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kagaribi no tou chinmoku no kuchibiru
自分は小説を読むペースは比較的速い方なんですが、この作品はじっくりゆっくり読みました。
息子椿[受]は本家の嫡男でで有りながら母親によって盲目にされひっそりと隠し育てられ、父親の死後は孤島の灯台に幽閉されています。
島と言っても食料も無く灯台だけが有るというそんな環境で、年老いた女中が一人世話をやく為に居るのみ。
椿の異母兄弟の兄2人は、時折舟で食料を運んで来ては椿を慰み者にします、この辺の描写は結構ハード。
その灯台に椿の父親を殺した男、十佐が下男として世話役に入る事になるのです。
彼は椿の前では口をきく事を禁じられ、ひたすら彼の為に尽くします。
とまあざっとこんなストーリーなんですが、この作品の魅力というのは閉鎖されたあまりにも狭い空間の中で繰り広げられる精神とのふれ合い、そして十佐の苦しみと犠牲愛。
椿という少年の汚されてもいたぶられて、諦めている様にも見えてどこかしらつかみ所の無い措底辺に流れる強さ。
何より灯台という閉鎖された空間描写が溜らなく美しい文章で丹念に書かれています。
ラストは救いの手が差し伸べられたにも関わらず彼等は灯台に留まる事を選ぶのです。
孤島の閉ざされた空間のその灯台に。
あまり慣れない文体なので理解するのに時間がかかる部分もありましたが、時間をかけた分、情景が浮かびやすく物語に入り込めました。
痛々しいはずの描写も詩的に感じられ芸術的なSMを感じさせるようなものでした。著者の本意ではないかもしれませんが…
ただ、千代の手紙にあった言葉で、「決して生きることを諦めてはならない」と椿を託されたのだから、もう少し最後まで死にものぐるいで生への執着を見せて欲しかったです。それでももう手立てが尽き、死にかけた時にようやく綾倉家がやってくるくらいの方が椿の十左への想いがもっと高まったのかもと。十左は生きるか死ぬかの厳しい環境にいたのだし、何の知恵もない人間ではなかったはずでしょうから、自分の扶持だけ椿に与えて死を待つなんてのはちょっと頼りないなと思いました。二人の邪魔をする本家もいなくなったのだし。
でもあとで人物の特性を見たら十左はヘタレとあったので、それでよかったのかもしれませんが(笑)
最後の回想を読み終えたあとに何度も所々読み返したくなりました。
2人の境遇が悲惨だっただけに、最後はほんとに心温まりました。
痛々しいからこそ美しい話。
椿があまりにもひどい目に遭うので可哀想ではあるが、だからこそ、それぞれの想いが際立つ。
あまりにも痛々しいので、2人にはプラトニックな関係を築いてほしいと思ったほど。
最後に衝撃の事実が明かされるので、読み返したら印象も変わりそう。
このジャンルの作品にしては珍しく登場する女性が皆素晴らしい。
文章は読みづらい部分もあったが、とても良かった。
お互いを思い合う理想の主従が読めて満足。
とある塔に幽閉された椿は腹違いの兄弟に慰みものにされている。
華道の家に生まれたが生まれてすぐに盲目になったため、家を継げず、今は兄二人に虐待を受ける日々。
そんな椿のもとに十左という男が世話をするためにやってきた。
しかし、彼こそが椿をこの塔へ幽閉し地獄のような日々へと突き落した原因であった。
すごく痛いです。
どのぐらい痛いかというと、針や熱した簪が出てきます。
いやー使い方が(;・∀・)ライトSMじゃないことはお分かりかと思います。
まあ、SMっていうより虐待ね。ある意味大興奮だけど、苦手な方は読まないほうがよいです。大好きな方、ぜひお読みください(*´∇`*)
グイグイ引きこまれて一気に読んでしまう物語でした。
人も通わぬ絶海の灯台に、少年が共のものと幽閉されています。
食べるものにも事欠く暮らしの中、たまに訪れる二人の異母兄は、食料と引きかえるように異母弟・椿を犯します。
これが容赦なく痛いです。
椿が盲目となった原因も、犯される道具として用いられるのも針や簪のようなとがった金属で、場所も半端なく痛いです。怪しげな薬も服用させられます。
椿に忠実に仕える十左は、もと武士の家柄で、悲しい過去があり、償いの気持ちから椿に仕え始めます。
この過去も結構陰惨です。読み進めているうちに椿と十左の接点が徐々に見えてきます。
最後は二人の気持ちが通じ合って、ひっそりと肩を寄せ合うように、幸せに生きていくことができるのですが、そこに至るまでの道のりの長いこと!
江戸→明治のレトロな雰囲気や社会状況も的確に捉えられていて、痛いけれども読み応えがありました。
ただし、このような行為が苦手な方には、最後は幸せになりますが、お勧めしにくいです。