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表題作「願ったり叶ったり」
主人公の晴が、幼なじみで女好きの篤也に対し「もし自分が女だったら相手をしてくれたかも」と望んだことから体が女の子になってしまっていたという不思議系コメディーです。
「女の子の体になる」というのは好みが別れそうですが、自分はBLでなくても性転換ものが大好きなんて抵抗なく楽しめました。
他社様で断られたと書かれていましたが、確かにBLなのに「女の子の体で恋愛」はあまりないかも・・・。
篤也にはバラすものの、周りの人にはひた隠しにする晴ですが、「あいつなんか最近かわいくない?」など言われて襲われてしまう・・・的なお約束系の展開が楽しめました。シリアスでなくコメディチックなのがよかったのかも。
「女の間は俺が守ってやる!」て篤也の台詞にはどきっとしました。
でもこのどきっとは女の視点から見てのどきっとかもしれませんね・・・。
両思いになってからも、もし女の子としてのベッドシーンがあれば複雑だと思いましたが、そのへんはちゃんと考えられていて、女の子の間はしないと、ちゃんと男として好きだってわからせるように描かれていたのがよかったです。
気になるのは篤也が女好きだから女の子になりたい!て願う話だったのに、篤也もお前がずっと好きだった…てのがちょっと、え?そうなの?て感じでした。
「嘘から出たなんとか」
こっちらの方が長いお話で、カップルがすごくすごく好みでした。
誰が読んでも完成度高い!みたいな感動的なお話ではなく、何でもないゆるいお話です。ですが津田と神埼のカップルにすごく萌えた。
女好きで遊び人の津田は、狙っていた女性に告白するも、隣にいた神埼に勘違いされ、付き纏われることに。すぐ断るのがまあ普通なんでしょうが^^;
おかしなキャラクターの神埼に振り回されてそのままズルズル…。
このままつきあうの?ノンケなのに大丈夫なの?て思うんですが、友達か恋人か曖昧なまま関係は続き、次第に愛着がわいてくる津田。
シェアルームするか?と聞いた神埼が嬉しい!て喜ぶところや、しようと誘いながら震えてる様がすごくかわいかった。
ほだされていく、て言葉がぴったりな作品です。
すぐ終わるだろうと考えていた関係はそのまま何年も続き、でも相変わらず遊び癖の抜けない津田は浮気ばっかり。
無愛想で俺様な津田とハイテンションで馬鹿だけど我慢強い神埼。
我慢したり喧嘩したりを繰り返して倦怠期かな?もう終わりかな?なんて思うのはほんとに普通な世間一般のカップルみたいです。こういう普通のカップルのお話が大好きです。
こいつ馬鹿なのにと思いながら、出会いから何年もたったのに、どんどん神埼を好きになるという津田も、浮気しても我慢を続ける神埼も、単なる同棲中のカップルというより、家族になりつつあるカップルという感じがしてすごくよかったです。
おまけの、なんだかんだで神埼が他の男といると落ち着かない津田が面白かった。
もう少しラブラブしたシーンも描いてくれたら嬉しかったです。
オオヒラ先生の漫画は全部ツボでこれも読んでみたらまたツボだった。
笑えるラブコメでユニークな展開が面白かった。
受けも可愛いし攻めもいい体して男らしいし萌えた。
とにかくレビューを見ないで読んでほしい!
最初読んだ時は、単に面白いなって思っただけだったんですが、何度も読みかえしてしまいまして、そのたびにここに収録されている2本とも、こういうのってそうだよね、あるよね、って味わい深く感じるように。
別に感動系のお話でもないのに、主人公とシンクロしてジーンとしてしまったり。
やっぱりよかった☆☆☆
ただ、表題は主人公の女体化があったりするので苦手な方には・・・?
主人公の晴は幼馴染の篤也が女子に告白されているのを見た時に好きだと自覚したと同時に失恋したと思っているのです。
でもやっぱり忘れらなくて、彼の自由人さに一喜一憂してる。
そして、篤也が女子とキスしているのを見た時に、もし自分が女子だったら付き合ってもらえるのかな?って考えると翌朝、体が女子になっていて!?
同性に恋をした時、こういう思考ってひょっとしてあるんじゃないかな?
女子になった晴に好きだったと言ってくれる篤也だけど、それは自分の身体が女だからと思うと少し哀しいし。
篤也にとっては晴が好きということは男でも女でもどっちでもいいということなんだけど、やっぱり晴にとっては本当は男の自分を好きになってもらいたい。
そこの気持ちが上手く表現されていたと思うのです。
その後日談で、篤也は男でないと晴は晴じゃないとちゃんと認識してくれている部分がみられてほっとしました。
もう一本の『嘘から出た何とか』も、受けがずぼらででも攻めを愛していて、好きという言葉もないままの、少し惰性の関係なのが、やっぱりこの人でないと、という部分に持って行ってる部分がやけにリアルさを感じさせられました。
サークルの呑み会の席で隣に座った女子に告ったはずの津田だったのですが、OKの返事をしたのは、その一つ先の席に座っていた神崎。
女子は席を立っていてしまって不在だったのです。
神崎の強引に何となく流されて、勢いで抱いてしまい、それに興奮してしまった事と、神崎がやけに可愛く見えた事で二人は付き合い始め同居も始めちゃうのだけど。。。
この津田、結構よくある一般の男。
神崎はちょっとばかでずぼらで、津田はあんまり優しくなくて。
でも神崎は津田が優しい時は浮気してきた時って知ってるんです。
津田を失いたくなくて結構健気な神崎なんです。
彼が意地張ってるのも津田の為だったり、それには本当は付き合い始める時のきっかけが自分ではなかったことを知っていると言う後ろめたさもあったという、何だか神崎に切なくなっちゃう展開。
お互いに本音をさらけ出してなかったから、すれ違いを生んでしまったお話だけど、雨降って地固まるなお話でした。
どちらも受けの男子がかわいかったです。
始まりはビックリな設定だけど、その中身は意外にもきちんとしています。
オオヒラヨウさんは作家買いする作家さんの一人なんですが、
今回もとてもよかったです!
表題作は、受けが女の子になってしまうというファンタジーもの。
好き嫌い別れそうですが、女の子として好かれたい、抱かれたいんじゃなくて、男としてのそのままの自分を受け入れて欲しい、という受けの気持ちがかかれていて、ちゃんとBLだと思いました。
オオヒラさんはそういうアイデンティティ的葛藤みたいなのを描きたかったそうです。
しかし、そんな表題作よりも、同時収録の「嘘から出た何とか!」のほうが私は面白かったです!
脳天気ワンコ受けかわいい~(^O^)
普段おちゃらけた感じなのに、攻めの浮気になんにも言えなくて黙って気づかないフリする健気さっていうギャップ。
きっかけは誤解からはじまった二人。攻めは最初はなんとなーく受けとの付き合いを続けてただけだったけど、最終的になくてはならない存在になっていたとこがとてもよかったです。
書き下ろしの嫉妬をなんとか抑えてるとこ笑えました。
初読みの作家さんです。
どちらの作品も何処か暖かさを感じるような作風ですが、一途な受けの切ない思いがこちらにまで伝わってくる心情表現の上手さも感じる作家さんです。
「願ったり叶ったり」
昔から幼馴染の事が好きだった受け。
「自分が女の子だったら良かったのに」
そう何度願ったことか、と思っていたら本当に女の子になってしまったという少しSFチックなお話。
女の子だったら良かったのにとあれ程願っていたのに、男のままの自分を愛して欲しいと葛藤する受けの切ない気持ちが痛いほど伝わってきて、前後編でもとても読み応えのある作品でした。
「嘘から出たなんとか!」
表題作よりもこちらの方が何故か話数が多く、そして個人的にもこちらの作品の方が好きでした。
攻めは典型的な遊び人で受けは洋服の趣味がおかしいちょっと変わった子。
ある勘違いから二人の恋は始まるのですが、一途な受けに対して、攻めがまあちょっとひどい男です。
素直で積極的で変わり者でおバカな受けかと思いきや、攻めが本当は始め自分のことが好きではなかったこと、浮気していたことなど全て知っている上で馬鹿な振りをしていたというまさかのどんでん返し、そしてギャップがとても面白かったです。
ただ、それでも一途に攻めを思う受けにギューっと胸が締め付けられるような萌えと切なさを感じました。
また攻めもいつのまにか受けのことが大好きになっていて、これからは攻めの方が受けに依存するような関係になっていくのかも。