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表題作トイチの男

行き倒れを拾われた男 茅野涼平 26歳  
きっちりしてる質屋店主 保久原悠 24歳

同時収録作品トイチの男

硅太郎 銀示のパートナー
銀示 悠の後ろ盾・画廊「醒花堂」 の主

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

童顔だがクールな悠は若き質屋の店主。雨の中、店先で倒れていた男を拾って介抱するが一文無しだったために店で働かせることになり?

(出版社より)

作品情報

作品名
トイチの男
著者
玄上八絹 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
トイチの男
発売日
ISBN
9784344825949
3.7

(29)

(8)

萌々

(9)

(10)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
106
評価数
29
平均
3.7 / 5
神率
27.6%

レビュー投稿数8

スーパー鶴

タイトルはルチルさまの限定小冊子から。
可愛くて可愛くて、何度も読み返してしまう作品です。

思わぬ拾い物をしてしまった質屋の悠。
悠に価値をマイナス1円とされた拾い物の男、茅野。
この二人のお話ですが、まぁ悠が可愛いのなんの。。。
玄上さん独特の話の展開で、モブキャラが少なく、舞台も狭いですが、キャラクターの人間性がよくわかるお話だと思います。
穏やかで代わり映えしないけれど、優しい雰囲気が素敵です。
玄上さんのお話の中では比較的読みやすい方だと思うので、初めての方にはおすすめです。

個人的なことをいわしていただければ・・・。
サブキャラの悠の後見人、銀二と硅太郎のスピンオフがよみたいですw

4

あああめんどくさい!!

受けも面倒くさい、攻めも面倒くさい、質屋のあれこれも面倒くさい、攻めの持ってたものに関するあれこれも面倒くさい!!
それなのに、私には神以外付けられませんでした……

由緒正しい質屋の店主悠(受け)が、行き倒れた謎の男茅野(攻め)を拾うところから始まります。
とにかくこの悠はなんでもかんでもお金に換算してしまう子で。
初対面の茅野が身につけているもの銀歯も含めて全てをお金に換算して、
貸し出したタオルやなんやを計算すると、茅野の価値はマイナス1円にw
大切そうに持っていた懐中時計の中身が気になるところですが、
大切なものだったら、と懐中時計を無理やり質草にしちゃったり、結構ずけずけした子ですw

対する茅野は、なんで働くのか分かんないと言って行き倒れるあたり、かなりの不思議ちゃんです。
臆病そうでいてヤクザを追い払ってくれたり、とにかく不思議で優しい。
押しが強いんだか弱いんだか、結構最後まで分からない。

展開的にはほんとうに静かで、ドンパチ好きな方には物足りないかもしれません。
前半は悠の言動がきっぱりさばさばしているせいでそこまで暗くはないのですが、
後半、悠を狙うヤクザがあるモノを持ってきたあたりから、物語は急展開していきます。

茅野の懐中時計の中身の正体にはじまり、茅野自身の正体、ヤクザが持ってきたものをどうしても買い取りたい理由、悠が頑なに質屋を守ろうとする理由、
そして、どんなに思いを寄せ合っていても茅野の手を取ろうとしない理由。

茅野はまぁ…芸術家の哲学を身にまとって中二病を盛大にこじらせた感じなのですが、
悠はちょっと複雑ですね……
悠の境遇と開かずの間(?)の関連が分かった時、とても切なくなりました。

恋愛部分ですが、二人が出会っておよそ10日。
すんごい早い展開だなぁなんて思ってたんですが、最後に種明かしがありました。
ほんと、茅野ってもうこれ以上ダメだって時に力を発揮するタイプだと思うww

3

囚われ姫のお拾い系

玄上先生、読み易くなったな~。
まず冒頭の、古めかしく頑固な体の老舗質店の風景が好き。
多分イラストじゃ表現するのが難しいことを、国語ダメ・橘に印象付ける文章力を尊敬します!

でもですね、内容は(特にキャラ)は読み辛かった~!
主人公達、なかなか橘に入ってきてくれなかったんです。
普通、BL小説の最初にはもう読み手と主人公キャラと一緒になって動いているのに、なかなかそうならなかった;
なんだか外側から覗いている感じなんですよね。

レビュータイトルに「囚われ姫」と入れたのは、この悠が自分で大きくした柵(しがらみ)からなかなか出てこないから。
悠には悠自身が思った「茅野といると楽しい」という素直な気持ちも棚に上げてしまえる程に『質店>悠』だったんです。
その柵を開く役の茅野なんだけど、これまた謎多きキャラでして。
読み手にも茅野にも最後の方になってちゃんと明かされる悠の過去に、やっとこさ胸のつかえが取れました。
ふぅ~^^;

自分と同じ様にもやもやした方、2回は読んで欲しいです。
そうすれば、2人のお喋りーHの値段やあれこれの算段ーが楽しめるでしょうし、
悠が知った「トイチ」の想いが、きっともっと切実に感じられると思います!

ところで、悠の師匠の2人の話、こっちの方が好みかも。
読みたいですね~^^

4

思いがけないヒロイモノ

題名を見ながら、「闇金ウシジマくん」とか「ナニワ金融道」とか思い起こし、表紙を見比べながら、きっと何もかも金勘定で動く人物が人との出会いによって、人間らしくなる話なのかな~?という予想をしながら読んでまいりました。

確かに主人公は、そういう人です。
行き倒れの人を見つけても簡単に救おうとはしない。
タオルだの布団だの逐一金額を計算して、拾った男の収支はマイナス1円!?
かたや、拾われた男は主人公より2歳も年上なのに親から望まれる姿になれないことから”働く理由がわからない”と会社を辞め、あげく行き倒れたという、中二病をこじらせたような不器用な人。
この拾われた男:茅野にはたくさんの謎がある・・・一体何をやっている人?
主人公の悠も一人で質屋をやっているのだが、昨今の流行りの買取&リサイクルは行わず、地道に昔のままの預かり貸付のスタイルを頑なに守っているのはどうして?
その謎は後半にはいって、怒涛のような急展開の中で明かされては行くのですが、
彼等が惹かれあうのにも、茅野がゲイ設定だからこその理由がちゃんとあったりして、一応気遣いがされている。
悠については、マイナスで厄介者な彼が面倒な顧客のヤクザを撃退してくれたときから見た目が変わり、まあ、いいかな流れで、そしてこれもまた金勘定の流れで(多分照れ隠しではあるだろう)関係にもつれ込むという流れ。

話的には、結構地味で静かな展開です。
どちらかというと、質屋というその派手でない老舗の佇まいをそのまま広げたような雰囲気が満ちています。
悠の過去、質屋にこだわる姿勢、そしてスタイル(営業方針)に固執する理由、そんなものがあるにせよ、
いかんせん、登場人物が主人公、モブとして客、トラブル要因としてヤクザ、主人公が頼りにしている鑑定士の二人、そんな人たちだけで構成されている話なので、
しかも静かに展開するので、悠には仕事関係以外で友達はいないのか?とか、遊びにもいかないのか?とか
まるで枯れ果てて店にいついてしまっている怨霊(悪く言うと)というか引きこもりみたい、な風に見えてしまいました。
すごく狭い世界の視点です。

残念ながらキャラクター萌えはありません。
主人公二人のそれぞれの抱えるモノが魅せる話でしょうか。
年上なのに、ヘタレでワンコでちょっと浮世離れしているふうな攻め、純粋培養な男といってもいいのだろうかwww

3

トイチ・・・良い響きです(笑)

なかなか斬新な設定ではないかと思います、昔ながらの質屋、トイチなんて怖くて
借りられないけれど、質屋ならありだと思えるから不思議、個人的には懐かしい感じで
実家の近くにもあった質屋を思い出してしまいましたね。
まぁ、今でも紺地の暖簾が掛かっていたりするのですが、このお話もそんな昔からある
老舗の質屋や舞台で、24才とまだ若い店主がネコのトイチと一人と一匹で営業してる。
派手さはないけれど、じっくり染み込んでくるようなお話でしたね。

仏滅か天中殺かと思うような最悪の日の最後に店の前で雨に濡れながら倒れてる
攻め様を、渋々助け、でも慈善事業はしていない老舗の質屋、助けた事に関する経費
クリーニング代やらタオル代やらポンポン計算して弱ってる攻め様に付きつける。
簡単に行き倒れを助けて流れで相愛になんて単純なパターンでないのもいいです。
読んでると、ここまで質屋の店主として金利に拘らなくてもいいのでは?なんて疑問も
浮かんでくるのですがそれは後半で意外な真相として明かされることになります。
かなりびっくり仰天で、切なくも哀れに感じてしまう。
そして行き倒れていた攻め様と言えば、こちらも何やら秘密めいているのか単に
甘ったれなのか意味不明な言動をしていて、受け様も半分理解しきれないのですが
やはり後半になると攻め様の正体が分かる事になります。
簡単には先が見えないストーリーで、先が気になる展開でちょっと、推理ものみたいに
感じてしまう感じもありましたね。
華やかではないし、淡々としているけれど、惹かれるお話でした。

3

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