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表題作サヨナラに編むは、

柊真ホーキンス・32歳・サラリーマン
糸瀬雅巳・妻を亡くした編み物作家

その他の収録作品

  • かきおろし
  • あとがき

あらすじ

大手外資系企業に勤める柊真・ホーキンスは英日のハーフで男性愛嗜好のエリート男子。 しばらく彼氏ができないのは無趣味なせいだと思い一念発起して編み物教室に通うことになった。 なぜ編み物かというと元々多少の興味はあったものの、一番の決め手は講師・糸瀬の容姿が好みだったから。 しかし何回か通ううちに糸瀬の容姿だけではなく年上なのにかわいい性格にも惹かれていくが、彼は亡き妻との想い出に囚われていて…。

作品情報

作品名
サヨナラに編むは、
著者
梅松町江 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス・リンクスコレクション
発売日
ISBN
9784344843080
3.7

(30)

(13)

萌々

(9)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
8
得点
107
評価数
30
平均
3.7 / 5
神率
43.3%

レビュー投稿数8

タイトルが上手いです

梅松さんの作品、初めて読みました。編み物が題材になっているとのこと。昔、編み物したなあと懐かしく、悲しそうなタイトルも気になって、手に取りました。

外資系企業に勤める英日ハーフの柊真は、趣味もなく恋人もいない自分の人生が味気なく思えて、何か趣味を見つけようと本屋に入ります。おじいちゃんも編み物やってたな、と手に取った本の著者・糸瀬の顔がとても好みで、糸瀬の教室に通い始め、彼の飾らない優しさに惹かれていきます。あるとき、糸瀬が妻を失ったことで自分を責め続けていることを知り、思わず「好きな人が後悔にがんじがらめになってるのを見ていられない」と、糸瀬への好意を告白してしまいます。

悲しみが癒えていないときは、触れないことがありがたいときもあるけれど、踏み込んできた人に気持ちを吐き出したいときもあるでしょう。無理に笑っているようだった糸瀬の表情が、柊真とぶつかった後、柔らかく自然になって、心が開き始めたのだと分かりました。
柊真の少し欧米的なアプローチも、糸瀬の心をやわらげた気がします。「…あなたを大事に思っている人間がいるということを知っていてほしいんです。」とか、「先生…、ちょっとだけ僕が恋人だったらって想像してみませんか?」って、日本人はなかなか言えない(笑)。英日ハーフの柊真ならではですね。糸瀬は赤面したり、変な顔をしたり。二人のやり取りが、読んでいてとても楽しいです。

糸瀬が妻への後悔から自由になることは、柊真が望んだことだったのに、妻との楽しい思い出を話す糸瀬に柊真が傷ついてしまうのが、切なくて。でも、糸瀬はこの頃から少しずつ柊真のことを考えていたのですね。取材旅行で訪れたイギリスの海辺で、静かに想いを伝え合う二人が、彼らの誠実な人柄を表しているようで、作品中一番好きな場面です。
亡き妻が編んでくれたセーターを大切に身に着けている柊真の祖父の生き方に、糸瀬が心を動かされる描写も、温かく心に沁みました。

帰国後、柊真に寄り添われながら、亡き妻への靴下を編み上げた糸瀬の表情が晴れやかで、タイトル「サヨナラに編むは、」の印象が、読む前と全く変わりました。予想を裏切る上手いタイトルだなあ、とうなりました。

二人が初めて体を重ねるとき、糸瀬が指輪も眼鏡もしたままなのが、気になってしまいました。いいのかな(笑)。糸瀬が可愛いかったです。

素敵な作品で何回も読み返しているのですが、そのたび気になるのが、帯のコピー「無意識に口説くなよ…!」。確かに糸瀬は言っていますが、なぜこれなのかしら…。私だったら、柊真の「困ったな。あなたを好きになってしまっている」か、糸瀬の「ありがとう。僕なんかを好きになってくれて」、「また、生きていけると思えたよ」あたりを押したいです。

6

また生きていける

あ〜、こういうの好きだわ……
つまり「恋情」がある。
無味乾燥に思える毎日を送るリーマンのホーキンス柊真(とうま)はたまたま書店で見つけた男性向けの編み物の本とその著者に惹かれ、その糸瀬という編み物作家が主催する教室に通うことにする…
…という冒頭。
ゲイの柊真は、顔も好みで丁寧に教えてくれる糸瀬にドキっ。でも結婚指輪に気づいてちょっとがっかりしたり。
しかし、ある日糸瀬が妻と死別していた事を知る…同時に自分が糸瀬を好きになっている事も。
この作品で非常に巧み、というか効果的だったのは、柊真がハーフだという所だと思うのです。
一般日本男児と違ってさらりと、あなたを大事に思っている、あなたは素敵な人だ、輝いている、と言えるんです。同時にあまり露骨なアプローチは無くてそこは日本的にも思える。両国のいいとこ取りで素敵。
だから糸瀬の方も褒められて照れながらどんどん心を開いていく。それは同時に今まで口にできなかった奥様との思い出話まで柊真に話す事でもある。
でもそんな時でも柊真は、糸瀬が本当に奥様と幸せだった事を静かに聞ける人。
出版社の企画でイギリスに行く糸瀬に柊真も同行する事になり、そのイギリスで、柊真の祖父が、亡くなった祖母が編んでくれたセーターも、祖母のために自分が編んだショールも、2人の合作のマフラーもしまいこまずに着たり使ったりしている姿を見る。
糸瀬は奥様との時間を哀しみゆえに封印していたけど、楽しかった事を大事にできるかも、と思うようになるのですね。そしてイギリスの、強く冷たい風の吹く港で柊真を受け入れる…

帰国後、糸瀬は奥様への片方だけの靴下の、もう片方を編む決意をします。
ここがすごく良かった…
やはり胸が詰まってしまう糸瀬を後ろから抱いて、これなら泣いても顔は見えません、なんて言う。
柊真〜!
泣きながら、悪態をつきながら、奥様との時間を思い出しながら、靴下を編む糸瀬。
それは奥様へのサヨナラ…
…泣けた…
そして2人は結ばれ、、、私はここはもっとあっさりでもよかったかな。何なら朝チュンでもよかったかな。
ともかく。柊真の恋が叶って良かった。糸瀬の哀しみが癒えて良かった。
大人の、静かでしっとりとした、感情の絡み合う良い物語だったと心から感じました。
前作の「オールドショコラ」も凄く良かったし、梅松先生の恋情の描き方、好きです。「神」で。

4

派手さはないけど良質な物語で秋冬にピッタリ!

編み物がテーマになっているので、今から冬にかけてぴったりの一冊だと思います。
流れている空気も暖かいんですよ〜。


彼氏もおらず無味乾燥な日々を送るリーマンの柊真。
何か趣味を…と立ち寄った書店でふと目についた編み物の本。
そこに載ってる作品もさることながら、著者の容姿が柊真の好み!
早速、編み物を始めるもうまくいかず、著者・糸瀬が開いている編み物教室に通うことにします。

年上なのにどこか可愛らしい糸瀬にどんどん惹かれていく柊真ですが、糸瀬は5年前に亡くなった妻の事がいまだ忘れられず……。

出てくるキャラが皆、誠実であたたかいです。
糸瀬が完成させることができない編みかけの靴下にまつわる話。
アラン島に住む柊真のおじいちゃんが編んだショールにまつわる話。
どれも愛です。
そして、亡き妻が編んだセーターを着るおじいちゃんが「しまいこんでいたら 彼女を隠すみたいでもったいないんでね。」と言うところでジンとしちゃいます。

ハーフでキラキラしてる柊真がウッカリ気持ちを伝えてしまってからもナチュラルに誠実に気持ちを伝え続ける姿がいいと思いました。
これぞナチュラル王子様。
そして同僚相手(これまたいい人)に聞いて聞いて!とばかりに、興奮ぎみに相談する姿もこれまたいい。

一番好きなシーンは、亡き妻が希望した靴下を完成させようとようやく手にするも、やはり泣いてしまう糸瀬のことを背後から抱っこして「これでいくら泣いても顔は見えませんよ。」と言ってあげるところ。
おかげで、亡き妻の無茶な注文に泣き笑いながらも文句を言えるまでになった糸瀬。

柊真がいてくれたから本当の意味での弔いが出来たんだなと思いますし、弔うことは忘れることでもしまいこむ事でもないんだなと思えます。
死んだ奥さんには敵わない……みたいな卑屈さもなく、亡き妻・ミヤちゃんの思い出も含めてまるっと包みこむ柊真の愛し方がとてもいいと思いました。

2

いいお話です!

編み物長いことしてないなあ。まず思ったのがそれでした。

本の裏のあらすじと表紙を見て、おじさんが本当におじさんに見えてちょっと萌えられるかしら…と心配になりました。 

感想は良かった!とても。いいお話でした。

無趣味で張り合いのない生活を送っていた攻めが、編み物作家の受けの本を偶然見つけてヤル気になり、作者の写真を見て好みで…。

受けは亡き妻を今でも忘れられず辛い別れを引きずっていて。

攻めの包容力がすごすぎる!受けの亡き妻への未練や悲しみ辛さ思い残し全てを包んでそんなあなたが好きですって。

口説くのも忘れず(笑)

受けもとっても良い人で。
攻めのおかげで久しぶりに一日笑って過ごせたり、イギリス滞在を楽しんだり、攻めの祖父に感銘を受けたり。

受けが攻めを受け入れるのが、ここまできてもちょっと性急な感じがして。
いや、1巻ものだしくっつかないことには読者も安心できないんですが唐突感がしてしまって。

まあここまでそばで尽くして口説いてくれるキラキラ王子様がいたら、人生最大の悲しみを一緒に乗り越えさせてくれたら好きになっても仕方ないですよね。

キスやエッチをしないで、一生一緒にいたいねってところで終わりにしても良かったかな?

1

この教室に通いたい

プライベートに潤いが無いのを虚しく感じていた主人公が、編み物教室に通うところから始まります。
きっかけは一目惚れ!主人公(柊真)はゲイで、本屋で編み物本の著者近影を見てビビッと来たわけです。調べてみるとその方教室も開いていたんですねー、わー何かが始まる予感ワクワク^ ^

最初は「顔が好み」からだったけど、先生の物腰の柔らかさや亡くなった奥様がいる事、奥様への今も変わらぬ愛情など、知れば知るほど好きになっていきます。
中々に難しいと思うんですよね、相手には想う人がいる、しかも亡くなっている、という状況。
案の定すっかり打ち解けた柊真に亡き妻の話を楽しそうにするわけですよ。 おおらかな笑顔で聞いていても胸の内はズキズキ苦しい。
でもその後も自分の気持ちを押し付けたりしないんですね、あくまで先生の傷を癒したい!という思いだけで行動する柊真に好感を持ちました。

柊真の祖父の言葉もあり、亡き妻へサヨナラを言えたシーン。今まで閉じ込めていた想いを素直に吐露しポロポロと涙を零す先生に私も涙。もちろん柊真はそんな先生を包み込むように支えていて…泣。

2人はこの先一緒に暮らしていくのだろうけど、ソファで編み物をしながら、向かい合って食事をしながらきっと自然と亡くなった奥様のお話をするのだろうな。
柊真がたまには嫉妬もするだろうけど、以前のようにズキズキと胸が痛むことはないでしょう。きっと嫉妬も良いスパイスになって仲良く暮らしている2人を想像してほっこりしています。

幻冬舎キャンペーンで良い作品に出会えました。感謝!

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