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クリスマスワルツ 伯爵家の情人

Christmas waltz hakushakuke no joujin

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表題作クリスマスワルツ 伯爵家の情人

イザーク,27歳,ドイツ伯爵家に仕える弁護士
ルカ,20歳,元男娼でロシアンマフィアのスパイ

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  • あとがき

あらすじ

レンベルク伯爵家の弁護士イザークは、行方不明にある伯爵の孫を捜索中、パリの男娼館で働いていた目当ての青年に出会い、屋敷に連れ帰る。だがその正体は、ロシアンマフィアが財産を狙って送り込んだスパイ・ルカだった! イザークは疑念を抱きながらも、一族の冷めた待遇からルカを庇い、人の温もりを知らない彼の心と身体に愛をすり込んでいく。許されない関係に溺れてしまうルカーー組織の計画は目前に迫っていた。

作品情報

作品名
クリスマスワルツ 伯爵家の情人
著者
華藤えれな 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
発売日
ISBN
9784062868006
3.7

(25)

(5)

萌々

(12)

(4)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
89
評価数
25
平均
3.7 / 5
神率
20%

レビュー投稿数5

込み入った筋書きで惹きこまれました

小説らしい小説だった。
危なっかしい沈没寸前の小舟に乗っているような展開で、面白い。
---
レンベルク伯爵家の弁護士イザークは、行方不明の伯爵の孫を見つけることが出来たら、代々継承する伯爵家の仕事を辞めて、自由になる約束を交わしていた。
パリの男娼館で働いていた「伯爵の孫」と自称する東洋系の美貌の男娼、清春と出会い、屋敷に連れ帰る。
実はルカはナリスマシ。ロシアンマフィアが財産を狙って育てて送り込んだスパイだった
ルカが、本来の良心を取り戻すにつれ、徐々にイザークと恋に落ちる。
ルカは、任務を完了しても、失敗しても、組織に消される運命にある。
---

ハラハラしながら読みました。
BLで、こんなに読み応えある作品があるとは思わなかったので、読んで感動しました。

2

どうなることかと…

久しぶりに小説を読もうと、表紙買いしました。
華藤先生の作品を読むのは初めてだったのですが、外国が舞台の作品にもかかわらず、
イメージがしやすい描写の仕方だと思いました。

話の内容がシビアだったので最後まで読むのに時間がかかるかと思ったのですが、一度読み始めたら一気に物語の世界観に引き込まれてしまい読み切ってしまいました。

しかし、メインキャラクターの性格の芯は掴めても、場面が変わるとふわふわしてしまうような部分があったのが残念ですが、作中に張り巡らされたピースをラストに向けて一気に集めていき、一つのパズルが完成するようなお話で、予想していたラストと結果が違っていたので思わず、こうきたか…と思わず納得してしまうような作品でした。

少しシリアスで泣きたい作品を読みたい方にはおすすめだと思います。

5

もっと読みたいの

華藤先生の作品は、ご自身が旅行先で出会った、海外のいろいろな土地を舞台に描かれることが多いけど、今回は北ドイツの教会のステンドグラスをモチーフにした、ドイツの伯爵家が舞台のお家騒動の話です。
ロシアマフィアが営むパリの娼館、ナチスが台頭し始めたベルリンの街、雪の森とレンベルグ家の館と、視覚的なイメージが広がりは、いつもながらの美しさ。
物語の設定も構成も、内容的には盛りだくさんだし、華藤先生の語り口調のリズムが好きだからほんとはもっと読みたいのに、終盤になって駆け足になっちゃうのが、いつも残念。

0

自由を求めて

作品のどこか硬質な雰囲気と時代背景や世界情勢描写もあり、読み慣れるまでに少々時間がかかった。
日々慌ただしく変化する世界で、言論の自由すらも統制され抑圧され生きる人々。
初めは読み辛く感じたものの、フランス・ドイツを舞台に繰り広げられる、2人の美しくも破滅的な恋に夢中になった。
葛西リカコ先生の挿絵が作品の雰囲気にぴったり。

複雑で入り組んだ、それぞれの思惑がひしめき合う伯爵家の相続問題や、裏で暗躍するロシアンマフィアに巻き込まれていくイザークとルカの両視点で語られていく今作。
まるで作中に登場する「死の舞踏」の舞台のような、歴史の影の被害者たちの物語という印象が強かった。
育った環境や立場は違えど、ただひたすらに人形のように生きて来たイザークとルカが出逢い、心の奥底に孤独を抱えた者同士いつしか心を通わせていく。
激動の時代の波に飲み込まれていく青年たちのシリアスかつドラマティックな展開の中で、華藤えれな先生の美しい外国描写が光り、非常に読み応えのある作品だった。

が、読み応えのある所も多かった分、やはり後半の駆け足さがどうしても惜しい。
あれほど冷酷で慈悲も無い人物のように描かれていたアンドレイが呆気なく説得されてしまっていたり、謎の多いロジオンやコンラートが意味あり気に登場しなからも謎のまま終わってしまったのがとても残念。
前半の同じシーンの両視点が繰り返させる辺りでページ数を食っていたような気がして、もっと後半部分をじっくりと読みたかったなと。
けれど、表紙のイメージそのもののドイツの寒空の下で繰り広げられる人間ドラマと恋模様は激しくも美しかった。

1

雰囲気は良いけれど……

ナチス政権下のドイツ。
伯爵家の専属弁護士イザークは、次期当主の生き別れの弟・清春を探しパリへ。東洋の血をひく男娼・ルカを清春とみとめ、連れ帰る。
しかし、実はルカは、伯爵家乗っ取りを狙うロシアンマフィアが送り込んだ偽物。そのことに薄々気付きながらも、イザークはルカの無垢な心の美しさに惹かれていき…。


寒々しくも美しいドイツの空の下、敵同士が秘密の恋に落ち、互いの荒んだ心を癒し…という展開はロマンチックで良い。ドイツの風景描写も素敵。


でも、全体の説明不足感は否めない。
特にクライマックスの裁判シーンは
ダイジェスト版のように駆け足で盛り上がりに欠けます。

ラスボスにどうにかして自白させ(どんな手を使ったのかは不明)、全て解決しました。
ラスボスにも何やら複雑な過去があったようです(台詞数行でサラッと説明)。
二人は何もかも捨てて自由の国へ旅立ちます
……ってあまりに投げすぎでは?

あの一癖も二癖もありそうな伯爵家の人々は
これからどうなるのか。
結局犯人は誰なのか。
直冬(次期当主)は、いかにも切れ者風なのに
ルカの正体に気付かず、ラストもあっさり退場するし…。
うーんすさまじく消化不良です。


あとがきで、ラストの教会のシーンがまず頭に浮かんだ…とありましたが、そうした描きたいシーンありきで話を繋いだ結果、全体としてはご都合主義で人間ドラマとしても薄い作品になってしまったような印象を受けました。
ナッツやドライフルーツは盛り沢山で美味しそうなのに、生地の熟成が足りずパサパサになってしまったシュトーレンのような…。

華藤えれなさん作品にしてはちょっと精彩に欠けるかなーということでこの評価です。

11

美浜永彗

欠けるなら中立じゃないですかねぇ。
何か駄目だなぁ~感しか感じない。これ参考に買う人いたら買わなくてもいいやって思う人がいるかも・・。

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