表題作2012 Winter

入江暁行、会社員
柘植遥、藍染め職人

あらすじ

2012年冬コミ、無料配布本。
藍より番外編。暁行と遙。

作品情報

作品名
2012 Winter
著者
一穂ミチ 
イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
サークル
MICHI HOUSE〈サークル〉
ジャンル
オリジナル
発売日
4

(3)

(1)

萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
12
評価数
3
平均
4 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数2

幸せな今だからこそ拭えない不安

いやー…本当にお久しぶりの入江と遥。
嬉しいです!

入江の元カノ・真希に偶然出会ったというエピソードは
そんなに突飛では無いのですが
ミチさんの手腕で
遥の不安に同調してしまうのでした。

遥がそうなるように仕向けたわけじゃないけれど、
入江が真希と別れる事を望んでいた過去が
罪悪感を掘り起こします。

自分じゃなくて、入江が真希とこんな風に偶然出会っていたら、
真希は途中でかかってくる電話にもきっと出ず、
二人でそのまま…なんて事になるかも知れない。

「生きる限り転がり続ける心が、
どんな坂に分岐し、どんなピンに弾かれるかなんて誰にも分からない」

だから、いつだって怖くなる。
非常に印象強かったです。

日が暮れてやがて夜になるその前に一日のリズムが付き始めて
眠って起きて眠って起きての中にも
朝昼晩の区別がわかり疲れてくる頃だから
“ゆうぐれなき”する赤ちゃん。
義姉の子の事を思い出して、
今の自分の焦燥感もそんな風だと気づきます。
どうしようもない気持ちと、入江と一緒にいられる幸せな想いの合間。

入江に約束通り会い、真希と会った事を報告。
再会したとしても復縁は絶対無いと言い切られます。
“真希は気が強いから、自分を振った男とやり直さない”と。
「もし入江が、ほかの人を好きになって、
でも何年でも何十年後でも、やっぱりお前がいいって
戻ってきてくれたら嬉しい。」
遥は演歌の女のようですね。
でもそんなに愛してるんだね。

木綿のハンカチーフという歌に続きがあるなんて知りませんでした!
赤いハイヒール…。
その女の人も都会に出てくるんだそうです。
でも結局男の方が“故郷へ帰ろう”って言うって…。
遥はそれでもいいと言いますが
女性からするとどうなの!?って思っちゃいますよねw

乙女脳と言われればそれまでですが、
ひたすら一途に入江を愛しているのでした♪

1

何もかも手は届かないけど、怖いばかりじゃないと、知る時

久しぶりでしたという感じの、『藍より甘く』の短い番外編。
タイトルは「ゆうぐれなき」、夕暮れ泣き。

偶然街中で、かつて暁行の彼女だた真希と出会った遥。
この偶然がもし、自分とではなく暁行との間に起こっていたら…

  …世界が、決して自分の手の届かないところで回っていると知った
  とりとめのない焦燥や不安で、夕暮れに泣きたい気持ち、怖さ…

そんな思いが溢れて、やってきた暁行に「今すぐふたりきりになれるところに行きたい」と
珍しく求める遥。

この短い中に昔の歌謡曲を絡めて描く繊細な心模様は、いつもながらお見事!
遥の思考って、個人的には今イチなので、評価は辛めですけれどね(笑)

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