好きになってはいけない、恋してはいけない相手だなんて、知らなかった──

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表題作はじめてのひと

喫茶店のマスター 江島香
祖父と2人暮らしの夜学生 川村真巳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

家族を交通事故で失った川村真巳は、入院中の祖父と一緒に毎日をつましやかに暮らしていた。コーヒー好きの祖父のため、持ち帰りができる店を探していた真巳は、隠れ家のような喫茶店『翠雨』を知る。誰にも頼ることを知らず、甘えようとしない真巳を、店の主人である江島は優しく見守っていた。そんな江島にどうしようもなく惹かれていく真巳だが、江島の存在を知った祖父から、彼とはもう会わないでほしいと言われてしまう、彼は赦せない相手だから、と。混乱し、納得できずにいた真巳だが、そんなとき、男にキスしている江島を見てしまい!?
(出版社より)

作品情報

作品名
はじめてのひと
著者
椎崎夕 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813012221
3.7

(40)

(12)

萌々

(11)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
145
評価数
40
平均
3.7 / 5
神率
30%

レビュー投稿数7

泣けた……

帯『好きになってはいけない、恋してはいけない相手だなんて、知らなかった-』

やばい時期に読んでしまいました、もっそい泣けました。
身内が入院して同じ様に弱っていって病院で亡くなってからそう時間たってないので、無茶苦茶泣けました。
自分も真巳の様にもっと優しくして面倒みてあげれば良かったなあ。
仕事の忙しさとかにかまけないでもっともっといくらでも優しくしてあげれば良かったともう号泣。
真巳みたいにもっと頑張れば良かった。
闘病物とか病死物とか読んでたけど平気だったのにこれには涙腺直撃されました。
何この破壊力ーー。
おそらく凄く丁寧に丁寧に祖父と真巳の関係が書かれていて、祖父が実に人間らしいいい味出してて読んでる内にどんどん好きになってたからだろうな。
お祖父さんが凄くいいんですよ。
ちょっと頑固だけど唯一の身内の孫と2人で頑張って生きてきてコーヒーが好き。
入院中のその祖父の為に、持ち帰り出来る美味しいコーヒーを探していて真巳は江島の経営する喫茶店を訪れコーヒーを買いに行く様になるのですね。
真巳は夜は定時高校に通い、昼は働きながら祖父の面倒もみて健気に頑張ってるのですがリストラされたり祖父の余命が幾ばくもない事を知らされたりとそういうものが色々とのし掛かってきて、そんな彼が心の拠り所にしているのが何故か江島なのです。
祖父と真巳以外の家族は事故で亡くなっているのですが、そんな彼等に親身になってくれるのがかつて祖父に恩を受けた駒沢。
この駒沢も凄くいいです。
途中でもう駒沢とくっついちゃえ!真巳!!って思った位にいい男なんですよー。
江島と真巳は実は因縁とも言える関係で、他にも色々あって真巳は江島に自分の心を打ち明けられません。
まさに切ない恋で読んでて胸しめつけられる描写がしばしば。
二段組みで読み応えもがっつり、恋愛描写も祖父と孫との家族愛描写も丁寧にじっくり表現されてます。
読んだ時期が丁度シンクロしたっていうのもありますがまさに号泣作品でした。

挿絵の穂波さんはあれ…絵が変わった??持ち味である表情や線のまろやかさが減ってしまっていてそこが少し残念でした。
特に穂波さんの描く少年好きとしては、その良さが今回は出ていなかった様な~~自分的には前の絵柄の方が好きだなー。

6

ぜひ読んで欲しい

いつもレビューをする時に、タイトルに困るのです。
というのも、良いところが沢山ありすぎて、一言にまとめられないからなのですが。

椎崎先生の作品は初読みで、好きになるはずがないを購入するついでにたまたま少しだけ興味が湧いて、健気受け、年上攻め、登場人物のおじいちゃんに惹かれ手に取りました。

ですがまさかまさかの、好きになるはずがないよりも断然こちらの方が好みでした。

元々健気受けが好きなので好みの問題かもしれませんが、受けの真巳が本当にいい子。
いい子というか、健気受けによくある女々しい感じや不幸に酔ってる?感じが一切ありません。

椎崎先生の文体の影響なのかもしれませんが、辛い日々や過去も淡々と描かれていて、だからこそ胸にぐっと迫るものがありました。

そもそも登場人物が皆いい人過ぎるんです(褒めてます…)
おじいちゃん筆頭に、駒沢さん。
駒沢さんのんて、マジで良い人すぎて、一瞬江島さんの存在が掠れるほどでした。
この方のスピンオフ、出ないのかなぁ。読みたいなぁ、と思いつつ、けれどももう少しの間は、真巳の保護者として目を光らせて欲しいという淡い期待も無きにしも非ず…

そしておじいちゃんとの場面。おじいちゃんが絡んでくる一つ一つ、もう、駄目ですね。
涙腺崩壊も甚だしい。
真巳におじいちゃんが居てくれて、本当に本当に良かった。
愛を知らないまま育たなくて本当に良かった。

また、江島さん。
攻め様。なんなのこの穏やかなのに、えっちいキスをするお方は。
中盤で、最初で最後だと思い、他に好きな人が居るけれども処女は面倒くさがられてるからと言いつつ真巳がお願いするシーン。
あのやり取りは本当にもう、悶えて悶えてたまりませんでした。
だってどう考えたってその態度、江島さんは完璧にもう真巳に落ちてるじゃないですか。
なのになのに何も言葉にはしてくれない。
真巳は江島さんの真意なんて知るよしもないですから、夜明け前に目が覚めて隣で眠る江島さんを目に焼きつけるんですよ。
もう最後だってわかっているから。
たまらんよ…なんて切ないんだ……

そしてすごく良かったなぁと思うのが、挿絵で物語の先を想像できてしまう小説とは違って、いつ何が潜んでいるのかわからないという物語展開。
ギッシリ2段構成で、丁寧に綴られた恋物語は本当に素敵でした。

小冊子で続きが読めるそうなのでどうにか手に入れられないかと画策中です。

何度も何度も、読みながら手を止めて、切なさや愛しさ、辛さにぐうううっと唸ってしまいました。

思わぬ所でこんなに素敵なお話に出会えると思いませんでした。

穏やかで、けれどえっちい年上攻めの余裕のない態度が見たい方や、切ない生い立ちにありながらも健気に真面目に優しく生きている受けが幸せになる話を読みたい方、ぜひ読んで欲しいです。

1

珈琲屋さん

2010年作。椎崎先生の過去作品おっかけで購入したのですが、やっぱり先生好きだなあと再確認したので萌2にしました。美味しい珈琲が飲みたくなるせつなさたっぷりの一冊です。本編2段組230Pほど+あとがき。

両親は亡く入院中の祖父と二人の真巳(まさみ)。昼間は工場勤務、夜は高校の夜間部に通い、合間に祖父のお見舞いという生活です。ある日、コーヒー大好きな祖父のために、美味しいと聞いた珈琲屋さんの珈琲をテイクアウトできないかと立ち寄ったところ・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受け祖父、駒沢(昔受け祖父に世話になったという弁護士)、桧山(受け友人)、規一(攻め元カレ)ぐらいかな。駒沢さん良かったなあ。この方のスピンオフってないのかな。

++攻め受けについて

攻めに傲慢さ俺様風味が無かった!穏やかなじっくりゆっくり包容力たっぷりという印象です。受けさんは何もなければごく普通の高校生活をおくっていたであろう子。ただ両親+義兄がもらい事故で死亡し、父が事業を傾けていたせいで家を無くし、じいちゃんとほそぼそ生活するしかなかった苦労人。高校出てないのはやっぱりキツイです。そして祖父は病で倒れちゃうし・・不憫さんです。ひねくれず忍耐強いのは、本当に凄いです。

せつないお話の正統派、王道だと思うのですが、じいちゃんの親心が私を泣かせて、駒沢さんの恋心も悲しくて、とても沁みました。一生懸命頑張ってたら、幸せになっていいんだよ、とエールを送りたいお話でした。

2

物語として面白かった

主人公の受けと家族との関係性や、受けと攻めの関係性の進み方や背景など、BL要素だけでなく面白い作品だなと思います。物語の中心となる「翠雨」という喫茶店など、世界観にまつわる物事の描写がきれいでわかりやすく、内容に浸ることができました。主人公が後半に攻めに対してヤケクソになってしまうシーンに胸を締め付けられ、その後の展開描写も切なくて印象的でした。攻め側にも受け側にも当て馬的な存在がいるのがいいスパイスだったと思います。

1

涙が出ちゃうのはズルイヨー!

大洋図書での二カ月連続刊行の二冊目は何と二段組み!!
思わずビビって、中々手を出せないでいましたがこれが読んでみると案外スラスラと一気にいってしまえました。
面白く読むためにあらすじも一切見ず、チラ読みも速読も止めてじっくりいきましたが、この作戦は正解。
派手さはないけれど、丁寧に綴られているので二段組になってしまったんだな、と思いますが、
主人公と祖父の関係、
主人公と喫茶店のマスターの関係
主人公と弁護士の関係、
それらを全部ひっくるめた全ての関係は、必要なものでしたのでどれかが薄くなってしまったら、心にも引っかからない話になってしまったかもです。

何と言っても、実を言うと主人公達を置いてぐんを抜いて祖父であるおじいちゃん!!彼にもっていかれた部分があります。
このおじいちゃんに何度も涙を誘われて、こういうのって絶対無条件で感情移入して涙が出てくるに間違いないです。
ずるい、ずるい、と思いつつ、自分の祖父母とかをつい重ねてしまい涙がとまりませんでしたからね(この時点でBLからはずれてる?)
そして弁護士の駒澤さんにも・・・!!
彼が主人公・真巳にとてもよくするのは祖父に恩があるからとはいえ、本当に親身になっている姿がよくわかります。
そして、実は真巳が好きになるのですが、でも真巳の選ぶ人は違う人で振られる形になるのですが、それすらもすごく大人な態度で、正直だし、いい人なんですよねー!
この2人が助演男優賞ものですよ。
主人公とカプになるはずの喫茶店のマスター・江島はちょっと影が薄かったですもん。

真巳の心情はさすが二段組だけあってすごくよくわかりました。
彼の境遇、唯一の身内である祖父への深い愛情。
過去による我慢してしまう、ちょっと可哀そうな性格。
でも、それは少し大げさでもあるけれど感覚としてはごくごく普通の態度だと思うので、身近な人間だと思います。
そんな彼が初めて恋を自覚して、でも思うようにならないことに捨て身の行動に出るのは切なかった・・・
でも真巳に涙を誘われる事はなくて、やっぱりおじいちゃんなんですよねww

一方、攻めになるマスターの江島・・・これはラストの種明かしがあって初めてそうだったのかー、、ということで彼の心の動きはよくわかりません。
どんなに説明されても、コレ! という決め手には今一つ~
ただラストが、一応ハッピーエンドではあるものの、初恋の成就という一場面を抜き出して描いているので、その先はわからないわけで。
そんなエンディングに、思わず納得する自分がいました。

これでもか、という不幸オンパレードというわけではないけれど、それでも温かく見守ってくれる人達がいて、そこで救われる。
主人公の淋しい気持ち、切ない気持は充分に伝わってくるよい作品だったと思います。
何度読み返しても、おじいちゃんの下りは泣かせます(号泣でした)

10

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