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典雅節とか言葉の魔術師とか、素敵なタイトルをお持ちの典雅先生ですが、これこそまさに、その持ち味が存分に生かされた作品ではないでしょうか。
相手を貶める事で自分が優位に立とうとするクズ彼氏も、理不尽なハゲ上司も、言葉の刃で滅多切り。
悪者をケチョンケチョンに(言葉で)やっつけくれるので、気持ち良くて仕方ないんですよね。
また、主役二人の甘酸っぱい恋愛を通して、人生の教訓的なものまで学べちゃうのが素晴らしいのです。
私は落ち込んだ時、BLを読んで癒されますが、これは元気を貰えて前向きになれちゃう、まさにビタミンBL。
他人から傷つけられて落ち込んでる、全ての方に贈りたいですね。
ザックリした内容です。
DV彼氏にフラれた主人公・汐夜が、偶然知り合ったセミナー講師の海藤により、萎縮していた心を開放される。
そして、新しい素敵な恋愛を始めると言った感じになります。
このDV彼氏がですね、とにかくクズなのです。
別に暴力を振るうワケでは無いのですが、相手を精神的に萎縮させて支配する感じですかね。
汐夜はいつも彼氏の顔色を伺い、怒らせれば自分に悪い所があったからだと思う。
主人公が過去にあったエピソードを会話で語るだけで、直接描写されてはいないのです。
でも、ムカつく。
おいおい、そいつクズだよ!的に。
で、そんな主人公と知り合ったのが、講師セミナーである海藤。
紳士的で思いやりがあり、エロになるとちょっと変態っぽいのが楽しい大人の男性になります。
彼のすごいのは、決して汐夜を否定しないって所なのです。
話を聞いたりメールでやりとりしたりして、二人は親密さを増して行きますが、大方の読者が言いたくなるであろう「言いなりになってるからダメなんだよ!」みたいな事は決して言わない。
汐夜をちゃんと肯定しつつ、相手の問題点を冷静かつ客観的に指摘する。
で、自分は悪くないんだよと、汐夜の認識を変えて行くー。
ここまでで、読者はかなり気持ちいいのです。
が、更に気分爽快にさせてくれるのがここから。
海藤が講師をしているセミナー「いつまでも言われっぱなしでへこんでると思うなよ!~毒を吐く人に負けない強いハートの作り方~」に、汐夜とパワハラを受けてる友人・朝陽が参加するんですね。
このセミナーがですね、もう最高なのです。
こう、まさに「言葉の魔術師」本領発揮てなもんで、立て板に水の如く、「悪意を持って自分を傷つける相手」を滅多切り!!
毒を吐く人は、一見自分に自信があるから強く出るのかと思いきや、実はコミュニケーション能力が低く、相手とちゃんとした関係が築けない為、攻撃的になる。
人間的に成熟してる人ほど、ちょっとした事でいちいち激怒して感情のままに悪意を垂れ流したりしない。
自分の現状に欲求不満を抱えている為、誰かを攻撃せずにはいられないー。
そんな未成熟で低レベルな人間です!みたいな。
いや、気持ちいいーー!
また、そんな輩に対抗する為の、具体的な方法と、傷ついた気持ちのなだめ方まで伝授。
勉強になるーーー!!
こう、びっくりするほどの長セリフながら、グイグイ心に入るのです。
理不尽に傷つけられて来た主人公が、海藤の言葉により前向きになって行くのが、すごく爽快なんですよ。
この後ですね、大手メーカーのお客様相談室に勤務している主人公が、クレーマーから脅しを受けるんですね。
そこで、心配した海藤が急遽駆けつけと、この件により二人の距離が更に近付きます。
いや、すごく紳士的で好い人と言うイメージの海藤でしたが、意外と策士だったのにニヤニヤしちゃうんですよ。
オマケにエッチ時には、ちょいエロオヤジが入るのも楽しいなぁと。
本当、最高にいい攻めですよ。
二編が収録されていて、この後は一緒にセミナーに言った友人・朝陽の物語になります。
パワハラ上司に苦しめられてる彼ですが、この顛末には笑いました。
ハゲ上司、哀れ!
まぁ、同情はしないけど。
と、すっっごく勉強になる上に、気分爽快な作品なのです。
生きてれば他人から悪意をぶつけられて、傷つく事もあると思うんですよね。
優しくていい人ほど、自分が悪いせいだと落ち込んだり、自身を責めちゃうと思うんですよ。
でも、それは違います。
例え自分に問題があっても、悪意を直接的にぶつけて故意に傷付けようとしてくる相手の方が、よっぽど問題があるし性格も悪いです。
汐夜はクズ男と別れて海藤を捕まえと、幸せを掴むんですね。
そう、簡単に傷つけられてメソメソやってれば相手の思うツボで、幸せになる事こそが最大の復讐なんですよ。
人生の教訓まで来たよ!
実はこの作品ですが、好きなレビュアーさんがレビューしてくれたおかげで、知る事が出来たんですよね。
落ち込むたびに元気を貰ってるので、同じようにこのレビューで知って貰えて、読んで少しでも元気になってもらえたら、とても嬉しいです。
「『癒し攻』が疲れたあなたの心も癒します♡」
そんな帯文句を目にし、
「先生!私も癒し攻に癒されたいです!」
と思わず本屋さんで挙手しそうになりました。それぐらい、あまーい物を欲していた私。
何度か目にしたことがある小林典雅さんの、初ディアプラス文庫からの発刊となったこちら。
実はちゃんと読んだ記憶がなくて、何となく名前のイメージから、甘い印象はありませんでした(テンガ、なので…)
しかししかし、甘い物を欲していた時の自分の直感を信じて良かった!と思えるほど、とーっても甘くてキュンとするお話で大満足!
雑誌に掲載された表題作と、主人公の親友の描き下ろし【たまにはこんな恋のお話】の2作品が収録されています。
評価は『神』。
しかし、正直気分によると思っています。
言ってしまえば、ストーリー展開は単調ですし、先はしっかり読めちゃう。
大きな山場があるかと思えば皆無だし、
「失恋したその日に出逢った人がまるで天使のようで、
そんな優しさに惚れてしまう」(表題作)
とか、
「セミナーで出逢った王子様のような男に、
癒されてキュンとしちゃう」(描き下ろし)
とか、表題作も描き下ろしも、主人公のキャラがちょっと違うだけで進み方は代わり映えせず。
表題作の主人公・汐夜(ゆうや)は優しく静かめで可愛かっこいい。
書き下ろしの主人公・朝陽(あさひ)は小さいけど美人で男前。
そしてお互いのお相手となる攻めは、共通して「優しさ満開の癒しオーラ」の持ち主。
ご都合主義だなぁとも思うし、登場人物みんなカッコイイとかカワイイとかどれだけドリーム!とも思う(まぁそのドリーム感が最高なのですけども)。
それに加え、私自身、小林典雅さんの文章が少し読み辛かった。
これも好みの問題ですが、一つの「」の台詞が物凄く長くて、途中でつい斜め読みしてしまう事もありました。
……けれど。
そこまで思って居ながら、なぜ『神』なのか。
それは。
帯文句通り、バッチリ「癒し攻」に心が癒されたから!!!
これに限ります〃
イラスト担当の、秋葉東子さんの柔らかい画風にも心がほっこりしましたし、この帯の狙い通り、私の心はフワッとしてホワッとしてあったかーくなったのです。
それに、今作のキーワードである「癒し攻」。
その「癒し攻」と称される、表題作に出て来た海藤も、描き下ろしに出て来た八重樫も、読み終えた頃には、
「単なる癒しってだけじゃなく、二人ともちょっとSっけもあったんじゃない?」
というオマケ的な感覚も生まれたのです♪
実はコレも、後々じわじわ出てくるキュンでもあった、という。
自分の今の気分に、ピンポイントでヒットした作品♪
私の場合、「とびきり甘いのが欲しい!」と読後の後味優先で選んだので、読んで大正解、とっても癒されました♡
仕事で疲れた時に元気をもらえた大好きな作品です。
心理カウンセラーの海藤さんの言葉がお守りみたいに心に沁みて、なおかつ明るい会話に思わずくすっとしちゃいます。
以下、ネタバレありのあらすじです。
主人公の汐夜は大手メーカーのお客様相談室に勤務しており、日々のストレスに加え、彼氏からも突然別れを言い渡され散々な一日を過ごすことに。
飲めないお酒で酔っぱらい、へたり込んだところを介抱してくれたのが心理カウンセラーの海藤さんで…というお話です。
汐夜は散々な状況で落ち込んでいるのですが、小林典雅先生の手にかかると明るく面白くなってしまうのがすごいです!
汐夜と海藤さんの出会いも思わず笑ってしまって、普段穏やかで控えめな汐夜が酔っぱらって「俺がイチローだったらこんなふうに突然ふられなかったのでは…」とバッティングセンターに引き寄せられ、無謀にも松坂の球速を選んで、(もちろん全く当たらない)さらにヘロヘロになるところなど、何度もツッコミたくなってしまう可愛さがありました。
海藤さんはそんな酔っぱらい汐夜を面白がりながら、親切に介抱してくれ、ささくれた汐夜の心が少しずつ癒されていく場面に惹きこまれます。
二人はその晩をきっかけにメル友になり、汐夜は親友の誘いで、海藤さんの企業向けセミナーに参加するのですが、そのセミナーでの海藤さんの言葉が、仕事で悩む汐夜だけでなく読者にもすごく響く気がします。
〝上司や身近な人から辛い目にあったとき、相手の感情に自分まで支配されるのではなく、自分の感情は自分が決定権を持ちましょう〟ということを、時にユーモアを交えながら前向きな言葉で伝えてくれ、この講義の部分は何度も読み返してそのたびにお守りの言葉をもらえました。
海藤さんは汐夜を癒して元気づけるだけでなく、ちゃんと海藤さん自身の気持ちもオープンにしてくれるので、読んでいてとても心地良いお話でした。
もう一つ、汐夜の親友の朝陽のお話も入っていて、こちらもすごくオススメです!
汐夜と朝陽は性格は正反対なものの、お話を通して一貫する〝癒し〟がある気がして、誰かの言葉で傷ついた心を大切な人の言葉で癒してもらう場面がそれぞれ素晴らしいです。
朝陽のモノローグに「引っかき傷だらけにされた胸を相手の言葉が絆創膏のように優しく覆ってくれたような気がした」というのがあって、まさにこのお話そのものを表していると感じました。
あと朝陽も酔っぱらうシーンがあって(笑)朝陽の男らしい脱ぎっぷりを、優しい王子様のようなカフェ店長、八重樫さんが回想して語ってくれるシーン大好きです。
お疲れの時にもオススメの一冊です。
BLとしての萌え部分もさることながら、心理カウンセラーである攻めが講師となって開催された「いつまでも言われっぱなしでへこんでると思うなよ!〜毒を吐く人に負けない強いハートの作り方〜」というセミナー内容が、「悪意ある聞く価値のない謂れのない暴言に対する対処の方法について」というやつで、読んでてなるほどなぁと思うことが多く、理解不能な暴言を吐き散らす人間に遭遇したときの処遇方法として知っておいても損はないと思いました。
セミナーの最後に、締めの言葉としていくつかの名言&迷言を述べるのだけど、その中でこれ覚えておこうと思ったのが
「愚かな人に嫌われることを喜びなさい。彼らに好かれることは侮辱でさえあるから。」
フィリックス・レクエア
でした。
攻めの海藤は心理カウンセラーなので人の機微に聡く、スマートで穏やかな印象だったのに、受けの汐夜とお付き合い開始してから「バカップルデー」と称して、わたるん&ゆーたん呼びでイチャコラしてる姿を友人の旭日に見せつけるというアホなことをしてて、最初の印象と途中からの印象の落差がかなりあるけど、嫌いじゃないです。
【たまにはこんな恋のはじまり】
こちらは表題作の受けの友人・旭日のお話。
毎日のように上司からネチっこいパワハラをされ鬱憤が溜まってる旭日。
そこで海藤の「口撃的な相手の息の根を止めるトドメの啖呵の切り方」講座に出かけたところ、カフェの雇われ店長をやってる八重樫に出会い……というやつ。
この八重樫が、旭日曰く「物静かで落ち着いててほんわかしてて、マイナスイオン出てそうな感じ」な攻めで、読んでてなんか癒されます〜。
「あら?これレビュー書いてなかったっけ??」と見落としていた作品なのですが、わたしこの小林さんの作品好きなんです。
感じとしては『美男の達人』と『嘘と誤解は恋のせい』の間くらいの内容です。
『美男の達人』ほどはセミナー部分が多くなく、『嘘と誤解は〜』ほどは変態さんではないと言いますか。
受けの汐夜はメーカーのお客様相談室(苦情受付部ですね)に勤めるサラリーマンで、恋人に一言メールで別れを告げられ失意のズンドコで酒をあおります。
セミナーで公演(もしかして『美男の達人』のザザ・コミュニケーションズ?)をする心理カウンセラーの海藤が攻め。
ベロンベロンの汐夜を介抱してくれ、メル友として交流をはじめます。
海藤ははじめから汐夜を可愛いと思っていて、ちょっとした下心といいますか仲良くなれたらいなーという打算があったわけです。
汐夜は汐夜で、自分の情けないところを嫌な顔せず面倒みてくれた海藤に感動し惹かれていくんですが、ここで後半のお話の主人公となる汐夜の友達・朝陽登場です。
汐夜は、「そんないい奴いんの?」と疑う朝陽と一緒に海藤のセミナーに参加します。
そのセミナーがきっかけで距離がグンと縮まるのですから、朝陽に感謝ですね。
ストレス発散のためにオススメ品を持ち寄ったり愚痴ったりと三人で集うようになるのですが、その折の汐夜と朝陽の仲の良さに海藤が若干嫉妬していたりするから不思議。
朝陽の好みは某・癒し系老年女優なんですし、汐夜と朝陽じゃ「どっちが受けなのよ」ってなってしまう可愛子ちゃんカップルになっちゃうんですけど!
小林作品ではお馴染みであり、小林さんファンの方々はきっとお好きであろう変態さん攻めは、海藤がシッカリになっております。
まあ『嘘と誤解は〜』ほどは飛ばしてはいませんので、「過ぎるのはちょっと…」という可愛い読者さんも大丈夫!だと思いますよ。
そして後半は先に登場している朝陽のお話です。
私はこういう男前的毒吐き可愛い子ちゃん受けは大好きなので、こちらも楽しめました。
セミナーに参加してペアを組むのが攻めの八重樫で、こちらは素敵外見のカフェ店長さんです。
八重樫が大人しそうに見せて、実はベッドでは…みたいなギャップがすごい萌えます(笑
一粒で二度おいしい作品ですし、小林作品の中ではテンション大人しめですから電車の中で吹き出す危険は少ないですよ。