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表題作同い年の弟

白崎景輝(3か月違いの義弟) 大学生 20歳
白崎雪宏(3か月違いの義兄)大学生 20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

親同士の再婚で、幼い頃兄弟になった同い年のユキとケーキ。
自分より小さくて可愛い兄・ユキが大好きで、独占欲も人一倍。誰かと親しく話しているだけで嫉妬するケーキに、最近ユキは困惑気味。いつかケーキの想いは、兄弟愛を超えてしまいそうで…。
中学の頃に始まったスキンシップの延長で、挨拶のキスが当たり前になってしまった二人の危うい均衡が、密かに崩れははじめる──。

(出版社より)

作品情報

作品名
同い年の弟
著者
菱沢九月 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784198635329
3.7

(33)

(12)

萌々

(7)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
122
評価数
33
平均
3.7 / 5
神率
36.4%

レビュー投稿数8

タイトルと挿絵萌え〜

タイトルが意味深ですよねぇ。双子か義兄弟か、妹の夫か…。読む前から妄想が広がりんぐで止まりませんでした。これは大学生の義兄弟、ケーキとユキのお話。すっきりと読めて甘めな展開。ダークさはありません。

小学校卒業と同時に親の再婚で兄弟となった白崎雪宏(ユキ)と景輝(ケーキ)。二人の出会いから思春期、そして大学生となった現在に至るまでの軌跡が描かれています。大学生になってもベッタリな白崎兄弟ですが、特に弟ケーキの、ユキに対する過保護過ぎる執着ぶりが尋常じゃない。実家を出て同じアパートに住み、同じ大学に通う二人。おかえりとおやすみのハグ以上のスキンシップは、ちとやり過ぎじゃなぁい?

ユキは実父がカメラマンだった影響もあって高校では写真部に、体格に恵まれスポーツ万能なケーキは陸上部に入部します。ユキは写真部の先輩、飯島に手ほどきを受けながら、ケーキを被写体にシャッターを切り続けるのですが…。

元々二人は他人だったのだから、たとえ同性であることに抵抗があったとしても、近しい相手に恋人に向けるような独占欲を抱くこと自体、それほど罪深く感じる必要はないんじゃないのかなと思ってしまうのは腐った見解かしら(笑)

ですが、ユキは頑なに家族としてケーキと一緒にいる方を取ろうとするんですね。大学卒業後のことには思い至りもせずに。悪意のない当て馬も登場したりして、二人の関係は次第に煮詰まっていくのですが、きゅんきゅんさせてくれるのみで無駄に気を揉む必要はありませんでした。ホッ。別の作品を読んだ時にも感じましたが、濡れ場の描写は地味にエロティック。

先生の文章はさらっと読みやすくて好みです。兄弟モノは描き方によっては重たくドロッとした味付けにもできるけど、どのキャラクターにも変なクセがなく、どこかしら清廉な印象。挿絵のイメージそのままの繊細で端正な作風のお陰で、とても心地の良い読後感でした。

評価は挿絵込みで。

2

ケーキて。

同い年の義兄弟モノです。幼い頃に出会い、攻が受に長い年月をかけて片想いしていて思春期と共に暴走する…という展開は大好きなはずなのですが、この作品はそこまでグッときませんでした。菱沢九月さんらしい、穏やかで丁寧な描写ゆえかしら。あらすじだけ読むともっとハラハラするかと思ったのですが、どちらかというとまったりした気分で読みました。

また、受のユキがウジウジ…までは行かないもののちょっと湿っぽいキャラクターで読んでいて焦れったく感じました。

それにしても、ユキの台詞中の「ケーキ」って呼び方には最後まで慣れなかったなぁ…。

1

納得しながら読むことができた

義理の兄弟のお話です。
表紙の優しげな雰囲気や本の厚みなどから、切なめで読ませる系のお話なのかなと思いました。
切なさもありましたが、個人的にはあまあまなお話です。
そして弟・景輝の歪みのないワンコっぷりが最初から炸裂していたので、思いのほかキャラ萌えっぽく感じました。
ワンコ×ぐるぐると一言で言えてしまう感じ。
しかし、主人公の雪宏(受け)の背景がきちんと書かれているので説得力があり、納得しながら読むことができました。
景輝と雪宏は、太陽と月といった具合に正反対な人間性です。
なのでお互いが魅かれあうというのも凄く分かります。
特に雪宏は静かな性格なようでいて、写真に対する思い入れや景輝に対する羨望などといった情熱を隠し持っています。
亡くなった父親が雪宏の背景にちらついたり、自分の身体的なコンプレックスなども絡んでいるために雪宏のほうがより人間味を感じました。

景輝は、から回り気味な愛情や自信のなさ、過去の失敗などでいっぱいいっぱいなのは分かるのですが、あまりにも雪宏のことを理解していないような気がしました。
いたずらに嫉妬するばかりで、友達の少ない雪宏に「親しい人ができて良かったね」と言える思いやりもありません。
そりゃ雪宏も苦しくなっちゃうよと。
若さからくる未熟さなのかもしれませんが、景輝はそういう所にもっと気づいていってほしい。
執着攻めはとても好きなのですが、執着とは自分の気持ちばかりであり、相手を一人の人間として尊重していないのかもしれないと今更ながら考えさせられました。
ただでさえ閉じた世界に入ってしまった2人なのだから、それぞれの世界は少しでも開いてほしいです。
それはお互いを成長させるし、信頼関係のある恋人同士として長く続くと思うからです。
あて馬的な役割である飯島(雪宏の先輩)の方が何倍も安心感がありました。

素敵なお話でした。(ストーカーの子と大学の友人はアレだったけど)
好みの問題なのですが、それ以上でも以下でもありませんでした。

1

兄弟モノとして神作品だと思える

兄弟ものが大好きで沢山読みましたが、この読みごたえは今まで読んだ兄弟ものの作品の中でベスト3に入るくらい。
それくらい丁寧で隅々まで「兄弟での恋愛」という設定を堪能できます。
禁忌の恋という背徳感を味わいたい方も、そういう後ろ暗さは嫌で明るいほうがいいという方も、どちらにもオススメできる作品だと思います。

しかしこの書籍タイプの本、BLでは珍しいサイズです。ちょっと読み辛いんだけど、穂波さんのイラストをこのサイズで堪能できるのはおいしいかもしれません。

お話がすごく面白い!というわけでありません。劇的で涙のラスト、というわけでもありません。ただ、ひたすら丁寧です。それに尽きると思います。

雪宏と景樹は小学生の時に親の再婚で義理の兄弟になりますが、実際は歳の差は3ヶ月。学年も同じです。
ですが、ちゃんと兄と弟という役割が成り立っていると感じました。
景樹は男前だけど甘えたがりで弟キャラだし、人前でベタベタすることを嫌い、世間体を弟に説く雪宏は「お兄ちゃん」という感じ。
2人とももう20歳なんだけど、いまだに景樹は兄である雪宏にべったり。周りも呆れる程です。

昔から景樹は身体の弱い雪宏には甘く、異常なほどの執着心を持っています。
景樹は今でも雪宏に「行って来ますのちゅー」などをねだり、子供の頃ならまだしもちょっと普通の兄弟ではないのはわかるのですが・・・。

2人は一度だけ好奇心から身体の関係をもち(ただし途中で雪宏が拒んで未遂)それは今ではなかったことになっています。
景樹のヤキモチは度を越していて、雪宏に勝手に出歩くなとか誰かと二人きりになるななど独占欲むき出しです。その根底にあるものは兄弟愛を越している、雪宏を「愛してる」んだと本当は雪宏もわかっていながら気付いていないふりをしています。
景樹も、雪宏がそれを望むなら、一線は越えないようにしています。

「雪宏だけいればいい」それをはっきり口に出さないことで保たれているぎりぎりのラインがあるのはわかるんだけど、もう大人になって、この先このままじゃだめなんじゃと思うんですよね。

小さいころから写真に興味があり、高校の部活では景樹を撮り続けた雪宏。大学になっても弟をとり続けたいと思ったときに、写真を教えてくれた先輩から「弟がほんとに好きなんだね」と言われ、ベッタリなのは実は弟ではなく自分だったと気がつきます。

写真を撮り続けたのは一瞬も離したくなかったから。拒んだのも気持ちに気がつきたくなかったから。自分の気持ちを訴えれば景樹はきっと受け入れようとするから。そうしたら親に顔向けできないから。
様々な葛藤を、ほんとに雪宏という個人通して自然に丁寧に書かれている。
日常の中にあって、文章でゆっくり進む気持ちの変化を書き表した素敵な小説だな~と思います。

弟としてでなく、男としてお前が好きという景樹に、黙れという雪宏がすごくせつない。
兄弟であることの背徳感もほの暗さもきちんと描かれているけど、決して重くはなく、テイストはほのぼのです。

お互いずっと長い間、相手が自分を好きだと知っていてそれを認めてこなかった。
長い間キスをして抱きしめあって生きてきたことが兄弟として普通でないのに普通のふりをしてきた。こうしてみると異様さの際立つ感じもすごくします。
でもせつないとかよりも萌えてしまうのは互いがすごくすごく好きて誰にも取られたくないというのが伝わってくるからです。
ようやく「恋人」という関係になった後、「ちゃんとできるか」と怖がりながらも初めて最後までするシーンがせつないです。萌えるというより、ここで失敗したら終わりだという雪宏の恐怖が伝わってきて緊張します。

散々悩んだ「家族に言うか」というところまでは書かれていませんが、友人にカミングアウトするところまでは書かれています。それでも読み応えは十分。

雪宏の先輩でお邪魔虫でもある飯島に言われた「雪宏が好きなら他人を巻き込むな」という言葉がいい意味でも悪い意味でもこの作品をあらわしていると思いました。
雪宏のことになると視野が狭くなる景樹は「そんなことで他人にあたるな」と言われるのは当然だと思えるし、同じ大学の女子に関係がばれ「兄弟で気持ち悪い」と言われてしまうのだけど、それも「他人には関係ない」という結論で2人は毅然と立ち向かいます。

結局「出会って好きになってしまったのだから仕方ない」というありていの結論に至って終わるので、よくあるお話だといえばそうなのですが、その結末以上に素敵だと思えるのがここに至るまでの思いの長さだと思うので、読んでよかったと思えるお話でした。
義理兄弟ものとしてストーリーはスタンダードですが、神作品だと思います。

6

親が再婚してできた義兄弟のピュアラブ

この本を本屋で見かけたときにときめきました。
装丁が穂波ゆきねさんでとても素敵なイラストだったからです。
著者の方を存じ上げなくて穂波さんのイラストで購入という、申し訳ない買い方でしたが・・・

素晴らしい物語でした!
神認定させていただきました!
かなりボリュームのある本だったですが、あっというまにひきこまれました。
義兄弟という設定はすごくありがちなのですが、それでも二人の恋を応援したい!と思わせる内容。
暗くもなくねちっこくもなく。
しかし攻めの弟くんの我慢強さには圧倒させられます。
受けの兄も気づくのは遅いですが、昔から好きだったのは同じ。
途中に出てくる回想シーンは甘酸っぱくてキュンときました。
本番のために練習という名目で、おふざけのようなキスから始まり、徐々にその行為がエスカレートしていくところは、弟の理性の限界を感じて微笑ましく思え、なおかつ兄を好きだという気持ちが切なく。
若干兄の、キスは許してるくせにその先は拒むという不可解さはあったけれども、そこは兄としての葛藤があったことはわかるのでよしw
しかし弟の嫉妬深さはすごいw
これじゃお兄さんに友達できないんじゃないですか?w
でもそこまで愛されてるんだなーって思うとニヤニヤしちゃいましたがw
終盤出てくるストーカー女は必要だったのか・・・
まあでも男同士ということに対する葛藤も必要だったのでしょう。
絡みのシーンの弟くんの攻めはドキドキします♪
優しさの中に男らしくリードするとこがかっこいいし。
兄の、弟への気持ちを自覚したあと、絡みのところでかわいいセリフいっちゃうとこがときめきました!
口でしたいって言った時は、あの兄が!なんて思っちゃいましたしww
弟くんもすっごく興奮してて、もう私顔がにやけぱなしでどうしようかと思いました(*ノ∀`照)

とても素敵な物語をありがとうございます。

8

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