電子特典イラスト付
文明開化!!鉄道融資と山信仰。
村の発展のため、利権のため、
人間ってなんて身勝手なんだ…と苦しくなるけど、
正しいことばかりで正しいことなんてないって俊次がすごく良い。
この潔さに強さ!!そりゃ嫁に来いってなるよ~
神様×人間、だけどタカオは妙に人間臭くて、二人のやりとりのテンポが楽しい。
普段、飄々としているタカオの抱えるものの深さや優しさにズーーーンってなったり、
鉄道が導入されたことで日本がどう変わってきたのかという面もおもしろかった。
そして何より男前が可愛く蕩けちゃう姿の尊いこと!!
BL的萌えは萌え少な目ですが、
生き様や時代描写に惹きこまれ、読む手が止まりませんでした。
参考文献の数がすさまじくってビックリ。
第一印象は、久我先生ってこういうタイプの作品書かれるんだ〜。
私が久我先生作品で多く読んでいるのは関西弁も賑やかな芸人シリーズなので、ファンタジー系は初めて。
舞台は明治。文明開化がいよいよ進み、都市部だけでなく地域にまで鉄道の建設が進んできた。
そんな開発の折、ある山深い村の一つが鉄道反対を貫いていて…
…という設定。
ここに鉄道局の官吏である主人公の若友俊次が説得に赴くが…と展開していきます。
ファンタジー要素というのは…
この村の山には守り神がいて、という部分。
その神様は時折山を下りて村を歩き、村の子供と親しく遊び、誰にでも見えるし話もできる。
名は「鷹男」。
そして、鷹男とお山を汚さないように、という鉄道反対派と、守り神なんて迷信だ、という鉄道賛成派に村が二分してしまう。
その攻防や鷹男の起こす「力」、そこに鷹男に共鳴する俊次とのケンカップル的な関係が重なって物語が進んでいく感じです。
で、感想なんですけど。
まず鷹男が「神様」と聞いて想像するお姿や行動が違うんですよね…それだけ村の生活の中に入り込んでいるといえばそうなんでしょうけど、なーんか違和感。
また、鷹男が俊次を気に入る、というのはいいとして、祖先に力を持つ人がいるとかいないとか、鷹男の過去を夢に見たりという、その辺の設定説明がちょっと曖昧だったり。
ちょいちょい入り込めない部分がありました。
本編後の「はるかな街で」では、鷹男がそのまま俊次と村を出て同居してます。
元神様の今人間ですよ。想像できないな…ヘンな感じ。
人外ものとしてかなり異色な作品かな、と感じました。
ここが「ちるちる」という腐女子のためのサイトと思うと、この評価。
俊次は凛々しく強く、頭が良くてさらに可愛い所も持ちあわせている。
鷹男も、実にいい男である。
それなのに、私的にはどうも萌えない。
作者の熱意と下調べの凄さに圧倒されるし、
最後まで一気に読んでしまった程に、ストーリーもとても面白い。
だからこそ、「これって別にBLにしなくても、充分面白いのに」と思ってしまった。
どうしてかなと思うと、主人公二人に色気が感じられない。
さらに、ラブもあまり感じない。
互いに惹かれあっているのは充分感じられるけれども、
それが恋なのかと思うと、少なくとも俊次には全く感じなかった。
最後のラブなシーンも、無くても物語は充分成立していたので、
取って付けた感が否めない。
BL的には、これからの二人が「仲良く喧嘩しな」って感じで、
もっともっと恋人同士としての距離を縮めて行く、
その過程が見たい気がしました。
面白かったです!表紙の地味な印象を裏切って!(すいません・・)
印象は私もジ○リ作品ですが、もの○け姫を連想しました。
怒るとか祟るシーンは、多分映像でみたら寒気でそうなぐらい怖い印象ですが
攻め、受けがめっちゃ面白い&大好きな性格で、勧善懲悪ではないですが
読後感がとてもよかったです。
関西弁満載なので、関西弁を文字列で読むのはツライ という方には、
難しいかも・・
あと色っぽいシーンは最後の方にねったりありますが、
途中はキス程度 でした。
押し寄せる時代の波(西洋化)に翻弄される日本の小さな里山が舞台。
鉄道通す、通さないで村を二分して議論になってます。
(丹波篠山あたりかな と勝手に思ってます。)
攻め:長身美丈夫。受けさんが気に入ってちょっかい出しては逆襲され
「いたい・・」と泣くところが超可愛い(笑)
そりゃイタイわ、膝でまじ蹴りされてんねんから・・・
一応 神らしい。空飛ぶし、風と共に瞬間移動してくるし。
受け:帝都生まれ、商社社長の次男坊。
逓信省鉄道局 神戸保線事務所の書記。
鉄道通すよう説得のために村を訪問したのが始まり。
爺さんが元武士で武術を嗜んでいる。強い~&性格が超男前!
きっぱりさっぱり!「山に穴があいたらお前祟るか?」って
神様にしれっと質問しちゃう(笑)いいわーこの受け。
その他里山の民と、エライ議員さん、将校、
詐欺師まがいの祈祷師みたいなやつ
と、攻めの昔の記憶内の村人なんかが出てきます。
先生の文章との相性もいいのか、読み物として本当に面白かったです!
新緑の季節に、里山走る小さなローカル線に乗りに行きたくなるような
いいお話でした。
神様を祀る山にトンネルを掘って鉄道を通す……神様か鉄道か。
人って、信じたいことを信じるんですよね。だから、賛成派の村人たちは、鉄道を推進する政治家や軍人、彼らが連れてきた怪しげな祓い屋を信じようとする。反対していた人たちも、神様の祟りなしに鉄道の恩恵を受けられるかもしれないとなると、これまで頑なに信じていた心が揺らぐ。
そんな中で、常にニュートラルで、常に状況を正しく見極め、村人にとってのベストを一生懸命探ろうとする俊次がかっこいいです。
鷹男はもともと祟り神なのですが、その祟り神となった経緯や、信仰が薄れ村人の心が離れていく、そんな人間の身勝手さを、恬淡と受け入れていて、何だかもう切なくて寂しくて、そりゃ俊次も絆されちゃいますよねえ。
「哀れか。それはもう惚れたってことだな」…至言です。
山に入ってはいけないということだけは確かで、あとは鷹男にも読めない。村人たちは、政治家や軍人に唆され、徐々に信じる心を都合よくねじ曲げていく……読んでて、ハラハラしました。
明治時代、世の中が急激に変わっていく中で、神様を畏怖しながらも世の中の流れに取り残される不安に揺れる村の人たちがリアルに描かれていて、お話の展開も面白くて、BLとして、というよりひとつのフィクションとして楽しめました。