思いました。
そして極め付けは、本編の終わり方!
これは雑誌掲載だったらしく、文庫化にあたりその後の二人を書いたSSが収録されているのですが、これがなかったら『ええ!?ここまで読んだのに?』となります。
雑誌で読んだ方がお気の毒ではないでしょうかね…
まあ、このSSもちょっと御都合主義ではあるのですが、気持ちの落とし所は見つかると思いますので。