美の殿堂で繰り広げられるフェティッシュ・ラブ

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表題作恋色ミュージアム

柚原芳人,31歳,御曹司の新任美術館長 
群竹征哉,29歳,私立美術館の仮採用学芸員

同時収録作品愛色ジューンブライド

柚原芳人,31歳,御曹司で美術館館長 
群竹征哉,30歳,新米学芸員 

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

都内の私立美術館に仮採用された学芸員の征哉。
ほどなくして、経営母体である京都本社から、新しい館長が着任した。
創業者一族の御曹司・柚原だ。
ギリシャ彫刻をも凌ぐ美貌の新館長に、征哉はひと目惚れをする。
だが、柚原にはすでに婚約者がいた。
さらに、柚原は征哉が開催を熱望していた企画展の中止を決めてしまう。
恋心も企画展も諦められない征哉は……?

(出版社より)

作品情報

作品名
恋色ミュージアム
著者
鳥谷しず 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523175
3.5

(48)

(12)

萌々

(17)

(9)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
14
得点
160
評価数
48
平均
3.5 / 5
神率
25%

レビュー投稿数14

もう、最高!

鳥谷さんの新作を待ち続けて2年半近くになりそうです。
もう寂しくてたまりません。
未読のお話をぽつぽつ読んでいるのですが、これは大当たり!
この『生真面目なくせに、かなりの変態さん』こそ、鳥谷さんの王道キャラだわっ。征哉はそれにプラスしてなんかぽわぽわしているのが、更に鳥谷さんっぽくて良い。

征哉は完全な肉体美、特に『美しい尻』並々ならぬこだわりがあるのです。
リアル社会での恋愛経験が全くない彼の野心は、恋人を作ることではなく、美尻のギリシャ彫刻に囲まれること。
そう、すでに現世での幸せを諦めているんです。
そして妄想の世界でフェチ熱を満足させようとしているのね。
彼はその野望を実現すべく、押しかけの様な真似までして美術館の学芸員になりました。
ところが、彫刻をしのぐ美しい尻の持ち主が新館長として就任して来たのです!
夢にまで見た完全無欠の尻。
リアルでは決して会えないであろうと思っていた美尻。
館長はヘテロに違いない、婚約者がいるという話だ、どうも自分は嫌われているのかもしれない、等々思っていても想いは募るばかり……
で、破れかぶれの行動に出てしまうのですよ。

トンチキって言って良いお話だと思うんですけれど、やっぱり鳥谷さんのお話って品があるんですね。
征哉がどんなにお下劣なタイトルのDVDを見てたとしても、征哉自体は下品にならないんですよ。芳人も同様。お品がよろしくていらっしゃる。
そして、トンチキコメディであるのですけれど、文章運びがふざけていない。
おっとりとしているんですね。
アンバランスと言ってもよい様な感じなのに、決してミスマッチではない。
未読の方にこの不思議な『鳥谷ワールド』を是非堪能していただきたい。

鳥谷さん、
新作、お待ち申し上げております。

1

こだわりがすごい

真面目な美人学芸員が勤務する美術館のハイスペ館長に一目惚れ。恋焦がれる気持ちが健気。突っ走り気味でから回っちゃうのも、ドロドロした嫉妬も辛い…攻めのタイドが本当に辛い…でも好きだから!ってぶつかる気持ちに熱くなり、受けの美尻に対する熱意には総ツッコミ!受けが拗らせ変態パターンでした。

真面目すぎて美尻彫刻への執着もさることながらアダルト関連も研究に研究を重ねるタイプ。初めての温泉旅行のために「秘湯浪漫チンチン紀行」全6巻履修。意気込み!!何やらかすんだ~ってワックワクだったのに成果見れなかった…攻めのお尻もお披露目されなかった…小説の肩透かし、辛い…とても辛い。特典とかについてたんですかね…辛い。

えっちなことに焦がれすぎ、知識だけは豊富な受けちゃんが持てるもの総動員して、おしり弄っちゃうの、とんでもなく卑猥だったんだすよ。うわわわわーってなるやつだったんですよ。温泉えっち………露天風呂付きの離れにお泊まりなのに…泣きました、読めなくて。

彫刻についての解説は真面目なとこも裸体に対するとこもなかなかに興味深くて、あとがきに紹介されてた「バルベリーニのフォーン」検索したら元気になれたので、芸術って素晴らしいなって思いました!

0

すれ違いターンでの攻めの態度に心凍りました。

てっきりいつもの変態攻めだと思って読んだので、受けが変態という点は新鮮で面白かったです。

だけど攻めの場合には、変態ですけどそれがなにか?みたいな、やけに堂々とした態度が面白おかしい作品になるのに、受けの場合には後ろめたさを感じて必死に隠す方向にいくんだな……と。

受けは初恋が美尻のアポロン像という三つ子の魂的なフェチなんですね。
いつも雄々しく引き締まった尻に囲まれていたいから彫刻専門の学芸員になったという筋金入り。
なのに、うしろめたくて必死に隠そうとしてる姿が笑いを誘うというよりも、別に男同士なんだし、そこまで隠さなくて良くない?と思ってしまったんですよね……。
「おれ、お尻に囲まれて生きていきたいんですよぉ、だからお尻枕とか最高っすね♪」みたいにアッケラカンと言えるキャラなら、このお話は成立しないので仕方ないのですが……。

そして途中、すれ違いパートでの攻めの反応が、ブリザート級に冷たいので心が凍って痛くなりました……。
捨て身すぎる戦法を仕掛けた受けを心底軽蔑&嫌悪してて、極力触りたくもないといった感じなんです。
あの受けの思考回路もよくわかんなかったし……。

ゲイとして百戦錬磨で、罠とはいえ乱交写真を撮られたせいで、父親に京都を追い出されて東京に島流しになったというかなりな暴れん棒な攻め様が、誤解が解けた後にプロポーズするんだけど、先述の極寒対応も記憶に新しいだけに、急展開ぶりについていけずに本当か?と思ってしまったところも少し惜しい……。

誤解が解けたあとの甘々ターンは良かったけれど、最後まで攻めのお尻を拝見できなかったのが心残り。
鳥谷作品の変態攻めは、百合乙女やら薔薇の蕾やらあれこれ称して存分に堪能してるのに、この受けに限っては最後の最後まで攻めのお尻を拝めないんですよ。かわいそ。
お尻の穴でもないんだしケチケチすんなよぉぉと思ってしまいました。

2

変態は変態でも、超一途で健気な変態なのです!

鳥谷作品の中では評価がイマイチみたいですが、個人的には一番好きだったりします。

もう何回読み返したか分からないぐらいですが、毎回、受けの変態ぶりにゲラゲラ笑い、すれ違いには心を痛め、誤解が解け結ばれるシーンには乙女のようにうっとりしてしまう・・・。
で、それだけなら他の鳥谷作品と一緒のはずなのに、何故この作品はこれ程私を惹き付けるのかー。
分かればごくごく単純な理由だったのですが、こちら、攻めでは無く受けが変態なのが面白かったのです。

変態攻めがお約束になってる鳥谷作品ですが、今作では受けがびっくりするほどの変態。
なのになのに、信じられないほど可愛いのです!!
これ程の変態を、こんなに可愛く書く事が出来るのは、鳥谷先生をおいて他にいないんじゃないでしょうかね。

ザックリした内容ですが、私立美術館を舞台とした、新館長で御曹司の柚原と、尻フェチの学芸員・征哉による、誤解よるスレ違いがもどかしい両片思いものです。
変態でエロエロです。

で、とにかく受けである征哉のキャラが強烈なのです。
見た目だけなら清楚な美人なのに、中身は尻フェチで童貞を超拗らせたりしてて。
(彫刻の)男性裸像の臀部に魅せられ、尻好きになる→それが高じて学芸員に、てな具合で。
で、そんな征哉が発見した理想の美尻の持ち主・新館長の柚原。
彼も征哉の事を憎からず思っている雰囲気だったのに、誤解から二人はスレ違い・・・と言った流れなんですけど。

で、このスレ違いが結構深刻。
初読時はまだまだBLビギナーでしたが、ここまで受けに冷たい攻めと言うのは当時初めてで、読みながらかなりしんどい思いをしたんですよね。
また、征哉がスレ違いパートではかなり露悪的で。
いやもう、痛々しくて読んじゃいられないってぐらい。
このへんで好き嫌いが分かれそうな気もするんですけど。

ただ、この後が死ぬ程萌えさせてくれる展開なのです。
あのですね、誤解を解く為、自分の素直な気持ちと尻フェチな事を伝える征哉ー。
ここで明かされる、彼の変態ぶり。
いや、これまでも散々、征哉の変態ぶりは印象付けられてるのです。
が、これまでの比ではない変態ぶりが更に明かされるんですよね。
自宅に山ほど官能小説を集め、てな具合に。
しかし、これがこれが変態なのに可愛いのです。

何だろう・・・。
妙な所で勉強熱心で斜め上にズレてるのが最高と言いますか。
やってみたい体位の画像をネットで集め、ファイリングしていたり、官能小説の気になる表現にアンダーラインを引いてコメントを書き込んでいたり。
で、柚原から貰ったお菓子を、大事に小箱にとっていたり。
ちなみに、その小箱にはディルドが一緒にしまってあったりするんですけど。

そう、彼は変態は変態でも、一途で健気な変態なんですよー!
尻フェチぶりを言い訳しようとして、より自分の変態性を強調しちゃったりする要領の悪さまで可愛くて仕方なかったりするんですよー!!

あとですね、征哉はかなりの嫉妬深さだったり、恨み節と言った醜い感情を露にします。
この部分もまた、好き嫌いが分かれそうな気がするんですけど。
ただ、個人的には、こういうきれいごとだけでは済まない醜い部分って誰でも持ってるもので、それこそ生身の生きているキャラだと魅力を感じます。
また、征哉が自身のそういう醜い部分を自己嫌悪したり、反省したりするのも素敵ですしね。

まぁそんなワケで、変態受けがお好きな方、ぜひぜひご一読下さい。
変態攻めが代名詞みたいになってる鳥谷先生ですが、変態受けもじゃんじゃん書いていただけると嬉しいです。

4

受けの空回りと攻めの気持ちが理解できず消化不良

恋色ミュージアムだけで力尽きました。

征哉の片想いが切なくて苦しくて抑えきれない恋情を明後日の方向に柚原にぶつけて、嫌われ軽蔑されて。
どうしても恋心を捨てられない征哉が可哀想でしたがまたしても捨て身のアタックに、もう止めて!と思いました。ますます毛嫌いされちゃったよ。

柚原宛の手紙も読んでもらえずこのお話どうやってくっつくの?というところで柚原の婚約者だと思い込んでいた元秘書からネタバレ。

そして柚原に釈明のチャンスが。
なかなか信じてくれない柚原を変態部屋に連れて行きやっと誤解が完全に解けました。
征哉のコレクションもなかなかですね!

なんと柚原も征哉を好きだったとわかります。
自分が悪かったと今度は優しく征哉のいつか恋人としてみたい体位をしてくれたり、一生側にいてとプロポーズめいた言葉まで。

そこまで征哉を好きだとは。好きだったからこその征哉の嘘を信じて誤解しての強い嫌悪だったのでしょうが、こちらは長いこと征哉の辛さを共に読んできたのでいきなり変わり身感が強くて。優しいエッチも甘い言葉も素直に喜べませんでした。

愛色ジューンブライドでは美尻を見せてもらえたりもっと甘々が読めるのかもしれませんが、ディアプラスさんの本は一話目?前半?でとりあえずくっつくところまでいくので、お話によっては続きを読む気力がなくなることがあるんですよね。

諦めないで続きを読みますが規則違反かもしれませんがまずは表題作の恋色ミュージアムの感想を。

3

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