ボタンを押すと即立ち読みできます!
3巻。
構成は「fifth egg」「sixth egg」「絶望の色彩」の3編。
これまでの巻と同様に、今起きている佐竹への脅迫事件と、過去佐竹が捜査一課だった時の事件が描かれています。
特に本作では過去の連続OL殺人事件についてが大きい。
事件が2件起きた事で連続だと疑われた案件が、どうやら昔の一件を合わせて3件目だった事、それがわかったのに第4、第5の殺人を防げず、犯人も全くわからないこと、佐竹達捜査員が皆疲弊している事…
そんな間にも佐竹は高御堂と関係を切れず、名前の付けられない関係を続けている事。
この辺は、事件の謎解きのサスペンス感も非常に面白い。
一方、現在軸でいよいよ佐竹への脅迫は深刻で、それを背景にして幼少期からの育ての親である叔父に対するトラウマ/恐怖心や、能力の発現、高御堂が彼のやり方で佐竹を護っていること、その上なんと実直そのものに見えた黒岩に「何か」があることなどなど、過去と現在両方で目が離せない!
次巻は完結巻。一体どう着地するのか⁉︎今夜徹夜で読んじゃうかも…
fifth egg、sixth egg、絶望の色彩を収録。
fifth eggは、現在の話で、forth eggで江東が呼びに来て連れ出された佐竹が、事件に協力するというもの。痴呆症の老人の死をめぐる事件。子ども達が疑われる。娘が自供するが、見える佐竹にはその娘が犯人でないことが分かる。さすがに佐竹の特殊能力に気づいている黒岩。佐竹は捜査能力自体も高いようなのだが、特殊能力と言われてしまうと、どう学んでよいか分からないよね。。
謎解き自体はミステリーとしては語られないので面白みはないが、淡々と語られる軽い文体が読みやすい。
6th eggの方は、現在の佐竹の脅迫事件の続き。切られるなどだんだんと危険が迫ってくる。
黒岩も実直そうに見えて、実は潜伏している別件の捜査官なのか?という影が初めて出てくる。元公安の野尻が佐竹に情報を提供してくる。気になる佐竹である。しかしやっぱりただの堅物のようでもあり。。野尻については最終巻で何か展開がある模様。
絶望の色彩は、過去編の続き。
連続殺人事件を追う佐竹のいる市場班。しかし犯罪をとめることはできず焦りのみが続く。謎解きなどミステリー要素はなく、同僚とのやりとりや、年末年始を家族のいないもの同士で過ごす高御堂×佐竹の様子などが描かれます。今後は解決編しかない、というところまできました。
おお!表紙が(これまでよりは)BLっぽい! イラスト収録のない電子書籍版で読んでいるので、紙版には収録されているのであろう、ちょっとセクシーなシーンなどを絵として見ていないこともあってか、今回の表紙はちょっとキュンと来てしまいました(笑)
しかし、中身はキュンというよりは胸が絞られるような描写が多い巻でした。佐竹の刑事としての過去、そしてもっと幼少時〜少年時代のこと…。ああ、もう読んでてつらい。
展開としては、まさかの黒岩さんへも疑惑が生じたりして、やっぱり続きが気になるぞ!というところで。ああ、もう上手いなぁ! 最終巻を用意してから読みましょうね。
ひとつひとつ、明らかになっていく佐竹の過去や事件。
高御堂に抱いているものも、もう認めなくてはいけないところまできています。
脅迫状を送りつけた犯人の魔の手も佐竹に及び、過去佐竹の手で終わらせた月岡事件の模倣にならい、犯人は直接佐竹に刃をむけてきました。
自分が傷つけられた程度ではまだ冷静だった佐竹。けれど、突然目の前に現れた人物によって取り乱してしまう。
それは、佐竹のトラウマともなった原因、亡くなったはずの叔父。
叔父との過去についても語られて、その異質さに怖くなりました。
だからこそ、捜一時代のメンバーが佐竹にとって大事なものだったんでしょう。
その仲間を失ってしまった佐竹が、以前とは違う意味で人との繋がりを築くことを恐れているかを考えると切なくなります。
どうして佐竹が人と関わることが下手なのか。
どうして切り捨てるのか。
──失いたくないから。
それからもうひとつ気にかかるのは、黒岩の存在。
佐竹といいコンビだと思っていたけど、彼は佐竹に仇なす存在なのでしょうか。
それとも、考えすぎなのか…また謎が増えてしまいました。
今回で、やっぱり高御堂は佐竹に執着していると強く思ってしまう。
もちろん奴はそんな雰囲気は見せないんですが。
ポーカーフェイスうますぎるよ、たかみさん!
佐竹ももちろんですが、高御堂もいい加減認めなさいよ、と期待も込めて言いたいです。
佐竹の捜一時代のお話を読むにつれ、苦しくなる。
そこにいる佐竹は無器用ながらもみんなを慕い、そして無器用な佐竹をみんなが受け入れ世話をやき…そんなあたたかい情景が書かれていて、結末を知っているだけに胸が痛む。
胸に残る息苦しさ、そして整理しきれない謎。
次、最終巻にてスッキリするのでしょうか。
長丁場になりそうなシリーズは完結してから読もうと思っているのですが、表紙の高御堂(メガネ攻)が素敵すぎて、3巻目にしてついに手を出してしまいました。
既読の方には周知の事実かと思いますが
色んな意味で非常にBL色が薄いこのシリーズ。
まず基本的に受け/攻め視点が少ない。
同僚の警察から見た佐竹という人物、
佐竹と高御堂との奇妙な関係について
俯瞰的に語られることが多く
ラブメインでない
群像劇的な刑事ドラマとしての面白さがあります。
もちろん佐竹の視点を通して
高御堂との強い結び付きを感じとることもできます。
恋人という関係ではないけど、
高御堂は佐竹を心配して見張らせているし、
佐竹はそんな高御堂の存在に
精神的にも身体的にも支えられている。
人を殺した過去があり、
亡き叔父のトラウマにも怯える佐竹にとって
余計な気休めは言わず
欲しいものを与えてくれる高御堂の存在は
かけがえのないものなのです。
人のオーラが「色」として見える能力を持つ佐竹。
人を殺した人間のオーラは「黒」であるため、佐竹には事件の犯人がすぐ分かってしまう。
それを周りの刑事にそれとなく仄めかして事件解決に導きます。
前述の通り、佐竹視点で彼の心情が細かに描写されることは少ないため、読者にも事件の真相はギリギリまで分からない。
そこに事件モノとしての面白さがあります。
事件自体も、認知症の母親を殺したと
自首してきた娘と、その影にいる放蕩者の弟の存在・・・という世相を反映したドラマとなっており、淡々とした描写が哀愁を誘います。
非常に気になるところで終わっているこの3巻。
既刊をおさらいしつつ続刊を楽しみに待ちたいと思います。