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表題作恋は異なもの味なもの

丹羽亨,28歳,商社マン
柏葉芳晄,28歳,自衛隊の音楽団員・大学時代の知人

その他の収録作品

  • もう飛ぶまいぞ、この蝶々
  • あとがき

あらすじ

甘い容姿と軽薄な性格でモテ人生を楽しむ商社マンの丹羽は、大学時代唯一オトせなかった同い年の柏葉と数年ぶりに再会する。
自衛隊の音楽団員になった柏葉に、初めは軽い気持ちで近づいた丹羽。ところが、柏葉の心地よい優しさや控えめな色気に夢中になり、再び本気でアタック! けれど彼の態度は頑ななままで…。
さらに柏葉に思いを寄せるライバルまで現れ、丹羽はなりふり構わずに迫っていくが――!?
表題作加筆+後日談書き下ろし付き!

作品情報

作品名
恋は異なもの味なもの
著者
かわい有美子 
イラスト
いさき李果 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784799714317
3.5

(57)

(11)

萌々

(23)

(14)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
7
得点
193
評価数
57
平均
3.5 / 5
神率
19.3%

レビュー投稿数7

愛を交わした翌朝は…ハバネラを口ずさむ男

大学生の頃から女の子とチャラチャラするのが大好きで、営業マンになった今でもハンターよろしく、目をつけた一定水準以上の女性を落としては飽き、落としては飽きを繰り返している丹羽。
視点はこんな性格の丹羽なんだけど、なんといってもこの作品の中心は受けの柏葉の魅力のような気がする。
柏葉の職業は、自衛隊の中央音楽隊隊員。
漢であり、繊細な音楽家でもあり。
清潔感のある男性なのです。そして制服が似合う…
女好きの丹羽が、中央音楽隊のポスターですぐ大学時代の友人だった柏葉を見分け、深みのある声を思い出して、どうしてももう一度会いたくなる…
どんな女性と付き合っても浮ついてた丹羽がどんどん柏葉に本気になっていくさまは、どこかスリリングでもあり。
今回粗筋も読まずネタバレなしで読んだので、はじめかなりシリアスなテイストと感じて読んでいたのです。実際、柏葉のお母さんが難病でずっと闘病していて危篤になったり。
ところが。
ついに結ばれて一夜を過ごした翌朝の事。
柏葉が、カプチーノが飲みたい、淹れて。朝食食べたい、作って。とサラリと言い出すのです。
口ずさむはカルメンの「ハバネラ」。私に愛されたら用心するのね、ラ・ムール…
そこで、あ〜ラブコメ的な側面があったのか!
自然体で丹羽を圧倒する柏葉に、すっかり押されてる丹羽。
書き下ろしのタイトル通り「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」…もう飛ぶ事はできないぞ、丹羽。
柏葉はお母さんの病気などあって恋愛に時間も心も割けず、実は童貞処女なんですね。
だから丹羽との経験が初めてなんだけど、妙に恥ずかしがったり気持ちを隠したりという態度は一切取りません。感じるがままに感じ、欲するままに欲する…そんな柏葉は性的にもとても丹羽と対等です。
その意味で男x男の恋愛がとてもよく表現できていて、すごくすごく感服しました。

0

チャラ男がいつの間にか…

かわいさんは作家買いしています。
今作も、かわいさんの作品によく見らる、攻め受けの視点が章ごとに切り替わる書き方で、わたしは両者の考えていることがわかり好きなので読みやすかったです。
分量的には、攻め視点多め。


攻めの丹羽は、商社勤めで事務用品の営業をする28歳。
甘めの顔立ちと適度なマメさ、営業で培った面の皮の厚さで、仕事にも女性関係にも充実しています。

受けの柏葉は、陸上自衛隊の中央音楽隊所属の隊員。
丹羽とは大学時代、声楽サークルの応援用員として知り合いました。
清々しい色気のある男。


思わぬところで、大学時代いっとき交流のあった柏葉の消息を知り、無性に会いたくなってしまった丹羽。
邪な気持ちを抱く丹羽へ、清々しいほどの喜びをあらわした柏葉。

はじめこそ昔落とせなかったことで柏葉へ執着していた丹羽ですが、柏葉の隠された現状や姿に、知らず知らず本気になっていきます。

器用な男が、本命の前では不器用になってしまう様は微笑ましい。
えっちの前と後じゃ、まったく立場が逆転してしまうのも。
丹羽がというより、柏葉が有無を言わせないあたりが女王様です。
このままじゃ、いつか柏葉にいつの間にかバックとられそう(苦笑

題材が今よくテレビなどでも取り上げられている自衛隊の音楽隊ということで、個人的には興味の範囲外でしたが、知らないことも多く興味深く読めました。
フィクションだとご自身はあとがきに書かれていますが、それでも違和感なく読めるのはさすがかわいさんだと脱帽です。
かわいさんの作品では特殊職業が多いですが、毎回そういった題材でも、こちら側が違和感を感じ一瞬冷めてしまうようなことがなく素晴らしかったです。

1

攻め×攻め?

軽薄なモテ男が、本当の恋に目覚めたのは、、、

BL=ボーイズラブとは言っても、年齢や容姿は必ずしもボーイ(少年)じゃなくても構わないけど、
「こいつ、ホントに男?」
「男同士っぽくないな」
「男である意味あるの?」
なんて感想を抱くことは、まあ、ちょいちょいあるわけで、
でも、このお話は、実にこれこそBLの、男同士のお話だなぁって、ちょっと感動。

女の子には要領よく愛想を振りまいて、チョウチョのようにあちらこちらと甘い蜜を楽しんでいたモテ男丹羽が、柏葉に対しては今までの女の子相手の手管が通じずにビクビクしたり、いざ恋人同士になったらなったで、対等な関係を求められてオロオロしたり、
柏葉は柏葉で、、、

この二人、そのうち逆転しそう、
そこまで描いてあったら、文句なく神だな。

3

大人の駆け引きが巧妙でよかった

かわいさんのコメディということで楽しみにしていました。

本編は、遊び人の丹羽が、大学時代淡い想いを寄せていた柏葉が取引先の自衛隊の音楽隊のポスターに載っていたことからお話は始まります。
設定は知らず、購入したんですがさすが、かわいさん!!設定がドツボでした。
自衛隊の音楽隊とかなかなか他の作家さんは考え付かないですよね。笑

コメディと言ってもドタバタする感じではなく、あくまで大人の二人の駆け引きがオペラをモチーフにしたキャラに柏葉が見立てたりといったり。
そこにまたかわいさんのセンスが光ったかなーと思います。

色っぽいシーンもほとんどありませんでしたし、ゆっくり二人の恋愛が楽しめたんじゃないかな、と。

個人的には星4つくらいの勢いなんですが、あまりに柏葉が男前で丹羽の手綱を積むので、実は柏葉×丹羽がよかったかな。
攻×攻クップルみたいなので、次は反対バージョンもお願いしたいです!

1

洗練された大人のコメディ♪

営業マンの丹羽は、遊び人。
柔らかな見てくれと態度を駆使して、とにかく人生楽しく要領よく
趣味は可愛い女の子を口説いて付き合う事。
そして、実は男でもOKという節操無し。
飽きたら綺麗に後腐れなく別れ(と本人は思っている)、
ひららひららと生きている。

ある日営業先で、見つけた自衛隊中央音楽隊のポスター。
その写真に、かつて大学時代に友人(彼にとっては知り合いは友人)だった
そして彼が一生懸命粉をかけても、全く暖簾に腕押しだった柏葉を見つけ、
コンサートに会いに出かける。

学生時代から変わらない、清潔で優雅な佇まいの柏葉。
軽い気持ちで近づいたのに、いつしか夢中になる丹羽。

この主人公二人の造形がなんともいい。
軽薄で計算高くて、でも実は案外いいやつな丹羽もいい味だが、
何と言っても柏葉!
段々と判明する彼の性格が、なんとも素敵!!(笑)
静かに柔らかで上品なまま、素で繰り出す辛辣なセリフがツボでした!

恋多い男と言われながら、実は今まで知らなかった気持ちに気がついた丹羽、
ようやく受け入れて貰って、Hに到るのだけれど……
そこからのすっかり掌で転がされている様に笑い、
(って、振返るとずっと振り回されていたのだが)
経験はないのに、なんとも男前な色気が溢れる柏葉がすごい。


作中でオペラ、主にモーツアルトの「フィガロの結婚」の
曲や登場人物が効果的に使われている。

書き下ろしの「もう飛ぶまいぞ、この蝶々 」のタイトルは
その有名なアリア「Non piu’ andrai」より。

すっかり主導権を握っている柏葉、
この書き下ろしではリバかな〜?って希望していたのに、
それはなかった、残念!
いかにもありそうな二人なので、続編か番外で希望します!

ゲラゲラと大笑いするような面白さではなく、
情景が浮かぶような描写や、
笑いと真面目さが混ざったしっくりくるやりとり。
女の敵みたいなドンファン丹羽が、ウブに見える相手に翻弄されて
思わぬ純情を見せるお話。

楽しかったです♪


5

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