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子供を兵器として育てる世界。
身寄りのない子を集めて、特殊な能力を持つ子だけ選別して兵器として育てるシステムは、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」と似ている。
哀しい世界だなー、嫌だなーと思いながら、読みました。
サイバー戦の戦闘描写は、マトリックスと似ている。
戦闘チーム昴のリーダー、怜。コードネームは「白雪姫」
怜は、何時もだれかが自分を呼ぶ声を感じていた。
優しい顔をした人には気を付けようと思ってしまう。
笑顔の悪党にずっと騙されて投薬や手術までされて奴隷化されていた怜。
まるで人形のような表情のない怜にロシアチームの丹沢が接触してくる。
怜が失った記憶部分を、怜が徐々に思い出す。
怜を兵器として独占したかった人物から逃れようと脱走。
失敗した丹沢と怜は引き裂かれる。丹沢は、国外へ。怜は、強い薬と洗脳が施されて、過去の記憶をかきかえる。
曖昧で混沌とした怜の視点で描かれているので、
誰が見方で、誰が敵なのか、半分分かっても全部が分からない。
最後まで緊張しながら読みました。
面白かった。
電子版には、表紙の絵も挿絵もないので、つまらない。
読後、紙本を探して買いました。
時は2049年。
2017年に起こった第三次世界大戦後の近未来が舞台に、
引き裂かれた幼馴染みが再会する話。
↑
この設定はものすごくツボだし、
必ず戻るという誓いを果たす為になりふり構わず這い上がったイツキも
薬漬けになって利用されてきたお人形のような怜が
人間らしさを取り戻していく様も、すごく好き。
円陣さんの絵も、これまた素敵で好き。
好きなんだけれど……
本家SFでも近未来物は難しいんだよなぁ……。
特殊能力者達が電子の海に潜って戦争する世界。
突出した能力を持つ怜は、薬によって感情や記憶をコントロールされ
何の楽しみもなく日々研究所の奴隷のように生きている。
そこへ苦節17年、幼馴染の斎(イツキ)が現れる。
怜は記憶がないので斎を覚えていないのだが、
ずっとどこかで呼ばれているように感じており
警戒しつつも惹かれていく。
こういう設定でちゃんと読ませるかわいさんの筆力は流石だが
でもやはり設定を生かしきれていないというか……
ギブスンの「ニューロマンサー」や映画「マトリックス」のような
世界観なんだと思うけれど、
こういう話をこの尺で書いちゃあ、やっぱり薄っぺらく
なんちゃってになってしまうのは致し方ないのだろうなぁ。
心が再び通じあう前にどころか、
顔を会わせる前にバーチャルセックスというあたりも
なんともなんともくすぐられるんだけれど、
どうなんだろう?30年後にこういう世界……と思うと
逆に現在と地続き過ぎて、その世界のイメージに乗り切れない。
設定部分を読みながら上手く気持ちに落ちなくて目が滑ってしまった。
並んだラフまで乗っている折角面白そうな
チームメンバーも生かされていないし
悪役一ヶ瀬の造形や落としどころももっと厚みがあっていい。
最後には数年後逃げた先での二人の日常の一こまが描かれる。
これはノスタルジックで甘くて安心して読めるSS。
筆者が後書きで
「円陣さんのカラー挿絵が二枚になるのでBlackにした」と語っているが
ファンタジックな表紙も美しいが、肌色な口絵が素晴らしい。
(必見です!)
筆者の判断を支持しますっ!
素晴らしい所と惜しいところが混在の作品、
評価はそれらを均して(円陣さんが稼いで?)萌×2とします。
祝!かわいさん花丸ブラック進出!!
-そうはいってもかわい作品なので、あまりあられもない描写だとか鬼畜なキャラとは無縁です。エロを書いてもそこはかとなく品の良さの漂う、いつもの路線を踏み外してはいません。そして特筆すべきはやはり、絵師さんでしょう。円陣闇丸さん。わたしはかねがね、現役絵師さんの中で1,2を争う画力の持ち主ではないかとひそかに尊敬申し上げております。どんな難しい角度からでも、複雑なポーズでも、その確かなデッサン力にかかれば寸分の狂いなく、端麗な像となって結ばれます。本作も近未来SFという難しい題材ですが、円陣さんが絵師さんとして付いた時点で8割方「勝ったも同然」だと踏んでおりました。
物語の舞台は、今から三十数年先のわが国と思しき国。とはいえ第三次世界大戦を経て、社会のかたちも国際的な勢力地図もすっかり変容して、アジア極東地区の「日本特区」となっています。主人公の矢方怜(28歳)は、そこで特殊能力を使ってサイバー空間での情報工作班「昴」を率いています。
ーこの入口の部分で、いくら大好きなユミコ・カワイプレゼンツとはいえ、コッテコテの文系脳の私に果たしてこの世界観が理解できるのか、と、一瞬ひるみましたが、そこさえ潜り抜ければ、意外とするする最後までたどり着きました。だって、SFの形は取っていても、メインテーマは「喪われた半身を必死で捜し求める男」の純愛だったから。最近読んだ中では、沙野風結子さんの「処女執事」や犬飼ののさんの「ブライト・プリズン」に近いものがあるかもしれません。
怜はつねに無表情で、感動の起伏もほとんどない。周囲で起こるすべての出来事は、彼にとって薄い膜一枚隔てた別世界でしかない。でもそれは彼の育ての親的存在であるドクター一ヶ瀬が、大量の強い薬を飲ませ続けているから。彼の能力を最大限利用し、彼を支配するために。「処女執事」の己裕や、「ブライト・プリズン」の薔も、記憶操作はされていたものの感情までは殺されてなかった。なので攻めと再会した当初はやたら突っかかったりツンツンしたりして、それもまた可愛いと攻めを喜ばせることができてました。けれど本作の怜にはそれすら許されてない。傍目にはとても悲惨な境遇に見えるのですが、本人は自分が不幸だということすら気づいていないのです。
そんなあまりにも不憫すぎる受けに用意されたのは、とびっきり優秀で腕も立ち、敵には容赦ないけど怜だけにはどこまでも甘い、ある種理想の王子さまのような攻め・イツキでした。かわい作品の攻めって、一見パーフェクトなジェントルマンが、受けを好き過ぎるあまり少々暴走して変態ちっくになったり、ちょっとだけいぢわるをして泣かせてみたりというのも結構ありなのですが、本作ではあまりの怜の哀れさに免じてか、イツキは最後まで豹変しません。なにしろ怜に再会するためだけに異国で苦節17年、再会後はとらわれの怜を救い出すためにそれまで築いた全てをあっさり擲つ人ですから。その彼のビジュアルが円陣さんの絵で見られるのですからこれまた贅沢です。端正なオトコマエなのは言うまでもありませんが、どちらかと言えば眼鏡なしの方がより人間くささが出ててわたしは好きだったな。
受け攻めの視点が交互に入れ替わる形でお話が進むのはかわい作品ではよく見受けられる形ですが、本作ではイツキの正体が読者に解るのが早すぎて、ラストまで取り立ててどんでん返しもなく進むので、ハラハラドキドキ感にはやや欠けます。ただ通常のブラックの本の薄さを考えると、あれだけのお話をこの分量にまとめるってやっぱりすごい。最後はしょーもないのですが、サイバー空間で戦争するような時代になっても、人はパスタを食べ、アストン・マーティンで移動するのね、今とそんな変わんないじゃん!なんて妙な感慨にふけりました。
こういう近未来SF、すごく好きな設定なんだけど、商業BLでは滅多にないような気がする。
っていうか、近未来だけじゃなくSF設定自体があんまりない?
SFって何を指すの?って聞かれると、ちょっと自分でも上手く説明できないけど、たとえばケモ耳がでてきたりする異世界ファンタジーや、超能力がかかわったりとかする作品じゃなくて、未来や宇宙やロボ物派生の二時創作でもない、一から世界観を作っている商業BL。
やっぱりSFの世界を作るのはそれだけ難しいのかな。
この作品も、充分おもしろいけど、なんかがちょっと物足りない。
他の方もかいてらっしゃるように、もっと他にもおいしい要素が盛り盛りで、チームメンバーのラフ画とか円陣さんのイラストには激萌。
この作品は、これで十分完結していて、これはこれでおもしろかったけど、この世界観のアニメの二時創作だったりしたらもっと激賞しただろうなぁっていう感想。
セルフつっこみ
それにしても、このあらすじは、、、
エロ多めのBLACKレーベルだからといって、バーチャルセックスがメインの売り文句なのかぁ、、、
帯に『必ず戻ると約束した』とあるように、再会物です。
かわいさんが花丸Blackかあ…
しかしBlackといえども、エロさは期待しない方が良いですね。
しかし、とにかく表紙が美しい!
そして濡れ場挿絵もさすが円陣さんです。
視点は受け攻めの両視点で、章で区切られています。
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受けの怜は情報操作工作班『昴』のチームリーダー、28歳。
コミュニケーション能力が低く、整った容姿もあいまって人形のように見られます。
攻めの丹沢は極東ロシア軍から派遣されてきたチーム専属ドクターで、31歳。
日系ロシア人的な雰囲気がありながら、印象的なブルーグレーの瞳を持ちます。
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時は2049年。
サイバーテロから守るために組織された、極東日本特区の情報工作チームが怜の所属。
そこへ表面上同盟関係にあるロシア特区から、17年前、潜在能力を伸ばすために作られた施設で怜と引き離された丹沢がやってきます。
今回はチームということで登場人物が多いですが、その中でもサブリーダーの槇と、施設管理官の一ヶ瀬がお話にはよく絡んできます。
特に20年近く怜と共にいる一ヶ瀬はひじょうに胡散臭く、親切顔をしながら怜を自分の立場の確立に利用しています。
幼少時、丹沢と怜を引き離したのも一ヶ瀬でした。
怜は薬の多量摂取で一ヶ瀬に管理されており丹沢のことを記憶していないのですが、本能的に丹沢を求め欲していました。
怜は28歳ではありますが実年齢よりも一ヶ瀬の操作のせいで幼く、己で考えて行動するということが出来ません。
そんな怜が一ヶ瀬に黙って丹沢と会っていたことだけでも、彼らの親密性を表しています。
光学迷彩服とかサイバー空間へのダイブとか『甲○機○隊』のようですね(苦笑
とにかく大仰な設定なので、好きなかわいさんといっても難しいなあと感じました。
世界に入り込むために苦労しますが、丹沢が怜と比べるとひじょうに人間的なのでまだ助かりました。
お話の内容だけですと『中立』評価にしたいのですが、表紙の美しさと丹沢の怜だけに甘々なところが好きなので『萌』で。
ちなみに、本編終了のページにチーム『昴』のラフ画が掲載されていますので、それを先に見た方がイメージが膨らむと思いますよ。