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表題作ノーモアベット

野木沢一哉、25歳、カジノディーラー
小嶋逸(いつる)、25歳、東京都公務員

同時収録作品レットイットライド ーlet it rideー

野木沢一哉、25歳、ディラー
小嶋逸、25歳、公務員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

昔みたいに、優しくし合いたかったのに。

東京湾に浮かぶ日本初の公営カジノNew Marina Bay。都の広報職員として出向している逸は、ディーラーの一哉とは家族同然の従兄弟同士。けれどここ数年、顔を合わせれば言い争いばかりで、どう接していいのかわからない。自分と母を置いて世界中のカジノを飛び回っている父への反発もあり、父と同じ道を選んだ一哉に対してどうしても素直になれない逸だけど……?
全てを賭けた、一世一代の恋の大勝負開幕v

作品情報

作品名
ノーモアベット
著者
一穂ミチ 
イラスト
二宮悦巳 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
ノーモアベット
発売日
ISBN
9784403523427
3.4

(131)

(35)

萌々

(42)

(22)

中立

(11)

趣味じゃない

(21)

レビュー数
19
得点
420
評価数
131
平均
3.4 / 5
神率
26.7%

レビュー投稿数19

わくわくする!!

NO MORE BED?  NO MORE PET? イヤイヤ、NO MORE BETだ。

タイトルから知れるように、カジノを舞台にした本作品は、
どうなるんだろう!え?こうきたか!といった面白さだった。
叙情的と言われる一穂作品だが、今までも実はあちこちに
このようなちょっとトリッキーで洒脱なモチーフが散りばめられていたが、
それがここに来て全開という感じ、面白かった〜!


時は現在、東京に設立された半官半民のカジノが舞台、
そこに勤めるディーラーの一哉と、都から出向している逸(いつる)は、
10歳から兄弟として育った同い年の従兄弟同士だ。

竹芝からフェリーで20分、埋め立て地の人工島に造られた
カジノを含むありとあらゆる遊興施設が揃ったリゾートアイランド。
読みながら、一瞬自分がニュースを見落としていただけで
いつの間にか本当にこんな施設がオープンしていたかのような気分になる
絶妙の「うそ」のつき方……

今までの一穂作品は、まるで本当に隣りで起こっているかのような日常の中の
一歩内側で起こるドラマを描いていたと思う。
でも、今回は仕掛けからして派手で大掛かり!

合コンで職業は公務員と名乗っているところから始まる話に
最初は今ひとつ乗れなかったが、
華やかなカジノリゾート島で物語が動き出した途中から、
目が離せない感じで一気に読んでしまった。


逸の父は、その世界では知られたギャンブラーで
世界を股にかけて……と言えば格好いいが、家族を放って世界中を回っている男。
そんな彼に傾倒し、高校卒業後一緒に世界を巡っていた一哉と、
そんな父に残され、その上一哉をも連れていった父に反発する逸。
少年の面影が残る、でも大人の二人。
正反対の性格のようでいて、いざという時の胸のすくような思い切りの良さは
さすが同じ血と思わせる、主人公二人の造形がいい。

この二人、LOVE的には義兄弟という美味しい設定ではあるものの
離れていた時間に素直になれなくなっちゃっているだけで
話の最初からお互いが好きだった(自覚の程度は二人に差があれど)前提で
これと言って心揺さぶるような展開ではない。

本作はテンポのいい会話や、個性的な脇役(藤堂さんやあっさん!)も面白いが、
何と言っても、ポーカーの勝負を通じて彼らの気持ちが表現されている様が
スリリングで秀逸。
最後のオチの付け方も、ニヤッとする楽しさ♪


書き下ろしの『LET IT RIDE 』は、半年後の一哉と逸。
香住さん(母親)とともに、丁度父親が滞在中のマカオへ見学&観光に向かう。
ここで起きる一波乱もまたハラハラドキドキ、盛り上がっています。
すっかりまとまった二人の旅先Hもまた、なかなかエロく盛り上がっておりますw
そして、うーん、この両親がまたいいキャラ!


繊細な心理描写、味のある会話や蘊蓄のある表現は、いつもの一穂節が健在だが
切なさというのはあまりない、エンターテイメント性の高い本作。
そういう意味では私の「萌え」ツボとは少々違うのだけれど、
あんまりに面白く、後味爽快だったので、やっぱり「神」つけちゃいます!

ああ、マカオかラスベガスに行きたくなっちゃった♪
気分は一穂さんにstraight-bet!



※出版社特製書き下ろしペーパーが、本編の最後から直後の話なのだが、
 ちょっと切なく、ほっこりキュンとしてとてもいい。
 もしこれから入手される方は、是非ペーパーつきを!
 

17

カジノだけど王道(≧∇≦)

カジノというお話し上、どうしてもちゅうちょしてしまう方がいるのはわかります!自分もそうでした。
正直一回目に読んだ時にはそのカジノという世界観に、へぇ、そーなんだぁ〜とのりきれなかった感は否めません。
が、しかし!
周りの設定がどーであれ、これは一穂さんの幼馴染もの?義兄弟もの?ですよ!
そんなベタな⁉︎王道な‼︎
なエピソードもあったりしてにやにやものです!
二宮さんの絵もたまりません!!ちょっと口の端をあげて笑う感じなんて、もうどうしてくれようかと思います!(笑)

カジノだしちょっとした近未来だしギャンブラーってなんなのって感じかもしれないけど、逆にそんな設定でも読ませてくれるのが一穂作品。
もしかしたら一回目読んで乗り切れなくても、徐々にボディブローのように効いてきます!

6

人生はギャンブルのようなもの

個人的に私は賭け事が大嫌いなのですがw
いやー、なんかダメ人間ってイメージしかないんですよ、
正直なところ!!
しかし、こちらを読んで、儲けたいだけのバクチじゃない、
勝負を楽しむものなんだ…とちょっと見直す気持ちになれました。
(って偉そうだな!!;)

真面目で地に足がついた仕事と生活を望んでいた逸と真逆の一哉。
二人は従兄弟にして戸籍上は兄弟。
逸の、ギャンブラーである父の妹の息子が一哉なのです。
諸事情により引き取られたそのシーンから
父が一般的な常識では考えられない大胆な言動で
「…うっわ…自分の父親だったら……」と思いましたが
型にはまらない鷹揚さと懐の深さで
一哉が救われた事も逸の唯一無二の存在になった所以も
父ならではだったんだなぁとしみじみ思いました。

ギャンブラーの父に懐いて、一緒に飛び回った事もある一哉に
羨ましさもある逸の複雑な想いがとてもわかりました。
実の息子より一哉を愛しているんじゃないのか?
自分の大事な一哉を日本外に連れて行ってしまった父への憎しみと共に
母の、文句も言わずあっけらかんとしている姿が健気で…。

母の香住さんはいい女でした…が、私では絶対無理だなって思いましたw
“亭主元気で留守がいい”っていうのは、
いつも側にいるから言える事であって、
文句も言えない、ケンカも出来ない距離だったら
信じていても愛していても寂しいんじゃないかって思うんです。
でも後半若干、素直な胸のうちを息子二人に明かしてましたが…可愛いな。
女として尊敬します!!w

さてさて、肝心なBL部分ですけれど、
私は真面目受けが好きなので、大層楽しませていただきました!!
逸を口説き落そうとする藤堂(後にその正体が明らかに…w)との
会話の応酬に「…ふふっ」となり、
二人でいたところを目撃し、逸に嘘をつかれ激昂する一哉とかカッコ良かった!!!
頭の回転が速くないとディーラーもデキる広報もやれないでしょうけれど
やっぱりミチさんのセンスってすごいなぁ…と思わされました!
言葉遊び的なところとか、職人!?みたいなw

一哉の、プライベートでは汚部屋風(?w)だったり
適当そう?って部分があるのに
ディーラーとしてはピカイチなギャップ、たまりませんでした!
(作中に出て来た架空のDVD、
先輩の芦原が言った[痴漢車トーマス]に思わずふきましたよww)

そうそう、芦原が一哉と逸、両人のかなりいいアシストをしてくれて
こういうポジションも手堅いなぁ…とぞくぞくでした。


交わりでは、これでもかとエロい逸を読ませていただいて、もう…!!
普段乱れなさそうなタイプが…って、これはもう御馳走ですよ!!
更にそれを二宮悦巳さんの挿絵で拝める幸せときたら!!!!!
一哉にのって、逸が背中を弓なりに反らせて感じるシーンは…
穴があくほど見つめてしまいましたw
一哉のたまらなそうな表情もまた……くぁー!!
あとがきでミチさんも二宮さんの魅力について語っていらっしゃいましたが
「口の端をきゅっと上げて、
ちょっと悪い感じに笑う時の表情が特に好きで好きで、」
わかります────!!!
眼福でした!ありがとうございます!!

大勝負のクライマックスシーンでは
私は頭が悪いのでピンとこられなかったのですが
ここを楽しめたら相当面白いはずです!!

“絶対負けたくない勝負に勝ちたい時は、全部を賭けること”
逸の父の言葉が沁みます。
でも、勝ち負けじゃない時も人生にはあります。
そもそも、勝負がつかない事柄も多いです。
それでも私たちは生きている限り選び続ける。
勝つ事を信じて。自分を信じて。愛する人を信じて。
人生の勝敗を決めるのはきっと自分自身だと思います。
一哉と逸は、お互いを好きになって想いを告げあって大勝ですね!!w
これからも小さいケンカなんかしながらもお幸せに…♪

8

東京カジノ事情

初めてのちるちるでのレビューがこの作品、だってかなりの高評価、
これが気にならない訳がないじゃないですか。
BL作品でも東京カジノを題材にした架空の作品を多く見かけるが、
この作品もそんな一つで、実際オリンピックに向けて再度考察されている懸案、
実際に出来たらこうなるかもと想像を膨らましてくれる作品で面白い。
そんなカジノで起こるひとつの恋、それもいとこ同士で片方は都の公務員で
もう一人は都で運営するカジノのディーラー。
時代を先読みしたような題材で心惹かれますしギャンブル未経験でもドキドキハラハラ、
一世一代の恋をモノにするための大勝負に胸躍る展開、高評価を納得。

5

予想外な感じで

普通におもしろかったです。
日本初の公営カジノが舞台というこで、ポーカーのゲームのルールとか延々説明されて、その辺はふうんって読み飛ばしたりはしましたが、
広義の義兄弟物としては、それなりにおもしろかったと思います。

ただし、これって、一穂さんの本なんですよねぇ、、、

なんというか、、
そんなこと、すっかり忘れて読んじゃいましたけど、
作品の舞台といい、登場キャラといい、文体というか語り口も、挿絵が二宮先生なのも、まあ、とりあえず、全体の雰囲気が「一穂ミチ」の作品のイメージからは予想外な感じといいますか、、
あまりイメージが固定化しすぎるのはよくないとか、作風の幅を広げようとか、色々あるんだろうなとは思うのですが、
せっかく魅力的な脇キャラが出てきた割には、逸と一哉のまとまり方が結構ザックリだし

ともあれ、ちょっとパラレル入った娯楽作品としては、カジノ勝負ののドキドキハラハラや、お色気シーンもしっかりサービスされているし、充分おもしろい。
けれど、「一穂ミチ」の新刊としては予想外な物に出くわした感じで戸惑う、って感じでしょうか。

4

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