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表題作共犯者たちの蜜約

脅迫犯人で後共犯者 栂恭介
ワンマン社長の父を憎む息子で第二秘書 阿見川樹

あらすじ

ある日、阿見川政士(あみかわまさし)に脅迫状が届く。政士と息子の樹は「社長と秘書で、仲の良い親子」という体面を保ちながら、その裏で樹は父に虐げられて生きてきた。脅迫状の要求通りに金を渡しに出向いた樹は、栂恭介(とがきょうすけ)という男に酷い辱めを受けてしまう。
「お前の親父がそれだけ憎まれるような真似をしたってことだ」
恭介は、樹を汚すことで政士にダメージを与えようとしたのだ。何の効果もないと知らずに。樹は、理不尽な陵辱に堪えかねて、父と恭介の両方に復讐することを決意するが…。
危うい謀(はかりごと)の行く先は――!?

(出版社より)

作品情報

作品名
共犯者たちの蜜約
著者
矢城米花 
イラスト
高崎ぼすこ 
媒体
小説
出版社
竹書房
レーベル
ラヴァーズGREED
発売日
ISBN
9784812491157
3.2

(15)

(0)

萌々

(7)

(4)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
44
評価数
15
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

親は因果応報、子は憐れ

矢城先生らしい凌辱痛い系の作品、好き嫌いはあるだろうけれど、個人的には
この作家さんの描くエロくて痛い作品は割合に許せる痛さなんですよね(笑)
どこに基準があるのか自分でも解らないし、ハッピーエンドでも無いのですが。

内容は、かなり受け様にとっては理不尽意外に言いようが無いと思える設定で、
会社社長の父親とその秘書をしていて、公私ともにいつも一緒にいる傍から見れば
仲の良い親子関係、実は父親は外面が非常に良いだけで、受け様を常に罵倒し虐げている。
その理由が、受け様が中学生の時に判明した自分の子供ではないと言う理由。
母親が従兄弟にレイプされ身ごもり、その事を母親が隠していた為に、後に発覚し、
母と受け様は裏切り者と謗られ、身体的にも精神的にも痛めつけられ母亡き後は、
一心にその罪を背負えとばかりに受け様は悲惨な目に合う。

そんな日々が十数年続く中で、ある日父親が何者かに脅迫される事態が起きて、
犯人との折衝役を受け様が取る事になり、犯人と遭遇する時点で犯人からの嫌がらせと
思える事態が起こる、現金の受け渡しに出向く受け様を待ち構えていたのは、
電車内での集団痴漢行為の被害に遭うと言うもので、見知らぬ男たちに凌辱される。
そしてその後は犯人である攻め様からのレイプ、父親の身代りに痛めつけられる受け様。
その後、攻め様の思い違いで、受け様に対する仕打ちが無意味なことだと知り、
攻め様は後悔し、受け様と二人で受け様の父親への復讐をする為に共犯者になる。
しかし、受け様は共犯者として、攻め様と接しながらも自分を凌辱した攻め様をも
父親と同じく復讐を誓っているのです。

その後に、受け様と攻め様の奇妙なまでの生い立ちの酷似が知られる事になります。
受け様の父親は因果応報で自業自得のラストですが、受け様は何処までも可哀想。
でもその父親を考えると歪なまでの歪んだ情念も感じる気がしました。
受け様は最後に全てから解き放たれる事が出来る状況になりますが、自ら攻め様と
一緒にいることの茨の道を歩む事になります。
決してハッピーエンドなラストでは無いのですが、何故か後味が悪くない。
奇妙な運命に導かれているようなお話でしたね。

7

サスペンス?

高崎ぼすこさんのイラストに一目惚れ買いです。
繋がれてるし、なんか危険な匂いはしていたんですが…なかなかにシリアスでした。

社長を務める父の元、第二秘書として仕えていた樹。
表向き父とは仲の良い親子として対面を保っていたが、実は長年虐げられて生きてきた。
父との間に血の繋がりはなく、日々暴力と陵辱に堪える日々。
そんな時、父のもとに脅迫状が届く。
金を要求され、父の代わりに樹が受け渡しに行くが、その道中犯人・恭介の企みによって電車の中で集団痴漢にあわされ、そして恭介によってレイプされてしまう。

「お前の親父がそれだけ憎まれることをしたってことだ」

父に何の効果もないというのに。どうして自分ばかりがこんな目にあわなければいけないのか。
長年耐えてきたものが恭介のせいで決壊する。
最愛の息子が男にレイプされたとあれば、深く傷つくだろう。そんな考えで自分を陵辱した恭介に殺意を抱く樹。
父にもお前にも、復讐してやる。そう決意した───。

不憫というか理不尽というか。
決して樹のせいではないのに、怒りの矛先は弱者(樹)に向かう。
あまりの理不尽さに、胸が痛い。

恭介の正体は、途中分かりました。
だけど最後どう決着をつけるのか分からずハラハラしました。

日の当たらない道であっても、これが自分の選んだ、新しい道なのだ。
たとえ棘だらけの茨の道で、一歩ごとに足が傷つき、血が流れるとしても。

暗い道を歩むと決めた二人。
決してハッピーエンドではない。けれどどこか希望があるように見えるのは、樹が笑っているからでしょうか。

苦手なひとはとことん苦手な作品。
陵辱・強姦、集団痴漢に殺人計画。
取り巻くものは暗いものばかりで、甘さは一切ありません。
仄暗いものを読みたいかたは、ぜひどうぞ。 

2

共犯者としてのお互いの駆け引き

矢城さんもエロに特化した作家さんと評判があるようで以前から興味があった。
この本が初読みなのだが、まず最初に感想を言うとこの話はエロ萌えも、復讐劇としても中途半端に感じた。

エロシーン自体は冒頭から実父の凌辱、母親の遺骨を盗んだ脅迫犯の指示に従う中での電車内の集団痴漢、脅迫犯によるレイプと初っぱなからかっ飛ばしている。
地雷がある人はこの冒頭で挫折するかも知れないが、この話のメインはエロよりも樹が実父から長年受けていた凌辱によって蓄積された憎悪の行方のほうだと感じた。

脅迫犯の恭介を逆に利用して復讐の共犯者として担ぎ出したい樹の企みと、樹に対する己の勘違いに気付いた恭介の駆け引きが見ものとなっている。
しかし、最後までお互いを信じようとしないこの二人のどこに恋愛感情が芽生えているのかが掴み辛いせいで、話にいまいち浸りきれなかった。

他にも復讐を目論むにも善人すぎる恭介の迷いや、極力自分の手を汚さずに実父と恭介を共倒れに追い込みたい樹のしたたかさでもうちょっと入り込めたらなぁ…と感じた。
特に恭介が復讐に至った経緯を知ると、作中での樹の実父の人でなしぶりが徹底しているので、変に感情移入せずに済むかも知れない。

ワルとして徹底し切れない恭介と樹の、どんよりと曇り空が続くような行く末がどうなるかは分からない。

2

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