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雲之助先生の本はあらかた読んだと思っていたら、まだ未読がありました。
先生が描く受けが苦手なことが多くて…慇懃が過ぎるキャラクターが胡散臭くて苦手なんです。いかにも世間知らずで性格が良いですよ、というような人が。初期良太郎のような理由でもなく、ただただ自分の性格が悪いからなんですけど。そしてこちらの作品、渉がまさにそんな人で、読んでいて入り込めませんでした。もはや作品のレビューというより己のダメさを書いただけのような感じですが、渉のそんな属性を抜きにしても、どうも"優しい世界"みたいなもので展開されていくこの本が好きではなく。良太郎には決して優しくない過去があるわけですが、そんな設定や渉の金持ち設定、田舎暮らし、全部に深みを感じられずじまい。皆様のレビューは好評ばかりなので、ひとつ苦手だと全部ダメだった例程度に…
田舎暮らしってなぜかすごく魅力的。
家庭菜園とか、草むしりまですごく楽しそうに見えます。
自宅の庭からは目を背け続け、夫がわたしのために作った家庭菜園コーナーも見事に雑草畑になっているにも関わらず、こういうのには憧れてしまう。
でも実際に自然と対峙するのは無理!という自然恐怖症のわたしには、こういう作品で楽しむくらいがちょうどいい。
誰とも深く関わらず、ひとりこころ静かに暮らしたい。
田舎の一軒家でひとり暮らしをする良太郎に、「近所のアパートに新しい住人が入った」という悲報が届いて…。
過去のつらい経験から人嫌いになった良太郎と、人懐っこい笑顔で良太郎の領域にぐいぐい入り込んでくる渉の話です。
ぐいぐい入り込んでくると言うと語弊があるな。
良太郎の良心が入り込ませることを許してしまう、という方が正しいかも。
最初は「避けたい、入り込ませたくない」と思いながらも、同時に「嫌な人間だと思われたくない」という良心から進んで親切にしてしまう良太郎にモヤモヤ。
自ら面倒に首を突っ込んでいってしまう人の良さと、疎遠でいたいと言う本心のせめぎ合いが面倒くさく感じてしまうせい。
そういう本音と建前の葛藤をしっかり理解できる方はもっと萌えるかと思います。
良太郎の過去はかなりつらい。
そして渉の過去も相当つらい。
良太郎にとってはもうその過去を清算しようがないけれど、渉の方はあるわけで。
後半はそこに焦点が当てられていきます。
有能な弟を優遇する父と周囲。傲慢な父の言いなりな母。
ものすごく違和感を覚えたのは、渉に期待しないでと言いつつ、「長男」であることを押し付けてくる父のこと。
この父親の思考回路が理解できず。
合理的なまでに有能な人間ほど、能力のみで判断して、能力の不足している人間には最初から目をかけないものじゃないのかなあ。
期待していないと言いつつ、長男であることをチクチク責めるのですが、これってどういう感情?と思ってしまった。
母親に似て弱い渉を自分から切り捨てておいて、それはないんじゃないかと。
「長男だから優れていなければならない」とか「長男が継いで当たり前」という考えと、実力主義って矛盾していると思いませんか?
父親の論点がブレすぎていて説得力がないんですよね…。
母親は完全にストックホルム症候群だし。
ばあやっぽいスタンスのひとも、「…え?」な反応をするし、ああ、この家じゃ出たくなるのも無理はないなという意味では説得力がありましたが、ばあやが渉を叩いたのを「良い話」みたいに仕上げているのに違和感しかありませんでした。
文句が長くなってしまった。
渉の事情にページをそれだけさくよりも、「待つ」ことがトラウマの良太郎の方にもっと割いてくれたら、より萌えた気がします。
いや、違うんだな。
渉の方がもう少し一般人にも理解できるような分かりやすいワンマン父だったら、それだけのページを割いても意味があったと思うけど、あれ、完全にみんな心の病じゃないですか。
そんなわけでラストの良さも削がれてしまった気がしました。
初読のときはもっと萌えた気がしたんだけどなあ。
でも読み返したおかげで感化されて、うちの庭の雑草が40本くらいは減ったから良しとしよう。
ほんわか優しいお話ですね。
とっても田舎で敬語×敬語のお付き合いがなんかツボでした。
色んなことから逃げてきた二人。逃げてもいいんだよって肯定されたのも読んでて良かったです。
男同士という問題はどこにもなく好きになって普通に触りたいムラムラするって感じで、でもその流れも自然に思えました。
渉が帰ってきてから敬語で言い合いするのも確かに、なるほどと納得がいく内容でした。
最後は二人ともとても幸せそうで、特に渉が嬉しそうでこちらも良かったなあと幸せでした。
田舎なので人目が気になりついお外でイチャついちゃまずいよ!とおせっかいを焼きたくなりました。
あぁ、久々に心底癒される作品に出会いました。
作者の作品が好きで色々と読みましたが、ここまでほっこりするのは初めて!
人との接触を避けるため、田舎暮らしをしていた良太郎の近所のアパートに、都会から引っ越してきた透。
善良なオーラがキラキラする透に、接触したくないけど、人に嫌われるのは嫌な良太郎は、色々と世話をやいてしまいます。
良太郎の態度は、過去が原因なのですが、徐々に透に対し、話し方や関わり方が変化していくのも良かったです。
透も、実家のことを片付けなければ!と思ってからは、本当にしっかりと物言うようになります。
食事をする場面が多く、それも丁寧でホント美味しそう。
おにぎりが食べたくなります!
初めてのエッチでは、二人の真面目さと優しさが出ていて、とても良かったです。準備をするのに一度家に帰るとか、中々ない展開で、新鮮でした(笑)
時間に追われてない生活の中で、植物が芽吹く喜びや、季節の良さを感じ、ささやかに毎日をこの先二人で過ごしていく姿が、読み終わったときに浮かびました。
穏やかな気持ちになれる一冊です。
家庭菜園、縁側、素麺…田舎ライフが素敵に描写されていて、一緒に生活を楽しめるような作品でした。
訳あって都会を離れ、田舎に移り住んだ青年二人が知り合って、交流しながら恋心を育てるお話です。
すごくじっくり丁寧にかかれていました。
自分も田舎にトリップしたような気がします。
このお話のよいところは、良太郎と渉と、両方の過去や今までの生活について、なんでここに来たのか、二人ともにきちんと焦点を当てているところだと思います。
受け視点攻め視点にかたよっておらず平等で、ほのぼのかと思えばぐるぐる入る世話しないのモノローグが笑えてテンポもよく、コメディーでもあります。
何もかも決められていた今までと離別して、何をしてもいいんだという渉の台詞がよかった。
何をしても自由な生活、自由な田舎…不便でも全部自分でやる。些細なことに喜んで、寝て食べて、こういう生活いいですね。
しかし渉の家庭の状況が全く馴染みのない特殊な状態だったのでちょっとぽかんとなってしまい、ピンと来なかったのが難点でした。
最後までどっちが女役をするか決まってない所はよかったと思います。
お話としてはとても好感を持ったのですが、恋愛物としては「いい人」とか単純に「この人好き」というのから恋心になる決定的な何かがはっきり私には感じにくかったので、その辺りがもう一歩あればよかったです。