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あなたと恋をするためにやってきました――
梅町先生、好きな作風です。特にファンタジーが面白くて好きで、着想に優しさを感じるんですよね。表題作を含めて二つのお話が収録されていて、どちらもストーリーはシンプルながらキュンとさせてはくれるけれど、いかんせん背景が白くてちょっと寂しい感じがしたかな?
表題作は、海の底からやってきた「コイ」という生き物(見た目、北欧系の男性ヒューマノイドとでもいうべきか)と、彼を拾った生物学者・海城の同居モノ。とにかく人間と恋をしてみたくて浜に上がって来たコイ(←海城が名付けた)は、海城にロックオン。学習能力が高く、海城の部屋にある本やテレビ番組を参考に少しずつ話せるようになっていくんですけど、コイのカタコトが可愛いんですよね〜。恋するためだけにこの世に生み出されたかのような羨ましい限りの人外と、学者ゆえにちょっと堅苦しい人間のお伽噺みたいなラブストーリーでした。後日談では海城がムッツリなことが判明してよかった。。
もう一つは、自身がネコなのにネコばかりと付き合うハメになって振られてばかりの羽生と、失恋する度に彼を慰めてくれる職場の先輩(ノンケ)大江の絆されラブ。フラれた羽生が大江の家を訪ねるのは毎度夜更けなんですよ。。ちょっと計算入ってないか…?羽生は天然と見せかけて、かなりの食わせ物と見ましたゾ。最後はBLだから素直によかったね〜と思えたけど、羽生がもし女性だったら…、一体わたしはどう感じたのだろう(苦)
同時収録作はありがちなお話ですが、好きな絵柄だし、いつもほんわか優しい雰囲気で癒されるので、評価に少しプラスしてます!
梅松さんワタシすごく推してますが、えっと、なにが惜しいんだろうか。
地味さ?表紙だって今回、どこのハーレクインかと思いましたよ。
こんなキラキラで色もきれい…なのに地味(アレ?)
人魚姫(厳密に言えば違うけど)、片言萌えです。もっとかわいそうな場面を予想してたので、その辺がちょっと物足りなかったかな。
もう一話はネコなのにネコとばかり付き合っては振られるコの話。これ割とテンプレなのにかなりキュンときました。
自分の研究対象になりうるものに情が移って最後は恋してしまったら…?
海城は海洋生物学者ですから、まだまだ未知なる海からやってきたコイは
さぞ研究したくてしょうがないでしょう。
でも無垢なコイを見ていていつしか恋ごころが。
同僚にバレればサンプルを取る、研究をすると言って
実験体にされてしまうかもしれない。
それは研究者として当たり前の衝動なのかもしれない。
コイは稀有な存在だから公表して論文なり書けば一躍、一流の研究者の仲間入り。
たとえそれを蹴ったとしても、コイを守る、コイが好きだと認めることを取る海城。
名誉より何より、愛する人の存在をとる、という気概というか決意が
とても素敵だと思いました。
表題作はとてもファンタジックでした。
ヒトと恋をするために海の底からやってきた見目美しい青年、コイ。ウミシロに見つけてもらえたことは幸運だと思います。
もうひとつ、社会人同士のストーリーも収録されており、それら二編で一冊が構成されております。(後者にファンタジー要素はありません)
個人的に今一歩この世界を楽しめきれず、萌えというよりも可愛いなと感じてしまったので中立評価といたしますが、二編とも非常にほんわかするBLでした。
[海の底 夢見るコイ]
タイトルからするに、コイは上から降りてくる情報を受け止めながら、海の奥底で実体を持たぬままぼんやりと、『コイ』とはいったいどのようなものなのだろう…と長らく想いを馳せていたのでしょうか。この無垢なコイがそうしていたのだろうと思うと、なんだかいじらしく感じます。
(ところで降りてくる情報に恋をしているものが混ざっているというのは…つまり叶わぬ恋に嘆き、崖から身を投げて…とかそんなのだろうかなんて考えてしまいます)
夢見て体を作り変えて、陸にあがって恋をする。最後は人魚姫のように海の泡になってしまうんじゃないか思いましたが、無事ふたりが幸せそうにしていたので安心しました。
描き下ろしでは理性がきれた海城ととろとろなコイが見られます。
ウミシロを受け入れやすいよう、後孔が濡れる仕様だなんて献身的な細胞…!
世の中、海城のように優しいひとばかりじゃないですから、これからもコイには理解しかねることやそれなりの危険が付きまとうでしょうが、末永く『恋』ができるふたりであってほしいものです。
[愛されたがりのウラオモテ]
いつでも誰かのそばにいないとダメなのかな、ほんとうに欲しい存在たったひとりでいいんじゃないかな。基本的にまさに『愛されたがり』でなにより寂しいのかな…と羽生には思いました。
また大江に関してですが、すごい順応性!(笑) タチネコの話しかり、恋人云々の話しかり!
がしかし、自分にだけ見せてくれる面、自分しか知らない羽生の一面、そういう特別感が恋を育てているのだろうな。これがごくごく普通の、ただの同僚だったならこうはならなかったわけですもの。
けれど、羽生は惚れッポイ節があると感じますので、ぜひ大江さんには手綱をギュッと握ってもらわないと! そのヒゲと、あと脱いだらすごいんです系の筋肉の維持を! なにより羽生の心掴んで!ぐわしと!
巻末のあとがきにて、ゲル化はNG…という言葉にBLって一応色々ラインがあるのだなぁとしみじみ思いました。梅松先生、以前ダメBLにも寄稿していらしたし、もしかしたら先生の脳内はダメの宝庫かもしれぬ…! と可能性を感じずにはおれません。
ゲル化はダメなのか……でもちょっと見たかったな、溶けるコイちゃん。
表題作には見事に一本取られた感じです。
ここまで透明で暖かな欲求描写は多分出てきそうで
出てこないでしょうね。
基本的な設定自体が道を踏み外して科学を悪用して
しまいそうになるSFなのでそっち寄りになるのかと
思いきや、見事にさらりとご近所ファンタジーに転じて、
そして嫌な気持ちを微塵も残さない。
併録シリーズも併せれば心が折れそうな時に読むと
程好く効果的な一冊かも知れません。
併録シリーズは攻めが恋に落ちてゆく過程に射抜かれ
ました。純情だけど純真じゃない受けも愛らしくて
好ましいですね。