• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作ぎこちない誘惑

加藤嘉仁,会社員
末廣慎,大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

学費のため、SEの加藤を誘惑することになった苦学生・慎。次第に加藤の人柄に惹かれた慎は加藤の家に居候することとなり…! ?

(出版社より)

作品情報

作品名
ぎこちない誘惑
著者
椎崎夕 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
スペアの恋
発売日
ISBN
9784344825468
3.1

(18)

(2)

萌々

(4)

(6)

中立

(6)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
50
評価数
18
平均
3.1 / 5
神率
11.1%

レビュー投稿数5

こういう主人公の境遇設定すきなんです(汗)

健気なんだけど、いわゆる儚さとか幼さを持った健気じゃなくて、自分の境遇があってそれによって変化した、自分で何とかしようと周りを頼らないで頑張ろうとする健気設定って嫌いじゃないです。
特に今回の話の場合、両親や兄がいわゆる”ネズミ溝”なるものにはまり、自分を捨てて出奔してしまい一人取り残される。
しかも親戚にも迷惑をかけ、ある日ひょっこりと訪れた兄が改心した風を装って、主人公の友達まで騙してしまった。
そんな事があったために、なるべく人と関わらないように、迷惑かけないように、一人でなんとかしようと頑張っている主人公。
だけど、勉強が好きで大学は諦めきれなくて、一度自主退学しているものの、また頑張ろうとして、遠縁の援助を得て大学に入り直すんですが、というそういう部分もある。
不器用だけど、思わずこういう境遇で頑張っている設定は、ついつい主人公に自分的に入れ込んでしまいます~
作者さんが、自分基準で精一杯甘くしたとあとがきで書かれていますが、
割と椎崎作品が好きな自分からしたら、結構淡々とした話や、痛い人や、焦れる展開が多い中、かなり甘いお話になっていると思います。
それは雰囲気も甘いですが、展開も甘目な部分もあるという総合的甘さという意味も含みます。
なので、あれ?とか理不尽やイライラを感じる方もひょっとするといるかもしれませんね。

そんな主人公が、援助を受けているのは大学の教授でもある高垣。
彼から授業料を受け取り、振込に行こうとしたところひったくりに会い金をなくしてしまうのですが、迷惑をかけてはいけないと思っている主人公はそれを言えなくて、大学をやめることまで考えてる。
そこに、ある男の観察をしてできれば接近して様子を報告して欲しい、と紛失した授業料をタテにある喫茶店でのバイトを仕込んできた女子大生。
呆然自失状態なのと勢いで、ついそのバイトに乗ってしまった主人公が、観察して接触するのは”窓辺”さんと呼ばれる常連の加藤。
彼がネズミ溝に勧誘されているのを見て、助けたのをきっかけに彼と近づき、そして猫を拾ったことでアパートを追い出されるハメになったところへ偶然居合わせたのがきっかけで、加藤の家に家事などをするのとひきかえに一緒に住むことになる。

この加藤という男が実はクセ者で、ただ「いい人じゃないか~」で終わるはずもなくw
彼が一番のキーパーソンであります。
主人公は、この加藤と暮らすことで甘えるとまではいかないですが、気持ちの余裕ができるようになり、いちぢるしい変化を見せるのですが、この変化という部分は実は読者の自分にはわかりにくかったです。
それ以前との対比が少なくて・・・
多分に予想する展開が進められていきますが、恋愛は一体?という部分は後半に怒涛のように謎解きも含め押し寄せます。
そうだよね、こんなただ人のいい人だけだったらおかしいし、そこんところは大人でありました。
ただいかんせん、加藤という人間が見えにくいので後半の告白やがなければわからなかったでしょう。
そこはちょっとね。。。作りの甘さという部分につながるかもしれません。

だけど、加藤によって主人公が、その本来の誠実な人柄もあるし、勤勉で頭のよいところもあるし、それによって安心できる未来がちゃんとあるという部分に安堵したのであります。
それにしても、教授の高垣も、後見人ながらちょっと不器用でしたね(苦笑)彼がもっと話をしてくれていたら、主人公はこんなにも悩まなくてよかったのにねw
そして、女子大生!結構嫌なやつでしたがそれなりにいいキャラでしたよ。

3

二人の恋は良かったけれど

慎(受け)が主人公です。
ネズミ講にはまった家族に捨てられた苦学生が、よんどころない事情で社会人の加藤(攻め)を誘惑するためになるというスタートなのですが、全然誘惑していません。

むしろ加藤が押しが強くて、慎を言いくるめて同居に持ち込む状態です。タイトルの「ぎこちない誘惑」は、実は「加藤が慎を誘惑していた」と言いたいのですが、加藤は世慣れた男で全然ぎこちなさありません。

なので、主人公の慣れない誘惑を期待すると拍子抜けされるかもしれませんが、年上攻めが年下受けを甘やかす作品が好きな方にはお勧めです!

ただ、物語のキーマンとなる里穂子が子供っぽくていまひとつでした。
慎が加藤を誘惑するアルバイトを引き受けやすくするために「加藤は極悪人だから懲らしめたい」と嘘で同情を引くとか、言う事をきかないと恐ろしい目に遭わせるぞとすごむとか、慎が言いなりになる説得力のある人物だと良かったかなと思いました。最後に自分より年下と知って驚くくらい大人の方が面白かった気がします。

それと、家族が友人達を騙したことを苦に病んでいる割には、学費のために加藤を誘惑するバイトを承諾する過程に「人を騙す」ことに悩んでいる様子や、「うまい話を疑う」様子がないのが意外でした。

2

優しい仮面の攻め様と苦労人のピュア受け様の恋

家族に捨てられ、騙され、傷つけられ、その為にいつも他人との間に一定の距離を
置くようにして過ごして来た受け様が、トラブルに巻き込まれた事から始まるお話で
過去に悲惨な経験をしていながらも相手を恨むことも無く、冷静に物事を
受け止める事が出来る一方で、必要以上に相手の事を考えてしまう。
それは受け様自身が過去に捕らわれ、自分に自信が無いことの表れみたいで切なかった。
何処までも不運な受け様なんだろうって思うような前半部分なんですが
徐々に受け様が変わっていって他人と再び距離が近くなって行く様子はほっとします。

受け様は家族の為に大学を中退し、でも勉強をしたいと強く思って親戚でもある
教授で叔父から学費だけの援助を受けながらバイトしながら大学に行っている。
受け様は、他人を拒絶しているような暗い雰囲気を出しているので、当然のように
相手に好感を抱いてもらえない事が多いが、本当は凄く真面目でピュアなんです。
そんな受け様が大学の学費をひったくられ途方にくれている時に突然女性に高額の
バイトを持ちかけられ、冷静に考える暇も無く、ある男性を誘惑する事になります。
それが、システムエンジニアの攻め様で受け様は接点を持つために攻め様の行きつけの
店でアルバイトをする事になるのですが、そこでネズミ講に誘われている攻め様を見て
自分のするべき事も忘れ、お節介を焼いてしまう。
それが切っ掛けで知り合う事になるのですが、誘惑なんて芸当がそもそも出来るタイプ
ではない受け様は、折角知り合った先から自分から逃げ出してしまうのです。

捨て猫が切っ掛けで攻め様に半分強引に言われ一緒に住むことになった受け様ですが
次第に昔は普通に言っていたお帰りやただいまの挨拶をする相手がいる事で
受け様自身が気が付かないうちに影響を受けていてやわらかくなっている受け様。
攻め様の優しさに遠慮しつつも言葉とは裏腹に強引な攻め様のペースに巻き込まれる。

受け様は優しい攻め様に後ろめたさや色々な思いがあって・・・
でも、受け様にとって優しくて親切な攻め様は別の顔を持っているんですよね。
攻め様は受け様の目的も既に知っていての行動なんです。
もっとも受け様は騙そうなんて思ってもいなかったのですが・・・
攻め様の始めのイメージと終わりとではかなりギャップがあるんですが
受け様だけは、はじめと変わらぬ思いで攻め様を見ていて、ホントにピュアちゃんです。
攻め様に出会ったことで、過去の傷が癒され、明るさを取り戻した受け様。
攻め様の独占欲がこれからますます強くなるような予感を感じさせる甘めのお話です。

0

いい人が一番恐い・・・。

初読み作者さんですが、あらすじに惹かれ購入。
面白かったのですが、
正直言って評価するに当たり、かなり迷いました。
BLとして面白かったか?と考えると難しくて、「中立」かなと。

末廣は、親兄弟がねずみ講にはまり、どこかに消えてしまったという
家族の事情から、自分の学費は自分で工面する苦学生。
姿を消していた兄が、帰ってきてくれたと喜んだ矢先、
末廣の大学の友人たちから、末廣の名前を出し
お金を借りるといったことをしてしまったことからも、
大学を続けることが難しくなり、
人とかかわることを避けるようになりました。

そんな中、大学教授である親族から、家族の状態を理解し、
大学費用を援助してくれる人が現れるのですが、
学費を現金でもらい、帰宅中ひったくりに合う。
そこにタイミングよく、
学費をバイト代として与えるので、ある人を
誘惑してほしいというバイトを持ちかけられ、引き受けます。

誘惑してほしい相手・加藤に接触していくのですが、
加藤が、信じられないぐらいに末廣によくしてくれます。

読んでいて、加藤がいい人過ぎて、恐い!
学費を援助してくれる親族の教授も、何故?恐い!!
と、恐れながら読んでいました。

加藤は、腹黒だったのね~と分かり、安心しました。
いい人過ぎて不安になった分
腹黒でいてくれて、良かったと思ってしまいました(笑)
ただ、読んだ後に残った気持ちは、それだけでした・・・。

もうちょこっと、末廣に対して、腹黒い対応をしてくれたら
面白かったかな~と思います。

2

誘惑?

椎崎さんの書かれる、不遇の中でも健気な受けが好きでよく読むのですが、そんな受けが今回は攻めを誘惑するとあったので期待して購入しました。

でも、誘惑…して…る?
終始加藤が慎をリードしていて、誘惑に引っかかってるのはむしろ慎の方のような。うーん、期待していた分、ちょっと肩すかしだったかな。

あと、加藤の本音を最後にもってくるためでしょうけど、加藤の内面がわかりにくく、慎を好きになったことにいまいち説得力を感じません。
慎の昔の友人や、里穂子の依頼の理由、加藤と里穂子の関係、加藤の元婚約者、などの諸々の事情をキャラの言葉として一気に説明させるのも話の都合で喋らされてるようで違和感がありました。

キャラの設定や関係性は好みだったんですが、私にはちょっと合いませんでした。

1

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP