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中編2作品と短編1作品収録。
「オーバーテイク」
成績不振の年下の幼馴染・賢吾の家庭教師を引き受ける図書館勤務の史也。
賢吾は史也に追いつきたかったという。
それ以上にどこか熱い視線を感じる史也だが…
この賢吾くん、自分に自信がないのかな。きちんと言葉にせずに史也に無理をする。
追いつきたい、それだけで背伸びをしたり落ち込んだりする恋心。
でも史也だって。
…というお話。
絵がとても美麗。逆にストーリーに勝ってしまってますね。
「くものあみ」
高校の同級生・黒田がずっと好きな新人リーマンの伊勢。仕事に今一つ馴染めず、衝動的に休みを取って地元に帰る。
だが、久々に会えた黒田は赤ちゃんを抱いていて…
伊勢の職場の先輩も思わせぶりなんだけど、あっけなくまとまります。
ストーリーとしては多分色々未熟なのかもだけど、私は面白かった。
私は加東セツコ先生の魅力って曖昧な部分にあると思ってるんだけど、この物語は珍しくストレートな感じ。
黒田が余裕過ぎるのがちょっと憎たらしいわ。
「ミミック」
若いのに大人の息子がいるシングルファーザーの及川。
息子と同い年の部下・里見は、息子がいない日と知っていきなり及川に…!
…はいいんだけど、とにかく短いお話なので及川が言う里見の「本性」がわからない。真面目なフリして強引ってこと?
「擬態」というからには、里見にもっと焦点を当てて欲しかったかもしれない。でもこの寸止め具合が加東セツコ先生の良いところだとも思ってるから…
また、及川はくたびれ感はあるけど里見との年の差があまり見えない。絵の美麗さが邪魔しているのかな。
私は基本的に、加東先生の作品は長い方が好きなのですが、今回のコミックはちょっと違いました。表題作から3:2:1の長さだったのですが、一番最後の「ミミック」が自分のツボでした。萌2はすべてこの24ページへの評価です。
部下×上司なんですが、この部下のしたたかなこと!
残業をして近づくのを虎視眈々を狙うのはまだしも、自分と同い年22歳の息子がいると分かってからも、引くどころか息子の不在につけこんで迫るとか、若いのになかなかやるなおぬし!って感激しました。ライオンみたいな容姿も好みでした。上司がまた付け込みたくなるタイプでしたし、ラストの構図も素敵でした。
加東セツコ先生の端正な絵柄は時に、不思議な緊張感を伴います。
その不思議な緊張感に包まれた、身近な生活感のあるオムニバスです。
全てキレイな感じでふわぁーっと終わるショートショートなのですが。
「くものあみ」だけは足りない、足りな過ぎるんですよ‼︎
伊勢が可愛いのもあるけど。も少しそこに浸っていたかったかな。と、言うか、わざわざ実家まで追いかけて来た戸川さんの気持ち‼︎戸川さんはオトナだから「やれやれ。オレは当て馬かよ!(世話のやける)」と、おそらく感じているでしょう。(表情だけで感じさせる、加東先生さすがです。)黙ってお帰りになりましたが。何、黒田、余裕ぶっこいてんのよ‼︎マジヤバかったんだからね‼︎って、黒田にゲンコツですよ。全く。ちょっとSだし。ムカつく。
伊勢は戸川さんと付き合ってドロドロに甘やかされた方が幸せなんだよ!バーカバーカ!と言ってやりたいです。笑。
表題作は、子供の時から憧れていた史也さんに追いつきたくて必死な、大学生になっても子供な賢吾が可愛くて。図書館で働いている、史也さんは自分では気付いてないみたい。そのだだ漏れの色っぽさに。多分仕事柄、地味なスーツを着ているんだと思うんだけど。
多分絵の様に美しいんだと思われ。
賢吾は勝手に同僚の相葉さんを史也さんの彼氏かも?と誤解しますが。あながち誤解でも無かったような妄想をしてしまいたくなります。相葉さんだって満更でもない気がしますし。そのくらい史也さんは色っぽいんです。
妄想で補うのも大変なので、いつか続きを描いて欲しいと思わせる、そんな物語集です。
多分、大半の本は読んでいると思うのに、ほとんどレビューしていない加東さん。
表紙の絵とか、タイトルに惹かれて買ってはみるんだけど、どうも、微妙に感想が書きにくいというか、、、
ここが好き!とか、ここがよかった!とか、こう、前のめりな読後感があるか、これはいやだとか、そんな拒否感が残ったりすると、感想も書きやすいんだけど、、、
この本には、3作品収録されているが、どの攻めも微妙に好きになれない。
ビジュアルは悪くないんだけど、なんかずるいっていうか、人として卑怯っていうか、無自覚な性格の悪さを感じちゃうっていうか、なんか、もやもやしちゃう。
とりあえず、着衣のままセックスする攻めは好きじゃない。
JUNEの創作コードをBLの手法に組み込んだら
こう言う作品が出来るのか、と考えてしまう
端正な作品です。
物語として隙が無い反面、読者側で焦点を
常に気にしていないとたまに萌え所に迷って
しまいそうな印象も受けます。
表題作だけではなく併録作も隙が無いもの
ですから、気楽に読み流すには適さない
一冊かも知れませんね。
少しずつ間合いを詰めながら読み込んで
いくと蜜の部分を味わい易くなるかも知れません。
評者は好きですよ、こう言う作風も。