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表題作鬼の求婚 ~桃太郎の受難~

鬼柳藤司,23歳,桃太郎が成敗した鬼の血筋の御曹司
桃瀬柊,20歳,桃太郎の血を引く桃瀬家直系の大学生

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  • あとがき

あらすじ

桃太郎の末裔と言われている桃瀬一族の御曹司・柊は、鬼の末裔と言われる鬼柳一族の三男・藤司に、鬼の島に不法侵入したところを見つかり軟禁される。藤司の度を越したセクハラや遊びに付き合わされた柊は…?

作品情報

作品名
鬼の求婚 ~桃太郎の受難~
著者
真崎ひかる 
イラスト
みなみ遥 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041022733
2.1

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萌々

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(1)

中立

(5)

趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
8
評価数
6
平均
2.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

設定は良かったが

おとぎ話「桃太郎」。
桃太郎の末裔である桃瀬家。
鬼の末裔である鬼柳家。
どちらも日本で5指に数えられる名家ですが、保守的であることが災いして下降の一途をたどる桃瀬家とグローバル企業へと成長した鬼柳家と立場は対象的です。

桃瀬家に仕えるのは昔話通り犬・猿・雉。各お供の末裔も桃瀬家当主に仕え、その息子たちも柊に仕えています。
桃瀬家直系の柊はたった一人の跡取り息子としてこの3人が常に側に仕え、大事に大事に育てられました。会社が危機にあるというメイドたちの噂話を優秀なお供たちに確認するのですが、うまくはぐらかされてしまいます。自分が頼りないから何も知らされていないのだと落ち込み、何か自分にできることはないかと考えた末、鬼ヶ島に財宝を埋めてあるという昔の文書のことを思い出します。
早速、皆に黙って鬼ヶ島に向かうのですが、そこでたまたま知り合った男・藤司は実は鬼柳家の人間でした。お互いの素性が分かった途端、藤司の態度が一変。そこへ電話が入り、桃瀬家当主が両家の合同プロジェクトのお金を持って行方をくらましたと。柊はスマホを海に落としてしまい、事実かどうか確認できません。このことが公になると警察沙汰だと脅され軽い軟禁状態にされてしまいます。

鬼柳家の別荘で藤司と一緒に過ごすのですが、全て人に任せだった柊はお茶1つ入れることができないことをからかわれます。何かと嫌味をいいながら意地悪をする藤司に言動に反発しながらも、柊は自分がいかに世間知らずなのか気づきます。もともと、周りに鬼柳家について悪い事ばかり吹き込まれたせいで敵対心を持っていましたが、おとぎ話には疑問を持っていて本当に桃太郎は正義の味方なのか実は桃太郎こそが悪者なのではと思っているところもあり、鬼ヶ島の住人との話で人伝に聞くのではなく自分できちんと確認することを痛感します。

設定はとても良かったと思うのです。昔話に出てくる鬼というのはその時代の為政者に反する者を表現するのに使われたとか何かで読んだことがありますが、この話でも立場を変えれば、どちらが正義かわからないと表現されていました。
でも、鬼ヶ島でなんだかんだでのんびり二人で過ごす期間が長く、ちょっとダラダラしている感じがしました。
藤司はすごく意地悪だけど、怪我や迷子などのときにはすごく優しくて意地悪なだけでないということはわかるのですが、私は甘い話が好きでSっ気のある人物は好みではないのでこんな意地悪ばかり言ってからかうような攻めは好きになれませんでした。
昔から藤司は柊のことが好きだったようですが、今回のことは偶然だったみたいだから、これがなかったらどうするつもりだったのかわからないし、意地悪なことばかりしていたくせにいざとなるとヘタレだし、両想いになってからも意地悪なことばかりしていたことに対しての謝罪は一切ないというか忘れられたから仕方ないと開き直ってるし、本当に好きなのかなと思ってしまいました。昔は女の子のように可愛かったからと言っていましたが、だったら今は?柊のどこが良かったのか。
そして、あんなほんの時々優しくされるくらいで、あまり魅力を感じない藤司を柊が何故好きになったのかもよくわからないし、萌要素が全然足りない。

柊が鬼ヶ島へ行かなければと思いついた過去を思い出し、二人がお互いの想いを確認して、鬼ヶ島から出るところで話は終わります。私としてはここからのほうが面白そうだと思いました。両想いになったことできっと藤司は柊に甘くなると思うし、それを阻止せんとするお供3人衆との攻防戦に苦戦する藤司が読みたい。彼らが優秀なだけに面白そうです。3人衆もそれぞれいいキャラクターなので最初と最後にチョロっとしか出てこないのはもったいないと思いました。両想いになるまでをもっと省略して、その辺を読ませてもらえたらもう少し面白かったかもしれません。
結局、思い悩んだのは柊だけで、藤司は常に余裕綽々で、余裕な攻めより焦る攻めのほうが面白い。常に上から目線で余裕な藤司が焦る姿がみたかった。

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