ボタンを押すと即立ち読みできます!
今回のこの単行本、いつも明るく楽しいミチャ作品ですが一転!
おおおー!と人の暗闇を抉るようなバッドエンドも含め暗いお話が3本も併載。
表題は、いつもの可愛くて楽しくてちょっとエッチないつものミチャ作品なんですが、3話構成のその三話目に挿入された猫のミータの話に思わず涙がドバーーーー!!!
本の帯、感動系を示唆する「誰もが皆、大切なあの人を待っている。」という、後ろは「泣けるBLコミック」というのに引き寄せられると、
確かに悲しいものがあるのですが、ちょっと痛いダークな深淵を見る作品を含まれているので、若干の心構えと注意が必要かも?
ただ、新しいミチャゾーンを見せてもらった感じがして、こうしたバッドものが許されるってことはミチャせんせいもスゴイ作家の仲間入りをしたんじゃないか?ってそんな感じもしますw
それにしても裏表紙の猫のミータの絵、猫の質感がとてもよく出ていて夕焼け空が切なくて、これを見るだけで涙がこぼれちゃいます!
【玄関先で】
佐藤が住む下宿に、ずっと好きだった柏木先輩が寮の改築で半年だけお世話になるとやってきます。
大学入試の時、試験会場を教えてくれた柏木が気になってずっと追いかけて見ていることしかできなかった佐藤ですが、実は下戸で酔うと寝てしまう柏木の面倒を見た時にキスされたのを先輩も自分を好きなのか?と思うのですが、実は勘違い。
ガッカリするものの、一緒の下宿生活は楽しく告白することも叶わず半年が終わってしまう。
と、切ない片思いから始まり、下宿の先輩達の助けもあって無事まとまるお話です。
そして3話が下宿に居付いている猫のミータのお話になるのです。
ミータは昔ここの住人だった学生が拾ってきた猫。
大変に可愛がっていたのですが、ある日「行ってきます」といつものように出かけてそのまま帰らぬ人に。
寒い日も、どんな時もずっと門柱に乗っているミータは彼を待っていたのでしょうか?
柏木と佐藤も登場するのですが、この話実はミータの話になっていて、ちょいツボがBLとはかけ離れてはいるんですが、広い意味で「愛」と思えばいいか・・・
しかし、もう号泣でした(ズルイズルイ!)
【白い蝶】
幻の白い蝶を求めて白鳥村にやってきた昆虫学者。
何もない村であるが祭り前だからよそ者は入るなと追い返されそうになるが、村長という男に一晩だけと言われ泊めてもらうことになる。
そこで彼が見つけたのは、座敷牢に閉じ込められた祭りの供物になるのだとう少年。
・・・よくある因習生贄ものでストーリー的には目新しさはないのですが、ミチャ先生のちょっとノスタルジックな絵柄がこの暗い村の雰囲気を伝えています。
【暗闇のソナタ】
借金のカタに引き取ってきた青年を愛人にして酷い扱いをするヤクザ企業の社長。
世話係を任命された舎弟は、彼の無残な姿に情が移り彼をつれて逃げ出します。
どんなにセックスをしても決してイく事のない青年のカラダ。
そんな時、潜伏先がばれて社長が現れ・・・
現代のホラーというか、心のホラーというか、滅茶怖いです!
そして死ネタあります
【二三】
義理の兄弟もの。
弟が兄の部屋で兄の衣類を抱えて自慰をしているのを見て動揺した兄ははげしくののしります。
それまで仲の良かった兄弟に亀裂が入る時。
弟の執着に堪えかねて逃げた兄が実家に戻った時・・・すでに・・・
執着が歪んで道を間違ってしまった兄弟が切なくて悲しいです。
よく禁忌モノがハッピーエンドになる話を目にしますが、絶対にこういう展開もありうるはずです!
死ネタあります。
【床屋さん】
暗いお話のあとのほのぼのお口直し。
床屋さんとそのお客さんのウフフな関係。
帯の煽り文句は少し大げさかもしれないが、この本を読んで改めて漫画がうまいんだな~ということを再認識しました。(今更スミマセン、、、)
ミチャさんは昔からあまあまが基本で時々シリアスな作品があるような気がしますが、
久々にブラックなほうのミチャさんでした。
しかもアンハッピーエンド作品集!
正確には全ての作品がバッドエンドではありません。
5作品中3作品は確実にバッドエンドそして死ネタです。
表題作『玄関先で』
こちらのお話は大学生のカップリングでした。
CP自体はラブラブのあまあまのエロエロな二人なんですが、
まさか猫のミータにシリアス展開が待っているとは思いませんでした。
とても沈んでしまいました。
カップリングはバッドエンドではないんですが、ミータがバッドエンドでした。
忠犬ハチ公の猫バージョン、そしてパトラッシュな最後。
そう考えるとなんてミチャさんらしいシリアス展開なんだろうと思いました。
なぜか私はミチャさんのギャグが脳裏に焼きついているので、
今回の作品はシリアスだと分かっているのに、
いつギャグが挟まれるんだろうと思って読んでしまいました。
『白い蝶』なんかいかにもシリアスなのにそれが逆に笑えてしまうという。
ミチャさんが燃~えろよ燃えろ~よ~…と歌いながら
「奥さんがファイヤーしている絵」を描いている図が浮かんできてしまいました;
ブラックシリーズなのにギャグ作品と言われてしまうのは
きっとミチャさんの人徳なのだと思いますw
あ、内容は好きでした。閉鎖的な村、生贄、そこに訪れた研究者、
この設定がミステリアス・ホラー風で定番ですが好きなんですよね~。
個人的には楽しめました。そしてこれはバッドエンドではなかったです。
『暗闇のソナタ』
ヤクザのお話でした。
主人公が社長(ヤクザ)のオンナに惚れてしまい、
そして殺されてしまうという救いようのないバッドエンドでした。
『二三』
義兄弟もので、兄は弟に恨まれて複数・輪姦されてしまうお話でした。
最後には弟が死んでしまうバッドエンドでした。
こちらの作品は昭和に流行った作風のテイストだったので懐かしい感じがありました。
『床屋さん』
こちらは普通のお話でバッド要素は全くない作品でした。
そして異常に短かったです。
あとがきが楽しかったです(笑)
どんなにシリアスでまとめても、最後に笑えるあとがきを書いて下さるミチャさんが好きです。
今回のCJさんの作品はせつない話ばかりでした(>_<)
特に、ミータの話は自分が猫を飼っているのもあり泣けてきちゃいました
話としては、明るいのが表題作の玄関先でぐらいで、残りは暗い話ばかりです。
ちなみに、暗闇のソナタの武藤&千早は「オトコ拾いました。」に少し出ていますよ(^O^)
全体的には暗さの方が残りますのでBADENDが苦手な人にはオススメ出来ませんが、CJさんファンならばまたいつもとは違うCJさんの良さが見れるかもしれません?笑
と思ってしまうくらい、今まで読んだCJ Michalskiさんの作品とは作風の違う作品集でした。
ご本人もあとがきで仰っていますが、「CJブラック作品」が詰まった1冊だと思います。
全部で5つの作品が収録されていますが、好みの作品と中立評価の作品とがきっちり分かれました。
好みの作品は切なくて痛かったとしても希望があったり感動した作品で、表題作と『白い蝶』です。
『床屋さん』は短いですが日常の一コマのような作品で、まだ形となっていない淡い恋心がほのぼのとしていて一番ほっこりしました。
残念ながら好みでなかったのは『暗闇のソナタ』と『二三』です。
この2作品には理不尽さや悪がまかり通っていて、ブラックはブラックでもこの手のブラックさは好みでないかなぁと思いました。
でもこういう作品はこの作家さんでは初めて読んだので、こういう作品も描かれることがあるのだと興味深かったです。
表紙の絵、いいですね。
とても可愛らしい。
表題作はラストはともかくまあ、表紙通りのお話でした。可愛い。
でも全てにゃんこにもっていかれてしまったので、二人をメインにしてにゃんこはいるだけで良かったような。
すっかり霞んでしまいました。
で、一番良かったのが床屋さんの話で、他はちょっと………。
可愛い絵と後味悪い内容のギャップが悪い方向に働いていたような。
撃ち殺されたラストとか、せめてもっとなかったのか。救いようがなさすぎる気がします。
表題作と床屋さん以外だと下手すると「しゅみじゃない」ですが、中間とって「萌え」で。