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表題作トイチの男

茅野涼平
行き倒れを拾われた男、26歳
保久原悠
きっちりしてる質屋店主、24歳

同時収録作品トイチの男

硅太郎
銀示のパートナー
銀示
悠の後ろ盾・画廊「醒花堂」 の主

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

童顔だがクールな悠は若き質屋の店主。雨の中、店先で倒れていた男を拾って介抱するが一文無しだったために店で働かせることになり?

(出版社より)

作品情報

作品名
トイチの男
著者
玄上八絹 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
トイチの男
発売日
ISBN
9784344825949
3.7

(29)

(8)

萌々

(9)

(10)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
106
評価数
29
平均
3.7 / 5
神率
27.6%

レビュー投稿数8

読みやすさとは…

不思議です。
読み返すのは自分だけだから、自分だけ分かっていればよいと、その前提で書かれた日記(SNSでもブログでもなく)のような文章だなという印象です。
つまり、伝わりにくい。
かといって、まったく理解出来ないかと言うと、そうでもない。
少し気を入れて、自分の中で補完しながら読み進めれば問題ない。流し読みとか、気軽に読むことが出来ないだけで。だけどちょっと疲れる。

レビューを読むと、これで随分読みやすくなったようで。「これで?」と驚いてしまいました。
きっと、珍味のような魅力があって、はまると堪らないタイプの作家さんなのでしょう。
嵌ると全作品追いかけずにはいられない、そうでない方は一冊でさようなら、なのかしら。
読みにくいとされている一冊を読まないと判断がつかない気もしますが。

初読みなので、他の作品がどうかは分かりませんが、もともと芸術の知識が深いのか、調べた結果なのか。どちらにしても薀蓄タイプ。
うーん、判断迷う~。大好きとも言えないけど、興味ないとも言えません。
まあでも、ペルシャ絨毯の織り方の動画を検索はしましたね。

0

本番部分よりもちょっとした触れ合いに萌える

先にスピンオフ作品『虹の球根』を読んでしまっております。
そちらはこの作品よりも前の時間軸なので、どちらが先でもあまり問題ない感じでした。
というか『虹の球根』が先の方が、かなりニマニマ出来ると思います。
そして玄上さんを表するのに良く使われる文章の独特さというものは、今回ほとんどわたしは感じませんでした。
かなり読みやすいです。

**********************
受けの悠は68年続く質屋『瑠璃や』の4代目店主、24歳。
可愛い顔をしながら辛辣で、人を見ればその身に着けた物の値段を目算するのが習慣。

攻めは悠に言わせるとマイナス1円の男、茅野26歳。
長身で見目も良く健康体でありながら行き倒れのような形で悠に拾われ、悠のところでバイトをすることに。
**********************

悠はとにかく何でもかんでも値段に換算するので、そんな悠に拾われた茅野には初っ端からタオル代だの布団代だのの借財が。
無一文でしたので唯一値段がつきそうな祖母の形見という懐中時計を質にとられ、茅野は悠のところでその代金分働くこととなります。

茅野は最初、仕事についていない理由を『何で働くかわかんない』と言っていて、その理由はなんだかんだと話題から避けてしまっていました。
そんな具合でもったいぶっていたわりに早々にその意味も一度は話しますし(本当は別にもあったけど)、悠は悠で茅野に胡散臭さを感じていた割に彼自身を受け入れるのもはやい。
茅野はゲイで、悠の元で質分働くことが決まった翌日には悠に惹かれている行動があります。
首筋に唇を寄せたりね。
それ自体もはやいだろ!とツッコミを入れたい気持ちもなくはないですが、まあそれは良いかなあとも思うのです。
恋だったら時間関係ないですし、その理由も実はという話も後々書かれますし。
ただ悠の方は偏見はなくとも(それはスピンオフの方のカップルのおかげ)一応ノンケ。
挿入はしないと言っても擬似セックスを承諾するのに100ページくらいというは、いささか速すぎやしないかなあ。
先に恋心を自覚してからの方が、自然だったのではとも思うのですが。
読み進めれば悠がかなり身も心も人肌恋しかったというのがわかりますし、だからこそ距離を保つのがうまくまるでずっと一緒に住んでいたかのような自然な茅野に惹かれたというのも理解できてくるのですが、それはまあ読み進めたからでありまして…
ええ?今OKしちゃうの?という気分になったんですよね、その時は。
擬似セックス以降悠は茅野の体を受け入れないけれど、気持ちの中では『一緒に暮らすのも悪くない』とか茅野からの質草について調べてみたくなったりだとか心は走り出しちゃってるんだからまあ恋に落ちていたんでしょうが。
最終的に語られる茅野の秘密と悠の秘密は、茅野の方がちょっと大仰過ぎに感じました。
普通にアレを所有してる資産家辺りでも良かったような…

個人的には、茅野が良く悠の髪を撫でたり梳いたりするのが何かすごく良かった。
首筋に唇を寄せるのも。
玄上さんの書き方もあるのでしょうが、その場面が頭に思い浮かぶのがすごい。
事細かにみっちり書かれているわけではないのですが、もうすごく萌えました。
しかしもう少し年の差でも良かったー。
表紙で思いっきり期待してしまい、肩透かし食ってしまった…(苦笑
二つ差だとは思わなかったなあ。

3

スーパー鶴

タイトルはルチルさまの限定小冊子から。
可愛くて可愛くて、何度も読み返してしまう作品です。

思わぬ拾い物をしてしまった質屋の悠。
悠に価値をマイナス1円とされた拾い物の男、茅野。
この二人のお話ですが、まぁ悠が可愛いのなんの。。。
玄上さん独特の話の展開で、モブキャラが少なく、舞台も狭いですが、キャラクターの人間性がよくわかるお話だと思います。
穏やかで代わり映えしないけれど、優しい雰囲気が素敵です。
玄上さんのお話の中では比較的読みやすい方だと思うので、初めての方にはおすすめです。

個人的なことをいわしていただければ・・・。
サブキャラの悠の後見人、銀二と硅太郎のスピンオフがよみたいですw

4

あああめんどくさい!!

受けも面倒くさい、攻めも面倒くさい、質屋のあれこれも面倒くさい、攻めの持ってたものに関するあれこれも面倒くさい!!
それなのに、私には神以外付けられませんでした……

由緒正しい質屋の店主悠(受け)が、行き倒れた謎の男茅野(攻め)を拾うところから始まります。
とにかくこの悠はなんでもかんでもお金に換算してしまう子で。
初対面の茅野が身につけているもの銀歯も含めて全てをお金に換算して、
貸し出したタオルやなんやを計算すると、茅野の価値はマイナス1円にw
大切そうに持っていた懐中時計の中身が気になるところですが、
大切なものだったら、と懐中時計を無理やり質草にしちゃったり、結構ずけずけした子ですw

対する茅野は、なんで働くのか分かんないと言って行き倒れるあたり、かなりの不思議ちゃんです。
臆病そうでいてヤクザを追い払ってくれたり、とにかく不思議で優しい。
押しが強いんだか弱いんだか、結構最後まで分からない。

展開的にはほんとうに静かで、ドンパチ好きな方には物足りないかもしれません。
前半は悠の言動がきっぱりさばさばしているせいでそこまで暗くはないのですが、
後半、悠を狙うヤクザがあるモノを持ってきたあたりから、物語は急展開していきます。

茅野の懐中時計の中身の正体にはじまり、茅野自身の正体、ヤクザが持ってきたものをどうしても買い取りたい理由、悠が頑なに質屋を守ろうとする理由、
そして、どんなに思いを寄せ合っていても茅野の手を取ろうとしない理由。

茅野はまぁ…芸術家の哲学を身にまとって中二病を盛大にこじらせた感じなのですが、
悠はちょっと複雑ですね……
悠の境遇と開かずの間(?)の関連が分かった時、とても切なくなりました。

恋愛部分ですが、二人が出会っておよそ10日。
すんごい早い展開だなぁなんて思ってたんですが、最後に種明かしがありました。
ほんと、茅野ってもうこれ以上ダメだって時に力を発揮するタイプだと思うww

3

トイチ・・・良い響きです(笑)

なかなか斬新な設定ではないかと思います、昔ながらの質屋、トイチなんて怖くて
借りられないけれど、質屋ならありだと思えるから不思議、個人的には懐かしい感じで
実家の近くにもあった質屋を思い出してしまいましたね。
まぁ、今でも紺地の暖簾が掛かっていたりするのですが、このお話もそんな昔からある
老舗の質屋や舞台で、24才とまだ若い店主がネコのトイチと一人と一匹で営業してる。
派手さはないけれど、じっくり染み込んでくるようなお話でしたね。

仏滅か天中殺かと思うような最悪の日の最後に店の前で雨に濡れながら倒れてる
攻め様を、渋々助け、でも慈善事業はしていない老舗の質屋、助けた事に関する経費
クリーニング代やらタオル代やらポンポン計算して弱ってる攻め様に付きつける。
簡単に行き倒れを助けて流れで相愛になんて単純なパターンでないのもいいです。
読んでると、ここまで質屋の店主として金利に拘らなくてもいいのでは?なんて疑問も
浮かんでくるのですがそれは後半で意外な真相として明かされることになります。
かなりびっくり仰天で、切なくも哀れに感じてしまう。
そして行き倒れていた攻め様と言えば、こちらも何やら秘密めいているのか単に
甘ったれなのか意味不明な言動をしていて、受け様も半分理解しきれないのですが
やはり後半になると攻め様の正体が分かる事になります。
簡単には先が見えないストーリーで、先が気になる展開でちょっと、推理ものみたいに
感じてしまう感じもありましたね。
華やかではないし、淡々としているけれど、惹かれるお話でした。

3

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