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一穂ミチ先生の作品、ちょいちょいおじさんが年下からいじらしく愛されて、きれいな若い男を抱くよね
おじさんらが読んだら励まされるのではないか
オジらは食わず嫌いはやめてBLを読んだらいいのに
和はホテルでゴミ箱のメモを読んだんだろうなって思ったよね
でも、それで8年も
8年て、5人くらいと他の恋愛出来たと思うんだけど良かったんだろうか
再び会いさえすれば、あの日に好きになった彼を確認できるって信じる程に、故郷で1日分にも満たない時間一緒にいただけで好きになっちゃったんだな
そういう出会いだったんだよね
好きで何年も待っていた人が夜、自分の部屋を見上げていたら…堪らないよね
就職だって簡単に入れる会社じゃないだろうに、和、頑張ったよな
しみじみ好きな話だったな、8年前一晩過ごした相手と海外赴任から戻ってきた会社で再会する。相手はつれなく冷たい。達生はソツなくこなす大人って感じだから必死さがないんだよね。何かを諦め始める38歳。和の事が気になるのに一歩が踏み出せない…。商社が舞台で砂糖にまつわる小話とかも含めてとても興味深かった。和がすごく好きなキャラクターだったな…マネークリップのあたりちょっと泣いちゃいました。何度も読み返したい。
8年も清坂を思い続けた和が、切ない。
出会って、1日にも満たない時間で恋をして。
その想いだけを抱えて、追いかけて。
清坂はずるいなぁと、離れることもわかっていながら、純粋な和に手を出しておいて、離れるのは辛かっただとー!
でも、そのときに連絡先や待っていてくれと伝えていたら、この恋は続かなかった気もする。
いや、和の性格からして待っていたか?
うーん、色々思うことはありますが、まあ、清坂も可愛いところはあるし、笑わせてくれたり。
煮え切らない男だけど、最後は行動を起こしたから、許す。
なんて、熱くなるのはお話に夢中だったから。
この作品のテーマと言うのか、軸にあるものがお砂糖なんですけれど、そのお砂糖の匙加減の絶妙さが、本編にも随所に散りばめられているような、ほろ苦いのに優しい甘さが物語を通して伝わってくるような、そんな癒しのお話でした。
読んでいて真っ先に思ったのが、優しいなぁ、ということ。
うーん、甘い、と一口に言ってしまえばそうなんですけれど、違うんですよね〜
一穂先生のお話って甘い中にエッジが聞いていて、スパイスの濃い部分と、素材の甘さと、みたいな絶妙さがあると思うんですけれど、このお話はスパイス部分が少し弱い感じの、どちらかというと優しい味わい。
登場人物の清坂さんに始まり、和ちゃん、あと、仁科さん。
皆優しい。性格はそれぞれあるんですよ。
清坂さんは穏やかでそれなりに疲れていてそれなりに大人でそれなりにまだ全部を達観できる訳でもない。
和ちゃんは人となりから見た目までとにかく、粉砂糖、の一言が良く似合う。
最初一穂先生の粉砂糖みたい、という表現に???と思ったんですけれど、読んでいくと本当にそう感じるからすごいですよね笑
あと仁科さん。仁科さんは静と動で言えば明らかに動の人。
けれど、大事なところを逃さない物言いとか、態度はさすが、出来る男なんですよねぇ。
和ちゃんの移動について清坂さんに電話した時、
清坂さんが「なんで分かる」って言った言葉に対して、
「なんで分からない」って言うんですけど。
仁科さん、さすがだなぁ、って思いました。
仁科さんは、大事な人やタイミングを逃がさない潔さがある人なんだなぁと感じました。
反面、清坂は思考タイプ。
考えて、逃げたり悩んだり、折り合いをつけたり、一見もどかしいけれど、でも大事なものを着実に増やして成長して大事に出来る人。
そして和ちゃん。和ちゃんの健気さと言ったらもう。
お話は清坂さん視点なので、8年の歳月の言葉にできないあれやこれやは想像するしか出来ないんですけれど。
そのひたむきさとか、健気さとか、優しさ、明るさ、慎ましさ。
もう、何だこの子…いい子すぎない????泣
さて、話は逸れましたけれど、このお話、攻めの清坂さん視点で進むからより面白いんだなぁと読んでいて何度も思いました。
再会ものってBLでは珍しくないし、読んでいるこっちもわりあい、既出のお話の流れにある程度免疫もついてるというか。
なんですけれど、さすが一穂先生だけあって、読んでいると、その出会いと再会がいかに切なくて幸せなことなのかと身に染みてきて本当に、さすがだなぁと思いました。
受けがもだもだぐるぐるする話も大好きだけれど、戸惑ってるのにどうしても気になって優しくしてしまう攻め視点だからこそ伝わってくる、みたいな空気感がすごく読み心地がいいというか。
「何をどう言ったって不機嫌になるんだよな。
一体何が気に入らなくてこうなっちまうんだ?」
こんな独白のシーン。可愛くてクスクス笑っちゃいました。
38歳、年相応の面の皮の厚さとおおらかさと、寂しさと、そういう色んな面を持った清坂さんが和ちゃんに対してだけ様子を伺うように少しづつ近づこうとする様が読んでいて本当に微笑ましかったです。
そして勿論切なくて鼻がツンとする部分もあり。
あと、一穂先生のお話を読んでいると、ちょっとした雑学というか知識というか。よりお話に入り込みたくて、単語やら文中の小話やらを検索しては納得するみたいな作業が挟まれるんですけれど。
このお話でもそれは健在で、自分の知らなかったことが沢山知れてそれはそれでまた面白かったです笑
は〜一穂先生祭りを勝手に開催してるんですけれど、当分楽しめそうです。幸せな限りです。
38歳と27歳の二人
八年のイギリス駐在を経て、やっと本社に帰社した達生(たつお)。
部下に、既視感ある色白の美青年・和(なぎ)が居た。
和から「寝た事がある」と声を掛けられて、思い出す。
和は、渡英直前に旅先で一夜を共にし、メモと紙幣を置いて、起こさずそのまま寝ている和を置き去りにした相手だった。
和は、その当時大学生。
達生が置いて行った紙幣を挟んだペーバーホルダーから、の刻印の会社を探して入社、他部署に配属されて異動願いを出して8年、ずっと達生に声をかける日を待っていた。
雪の女王のカイのように、凍った和の心が、達生から事情を聴いて解けていく。
和は、達生が失恋の傷心を癒やす旅人だと勘違いして、慰めるうちに恋をした。
同じ会社に入社して、達生の海外異動を知って、8年ずっと待ち続けた和。
信じられない忠犬のような愛。
あとがきの代わりのSSは、得した気分になるので良いですね。
砂糖貿易の経緯や歴史、北海道の北の海について知ることが出来ました。
面白かった。