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表題作オールモスト・パラダイス

穂村悠弥
北海道出身の編集アルバイト
桐秋潤
元美術の先生

同時収録作品夜空を見上げて待っていて

マギ
魔法使い
ウィン
ライカンスロープ

同時収録作品Gold,Ash,Darkgreen

マギ
魔法使い
ウィン
人狼

同時収録作品Caf? Winterreise

その他の収録作品

  • Call My Name

あらすじ

十年経ってもなお、穂村悠弥には忘れられない出会いがある。中学三年の春、北海道の片田舎に美術教師の桐秋 潤が赴任してきた。派手な服にフランクな態度、風変わりな教師はすぐに穂村の興味を引いた。放課後の美術準備室で彼に絵を習い、二人きりの時間を過ごすうちに、穂村の心は桐秋に傾いていった。そしてある日、穂村は桐秋をモデルに絵を描きたいと申し出る。もっと一緒にいたいと願った恋心は、二人に思わぬ悲劇をもたらし…。多彩な恋愛模様を描いた松尾マアタ作品集。

初回限定描き下ろしペーパー封入あり!
そして、ホーリンラブブックス(通販)もしくは芳林堂書店(店舗)で購入すると、
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(出版社より)

作品情報

作品名
オールモスト・パラダイス
著者
松尾マアタ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
心交社
レーベル
Chocolat comics
発売日
ISBN
9784778112752
4.2

(36)

(16)

萌々

(14)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
18
得点
154
評価数
36
平均
4.2 / 5
神率
44.4%

レビュー投稿数18

倫理観

『嘘つきは紳士のはじまり』を久しぶりに読んだ流れでこちらも。バラエティに富んだ短編集です。

生徒×教師もので再会もので未成年でと設定モリモリな表題作。とはいえ結ばれるときは未成年でも生徒と教師でもないわけですが。まぁやはり教師と生徒のありようとしては誤りだよな。『嘘つき〜』といい、この単行本に収録されている他のお話といい、松尾先生は倫理観とどう向き合うか、みたいなところをよく作品に書いてるようですね。相手を惚れさせる魔法は是が非か、なんかもそうで。

松尾先生はお元気なのかな?思ったらまぁまぁ最近(年単位)読んだ『BOSSY』の挿絵はそうか松尾先生。海外の雰囲気にも馴染む洒落た絵柄です。

0

温かさで包み込んでくれる短編集

◆オールモスト・パラダイス(表題作)
 美術教師の桐秋の纏う雰囲気が、優しく穏やかで素敵だなぁと思いました。そんな彼に恋をする少年、穂村。学生時代の思い出は儚く、唐突な別れは切ないものでしたが、再会後はぎくしゃくする間もなく、あっさり熱を高まらせる2人が愛おしかったです。桐秋はもっと慎重に事を進めそうなタイプに見えましたが、自分の欲求に素直に動くタイプで益々好感が持てました。

◆Cafe Winterreise
 やはり異国の物語は松尾先生のタッチに合いますね。失恋して、元々恋人と行くはずだった南国とは正反対のベルリンに観光しにきた主人公。そこで日本人がやっているカフェを見つける。こういう偶然が、まさに運命なんでしょう。BLとしてはここから、というところで終わりますが、その余韻も含めて心に残る作品でした。

◆Gold,Ash,Darkgreen
 狼から人間になったウィンと、彼の怪我を治した魔法使い・マギのお話。ウィンが元狼とは思えないくらい素直で可愛らしく、ところどころシリアスなシーンもあるのですが、マギとのやりとりを微笑ましく見守りながら読める作品でした。静かだけれど温かい心が伝わってくる、マギの雰囲気も大好きです。

0

北海道出身の作家さんならではの感性

表題作【オールモスト・パラダイス】
北海道の日本海側に面した小さな町に住む中学生と、東京からやってきた美術教師とのお話。

この作品で一番いいなと思うのは、北海道出身の作家さんならではの感性、感覚が作品の中に現れているところです。
主人公(攻め)が「東京に来て初めて日本はアジアなんだと実感した」と感じるところがあって、これを読んだ時に作家さんは北海道出身の方に違いないと確信しました。
(調べてみたら札幌にお住まいだそうです)
私自身は札幌に住んでた事がありまして引っ越した当時、11月とは思えない寒さに震えながら「北海道は亜寒帯」という事実を知ってえらく納得した事があります。(主人公とは逆ですが、亜寒帯ならこの寒さも仕方ないわーと異様に納得してしまったのです。)

かつてはニシンで栄えたけど今は寂れてしまった小さな町。10月末から雪がちらつき始める冬の訪れの早さ。そしてどんよりとした鉛色の空と蠢く日本海。やがて雪は毎日音もなく降り続けて、時には吹雪いて全てがすっぽりと真っ白に包まれてしまう冬。日本海側の北海道の冬は本当に雪しかないのです。毎日毎日ひたすら雪、ひたすら無彩色の世界。
その無彩色の中では、先生が着るカラフルな服、ゴーギャンの絵が描く楽園、といった色鮮やかに彩るものが心に強く訴えかけてきます。
冬だけではなく半袖シーンもあるので夏である事が判るのですが、夏の屋外のシーンはありません。花が咲き誇り緑が鮮やかな北海道の夏は描かずに、冬のイメージを強く打ち出す事によって故郷の記憶が無彩色である事、美術準備室で過ごしたひとときだけが温かく色鮮やかな彼らの楽園であったという事が胸に迫ってきます。

お話としては故郷での甘くて苦い思い出、そして10年後に再会するというどちらかというとシンプルなお話なのですが、作品にまとわせている北海道の空気感、色彩感が素晴らしくこの作家さんでしか描けない作品だろうなと思うのです。
あと先生の目を伏せたとき、扇のように広がる睫毛が好きです。


同時収録作の【Cafe Winterreise】失恋をした若者が衝動的に旅に出た先での出会いを描いています。
タイトルのWinterreiseはシューベルトの「Winterreiseー冬の旅ー」という恋人の不実により失恋した若者が町を出てさすらう、といった一連の歌曲集にちなんでいると思われます。
冬の次には春が来る訳で、そんな未来を予感させる終わり方が良かったです。

【Gold,Ash,Darkgreen】【夜空を見上げて待っていて】
ファンタジー・人外もの。魔法使いと元は狼だった青年のお話。
狼を思わせる気性の荒さは全くなく、自分を助けてくれた魔法使いマギの事を無邪気に素直に慕って時には健気になるウィンがとても可愛らしくてとても好きです。

ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品です。
日本、海外、そしてファンタジー・人外と舞台が全部異なりましたが、どれも違和感なくお話の世界にすんなりと入っていく事が出来て、世界観の作り方が上手だなと思いました。
教えてくださり本当にありがとうございました。

3

こういう感じ好きです

初読み作家さんです。
表紙の色使いとほのぼのとした雰囲気に惹かれて読んでみた作品です。
表題作シリーズは3話からなる本編と描き下ろしのその後のお話、他に短編が1作品と2話からなるちょっとファンタジックな作品が1作品が収録されています。
どの作品も好みで甲乙つけがたいです。
絵柄はそれほど好みではないのですが、ほのぼのとした雰囲気と時々ドキッとする位の色気を感じるカットがあって、ほのぼのとしたカットとのギャップに思わずガッツリ見とれてしまいました(笑)。
こういう差の付け方が上手い作家さんなのかもしれません。

ストーリーも現代ものと外国の時代物でファンタジーのお話と題材が全然違うのですが、どちらも好きでした。
ちょっと切ない部分があるのも作品を印象強くしていると思います。

0

少女漫画とBLのボーダー

こういうのを望んでいたのかも、と思わせてくれた作家さんです。BLコミックというよりは少女漫画を彷彿とさせます、しかも1980年代によく読んでいた頃の。

はい、BL漫画だよっ!とストレートに提供していただけるのは、探す時間や手間なく好きな作品を手に入れることができて非常にありがたいです。でも、全く予期せず読んでいてふとBLを想起させるシチュエーションに遭遇してしまった時のドキドキ感、というのが一番興奮するかも…てか、してた!とこの作品を読んで自覚しました。

表題作以外は海外ものとファンタジーです。表題作ですごいと思うのは、登場人物以外に全く女性が出てこないとか、出てくる人物みんながみんな同性に惹かれている狭い世界であるとか、主人公がものすごいトラウマを抱えているとか極端な環境設定なしに、この現代日本を舞台に自然にBL世界になだれこんでいっているところ。画はすっきり端正です。(でもなんか懐かしい感じがする。。)そして読んだ後、とっても優しい気持ちになります。この方の作品は全て読み尽くしたい。

男性同士の恋愛である必要はないんじゃないかと思うくらいナチュラルすぎて、逆に全然そそられんわ!と思う方もいらっしゃるかもしれません。完成された世界観の小作品や、安心できるストーリーが読みたい方にオススメです。

3

この作品が収納されている本棚

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