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表題作ソラのひと

宇来学,29歳,高校2年生→占い師兼レジン作家
白谷唯愛,28歳,高校1年生→リーマン

あらすじ

唯愛には忘れられない人がいる。高校のワンゲル部の先輩・宇来学。誰とでもつきあう遊び人のくせに、孤独を纏っていた人。学と再会した唯愛は、十年ごしの告白をし辛辣にふられた。だがレジン作家である学の作る美しい“空"は、部活で唯愛と見た景色を忘れていないと伝えてくる。諦められない唯愛に、意外にも学が恋人になるチャンスをくれた。“嫌い"から始まる仮初めの関係でも嬉しくて、両想いになるため頑張る唯愛だが――。唯一の愛を探しにきた宙(そら)の人の、これは恋の記録。

作品情報

作品名
ソラのひと
著者
朝丘戻 
イラスト
苑生 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784778131517
4

(54)

(33)

萌々

(7)

(3)

中立

(7)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
12
得点
209
評価数
54
平均
4 / 5
神率
61.1%

レビュー投稿数12

何度も読み返したい作品

日常なのに非日常。
高校の頃、好きになった人を忘れられず10年。占いをしているという彼に会いにいくが、ひどく拒絶された唯愛。
まどろっこしくじゃなくて、言いたいことは伝えていこうと、再度先輩である学に会い告白をする。「嫌い」と言われて落ち込むが、学の作ったレジン作品を介して連絡を取り合い、学から付き合うという返事をもらう。

最初は学の性格や素行の悪さに、何でこんな人に唯愛は惹かれるのか不思議でした。
でも、唯愛と付き合うようになり、学が人を愛すると言うことを知り、まるで別人になる様や、唯愛が自分を隠さず学と向き合う姿勢を見ていると、愛が溢れすぎて幸せでした。
ポエムやキスをする為のちょっとした約束。
二人だけの密かな楽しみを垣間見られて、心が温かくなり、朝丘先生らしい日常の素晴らしさが伝わる作品です。
その中での非日常。学が宇宙人であること。
これを明かされた時の唯愛が、学を愛している上で不安や彼の今後が心配でいっぱいになりながらも、自分の意思をしっかり持っていて、強さを感じました。
そして、その後に訪れる別れ。
一気に読んでいれば良かったのですが、限られた時間で少しずつ読み見進める私は、学が去った後の学の嘘を読んだ所で本を閉じなければならず、それぞれの気持ちを考えながら1日過ごすのは、本当に辛かった。その分、その先を読んだ時に、涙が溢れました。

こんなにも素晴らしく、難解な設定を思考し執筆できる朝丘先生に敬服しました。
何度も読み返したい作品です。

6

私にはハマりました!

年に何回か号泣する作品に出会うのですが、今期初めての作品がこちらでした。

読み終わるまでにタオルハンカチがぐしょぐしょになって、顔中いろんなもので大変になっていて朝に瞼が腫れてました。笑

あらすじや帯の惹句、宇来の言動から彼の正体は何となく察せられます。
そして序盤の辛辣なまでの唯愛(いちか)への拒絶に、唯愛と一緒になって胸がキリキリと痛く切なくなりました。

そして2人が恋人になってからの人が変わったような宇来の溺愛ぶりと唯愛の幸せそうな様子が淡々と進む中、時折り挟まれる唯愛の不安な心情に不気味な予感がしてページを捲る手が止まらないんです。
思いもよらない事がキッカケで起こるあっけない2人の別離に、ショックで胸が張り裂けそうになりました。

終盤の宇来視点の出会いから別れまでの唯愛への気持ちの変化と愛情に涙が止まりませんでした。
あの時の宇来の言動や行動が全て理解出来た時点で更に号泣してしまいました。

宇来を失って損失感の中でギリギリ生きている唯愛に更に涙です。そして、そんな唯愛を支え続けた唯一の共犯者であるまだ若い孤月の気持ちを思うと胸がグッと来るんです。

でも号泣はしましたがスッキリした気持ちで就寝することが出来ました。

唯愛と出会った事で愛を知り、初めて生きる事の意味を知った宇来。宇宙一相思相愛なカップルの恋のお話でした。
読んで良かったです。

5

コミコミさんの小冊子まで読んでください

小冊子までが本編です。ぜひ有給を取って作品に浸っていただきたいです。

アニパーシリーズ、エデンシリーズから、少しずつ作風に変化を感じます。年々、朝丘先生の作品はボーイズ界の垣根を越えようとしているのではないかと。BLにとらわれない、一般文芸のような作品だと私は感じました。だからこそ、くっつくまでじゃなくて、2人の人生が見たいと思う読者様には刺さる深い作品なのではないでしょうか。さらさら読める作品なんかじゃないです。読了まで凄く時間がかかりました。
細かいこだわりが凄くて。ここ好きポイントに貼る付箋を何度買いに行ったことか。

ページ数の関係で付き合うまでが駆け足に感じましたが、心情描写も丁寧に描かれているので、感情移入がしやすくて、前半はなんで唯愛(いちか)は学(がく)を想い続けられるんだろうと、泣きました。でも恋ってそんなもので、忘れられない人がいるとそうなってしまうのだなと。
前半分からなかった学の言動や想いが、後半に学視点で描かれるので、そういう事か…と腑に落ち、作品の構造として素晴らしいと思います。
切なくて苦しい、でもあたたかな作品です。少しでも多くの方にこの作品が刺さるといいなと思っています。

3

読んでから読むか読まずに読むか

購入をためらっている場合帯の文句が決め手になることがあるので参考にする場合あるのですが、買うことを決めているときは読まないようにしています。
それに引きづられてミスリードされるのが嫌なので。
全然違うじゃないかと感じられるのはともかく、結果的にその通りだったとしても読みながら自分で知っていきたいので後から読んでなるほどと思いたい派です。
この作品の場合、帯の言葉を知って読むか、いろいろ想像を膨らませつつ恋の成り行きを見守るのかでちょっと違った楽しみ方ができると思います。
個人的には今回は知らなくてよかったと思いました。

”嫌われて10年来の片思い”からの”存在の全てが愛おしい”までの軌跡だと思ます。

「付き合って嫌ってやる」という相手に対して「好きになってもらう努力をする」と言える強さに惹かれました。

キスがいつもドラマチックです。
あ、こんなシチュエーションいいなと思えるようなストーリーのようなものがあって素敵でした。
可笑しいのは靴紐キス
素敵なのはチェリーパイキス

生き別れたとしたら別の誰かと幸せになって最後にちょっと思い出してくれという学に対して「別の幸せを探すより2人で不幸になりたい」という唯愛の熱い思いに感動しました。

宇来先輩マニアの唯愛は面白かった。
あり得なかった友達とはしゃいだりグダグダした普通の男子高校生が見たい、とか高校生の学とイチャイチャしたがったり
孤独で寂しげな学を上書きしたがっているようで切なくてかわいい。

学の職場の店長(流星)とその養い子(孤月)の行く末が気になります。
孤月は自分の亡き母を想っている流星への想いを告げられない。
関係を壊すかもしれないからと。自身の秘密もありなかなか困難な恋です。
学×唯愛のその後と合わせて彼らのストーリーが読めたらすごく嬉しいです。
切に願います。

自分が生きている尊さや凄さを改めて感じさせてくれた作品でした。

1

解放するもの それが“そら"

頑張って、投げ出さずに読了。
朝丘先生の作品の主人公は、焦れ焦れ内向型が多い。
恋愛のナニを書きたいのかスパっと理解できない悶々展開。
それを理解したくて、ずーっと「ソラ」がタイトルに着く著作を追って読んでます。

私成りに理解したのは、
著者の作品に全作共通するテーマである「そら」
「そら」とは、
何かから解放する、肉体からの解放という意味合いを持つ
・・それは・生き物でいうなら「死」。

捕われ無い自由な世界を「そら」と定義して、
主人公が囚われているものから解放する展開書いているんじゃないか
・・と言う事だけは理解できた。

特に象徴的だったのが、「天国の雨」。
著者にとっては、魂の一生に意味があって、
生死の離別は長い魂の旅の一つの通過点、また会えると思えば寂しくないもの。

今作は、空の奥の宙。宙は、空のさらに遠く広い宇宙のそら。
 宇来 学:唯愛の高校の先輩。レジン作家。唯一の愛を探す宙人。嫌な性格。
 白谷唯愛:高校1年からずっと学に片思い。名のまんま「愛の人」。

“嫌い"から始まる仮初めの関係でも喜ぶ唯愛。唯愛は「M気質」な人。
学は、「愛」を学ぶ為に地球に居る人だから、愛ってどういうものか分かっていない。
後半やっと健気な唯愛の誠実が理解されて良かった。
唯愛は、愛を教える人だったみたい。

私には理解が追い付かない主人公の心情、無碍にされても喜んでいる。
泣くどころじゃなかった

★このシリーズを今買うなら、
発刊当時の限定配布SSが、最新の電子版には編入されているので、電子版のほうがお得です。 

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