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表題作三日月にけだもの

チンピラ? なかもっちゃん(中元久一) 21歳
信用金庫営業マン 萩家貴智(キッチー) 26歳

同時収録作品心舞うたび/心揺らぐたび(描き下ろし)

旭晴海 人気者高校生 クラスメイト
波野圭 読書好き高校生→カフェの店長 28歳

同時収録作品もう一度恋をしようか/もうずっと恋をしようか(描き下ろし)

大人気俳優 依田秀治 
出版社勤務  築島素直(ナオ) 28歳

その他の収録作品

  • 三カ月後のけだもの(描き下ろし)
  • あとがき
  • カバー裏:イラスト

あらすじ

銀行員の貴智はふと魔が差して万引きをしてしまった。それをチンピラ風の男に目撃され、脅迫まがいの強姦をされてしまうが??!?

作品情報

作品名
三日月にけだもの
著者
牛込トラジ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344829190
3.6

(51)

(17)

萌々

(15)

(8)

中立

(6)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
11
得点
175
評価数
51
平均
3.6 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数11

思わず目がウルッとなりました。

新刊チェックで粗筋を読み、とても気になったので、
特典ペーパー付きということで、いつもの書店で予約して購入しました。

『三日月にけだもの』、『三カ月後のけだもの』
受けがとうとう人の道を外して万引きを行なおうとしているところや、
万引きしたところを攻めに見つかり、捕らえられるところの心理描写が
とても良かったです。
その直後の8ページ目で、攻めに犯されている最中に、攻めが受けの
会社名を読み上げますが、会社名を下ネタの駄洒落に言い替えた
その内容が上手いなと、面白いなと思いました。
脅し脅される関係から相思相愛になる展開が良かったです。
攻めは、職業が明かされるまで生粋のチンピラ18歳前後くらいにしか見えず、
どう見てもパティシエには見えませんでした。
「呪」と書かれたケーキを見て、単純に攻めの書き間違いだとは思いますが、
呪いに掛けるほど、呪いたくなるほど受けのことが好きという気持ちが
「祝い」を通り越して「呪い」の漢字を無意識に書いたのかな、
と、そう解釈できないこともないかなと思ったりしました。
そう解釈すると、攻めの強い想いが呪文となり、その言霊が
ケーキから伝わってきたような感覚になりました。

『心舞うたび』、『心揺らぐたび』
前編は、人気者と地味な子の、よくある展開で、適度に萌えました。
前編の印象で後編を読み始めた時は、衝撃を受けました。
後編は受けが長年の想いを小説に綴る描写が痛いほど伝わってきました。
可能であれば、ぜひ受けが書いた作中の小説を現実の世界で実際に
小説化してほしいなと思ったくらい、受けの小説を読んでみたいと思いました。
攻めも10年間、苦悩していたようなので、攻め視点でのお話も読むと、
もっと奥深い作品になるのではないかと思い、攻め視点でも読みたいと思いました。
10年という長い年月をかけて、かなり遠回りになったけど、
最後は擦れ違わずに済んで本当に良かったと心の底から安堵の気持ちで
いっぱいになりました。
感想ボックスの攻めのメモの内容に、受けと同じように不覚にも目が
ウルッとなってしまいました。
オーナーの粋な計らいに、思わずオーナーに心の中でお礼を言いました。

『もう一度恋をしようか』、『もうずっと恋をしようか』
同じ所を目指して、成功した攻めと、夢半ばで断念した受けで、
受け視点で物語が展開しますが、受けの挫折や苦悩がとても伝わってきて、
受けが感じている劣等感や未練など共感しました。
読んでいて『心舞うたび』と設定や展開で似ている部分が
多いと感じながら読みました。
この作品は再会するのに7年でしたが、この2人も随分と遠回りして
元の鞘に納まり良かったと思いました。

今回の評価は、「萌×2」と「神」で非常に迷いました。
全ての作品において、物語の内容や展開、人物設定がとても良かったです。
絵に関しては、好みの問題で言えば先生には申し訳ないですが
どちらかというと好みとは言えないのですが、独特な筆遣いで
観れば観るほど旨味が出てきて味わいがあり、観ていて面白いと思いました。
一つ一つの作品については、あまり迷わず、
『三日月にけだもの』と『もう一度恋をしようか』が「萌×2」評価、
『心舞うたび』が「神」評価です。
しかし、一冊の本として総合評価をするとなると、
単純に平均すると「萌×2」評価が妥当かなと思いましたが、
やはり『心舞うたび』の後編で、作品を読んでいて滅多に泣かない私が
不意打ちで泣きそうになるほど心を鷲掴みされたのを「萌×2」評価に
するのは如何なものかと思い、最終的には「神」評価にしました。

7

なかもっちゃん素敵

ガラ悪いチンピラでいきなりキッチー(受)を襲うような奴ですが、本当のなかもっちゃんは可愛いくて一応手に職つけてて記念日の甘ったるい見た目のケーキとか作ってるギャップが凄い子です。もうこのギャップだけで満足……

最初は勢いのありすぎるなかもっちゃんに流されまくるキッチー。でもお互いを知っていって、最終的には年上感を醸し出しまくるキッチーも素敵でした。強引な攻めが甘えたになるのは萌えます。



3作中二作目の、クラスの中心グループの一人と読書オタクの恋には、思わずうるっときました。高校時代の恋人になるまでの過程、そしてすれ違いで別れてから10年後の話が描かれてますが、切なくも幸せになれます。詳細を書くよりも一度読んでもらいたい作品です。書こうにも書けないんですよね……絵から滲み出る切なさというか繊細さがすごく良かったです。

3作目も、切ない感じです。夢を叶えた後輩と、夢をかなえる約束を果たせないまま諦めた先輩。お互いを認めあっている二人だからこそのすれ違いが切なかったです。



なかもっちゃんがぶっ飛びすぎて、ギャグとシリアスが混在したギャップの凄い一冊です(笑)

1

このラブい感じ、好きです♪

作家さんの初コミックス。

エロから始まるぶっ飛びコメディかと思いきや、
ズーンと重い展開もあって、良い意味で意表をつかれます。
三つの話すべてに描き下ろしがあり、最後は甘々ハピエンで終わるので安心♪

手書き文字によるゆる~い解説や、
グッチャグチャで気持ち良さそうなエロシーン、
おまけ漫画(無声アニメ映画のようで可愛い!)など…
展開的にはやや荒いところもあるけど、
局所的にツボを突かれる感じが気に入りました♪
今後が楽しみな作家さんです。


◆【三日月にけだもの】
真面目な銀行営業マン・貴智(キッチー)。
仕事と彼女の三股のストレスで魔が差し、
万引きしたところをチンピラ風の男・中元(なかもっちゃん)に目撃され…。

オラオラ×ヘタレかと思いきや、実は…?
キッチー大好きなのに、なぜか鬼の角を生やして襲いかかるツンデレ・中元が可笑しいw
最初は怯えていたキッチーが、中元の可愛い面を知って以降
大人の包容力を見せる感じがステキですね~
徐々にワンコ×年上タラシっぽくなる、大変微笑ましいCPでしたw


◆【心舞うたび】
クラスの人気者・晴海×本オタ・波野(←赤ずきんみたいで可愛い!v)
本をきっかけに仲良くなり、恋に発展し…
…とここまでは少女漫画のようなハッピーエンド。

描き下ろし【心揺らぐたび】では、なんと破局している二人!
喫茶店店長となった波野が、晴海と別れた経緯を小説に綴ります。
男同士の関係に不安をもち、波野に嫌われるためわざと浮気する晴海。
(ズルいけど気持ち分かるかも…人と違うのが怖い年頃ですよね)

ビターな展開~ドラマティックなラストまで楽しめましたが、
晴海の心情をもっと知りたかったかな。
二人の再会に良い働きをするオーナーのキャラがすごくツボでしたw


◆【もう一度恋をしようか】
大人気俳優・秀治×編集者・素直
小さな劇団で切磋琢磨してきた二人。
スカウトされどんどん有名になっていく秀治と、芽が出ない素直の対比が切ない。
秀治と別れフツーに就職した素直だが…。
偶然の再会がなければ関係修復もなかったと思うと、展開としては少し弱いかな…。

描き下ろし【もうずっと恋をしようか】は良かったです♪
なぜ声を出さないのか?→アパートの壁が薄いから?
…とマネージャーの説教をヨソに悩む秀治が天然で可愛いw
本当の理由は、セックス中距離が近づくと、
会えなくて寂しいと言いそうになるから…というもので、
同居して更にラブラブになりそうな二人でした♪

5

恋の、引力、感じます、

投稿作品を含む3つのお話から成る1stコミックです。
それでこの引き込み具合は、なかなか凄い!と感じました☆
短いお話に、魅力と説得力をギュッと凝縮させるのが巧い!
牛込トラジさんの本はそんな印象です。

投稿作もありますので、絵のバラつきを感じますし、
受けの瞳がちょっと女の子みたいだったりもしますが、
そういう絵の個性も、ドラマチックな展開も、ハマるとかなりキます!
空白の使い方も、切ない後ろ姿も、とても好きです。


■表題作「三日月にけだもの」+描き下ろし1話
優秀な銀行営業マン(受け)が、ストレスを溜めすぎて万引きをしちゃったら、
チンピラ風の男に目撃されていて、そのまま強姦&写真まで撮られてしまう。
その後も何度も脅されるように呼び出されては、エッチ。
その名前も知らないチンピラ風の攻め、
「感じるだろ…愛をよ」なんて言うけれど、
サカリ具合はすごいし、甘い香りをさせてるし、首元にはキスマークのような跡。
相手は自分だけじゃないんだろう…
そう感じて、受けが堪らず「どうせヤリたいだけのくせに」と言うと、
「信じろよ、愛っつったろ…」
その言葉を放つ攻め…、傷ついた後ろ姿がすっごく…いい…
後から分かる、
意外な事実と攻めのテレ顔にもかなりキュンときました♡


■投稿作品「心舞うたび」+描き下ろし1話
人気者のイケメン高校生と、本好きでオタク体質な同級生との恋。
「こころ」「舞姫」を絡めて、切なくエロティックに展開していきます…

描き下ろしは、
卒業式前夜にベッドの上で終わったふたりの恋を、
10年後、受けが小説にし、書きながら昔を思い起こしているという話。
ただ一度きり愛した人、忘れられずにいる人…
若く不器用で苦しくて「別れよう」の言葉で終わってしまったその恋は、今…
痛々しい想いと、感動をぜひに。


■「もう一度恋をしようか」+描き下ろし1話
昔同じ小さな劇団で看板役者だったナオ(受け)と、
そのナオに憧れて劇団に入ってきた秀治(攻め)。
ライバルで恋人で「一緒に演劇界を代表する役者に…」という約束を交わしたふたり。
7年後、
人気俳優になった秀治と、挫折し出版社で働くナオが再会……

ナオ(受け)の挫折の苦しさや悔しさがすごく伝わってきて切ない、
でもだからこその互いの想いが、熱く心に広がります……


3話ともについている描き下ろしが、どれもすごくいい。
わたしはすっかりその雰囲気に引き込まれ、評価は神かも…とちょっと迷ったのですが、
2冊目はきっともっと凄いと思うので、とっておくことにします。
オススメ本です。

5

不器用ね、なかもっちゃん

表題作あわせて3編が収録されている牛込先生第1冊目の単行本です。
初、ということもあり、どの作品も粗削りなところは見受けられますが、しかし丁寧に作り込まれているな…と好感を持ちました。またご本人もあとがきにて【アゴ】ネタを仰っておいでなように、確かに作画に対する及第点はあるように思うものの、それを上回るストーリー性が読後の満足感を大きなものにしています。
3編それぞれに後日談が描き下ろされていまして、後々の感想でも触れますがその後日談たちが秀逸なのです。完成度の高さが一層増しております。バリエーションの豊かな方だなぁと感心しきりです。不意にドキッとするようなコマを差し込んだりされるのですから!

[三日月にけだもの/三カ月後のけだもの]
突飛なけだもの・なかもっちゃんと、おばちゃんたちを虜にしちゃう魔性のオトコ・きっちーのなんだか驚きのラブストーリー。
なかもっちゃんのけだものっぷりに置いてけぼりになりつつも、それでも呆れなかったのはなかもっちゃんのことを憎めなかったからだなと思います。すべてをエッチに繋げるなかもっちゃん…君はそれしか手段を知らんのか、と!(笑)
三カ月後~…ではそのけだものなかもっちゃんがきっちーのイケメンオーラにあてられたり、なるほどこういうイケメンオーラではるしんの営業成績をアゲたり女子をオトしたりしてたのね、と読者再度も納得する描き下ろしです。
いやそして何が面白いって、フ●ーザ様ですよ。このおまけで一瞬にして牛込ワールドに堕ちました(笑)

[心舞うたび/心揺らぐたび]
アゴの病はいつ気が付くかが肝心だと、某先生も仰っておいででした。ので、無問題だと私は思います!(笑)
それはさておき投稿作だということですが、これもまた完成度が高いなぁと感じるのです。ストーリーはごくごくありふれた内容ではあるのですが(少女マンガなどにあるあるな賭けネタですね)、そこへ行き着くまでのキラキラとした風合いが大変素敵でした。
またなによりこの描き下ろしである「心揺らぐたび」の秀逸さ!
見事ハッピーエンドであった 舞うたび から真逆の方向性は誰が想像しましたでしょう。小説が好きであったからこそ、今度はお話を書く側となって過去の追想をしながら必死に昇華しようとする姿がひどく切なく、そして高校生の残酷さも相まって純文学らしさが出ているように感じました。
不釣り合いだって知っていたのよね、それでも惹かれるのは愛だから、ということでしょう?

[もう一度恋をしようか/もうずっと恋をしようか]
己よりも演劇の神様に愛された秀治を、羨ましく思うと同時に素直こそが誰よりもその才を認めて知っていたのですよね。秀治は素直をずっと待っていたかもしれないけれど、多分一番理解して現実を知っていたのは素直ですから、私は彼の判断がなにも間違っているとは思いません。
短い作品ながらも、ほんのはじめからいかに秀治が素直という人間に執着して恋ているかがよく分かりました。見た目こそツンツンですが、素直相手にだけはとても優しいですよね。頭突きシーン、好きです。
キープレフトに喜ぶマネージャーさん、きっと普段から困っていたのでしょうね~! 都会の道は車線も多いですし角も多いですから!

全体を通してページまるまるにたくさん描き込みをされていて、時折こちらがドキッとなる作画もされていらっしゃいますし、ベッドシーンでの体つきには耽美さも混じっています。とても華やかな画風であるように感じました。
短編集ながらも物足りなさを覚えることもなく、むしろとても楽しんで読了いたしました。次作に期待のもてる作家さんです。

3

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