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5つの短編がまとまった1冊。その話のどれもが余韻を引きずる話で、私にとっては”傑作集”です!
●「青い初恋 ひみついろ」
男手ひとつで育ててくれた父に、伸明がゲイだとカミングアウトすると、父もゲイで知人女性との対外受精で伸明を授かったと逆カミングアウトされる。
そして恋人の浩一を父に紹介すると、浩一父は伸明父の元パートナーで、二人は母親が同じな異父兄弟だとわかり…
血のつながりがあるのにカラダを繋げたことに浩一が嫌悪感を持たないか?伸明はこわくて浩一と連絡を取ることができない。
兄弟とは知らずに恋人になってしまった二人が結末を出すまで。想い合う気持ちが切なかったです。
シリアスな設定だけど、伸明父が明るくて重すぎないのも良かったです。
父カップルのその後は描き下ろしを読むとわかります。
●「ライアーズ・キス」
弁護士の亮一が何度も相談されるゲイ結婚詐欺。
亮一は、その詐欺師・恭平と付き合っていたことがあり、詐欺師だとバレて立ち去る時の恭平の表情を忘れられずにいる。
そしてカモから切り付けられた恭平は、亮一に助けを求め、二人は再会。
「ぜーんぶ詐欺だって決めつけるけど今回こそは本気で好きになって本気で一緒になろうと思っていたかもしれないじゃないか」という恭平の言葉、それは亮一との別れ際に言えなかかった言葉じゃないの?
二人の未来は曖昧なまま。続きを知りたい気もするけど、二人が気持ちを引きずったままの余韻がこの作品の良さに思えます。
●「花策×恋策」
教師同士、攻めは華道家元で和服を着こなす品があり、受けは普通だけどその人自身を見て判断できる強さがある人。この本の中ではクセが少なめで、和服美人の強引な色気を楽しめます。
●「マイ・スウィート・ギャング」
少年課刑事・加賀見と、補導常連の少年・眞一郎。
加賀見が酒を買っている眞一郎を注意すると、翌日が眞一郎の誕生日で、加賀見の家で誕生祝い的な飲酒デビューをすることに。
生意気な子供だと思っていた眞一郎が、叶わない想いを抱えていたり、自分のことを自分で決められる成人への喜びと覚悟を持ってるのがいじましかった!
加賀見も思わず抱きしめてしまって、この二人の未来は明るそうです。
●「鳥籠の犬」
佐々木は小学生の時に鳥を殺し、見られた永井に黙っていてもらうために永井の犬になった。それから17年、佐々木はリーマンになった今も永井の犬のまま…
二人の関係に甘さなんて全然ない。どっちも離れるのは簡単にできたはず。それでも捨てようとしなかった永井と、犬でありつづけた佐々木…
それって言葉にしなくても、強い想いがあるからとしか思えない。
全然甘くないのに、私には甘く思えてしまうんです!
甘々なボーイズたちを愛でる一冊じゃありません。
でもクセだらけなキャラ達の言葉にしない隠された気持ちが私には甘く感じられて、余韻を引きずる忘れられない一冊になりました。初読みはだいぶ前なのにずっと印象に残っています。
風緒先生の絵の綺麗さもあって、作品世界にどっぷり浸かります!
初読み作家さんです。
ちるちるさんで絵を何度もお見かけして気になっていた作家さんでした。
お名前も作品のタイトルも綺麗で、中身を見たら絵がとても綺麗でかなり好みでした。
初のオリジルナルコミックスだそうですが、そんな感じは全くしません。
むしろとても描き慣れていらっしゃる感じがします。
全部で5組のカップルの短編が収録されています。
この作家さんの台詞使いとかお話が個人的にかなり好きです。
王道でない展開のお話があって、それははっきりしたハッピーエンドではなかったりするのですが、人の人生のある期間の日々を綴っただけのような、昔よく見たフランスの短編映画を思い出させるような、見終わった後に少し余韻を与えてくれるような作品でした(特に『ライアーズ・キス』がそんな感じです)。
お気に入りの作家さんのお一人になりそうです。
表題作の青い初恋 ひみついろは
「俺 恋人ができたんだけど、そいつ……男で」
という息子のカミングアウトから始まり、
「俺もゲイだよ。息子よ」
と父親もカミングアウト。
父にもう亡くなってしまったパートナーがいて、その人との子どもが欲しいと思い、生んでくれるという女性が現れ生まれた息子の信明。
そしたら、信明の恋人の浩一が父のパートナーとその女性との子どもだと知らされて兄弟だとわかる。
この話は短編なんだけど、こんなシリアスな話を一話に納めるのはもったいないというかちょっと無理があるような。
何話か跨いでれば、もっと良い作品になったと思う。
描き下ろしでは、信明が乳首に絆創膏を貼ってます。
浩一にSっけがあるようです。
全て短編ですが、他は微妙です。キャラが似たり寄ったりで話にも深みを感じませんでした。
絵がきれいだし、設定も興味深く、作者の作品をまた読んでみたいなとは思いました。
また、短編としてクオリティ高く、その後の展開の想像力をくすぐるのもよい。
ただ、終わりがハッピーエンドとは限らないし、倫理的にどうかと思う場面もあり、好みじゃないと考える方も多いでしょう。
私が1番気に入ったのは弁護士と詐欺師の話でした。どうしたって幸せにはなれないだろうけど、それでも相手を求め合ってしまう二人がほろ苦い。目をクローズアップして印象的に描くことで心の飢餓感を感じさせるのも上手い。
それにしても、ゲイ関係のトラブルを扱うことが多い弁護士事務所って本当にあるのだろうか。連作短編で読んでみたい。
逆に表題作は「甘さ」「中途半端さ」が目立ち、他の短編と比較してかなり不満足でした。
コミカルに描きたいなら、とことん遊んで描いてしまえばいいのに…
もしくは、タブーを中心に据えて、もっとシリアスにするほうがよかったかもしれない。
自分だったら、伸明父の視点で、回想をまじえ、バッドエンド寄りに仕上げるかな。
恋人が実は血の繋がった兄弟だったという昼メロ的なあらすじが気になって購入しましたが、私は駄目でした。
一応葛藤はあるんですけど、お互いの父親が恋人同志で女性が協力してそれぞれの子供を産んでくれたという設定がどうしても駄目でした。
子供産むのはそんな簡単な話じゃないです。一人ならともかく、二人も。
自分も出産経験ないですが、妹が産んでいるのでその大変さは端から見ていても分かりました。作者さんは身近に出産した方がいらっしゃらないのでしょうね。
父親同志がゲイの恋人だったけれど、別れてそれぞれに子供が出来た……って話でいいのではないでしょうか。
あらすじで云う程、近親相姦的な意味合いもないのでなくてもいいかなあと。
他の話も詐欺師や穏やかでない話ばかりだったので、内容的には星一つですが絵が綺麗だったので星二つ。
しかし、着物描く時はもっと写真なり資料を見て欲しいです。
特に弓道の道着と袴が。普通は筒袖だし、着物着る場合は男子は片袖脱ぎます。こっち描いた方がBL的には映えませんかね?