のばらあいこさんの初連載作[ぬるくなるまで待って]

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表題作ぬるくなるまで待って

順平,服屋の店員,家の風呂が壊れた受を泊めてあげる
市原カズキ(いっちゃん),同じ職場の先輩

その他の収録作品

  • プロローグ(描き下ろし)
  • 番外編 やさしい口
  • 番外編 WE WANT TO TOGETHER
  • エピローグ(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

「いっちゃん、俺じゃだめ?」

風呂がこわれたという先輩〝いっちゃん〟を
部屋に呼んだ順平は、酔ってせがんだキスをきっかけに
二晩で肉体関係となった。

翌日、今度は〝挿入〟に備え浮かれる順平だったが、
ふいに職場のOB・辻井のことを            
口に出した途端、いっちゃんの顔つきが変わる。

結局順平はコトを失敗し、
いっちゃんが自宅に帰る日を迎えてしまいーー。

のぼせそうなほど不器用な恋、描き下ろし収録!

がむしゃらヘタレ×迷えるゲイ男子の、
風呂にまつわるラブストーリー。

作品情報

作品名
ぬるくなるまで待って
著者
のばらあいこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
ISBN
9784396783297
3.5

(104)

(17)

萌々

(51)

(19)

中立

(10)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
24
得点
356
評価数
104
平均
3.5 / 5
神率
16.3%

レビュー投稿数24

のばら先生が描くいじらしいキャラが好き

じゅんぺーがちょいおバカでいじらしいやらかわいいやら、萌えるわ笑えるわ、大好きです。
よこ犬の菊池系ですね。
のばら先生か描くこういうキャラたまりません。

いっちゃんさん呼びがかわいい(ある時からいっちゃん呼びになったけど)
前作のみーたん、カンちゃんとか、呼び方ひとつでも男子特有のかわいらしさを表現するのばら先生の作風好きです。

本作は、タイトル回収になるほど!となりました。
お風呂のことかと思わせて…2人の温度差のことでもあったんですね。

素直ですぐ熱くなっちゃうじゅんぺー。
臆病で熱くなれないいっちゃん。
「ふたりなら ちょうどいい温度で いられるかもしれない」
ほんとその通りの2人!と思いました。

低温気味ないっちゃんも、じゅんぺーと一緒にいると引きずられてとても楽しそうで。
2人のやりとりかめちゃくちゃかわいいです。

のばら先生、男子の仲良いやりとりのかわゆさを描くのはんとお上手。

本作は、あとがきにもあったように途中からシリアスモードになったけど、そこまで暗くうだうだすることなく、スムーズに読めました。
じゅんぺーのキャラといい、そのさじかげんがすばらしい。

ラストが、お風呂にからめた2人のかわいいシーンだったのも最高。

いっちゃんの弟くんもよかった。
ああいうキャラもからめて、2人のその後を描きつつ、それぞれの個性を出すのもいいわ〜と感心しきりでした。

0

誰でも本音をさらけ出すのは怖い

のばらさんの作品「秋山くん」が有名ですが、そちらがちょっと好みじゃなくて、でも「寄越す犬ー」がクリティカルヒットな私の謎性癖。
だからこちらはどうなんだろう、と読んでみましたがイイ!(・∀・)となりました。

無邪気年下ノンケ×拗らせゲイ先輩のせつなくも温かいお話でした。
じゅんぺーといっちゃんが魅力的なキャラで、当て馬の元カレもいいやつです。
エロが過剰じゃないのも好みでした。

番外編の弟くんが出てくるお話も良かったです。
自分がゲイだから、弟には真っ当な人生を歩んで欲しい、親にも余計な心配かけたくないっていう心情がよく伝わってきました。

寝かせている「秋山くん」も再読しよーかなって思ってます。

0

混ざり合って適温に

すごいなー、のばら先生。
これが初連載作品なんですって!
ものすごい才能とセンスを感じます。

私は説明や文字が多すぎるコミックスがあまり好きではないのですが、のばら先生の作品は絵で魅せて文字は最小限。
これぞコミックスの醍醐味ですよ!

本作は、両片想いの順平といっちゃんの話。
何があるわけではなく、二人の気持ちが寄り添うまでをとっても自然に描いています。
もう、キャラたちが勝手に動いてる感じ。
無理なストーリー展開を全く感じません!素晴らしい‼︎

嫌われたくなくて伏線を張ってしまういっちゃんと、いっちゃんのことが大好きな順平。
この二人のバランスが絶妙で、熱い順平と冷えてるいっちゃんが混ざり合って、ちょうどいい温度になっていく……

ホロリとさせるエピソードが満載で、胸が熱くなりました。
特に、いっちゃんの弟の話は泣けた( ;∀;)

何が言いたいかっていうと、とにかく素晴らしかったということ!

0

優しくて、臆病な2人。

じっくりと読みたくなる作品です。
何と言うか、自分自身に勇気が欲しくなるタイミングでの何度目かの再読です。

劇的なドラマがあるわけじゃないんです。ほんと普通の人々の日常と恋。
じゅんぺーは、職場のアパレルショップの先輩いっちゃんが大好き。お風呂が壊れたいっちゃんを自分のアパートに招くところから始まります。
いっちゃんがお風呂に入っている状況に興奮して勃っちゃうんです。でもその時点では、気持ちを悟られたくなくてAV観て誤魔化すエピソードが割りとお気に入りです。

結局、いっちゃんに想いを告げてセックスまで持ち込むけどなかなか上手く行かない。それは、いっちゃんに忘れられない男の存在があるから。
いっちゃんの引き摺った過去の恋と並行して、じゅんぺーの気持ちの成長が追えます。
まだまだすれ違う時期に、気持ちが重ならないまま、2人がセックスする時は切ない。
誰でも言い訳じゃないのに、『誰でもいい』と嘘をつきながら。
セックスしても虚しい。結局、快楽にものめり込めない。
読んでいても苦しい…

じゅんぺー、いいヤツなんですよね!優しいけどヘタレ。だけど、いっちゃん一筋な熱い純愛を持ち続ける子なんですよね。
2人ともじくじくと自分の気持ちの整理をつけながら、本当の気持ちに気がついたり。2人で居るために勇気を出して寄り添う。

いっちゃんの臆病を、成長したじゅんぺーが受け止めて。互いに気持ちを偽りなく伝えることが出来る!紆余曲折有ってこその喜びですよね。

こちら、付き合った同棲エピソードといっちゃんの弟登場エピソードも有りまして。
かなり読みごたえ有ります。

2人が臆病だけど、幸せになるために勇気を出すところに胸が熱くなるんですよね。
読み終えると、なんか頑張ろって思う作品でした。

2

心地よい温度

かつて読んだ時より、かなり好きになってました。
のばらあいこ先生の作品は、はちゃめちゃに寂しさを抱えたキャラと、はちゃめちゃに頭弱い子がボーイミーツボーイするものが多い気がします。

◾︎じゅんぺー(年下)×いっちゃん(ゲイ)
いっちゃんが不安を抱えてぐるぐるするタイプなので、じゅんぺーぐらい分かりやすくドバドバ愛を注いでくれる彼氏はいいだろうな〜
じゅんぺーはバイなのかな?それだとまたいっちゃんが不安になっちゃうかもしれないので、分かりやすく大量の愛を常に表明してほしいですね。

辻井ぐらいの生き方をできる人は楽で、そして漫画の主役にはならない…と思いましたが、彼にもまた深淵があるのかもしれない。

続編出てないのかな。同人誌とかでだしてるかな。

1

もうぬるま湯の中に隠さないで

 ほっこりするようなお風呂BL、素敵ですね。元ノンケ×ゲイで、受けのいっちゃんは職場のOB・辻井と関係を消滅させてしまったことをまだ引きずっている状態。攻めの順平はそんないっちゃんを好きになり、結構序盤でその気持ちを伝えるのだけど、彼は辻井に未練も残っている上に、新しい関係に向き合う勇気もないので、2人はぎこちなくなってしまいます。

 いっちゃんが辻井と破局したのは必然的な結果でした。辻井もいっちゃん一筋だとか、いっちゃんを真剣に愛しているだとか、そういう言動を取らなかったわけで、いっちゃんが彼に想われているのか自信が持てなかったのは仕方のないこと。対するいっちゃんの方も、最後まで自分の本当の気持ちに蓋をし続け、辻井を信じて言葉をかけることができなかった。どちらが悪いわけでもないと思います。

 次の恋愛に進むには、いっちゃんがそういった自分の未熟だった部分を認め、辻井への未練を完全に断ち切ることが必要でした。そして、彼はちゃんと自分で清算して、順平の元へ向かいます。お互い沢山過ちを経験してきたけれど、それらは全部無駄なんかじゃなく、ここに辿り着くためにあったんだぁなと感じました。柔らかい雰囲気で描かれていますが、とても現実味のあるキャラクターばかりで、共感することも多かった作品です。

1

じゅんぺーが良かった

臆病ないっちゃん。
でも仕方ないですよね。男同士のタブー感が多めな作品でだからこそじゅんぺーと幸せになってくれて良かった。

正直にぶつかった方がいい時もあるんだな、そしたら辻井とどうなってたんだろうと考えてしまいます。
でもその事があったからじゅんぺーにはちゃんと向き合うことができたんですよね。

じゅんぺーがいっちゃんを大好きで、でもしつしこして嫌われたくないとかわかるし、押し掛けて仕切り直し?捨て身でエッチして逃げてきて一人でぐるぐるしてるときに、いっちゃんは辻井とケリつけてたんだなあ。夢の中でまでいっちゃんはじゅんぺーを追い詰めましたね。
じゅんぺーが素直でぶつかっていける人で良かった。

二人が一緒に暮らしてじゅんぺーはいっちゃんのことをよく理解してくれています。じゅんぺーがいて良かった。
いっちゃん弟との話し合いを通してこれからの二人や周りとの関わりかたも変わっていくのかな?

1

ゆったり自然体

じんわりと伝わってくる作品でした。
普段は王道が好きなんですが、実際はこんな風に色んな恋愛を経て、この彼氏に出会ったと言うことの方が多いんだし、設定も本当にその辺の街の洋服屋さんにありそうな話で良かったです。
ドラマティックな展開とかそれほどないけど、ちょっとした誤解とか、行き違いがあったりして、でもそれもわぁわぁがなりたてることなく、落ち着いて両想いに進んでいきます。そういう流れもとても身近に感じられて、余計に妄想をかきたてられる作品でした。

1

キャラクターが魅力的

のばらあいこさんとの出会いはこの作品だったので、『新装版 秋山くん』を読んだ時はもう、ほげーーー!!!こんなのを描く人だったんかい!とビツクリしてしまった記憶があります。この作品はずっといい話だなーと思っていたのですが、それほど多くないイタすシーンがなぜだか好み?じゃなかったんですよね。それは多分、『新装版 秋山くん』で驚かされたことに繋がっているのかも…と自分なりに納得しました。(大分ショックから立ち直った今、いっちゃんが涙を流したえっちシーンはもう、読んでる方も涙です。)

物語はいたってスタンダードなラブストーリーなのですが、キャラクターそれぞれが人間味溢れる魅力を備えているんです。わたしにとってはこの人物の作り込みこそが、作家さんの魅力なのですよね。じゅんぺーのいっちゃんへの想いも、いっちゃんの辻井への想いも、辻井のいっちゃんとじゅんぺーへの気遣いにも、全部に共感できる。じゅんぺーはカワイイし、いっちゃんの謎めいた影の部分はそそるし、個人的には飄々としているようで人のことを一番よく見ている辻井が最も萌えキャラだし。あー、なんて男の魅力と人の気持ちを描くのがうまいんだ!!と読後に毎度悶えてしまいます。

番外編で、いっちゃんと弟サトルの関係性が描かれていますが、このエピソードを読むことで、自分がなぜこの作品が好きなのかを気づかせてくれるんです。兄弟間の葛藤と愛憎を、いっちゃんのことを「よく見ている」じゅんぺーが、最後に、まるで我が身のことのようにわかりやすい言葉で、ズキュンと説明してくれているのですが…。その辺についてはぜひ、作品の中で体感していただきたい。(ネタバレ避けたいタイプです。)

夏に読みたくなる作品です。秋山くんには度胆を抜かれましたが、秋山くんは高校生なのにとってもせくしーです。有名どころに入るかと思いますが、未読の方で、色々読んでみたいなーと思っていらっしゃったら、そちらも併せて手に取ってみてください。

2

誤魔化しのない“好き”が一番大事

ずっと気になっていたのですが、ようやく読めました!!
結果、のばらさんのコミックスで一番好きです♪
一読目から、ときめいたり吹いたり切なくなったりしましたが
繰り返し読むほどに、もうなんだか泣けてきちゃって…。

じゅんぺーの、飾らない気持ち、一生懸命いっちゃんに向かう恋心。
「ヤるから準備しておくから」と言われてそわそわしすぎるところ、
面白いんだけど笑っちゃいけないね!
夜までが長くて長くて落ち着かなさすぎなのが可愛かった。
なのに、直前で見てしまったいっちゃんの表情が気になって勃たなくて…。
やはりデリケートですね。殿方は。
狭い浴槽に二人で入りながら「好きなのに」と繰り返すところ、
ぎゅーーーーっとなりました…。

新店舗に異動したことも聞かされず、会えず、
仕事でミスっていじけて飲めないビールのんで泣いて。
雨の夜、ただ会いたくて突然いっちゃんを訪れ
心とは裏腹にいっちゃんを責めて聞きたくない言葉を耳にし、
抱いて気持ち良かったはずでもいっちゃんの泣き顔が離れない。
意思に反して無理やり抱いたわけじゃないのに、
「取り返しのつかないことを」と一人道で泣くじゅんぺーが悲しかった。
ぐだぐだしたけど、自力で乗り越えた強さも愛おしい。

いっちゃんの元カレ・辻井に嫉妬して、
仕事の頼まれごとついでに直接話す勇気なんか健気で健気で!
そりゃ、余裕かまされたら頭にきちゃうよね!!
こっちは真剣で誰よりいっちゃんを好きなんだっつの!と。
辻井がこういうタイプの人間だってだけなんですが、
そんなのじゅんぺーは知らないし、いっちゃんを渡したくない一心なわけで、
ここまで必死になれる恋は、したくてもそうそう出来ないんじゃないかな…。

風呂場に縁(運??)のないじゅんぺーといっちゃんだけど、
毎日使う場所、体は勿論裸になるけど、心まで裸になれるような空間。
きっとこれからも、思いやりを持ちながら穏やかに暮らすんだろうな。

いっちゃんの過去も、弟のエピソードもきゅんとしました。
折角いっちゃんが買って来たお守りを弟が投げつけて
じゅんぺーが殴りかかろうとしたところなんて
すごく愛を感じてしまい、泣けた!!
しかし逆にいっちゃんに殴られたというのが泣き笑いになっちゃってw
兄弟愛も美しいけど、じゅんぺーが優しくて…。ぐすん。

じゅんぺーも昔男に告られて傷つけたことがあったけど
それをいっちゃんに話しながら顔も忘れた相手の幸せを願うとは!!
自分たちが幸せになれたら後はどうでもいいというんじゃないのが
人柄に表れていてこちらまで嬉しくなりました。
最後のモノローグで、またほろり。

本心を告げて自分が傷つくのが怖くて逃げてきたいっちゃん、
じゅんぺーに出逢えて、好き合って良かったねと心から思いました。
ものすごく神寄りの萌×2です!!

ちなみに、いっちゃんのちょい顎ヒゲになぜか萌えましたw
童顔っぽいひとの顎ヒゲ、悪くないかも…。

あと、じゅんぺーが不審者のような格好でローションを買った
アダルトグッズ店の店員が!!!w
ものすっごいインパクトで何回みても笑ってしまう…。

8

ほっこりしてしまうお風呂BL

お風呂BLとばかり聞いていたのでどんなおはなし?と首を傾げていたんですが不器用な順平といっちゃん破壊力バツグン…!!
ゲイであるということに卑屈さを抱えたようないっちゃんを温かく包み込む順平の姿に萌えました♡
とてもほっこりするお風呂BLだった…!
のばらさんの言葉の選び方がとても優しく、キャラの台詞の一つ一つに人間味が溢れていてじんわりと読者に彼らの温度を与えてくれます。
いっちゃんに会いたいよーって泣く順平の姿はとても素直に愛情表現出来る子だなあ、と思って見守ってしまう…。
飾らない剥き出しの感情が心地よく感じられるほど、順平やいっちゃんに思い入れを抱いてしまうこの作品。
二人には幸せになって美味しいご飯食べていっぱい寝て抱き合って欲しいなあと思ってしまいました。
人を好きになるっていいね…と感じさせてくれる良い作品です。

4

ぬるいぐらいの温度=体温が心地良い…

じゅんぺいといっちゃんのヘタレぐるぐるLove的日常がそこに描かれていました。

いっちゃんの家のお風呂が壊れて、じゅんぺいの家に居候するいっちゃん。
じゅんぺいはいっちゃんのことが好きで好きで…いっちゃんもじゅんぺいのことは嫌いじゃなくて。
何となくそういう関係になったじゅんぺいといっちゃん。
告白してOKして…っていう流れではなく、雰囲気でそういう関係になっちゃう二人。

じゅんぺいのほうがいっちゃんに対する「好き」って気持ちが大きいのが分かるだけに、じゅんぺいが気の毒に思えた。
ヘタレなじゅんぺいは相手にしつこい、重いと思われたくなくて苦しみます。
でもいっちゃんのほうが気持ちが小さかったのは、昔の男のことを上手く消化できていなかったから。
気持ちがふっきれずにいたいっちゃんでしたが、それでもじゅんぺいが大切で過去に向き合いに行きます。

すれ違ってしまったけれど、気持ちを少しずつ少しずつすり合わせていく二人。
なんてことはないことですれ違ったり、昔を思い返してしまったり。
そして本当の気持ちに気づいたり。
そんなことの繰り返し。

じゅんぺいといっちゃんの両方の家のお風呂が壊れて、二人がお部屋探しをしている時。
物件の部屋のお風呂に二人が一緒に入ってギュウギュウしていて、「風呂が壊れなければどこでもいいや」って言ってキスしている時の二人が幸せそうでした。

はたから見たらなんでもないことでも、二人でするから意味があることってたくさんあると思います。
そんな二人の日常。
小さな幸せがそこにあって、それがこの先いくつも積み重なっていくんだろうなと思いました。
リアルにありそうなグダグダ感やすれ違いがしっかり描かれていたけれど、最後には心暖たまる良いお話でした。

5

「現実感」のあるBL漫画

タイトルと表紙の雰囲気に何げなく手に取り、
読み始め5ページでこれはキタと思いました。久々の大当たり。

「ゲイ」であることを周囲にひたむきに隠し、
傷付くのが嫌で、恋に積極的になれない「いっちゃん」と
好きになったら一直線!なヘタレわんこの「じゅんぺー」
そんなふたりが一緒になるまで…

こう書くととてもありきたりなふつーの筋書ですが、なんだか違うんです。
大きな理由は、「現実感」でしょうか。
二人とも働いていて、将来のことを考えている。
仕事を失敗するシーンや、「痛い」シーンもちゃんと書かれている。
そして、恋に臆病な受にありがちな「女っぽさ」が描かれないのも好印象。
いっちゃんはあごひげだけにとどまらず、すね毛も描かれている。女の子が現実的に結婚とか考えやすいような、かっこよすぎないふつーの「男前」。
そして、BLによくある、幸せになってハッピーエンド!終わり!ではなく、辛かった過去をしあわせな日常で段々と癒し、そしてこれからもずっと続いていきそうな未来の話で終わる。この流れはとても幸せになれます。
読みながらじわじわ涙が滲んで、読んだ後もタイトルをかみしめながら幸せにじわっと泣けました。
BLってファンタジーだけど、たまにこういうリアリティのあるBL本に癒されたり救われたり。…私だけでしょうか?
現実感のあるBL小説は結構見かけますが、漫画では希少な気がします。
(ただ、この感じどこかで…と思ったら、国枝さんの「未来の記憶風の行方」でした。雰囲気、読後感が非常に似ている気がしました。)

イラストは少し荒っぽく、汚いと感じて苦手な人もいるかもしれません。
しかしその自由な線が優しく、のばらさん独特の日常の切り取り方や、心情の表現の「黒いコマ」の使い方がとてもうまいと感じました。
夜に古い映画を見る、という独特の雰囲気の「優しい口」のワンシーンが特に素敵でした。

しかし、1点非常に残念なのは、エロが期待できないことです。
のばらさんはエロシーンに定評があると知ってから、やっぱり幸せな二人のイチャイチャが読みたかったーーーと非常に悶えました…。
これでとても満足なイチャイチャもあったら「神」にしていたかもしれません。笑

ちなみに、装丁・デザインはさすがの「onBLUE」レーベル。
表紙も湯気で滲んだような字体や淡いイラストがとても素敵ですが、表紙裏はお風呂のタイルだったり、本のいたるところにあるかわいらしいモチーフが一貫して隠れていたり。とてもセンスがいいです。

ラストがとても甘やかで、読んでいる自分もいっちゃんと一緒に少しだけ楽になれるようで、何度も何度もぼんやり読み直しちゃう、おすすめしたい一冊です。

5

久しぶりに良かった

とても好きな作家さんです。
美男子じゃないけど暖かい
普通にいそうな生活が描かれているところが好きです。

すね毛もちゃんとあるところがほっとします。
人間そのもの。

お風呂が壊れた先輩を自宅にとめている後輩。
職場が一緒。後輩は先輩が好きです。
先輩の元恋人のつなぎでも良いから好き・・という切ない展開です。

早すぎず語られる会話も
遅すぎない展開も
読みやすかったです。

弟さんがやってくる回が1番好きです。
やさぐれてばかりじゃない
それは新鮮でした。

4

ふわっと甘めな

のばらサンの新刊!待ってました。
個人的には、ワンピ同人~なイメージが強く
エロエロ作家さんなイメージでずっと来てるんですが
存外オリジナル作品はやわらかテイストのものが多いですよね。
今回はまた両思いからの合体がなかったのが少々残念ではあるものの
これまた可愛い作品に仕上がっておりまして
思わずほっこりな1作でありました。

もともと部下と上司の関係。
風呂が壊れた上司がおうちに。
なんだかムラムラする・・・俺って・・・やっぱり・・・
な年下ヘタレわんこ攻であります。
ありがちっちゃありがちなんですが、
攻がへなちょこの癖に存外頑張ってる姿がなんとも癒し

うまいなと思うのは、そのヘタレな攻の言葉と
受のまるで過去の自分の想いをほじくりかえしたみたいな
部分とが重なる感じ。
パズルがカチっとハマるみたいにうまく重なっている作りも
また面白いなと思うのです。

受の過去の男の話。
独特で、思ったことはすぐ言葉にしてしまう
優柔不断で・・な印象もなきにしもあらずだったんですが
実は、求めながらもそれを恐れて放してしまったのは過去の受であり
性癖故に積極的にいけないもの。
それが掴んだ今。思わずキュンとする。

顎のちょび髭はどーにも違和感でしたが
可愛らしい一作でした。
もっといっぱい愛されればいいと思うのだ(*´д`*)ヒヒヒ

4

のばらあいこさん

こういう作家さんなんですねー。もっとほのぼの系を描かれる方かと思っていました。
受けがゲイなのは嫌いじゃないんですけど、受けの子もその元カレ?もキャラが好きじゃないです。受けの子に応援できるような要素がなかったです。なぜじゅんぺー君がいっちゃんを好きになったのか謎。
今時の若い子たちのBLなんでしょうか…。元カレの子の飄々とした感じもイライラしました。私心が狭いんでしょーか?

6

読みやすいです

「秋山くん」が辛かった方には、特にお勧め。

臆病なヘタレ同士が、前を向いて一歩踏み出す。
切なくて、じれったくて、甘い。
普通に読みやすくなって、普通におもしろい。
言葉や絵には独特のセンスが残っているけど、
きれいにまとまって、しっかりした普通のBLです。
この作品は作者さんの成長の証で、いい作品だとは思う。
でも、個人的には、秋山くんのインパクトが強くて、
普通に良くできているだけじゃ物足りないって感じちゃうのは、やっぱり作者様に申し訳ないのかなぁ。

3

悶々しているじゅんぺーが可愛いったらない

のばらさんの作品はとにかく登場人物がかわいい! 攻めも!受けも! ルックスの話はもちろんですが、中身が! 特に攻めの子! いっつも悶々悶々していますよね。これがたまらなく可愛いんです。
「自分のなかにあるアレもしたいコレもしたい、でもしてはいけないからこそああしたいしたいしたいしできるならば望みすべて叶えたいうわあああああ」
っていう心の叫び(※作中には上記のようなセリフはありません)を攻めのじゅんぺーはごろんごろんしながら葛藤していて可愛いです。
嫉妬するのも好きだから、嫉妬してもやもやして元彼に突撃しちゃうのも好きすぎるから。スマートな愛情表現じゃなくて、すこし曲がりくねってどうしたらいいやら分からない前後不覚状態だけども、一生懸命なじゅんぺーに好感を持てます。
受けのいっちゃんさんもこれまた素敵。彼もまたすごく不器用です。あといっちゃんさんの目のちょっと吊り目のネコ目、セクシーです。きれい。
じゅんぺーの、いっちゃん(って呼び名が変わるあたりもまたいい!)大好きさが紙面からぐんぐん伝わってきます!

のばらさんの作品はどれもこれも心理描写がやわらかく繊細で、読み手の心をゆっくりとしめつけたりときめかせたりさせてくれる、そういう作風がとても好きです。
過去の二作品いずれかで「好き!」と思えたら、この、ぬるくなるまで~もおすすめです!

3

煌めくような華やかな恋ではないけれど。

職場の先輩・いっちゃんが好きな順平は、いっちゃんの部屋の風呂が壊れたという話を聞き、風呂が直るまで自分の部屋での同居を持ちかける。
酔ってキスを強請ってしまったことから、身体の関係へ発展できたのだが、いっちゃんにはまだ忘れることのできない過去の相手がいるらしくて…

といった内容の話。
いっちゃんが、弱かった自分と向き合おうと決意して、過去と決別するくだりが良かったです。
それを静かに見守る辻井、いい人だなぁ。
そして、ヘタレだけどアツい順平の、ヘタレっぽいモガキっぷりも微笑ましかったです。
個人的には、いっちゃん弟の番外編はメインテーマがボケてしまったように感じられてしまいましたが…(話としては良かったけど)。

エロいシーンはちょっとなので、その辺りを期待してる方には残念かもしれません。
等身大の日常BLが欲しい時に読むにはもってこい、かと。

3

素敵な作品だけど

読むとぼんやりと胸に響くような痛みと暖かさがある作品です。

ただ若干コマ割が独特で視線がちらつくような気がしました。
攻めが泣きながら抱きついて告白しなおす所とかは、もう少し互いの表情のアップを見せて欲しいかな?って。大事なシーンなのに表情があまり大きく描かれておらず、且つ攻めの顔が台詞の噴出しで3分の1位隠れているのとかも非常に残念でした。

あとはエピローグで、攻めがノンケだったと思う時代に初めて男性に告白された時の話。
話自体はあってもいいと思うんだけど、ベットの上で話す事なのかな~?って。その告白を受けての攻めのコメントも、う~~~ん。って感じでした。いやまとめてる最後のコメントはいいんですがその途中の反応やコメントがちょっと。

すれ違いや、じれじれな感じや切ない感じの作品は凄く好きだし、ストーリーも悪くないんだけど、コマ割とかその他で今一歩足りないというか、後一歩あれば凄く化けるのにもったいないって思いました。

1

素敵です

リアルな感情が溢れているような惹きこまれるストーリーでしたね。
思っていた以上に素敵な作品に出会えたかもって読んだ後に感じました。

ゲイだと自覚してから様々な事に背を向けるように生きてきたいっちゃん。
それは家族だったり好きになった相手だったり、本音を心の奥に隠してさり気なさを
装っている、悩めるゲイって雰囲気が伝わって来ます。

そこへ同じ職場の後輩である順平からのストレートな思いをぶつけられるけれど
過去やもろもろをひきずっているようないっちゃんは本音で応えられない。
不器用な恋愛をする二人から目が離せなくなる作品で素敵でした。

3

好きという気持ちに浸れました。

のばらあいこさんの三冊目。待っておりました。

読んでいてぬるま湯に浸る気持ち。というかとても心地良い気持ちになれました。

順平(攻)は「がむしゃらヘタレ」とありますが、まさにその通り。大好きな先輩、いっちゃん(受)のことで泣いたり、喜んだり。いっちゃんに対して顔真っ赤にして熱い想いを見せたり、けれども昔付き合っていた男の話しを聞けずに一人でぐるぐる考えてしまったり。

いっちゃんと中々会えなくなり、一人でお酒飲みながら「だって……会いてぇよ~~~…」と泣く順平に、思わずこっちまで泣きそうに。順平はいっちゃんのことでいっぱいいっぱい泣いています。

自分にも相手にも不器用ないっちゃんですが、こういう気持ちって誰しもあるように思います。それでも順平のように、悩んでも最後には本心をぶつけてくれる相手なら、逃げずに向き合おうと思えるのかもしれません。

二人とも、最初から同じ湯船に入って、二人の心地良い温度を探している。
そんな印象を受けました。だからでしょうか、この二人は不思議ともどかしさを感じませんでしたね。

そして最後に二人が得た穏やかでゆったりとした温もり。
読んでいるこちらも、温かな、とろんとした気持ちに浸ることができました。

良い一冊です。

因みに個人的にお気に入りな場面は、先ほどの「会いてぇ」と泣く順平と、いっちゃんに想いの丈をぶつける順平の告白シーンです。ほぼ順平です!

4

のばらさん苦手・・・な人にもオススメ。

ぬるく―――
それはきっと、ず~~っと浸かっていたい心地よい幸せな温度・・・

順平(攻め)は、ノンケなはずなのに職場の男の先輩・いっちゃんのことがとても好き。
いっちゃんの家の風呂が壊れたと聞くとすぐに「ウチ 来ます!?」と、その想いは真っ直ぐで熱い。
いっちゃんはゲイで、
順平がキスを望めばしてくれるし、それ以上のことだって・・・。
そうやって身体では順平を受け入れようとするけれど、
でも実はいっちゃんは過去を引きずっていて、その過去と今を重ね、心の温度を上げれずにいる・・・
この本は、
そんなふたりの気持ちがちゃんと混じり合って “居心地のいい温度” に落ち着くまでのお話。


ワンコで単純でヘタレな順平(攻め)がなんとも可愛い。
いっちゃんが、順平のおウチのお風呂に入ってくれるとそれだけで興奮し、
キスをねだり、それ以上もねだり、
でも、いっちゃんの昔の男の存在を直前に知って、肝心な時にたたなくて・・・
個人的には、
たたなかった後に、いっちゃんの浸かるお風呂に順平も入ってきて、
何度も「好きなのに・・・」を繰り返す、ちょっと切ないシーンがとても好きでした。

真っ赤になったり、目をまんまるにしたり、激しく後悔したり、
悩んだり、泣いたり、早とちりしたり、いっちゃんのために本気で怒ったり・・・
そんな順平が、とてもとても愛おしかったです。

悩みながらも、格好よくなくても、真っ直ぐにぶつかってくる順平だから、
ゲイゆえに傷ついた過去を持つ、いっちゃんには、
順平のように素直にはなれず傷つくことをすぐに怖れてしまう、いっちゃんには、
順平は、ちょうどいい居場所になるんだろうな。

いっちゃんを順平が癒し、
順平もいっちゃんに引き上げてもらうところがあって、
とてもお似合いなふたり。
このふたりの未来はこれからもずっとずっと穏やかで平和だろうなぁと、
読んだあとは気持ちがあたたかくなりました。


「秋山くん」も「ネコジタスパイキー」も、あまり好みではなかったのですが、
この本はとても好きです。
ほっこりしたいなぁ~という時には特にオススメの一冊です。

6

体感に訴える言葉

「秋山くん」とも「ネコジタスパイキー」とも違う、がっつりと取り組んだ跡が見られる初連載作品。
部屋の風呂が壊れたために、同じショップで働くじゅんぺーの部屋にしばらく居候することになったいっちゃん。
じゅんぺーはいっちゃんが好きで、その想いを告白するのだが、いっちゃんの断ち切れない想い人の存在を知って、じゅんぺーはいっちゃんの事を何も知らなかった事を知る。
まっすぐなじゅんぺーに素直に向き合うために、それまでの自分を脱皮して
そしていっちゃんはじゅんぺーと恋人同士になる。
そんな筋書きの中に、散りばめられる主人公達のセリフが胸に響きます。

もうすでにじゅんぺーはいっちゃんが好きという設定から始まっています。
なので、いっちゃん家の風呂が壊れた時自ら自分の家に誘ったのはじゅんぺー。
じゅんぺーはとてもワンコです。
いっちゃんが好きなのを気取られないように、一人ハラハラしたりドキドキしたり、
いっちゃんが大好きオーラが滲み出て、まるで少年のように真っ直ぐな、ガタイはデカイけど、とても可愛らしい男子だと思います。

いっちゃんはあごひげなんか生やしてるけど、優しそうな雰囲気が漂います。
じゅんぺーの誘いに、キスもするしかきっこもするけど、その本心は見えない。
唯一表情を変えたのは、店のOBの辻井の名前を出した時。
それを知って、泣いていっちゃんが好きなのに。。。と訴えるじゅんぺーを見て
辻井と向き合ったことで、自分に決着がつくのです。
とてもヘタレなゲイでした。
嫌いじゃない相手、むしろいい奴と好意を持ち、相手も自分を好きだと言ってくれる。
しかも、まっすぐに一途に自分の事を考えて涙を流して真剣にぶつかってくる。
激しい、はっきりした恋情じゃないかもしれないけれど、その好意に答えたいと自然に思うこと自体がもう恋の入り口に立っているんじゃないだろうか?

場面場面に散りばめられる、登場人物のセリフとモノローグがとても印象的です。
とても感覚に訴える言葉なのに、それが何だかわかってしまう。
傷付いたじゅんぺーとセックスした時の「焼き切れそうなのにまんなかだけが凍ったみたいにつめたい」
単純に表現すると、体は熱いのに心は冷えていた。というような事だとおもうのだが、言葉の選び方がとても感覚なのです。
題名が「ぬるくなるまでまって」とか風呂がきっかけ、というわけではないだろうが、表現として”溺れる”とか”のぼせる”とか、体の感覚の表現を使うことで、よりリアルにつたわってくるものがあるのです。
それがとても自分の感覚にマッチしているのです。

じゅんぺーって、部屋にいる時ちょっぴり小汚い感じがするんだけど、店に居る時とかきちんとしてると案外いい男では?(w)
スネ毛はご愛敬(苦手な人注意ですが)

そして、番外としていっちゃんの臆病になるきっかけの少年時代の話【やさしい口】、いっちゃんの弟がやってきてカミングアウトをしてそれぞれの兄弟が自分の思う道を進むことにする【WE WANT TO TOGETHER】、単行本描き下ろしとして、じゅんぺーの高校時代の告白の話【エピローグ】が掲載されています。
これらも、逐一の言葉がとても響くものがあります。

前2冊では気がつかなかった、この作家さんの「言葉」
とても素敵でした。

8

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