• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作恋はシェリーグラスの中で

高田京介,28歳,デザイン事務所の一級建築士
伊勢崎隼,25歳,ゲイバーのバーテンダー見習い

その他の収録作品

  • 火曜日彼氏
  • あとがき

あらすじ

双子の弟と二人きりで生きてきたバーテン見習いの隼人は、弟をナンパしてきた建築士の男・京介と触れ合ううち、心を開きかけるが?

作品情報

作品名
恋はシェリーグラスの中で
著者
玄上八絹 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344833432
3.7

(15)

(1)

萌々

(9)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
56
評価数
15
平均
3.7 / 5
神率
6.7%

レビュー投稿数3

カクテルの話題がお洒落

初期はあれほど困らされた玄上さんの独特な文体
こちらの作品では、そんな癖はすっかり無くなってますね。

玄上さんの作品のあちこちで出ているBar Valentineというお店で働く
バーテンダー見習い・隼人のお話です。
お相手は建築士。

内容は定番の流れなんですが、
カクテルに関するミニ知識や、ゲイのカップルが家を建てるなら…など
興味深い話題がぽんぽん入ってきて、読んでいて飽きませんでした。

初め、攻めの京介は隼人の双子の弟・大和に惹かれ、
もう一度大和に会いたくて、バレンタインに通うようになります。
でも、大和には全くその気がないので、
通う曜日や時間をずらしたりして京介をきっちり避けてます。
店員である隼人も、客(大和)の個人情報は漏らさず、上手く話題を躱します。
この辺りの駆け引きめいた話は、
本当のゲイバーでもこんなことが起こってるんじゃないかしら…?
と思わせるリアリティと夢があって面白かったです。

両親に捨てられた隼人と大和が成長するにつれて、
大和の面倒を見る役割に依存してしまった隼人と
好き勝手してるようで、きちんと自立していった大和の対比は納得。
隼人が一杯心配してくれたから、大和は自立できたんだろうし、
大和を心配してきた隼人は、逆に
子離れできない母親みたいになってしまったんですね。

そういう隼人を見て、
『隼人のことは誰が心配してくれるんだ?』
って聞いてきた京介の優しさは、隼人じゃなくても身に沁みました。

以前「プライベートフライデー」でも、
ジントニックの意味を使ったエピソードがありましたが、
今作でもカクテルの符丁が幾つか披露されていて、お洒落でした。

この二人は中距離恋愛なのですが、
くっついた後も隼人が京介に合わせて転職したりせず、
互いの仕事を尊重してるところが良かったです♪

本編は隼人視点でしたが、
巻末SSでは、京介視点でラブラブ後日談が描かれています。
最後は友人からの電話で、恋人を紹介しろと言われた京介が
『見せない』
と即答し、
――どういうタイプなんだ?やんちゃで跳ねっ返りが好きだったよな。
と言われて、(これは大和がタイプだったってことですねw)
『残念だ。大切すぎて何の情報も漏らせない』
と答えて終わります。
甘すぎて、ニヤニヤが止まりませんでした♪

3

建築士×バーテンダー見習い

こちらのページより詳細なあらすじが本の裏表紙には描かれているのですが、それが微妙にネタばれ…というか物語の核になる部分に触れています。確かに、あらすじを作るのが難しいお話だなぁと思いました。

前半は攻の京介はほぼ空気で、完全に隼人と大和(双子の弟)のお話になっています。大和の素行に手を焼きつつ、それが生き甲斐のようになっている隼人ですが、子離れならぬ弟離れをするところからやっと京介と向き合うようになるんですよね。ここまでがまー長い。

前半、大和はかなりの文字数を使ってこれでもかと隼人を悩ませるのに、最後まで十分なフォローもされなかったので、厄介な弟に終始してしまった気がします。確かに隼人が京介と出会って交流を深める切欠にはなっているのですが、所謂「恋のキューピッド」的な存在ではないので、前半と後半で別のお話のような印象が残りました。京介も隼人もなんだか急にスイッチが入った感じで驚きました。

隼人が、バーテンダーらしく受け答えがしっかりした男らしいキャラクターだったのと、バーやお酒に関する描写が面白かったので評価は「萌」です。仕事帰りにふらっとバーに行ける大人になりたいと思いました笑

評価には関係ないですが、誤字が多かったなぁ…。

1

キャラがなー。

メインキャラが3人います。京介(攻め)と隼人(受け)と隼人の双子の弟、大和。

まず、京介。
スパダリなのに、少し残念な部分もある、惜しいイケメンなんです。
とても好きな設定のはずなのですが、少々モヤッとしました。

なにせ、始まりが「大和追っかけ」なんですよねー。
大和に会いたくて、せっせと隼人が働くゲイバーに通うんです。
客同士として知り合った大和の情報を聞き出そうと、兄とは知らず、隼人に声を掛ける…というシーンで、バーテンダーと客として交わす会話の駆け引きが、リアリティがあってなんだか京介って遊び人っぽい=軽そう、と思ってしまいました。

隼人はとても良いコでした。
紆余曲折あってバーテンダーとして働いていますが、努力家で真面目に仕事に取り組んでいます。
自己肯定感がめちゃめちゃ低くて、卑下してるけど、明るく素直な部分が透けて見えるのが、作者さんのテクなのかな。

そして大和。
自由奔放で周囲を振り回すが、なぜか嫌われない世渡り上手、という設定でしたが。
うーん、この子どもっぼさはアウトでしょう。
兄に甘え甘えられの共依存状態から、脱却を画策するのはいい。
でも、家出同然で飛び出すのはダメよー。
奔放に遊び回っているときも、洗濯などは兄任せで甘えておいて、なぜか思い立って独り立ち、ってどんだけワガママなんだ、と。
最終的にその大和の言動のフォローがなく、私の中では「好きになれないキャラ」として読了。

まぁ、隼人に惹かれ出してからの京介は鷹揚な溺愛系になって、そこが良かったので「萌」評価で。
話はテンポよく、読みやすかったです。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP