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表題作ぼくのスター

かっこよくて人気者で芸能人のクラスメイト 芹沢航輝
高校3年生 半引きこもりのアイドルオタク 早瀬侑史

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

アイドルオタクに邁進する高三の侑志。推しメン一色の部屋に突然やってきたクラスメート・芹沢に、登校することを約束させられて…?

作品情報

作品名
ぼくのスター
著者
一穂ミチ 
イラスト
コウキ。 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344827912
3.3

(62)

(8)

萌々

(28)

(14)

中立

(3)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
15
得点
197
評価数
62
平均
3.3 / 5
神率
12.9%

レビュー投稿数15

ぼくのスター

航輝はブレイク前の俳優で妹はアイドルグループのセンター、少し子供っぽく、まっすぐな性格でみんなから好かれるだろうなと。
侑史は不登校気味の在宅アイドルオタク。
不登校になった理由が心の傷になっていて。
航輝に誘われ登校し、少しずつ馴染んで、航輝の友達とも打ち解けていくが、また、過去の問題が
もう、嫌な奴は小説の中にまでいる!
侑史は弱い部分もあるけど、潔いなあと。
何もかもを拒絶ではなく、自分で考えた最低ラインはキープしていて、案外としっかりしているなぁ。
会ったこともなかった2人が、顔見知りから友達、そして恋に落ちていく。
ふわふわしているけど、高校生らしくて可愛い。





0

やっぱりどうにもイラストが…

一穂ミチさん2冊目。
1冊目は「ハートの問題」
話は非常に良かったのだけどイラストがダメだった。
好みの問題だけど全然好きじゃないイラストだった。美形設定というのが拍車をかけてた。
今回も同じ。
話は非常に良かったのですが、イラストがダメ過ぎた。
今回も芸能人カラミの話だけど…イラストの肉付きが良すぎる。
顔がパンパン、服を脱いだらむっちむちしてそう。全然美形じゃない。
でも話は凄く好きだった。

そして「ハートの問題」同様、登場する女性が非常に魅力的だった。
なんというか、女性をモブキャラとか当て馬とかに使うのではなく、ちゃんとキャラクターとしてストーリーの中で重要な生きたキャラクターとして愛情をもって描かれてる気がしました。
ということで、攻めさんの妹が非常に良かった。
実際に本人が喋る場面はほんの数行だけなんだけど、たったその数行だけで凄く存在感があった。

攻めさんは本格的スターさんになって、受けさんはパンピーで、この2人の付き合い方は今後変わっていくだろうけど、幸せになってほしいな。
と、思える話でした。

0

いつも心にアイドルを

主人公の早瀬は、ある理由から学校に行かなくなり好きなアイドルに現実逃避していますが、両親や学校とも細い糸で繋がっている、中途半端な引きこもりの少年。控えめな性格ながら元来がきちんと受け応えできる子なので、芹沢に巻き込まれるように出会って徐々に変わって行く様子がなんとも愛おしかったです。芹沢も、芸能人キャラにありがちなぶっ飛んだところがなく地に足の着いた少年でした。早瀬が夢中になっているアイドルにもちょっとしたトリックがあって、面白かったです。

アイドル…いいですね。老若男女関係なく、心に自分だけのアイドルが居るって素敵なことだなと思いました。

一穂ミチさんの学園モノは初めて読みましたが、こういう絶妙なリアリティのあるキャラクターを書くのが上手いなぁと今作でも思いました。芸能界が少し絡んできますが、早瀬視点で物語が進むこともあり、業界モノという感じはしませんでした。

1

主人公の内言に自分の痛さを思い出す

独特な句読点のくぎり。
唐突にひっくり返される文章。
耳に心地良い(人によっては、耳障りでそれ故、耳に残る。)ヘンテコな比喩。
これらで紡がれる主人公の内言は、読む人によって違うリズムで聞こえるでしょう。
私の場合、中二病だった自分を思い出し、全速力で逃げたくなりました。
人によっては幼稚さに呆れたり、内向的な自意識過剰さに イライラさせられるかもしれません。
知らず知らず頭の中に個性的なキャラクターが出来上がるから不思議です。
読んでいくと
男子高校生の何気ないじゃれ合いに
妄想を抱いているような気恥ずかしさにおそわれ、
も、もうそこまでで良いです
と少し濃い絡んだシーンが出てくるたびにやめてくれと悶絶しました。





0

ライトな一穂さんも好し。

ドルオタ描写がリアルだ。兄妹の関係性や、いじめとは決めづらい微妙な嫌がらせ。一穂さんは設定が徹底してていつも感心します。なぜか実在の役者さんで航輝をイメージしてしまい、たまたまその方がドラマに出ているのを見てドキドキしてしまうという勘違い恋愛現象を何十年かぶりに味わうことができました。BL・・・なのか?と疑わしいラインだったり、ちょっと主人公に都合良すぎる展開かなあ、なんて思うけど、面白かったから全然OK!

1

BLにはあらず、かと

 一穂作品を読むたび思う。うまいなあ。緻密な構成。最新の注意を払って選び抜かれた言葉の数々。それだけ思うさま味わって満足してればいいのに、と自分でも思う。BL的な萌えは、ほかで求めればよいのだから、と。

 本作もそれが端的に表れてました。なんといっても主人公の侑史(受け)はアイドルオタクのひきこもり。いまどきの若者としてはそこらじゅうリアルにいそうですが、同性と愛し合わねばならない茨の道からは、有る意味もっとも遠い存在に思える。とはいえ攻めの航輝がちゃんといて、手を引いて外の世界へ導いてくれる。BLとしての体裁は整っているわけです。

 航輝は同級生ながら売り出し中の俳優で、芸能界の華やかさというより学業との両立に苦心する姿とか裏のあるオーディションでの挫折とか、陽の当らない面に描写の力点が置かれているので、身近な恋の相手として無理があるというほどではない。でも読み終えても、なぜこの2人が恋に落ちたのかは依然腑に落ちぬままだった。その答えはつまるところ、本作がBLだから、という一点に帰結するのかもしれない。
 
 エッチシーンがなくてもBL作品として立派になりたつものは数あれど、エッチシーンがあるからといって必ずしもBLのくくりに入れなくてもよいものもある。青春小説として読むなら、幼馴染として航輝のよき理解者であり、二足のわらじ生活をそれとなく助けてあげてる羽山・久住コンビとか、アイドルほたるの兄航輝に対する複雑な思いとか、潔い最後の決断とか、とても印象的なキャラはいる。むしろそっちがメインで、主役二人の恋が蛇足みたいに思えるとしたら、わたしの中での本作はやっぱりBLの範疇からは大きくはみだしているんだろう。

 でも、いつかは読んでみたい。この一穂さんのクオリティの高い文章で、魂を揺さぶられるBL小説。それこそ息もつかずに一気に読み干したくなるような。それでいて本を閉じるのがもったいないような。

 

0

芸能色は薄め

大好きな一穂さんの作品ですが、芸能界ものってあまり好みじゃなかったので敬遠していました。
けれど読んでみると、キラキラした世界を描いていたわけでなく学生達の葛藤が中心で、ああやっぱり一穂さんの作品だったんだなあと。


受けはアイドルオタクで半引きこもりの高校生、侑志。
彼の部屋はいわゆる押しメンの『ほたるん』一色。
一日の予定はほぼ、『ほたるん』のテレビ出演等にあわせて生活しています。

攻めの航輝は役者志望で侑志のクラスメイト。
ただ、ふたりはお互いが休んでばかりいるのでタイミングが悪く、顔を合わせたことがなかった。
親しい友人には自分のカッコ悪いこともさらけ出すことができる、率直な少年。


そんな侑志と航輝の初対面は、なぜか引きこもり中だった侑志の家。
航輝はいきなり訪ねて来て、侑志にちゃんと登校しろとうながしてくるのです。
侑志自身はきちんと卒業できるように調整し引きこもっている(これはまたこれで問題有りですけど)のですが、航輝は自分が出席した日になぜかいつも空いている席があることが気になって仕方ないんですよね。
そして、オーディションで引きこもりの役を演じる上での参考にしたいと、侑志の家へも足繁く通いだします。
航輝は『ほたるん』部屋と化した侑志の部屋も驚きはしても嫌悪せず、ありのままを受け入れてくれた稀有な存在で、侑志にとって他人から理解されるということはそれこそ青天の霹靂といった風だったのではないかと。

侑志は今まで『ほたるん』の存在に依存し現実から目を背けて暮らしてきましたが、航輝の登場で徐々に彼の生活軸は学校や航輝、そして航輝経由で知り合った久住・羽山へと移行しだすのです。

侑志がだいぶ登校し始めた後も、航輝の家庭環境やら仕事やら、学校内でのゴタゴタやら色々起きたりするのですが、でもそういうこともみんなで乗り越えていけると信じられなかなか青春なお話でした。

ただそれがないとBLではないにしろ、あまりえっちの必要性はないかな。キスとかだけで可愛らしくごまかしても良かったと思います。

4

侑史みたいな子って

リアルに、いて欲しい。

ある時から不登校になって、
一日のほとんどの時間を、アイドル・ほたるんただ一人だけの事を考えて過ごしているようで、
実はちゃんと、卒業にぎりぎり間に合うように計算して学校にも行っているし、
試験もそれなりの成績を維持できるように自宅でお勉強もしている。
共働きで忙しい両親に、少しでも負担にならないように、トイレットペーパーの在庫を注意していたりもする。
そもそも不登校になったのだって、素直ないい子だったからだし。

こういう子、いいなぁ。
リアルにいい。

あと、クラスメイトの羽山と久住!
この二人の、ニュートラルな感じもすごくいい。

航輝も、登場のしかたこそ、唐突で強引だけど、そこさえ、作中の侑史の気持ちと同調して、一緒になって受け入れちゃえば、あとは、ちょいちょい可愛いところも垣間見えて,子供らしくていい。

なんというか、理想のリアル高校生だな。

2

「らしさ」満載。

あ~これは一穂せんせいだから許される本だね。
ギリギリBLライン。だけれどそんなこと気にせずグイグイ読ませてくれる。
これよ!これなのよねぇ。
 
キラキラで切なくて、
何かに、あるいはどこかに届きそうで届かないもどかしい感じ…青春ってこんな感じだよねぇ。
そういうのが過不足なく、ことさらに青春崇拝されることなく、でも丁寧に丁寧に重なって紡がれるストーリー。
 
こういう書き方は一穂せんせいならでは。ほかの作家さんにはできない技だ。

2

青春なキラキラ

一穂さんらしい文体で、繊細で素敵だな~と
思える作品でした。

アイドルオタクで引きこもり高校生と
俳優の卵の高校生2人のお話でした。

侑史の家に、いきなり同級生の航輝がやって来て、
学校に来いと言います。
そして、侑史のような引きこもりの役のオーディションを受けるので、
一緒にいて、観察させてと言われるのでした。

侑史がなんとも素敵な人でした。
侑史のスレていない、丁寧な生き方をしている様子に
惹かれていく航輝の気持ちがとても伝わりました。

ただ、航輝があまり個人的には好きな性格ではなかったです。

もう取り戻せない高校生時代のキラキラを思い出させてくれる
お話でした。

2

青春の象徴

最初読み始めたとき、今を時めくアイドル(AKBみたいな)の熱心なファン=ドルオタ。そんな男子がどうやって男子との恋愛ができるんだろう?
と不思議で仕方ありませんでした。
しかし、展開するにつれて彼が半ひきこもりになり、いあゆるアイドルに逃げた(この言い方が正しいかどうかはアレであるが、自分にはそう見えた)その理由が後半になり語られることにより、彼にはその素養はあったのだということは十分にわかりえるものでした。
彼は言っています。アイドルをズリネタにはしていないと。
そういう恋愛対象でみているのではなく、あくまでも崇拝偶像、といって神聖なものとして汚さない存在として見ているのではなく、ただ勇気をもらっているだけ。
他にも彼女のアイドルとしての生き方に何か自分が感じるものがあってそれで・・・と思われる部分がたくさんあったのだと気づかされるのです。

ただ、彼に接近する同級生・航輝。
彼はあまりに唐突でした。
最初は彼も役者をやっていて、その役作りだったという接近だったらしいので、それが「なんだ~」と読者は思ったものですが、
当の主人公・侑史は怒ったりしなくて、割となんでもそうなのかー、的に受け入れてしまっている。
決して感情が薄いとは思わないけれど、彼のニュートラルな、自分を自覚している態度があるから航輝が受け入れられているんだな、という感じです。
ただ、彼が侑史の以前の友達と違うのは、航輝もさみしがりでハバにされるのを怖がっているというかちょい甘えん坊な感じがあるところ。
少しだけ主人公と似たところがあるからかもしれない。
あと、友人の存在は大きかった。
羽山と久住(彼らはひょっとして!?w)
いい友人だったから、彼らありきなのは間違いない。

そんな侑史と航輝がくっつくこの話は、触りっことキスまではあってもいい流れだと思う。
まだ未満だと思うから。
とりあえず相手に触りたい、それがもっと互いを知る近道と思えるから。
ただ、このストーリーとして、青春が全面に出ており、進路の選択であったり、青春の迷い悩み、そういったものの比重が大変に大きいきがするのだ(アイドルのほたるしかり)
だから最後のエッチは唐突すぎて、この話の中ではいらなかった。
それだけがとても残念だ。

BLというよりは、とても少年青春小説とでもいうのか匂系の強い話であり、その思春期の様子は今回のこの会話の文章や、きらきらした一穂さんの文章がとてもよくあっていたと思います。

4

“高校生”の透明感

まるで「ご自身が高校生なんじゃ!?」と思ってしまうような
学校行事でのエピソードや、会話中の崩れた日本語。
これ、他の作家さんだったらどうだろうと思ってもみましたが
贔屓目なのかもだけどミチさんのは凄く好き。
だって自然なんですもん!!
「あーいるよね、こういう若い子達」ってするする読めます。

さらっとアイドルオタの侑史に「キモ」っていうのに
嫌悪感をいだかせないって、
航輝そのものが初めから救いだったのかなと後で思いました。
引きこもっていたわりには真面目で誠実な侑史に、
最初は興味だけだったけど「おもしれー」って言いながら
素を出せる航輝の気持ちもわかります。

ただ、侑史がアイドルオタクになった理由はわかりましたが
なんかこう、正直そこまでなっちゃうものなんだろうかと疑問を持ってしまって…。
(すごく詳細でリアルだから驚いたくらい)
更に最後には結局ほたるんに会っちゃうんだー、とか。
航輝の妹っていう時点でそうだろうなとも予想しつつも
私としては会えない方が良かったような気持ちになってしまいました。
いえ、会わなくちゃ侑史の想いも終わらないのかもですけれども…。

ラストライブでの、御守のところはじわっときました!!
そういう事やっちゃうから恰好良すぎるよ、航輝!!

兄妹出演のCM、みてみたいって思わせられたり、
ベビブロの歌詞にきゅんとさせられたり。
…ミチさんはそういうお仕事なさっても成功するような気がしてしまうw

友達とのエピソードや、
航輝がところどころ小学生みたいな言動してしまったり、
可愛いし微笑ましくて好きなんですが、
私、ミチさん作品は大人の恋の方が好みのようです。
(でも『is in you』で高校時代の弓削×一束のお話は大好き!!!)

それにしたってお書きになるこの年齢層の幅!
他作品の事ですが、赤ちゃんの神々しさもある可愛らしさから
老齢の様々あった人生模様まで……。

冒頭の“ご臨終券”の発想や、アイドルをマーブルチョコに例えたり、
言葉のチョイスも相変わらず流石だと思いました!!

3

妹に救われその兄にも救われ恋になる?

微妙に評価の分かれる作品なのだと思うのですが、ひきこもりでアイドルオタクが主役。
しかし単なるオタクとは読み進めるうちに違うのではないかと思えてきます。
友人だと思っていた相手とのトラブルで傷つき不登校になる受け様なのですが、
その傷ついてしまった時に偶然目にしたアイドルが攻め様の妹だったのです。
何故か妹のほたるんに心惹かれ癒され、何とか学校も出席日数ギリギリ&テストは受けるで
一応高校は卒業するための最低限はこなしている受け様自宅でも自主学習する生真面目。

だから単なる弱虫の不登校さんともちょっと違うけど、きっかけが友人とのトラブルで
臆病な気持ちはあったのですが、次第に何もかも面倒だと思ってしまう負のスパイラルに
突入してしまった感じでしょうか。
そんな受け様に第二の転機が訪れる、それが攻め様でクラスの同級生なのですが、
互いに面識もなく、初めての出会いが受け様の家に突然やって来て部屋まで勝手に
上り込む大胆さ、びっくりし過ぎて言葉も出ない受け様が攻め様へ思った印象がほたるん。

その時は大好きなアイドルと攻め様が兄弟だとは知らなかった受け様ですが、気が付けば
ムリヤリ的に学校に再び登校する事になり、気が付けば攻め様を中心とした関係で友人も
出来て、受け様にとっては自分を助けてくれる不思議な兄弟なんです。
初めは攻め様の強引さに流される感じだった受け様ですが、少しずつ思いを口にするように
なって、ほたるんのファンだったはずが、いつしか俳優としての攻め様をまぶしいと
感じ、更にほたるんよりも気になる存在になっていく。

青春のほろ苦さとかエネルギーとか読んでると感じる作品で10代ならではの時間が
キラキラしている瞬間かもしれないと思わせる内容で、意外に奥が深い作品だと感じる。
二人の恋愛的な面は、高校生の男の子なんてこんなかも知れないなと思えるし、
それでも等身大の青春がそこに見えるって感じる作品でしたね。

3

キラキラしてキュンキュンする

一穂先生が書く高校生は、何故こんなに瑞々しくて魅力的なんだろう。

半引きこもりの侑史は、在宅専門のアイドルオタ。
学校にもたまにしか行かない彼の生きることを支えているのは、
ベビブロ(ベビーブロッサム)というAKBみたいなアイドルグループのほたるんだ。
そこに突然突風のように登場して、彼を外の世界に吹き上げる航輝。
高3で同じクラスになったらしいけれど、顔も分からなかった彼に巻き込まれて
侑史の生活は変わって行く…
一方の航輝は、実は彼もまだ有名じゃない芸能人で、ほたるんの兄だということが分かり…

以前から一穂先生は、高校生を主人公にした青春小説を書けばいいのになぁと思っていたのだが、
(おいおい、BLファンなのに、そんなこと願ってどうするんだっ?!)
この本はまさしくそういう感じだった。
twitterやLINEといった現代的なアイテムを上手に使っていて、高校生の世界を鮮やかに描く。
Hシーンも高校生の不器用さや直裁な感じが可愛くて悪くはないが、いらなかったかもと思う。


侑史のネガキャラは、個人的にはBLの主人公として好きなタイプではないんだけれど、
彼の純粋さや感受性の強さある種の賢さみたなものが垣間見える心情の表現が、
最初から散りばめられていて、まずそれに唸る。
そう、そうなの、うん、その感じ分かる!と頷きながら読んでしまった。
世の中の評価からすればマイナスに違いない彼を、
ちゃんと本人なりの世界がある大切な人として描いているところがすごく好き。

そして、侑史が登校して航輝達の仲間と過ごすようになってからの、少年達の描写。
若干いい子過ぎだし、カッコよ過ぎの感はなくもないが、
あの年齢の持つ決して大人になってからでは取り戻せない柔らかさを、
何故こんなに見事に描くんだろう。

恋に関しては、侑史が穏やかに変わっていき航輝に惹かれて行く様は丁寧に描かれているが、
航輝に関しては最初から彼に惹かれていたんだろうな、と思うしかない。
途中のキスシーンや相互自慰のシーンは好きだけれど、そう思わないと唐突かも。


前半は、少年達のちょっとした行動やセリフにキュンキュンし、
後半(ただしH以前)は、涙が滲んで仕方なかった。

BLとしての萌えかと言われるとかなり首を捻るのだけれど、
こういう少年を主人公にして、クオリティの高い作品を書く一穂先生に敬意を表したいし、
これはやっぱり神をつけます。
素敵な作品です。でもいわゆるBLとしては薄いかも…。

11

アイドルオタ・・・に入り込めるかどうか

AK○48にどっぷりハマってる男の子が、
きれいでかわいいアイドルに夢中な男の子が、男を好きになることってあると思う?
そんな発想からはじまったのかなぁ~と思うようなお話。

ベビーブロッサムという競争主義のアイドルグループのトップを走る、
久保田ほたる、こと「ほたるん」が大好きな「在宅」オタがこの本の主人公の侑史。
卒業できるギリギリの日数しか学校に行かない、半引きこもり。

そんな侑史の家に突然初対面のクラスメイトがやってくる。
かっこよくて前向きで、後で分かったが芸能人(俳優)でもある芹沢航輝。
ほたるんのポスターが貼ってある部屋で、
ほたるんが出ているDVDを昼間っから侑史が見ていたのを知って、
「キモ」と陰険さのまるでない口調で言いつつ、
「欠員がいるクラスってなんか、不健全なかんじじゃん」と、学校に来るようにと強く勧められる。
次の日の朝には迎えにまで来られてしまって、結局一緒に登校、その後も……。


なんで、かっこいい芸能人が半引きこもりを構うの?
そもそもなんで、侑史は学校にあんまり行ってないの?
「在宅」のアイドルオタクってどんな感じ?
そんなに女の子のアイドルが好きなのに、男の子とどうにかなれるもん??

なーんて、色々なんで??ナゾー!と思いながら、
少しずつ、ひとつずつ、そのナゾが明らかになっていって、サクサクと読み進められました。
読みやすい本だと思います。

ただ、かわいい女の子(しかも人気アイドルのNO.1)をかなり好きな主人公に愛着を持てるかな?
そのアイドル・ほたるんも、なかなかの存在感を放っていますので、
う~~ん、万人受けはしなさそうな気がします。
自分は・・・嫌ではなかったけど、好き~♡とはあんまり思えなかったなぁ。

受けの主人公は結構ネガティブ思考だけど、人がよくて素直で可愛いと思うし、
攻めも単に明るいだけじゃなく努力家だし優しいし、でもちょっと子供っぽいところもあったり、
全然嫌いなタイプではないんですけどね。

実はCPになるそのふたりだけより、
芹沢航輝と小学校からの付き合いという、クラスメイトの羽山と久住、
このふたりと一緒に4人でいるシーンの方が萌えました~~
航輝についてズケズケ言いつつも、ちゃーんと航輝のことを分かっていて、
上手にガス抜きさせてあげたり、さり気なくフォローしたり・・・
そんな友達としてのさりげない親切に、ちょっとキュンとしちゃいまいた。

一番印象的だったセリフは、
ほたるんの悪口をクラスの女子が言っていて、それを勇気を出して侑史が注意した、
その時のことを振り返っての羽山の一言。
「女のうわさ話にダメ出しするとか、飢えたヒグマの檻に入るレベルの冒険だろ」
今まであんまり学校に来てなかった侑史が、精一杯の勇気を出したことへのステキな賛辞。
その日まで侑史と話したことがなかったふたりが、侑史を讃えて紙コップで乾杯、なんかイイナ♪

好きなシーンや言葉はあったけれど、
何度も読みたいかと言われると、正直そうでもない・・・
アイドルの女の子が好きな人は、抵抗がないかな? 
自分もキライとかではないのですけど、BL本としてはそんなに好きな題材じゃない・・・かな。
あと、かっこいい俳優とのお付き合いって大変そうで、今後がちょっと心配に・・・

4

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