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anatashikamienai
Kindleアンリミテッドになっていたので、軽い気持ちで読んでみた本作が大当たり。2000年刊行ということでレビューもないが、兄弟スキーな自分にとっては神作だった。二歳差の弟攻め。
まず正真正銘、血の繋がっているガチ兄弟。これだけでも尊い。
弟は生まれた時からお兄ちゃんが好きだと言っていて、弟が14、兄が16の時に初めて体の関係をもって以来、八年間ずっとその関係は続いている。
なので二人が社会人となっている序盤から、もう、いちゃいちゃラブラブ。とにかく弟が、兄を大好きなのが伝わってきて、甘えてるのがすんごく可愛い。
兄は無表情で本心を言わないタイプ。なので、弟は今まで何度も何度も抱かれて、すっかりその行為に溺れきっている兄を見ても、自分の想いは一方的なものなんだと思い込んでいる。
その理由は、二人の辛い過去にある。実は小学生の時に、二人の生まれ育った家は、家族が留守をしている隙に空き巣に入られ、その上、火事で全焼してしまった。
両親が共働きだった二人は当時鍵っ子で、数日前に子どもがどこかで無くしてしまった家の鍵を空き巣犯が入手して、放火したのではないかとされた。
兄弟はそれぞれひとつずつ鍵を持っていたが、無くしたのはどちらかと問い詰められ、弟は咄嗟に兄をかばおうと、自分の持っていたそれを、こっそり兄に渡す。
その時から母親はおかしくなり、家がなくなったのは弟のせいだと彼を責め、罵り、虐待行為までするようになる。だけど、弟は大好きな兄のためにそれらすべてを耐え、本当のことは決して口にしなかった。そのことで自分に引け目を感じているから、兄は自分を受け入れてくれているのだと、弟は思っているわけ。
中盤、そのことについに耐えきれなくなった弟が、兄に別れを告げる。もうこのあたりは本当に胸が苦しく、泣いてしまったのだが…。
このお話、全編攻めの弟視点なのだが、後半からのこの、今まで見えなかった兄の本心や、火事の真相などが判明するあたりは、めちゃくちゃ不穏な空気が漂っていてすごくハラハラした…!
一瞬、もしかしてお兄ちゃんがヤンデレとか、黒いキャラなんじゃないかと思ってドキドキしちゃった。けどそんなことではなく、兄は弟が思ってる以上に弟を愛していて、ふたりの将来を考えていた、という、めちゃくちゃ素敵なお話だった。
とにかく両親を同じくした兄弟なんで、生まれた時からお互いがずっと大好きで、キスもエッチも相手としかしたことがなく、これからもずっと一緒にいよう、っていう関係性が最高に尊い。
エッチも最初から上手くいったわけじゃないらしく、弟は一方的に激情をぶつけて、兄を傷つけてしまったんじゃないかと後悔してるのだが、これもまた尊い。
最後まで読んでわかる、兄の大きな愛情にも激萌えで、いやもう、本当読んでよかった。あまり知られていない作品かもしれないけど、ガチ兄弟好きな人にもっと読まれてほしいと思う。